著者
伊藤 謙
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

国内外での石薬のマテリアルプロファイル構築や基原解明における継続的な調査を、3か年に渡り精力的に実施した。本研究では、医療用のみならず冶金やその他の用途に用いる石薬についての研究・調査も継続的に実施し、研究成果を論文や学術講演だけでなく、展覧会という形でもアウトリーチを実施し、社会に公表・発信した。研究成果は計3編の学術論文、計12回の国内外での学術講演として発表した。その一部は、産経新聞1面(2017年5月19日夕刊)をはじめとする多数の新聞社やテレビ局により、広く報道された。加えて、計2回の展覧会(2017年、2018年)、1冊の出版物(2019年)の形でも、研究成果を発信した。
著者
船津 好明
出版者
法政大学沖縄文化研究所
雑誌
沖縄文化研究 (ISSN:13494015)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.289-419, 2008-03-31
著者
Masato Kobayashi Naoki Motoi
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
IEEJ Journal of Industry Applications (ISSN:21871094)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.331-340, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

This paper proposes a hybrid control of trajectory planning for a desired trajectory and collision avoidance based on an optimization problem for a wheeled mobile robot. In the proposed method, the priority of trajectory planning for the desired trajectory and collision avoidance is modified using the priority variable α. The priority variable α is designed by solving the optimization problem with constraints. As a constraint condition, the range of the priority variable α where the robot does not collide with multiple obstacles is derived. Under this constraint condition, the priority variable α with the highest priority of trajectory planning for the desired trajectory is selected as the optimal value. As a result, the velocity commands considering trajectory planning for the desired trajectory and collision avoidance are calculated in real time. The effectiveness of the proposed method is confirmed via experimental results.
著者
伊藤 亜紀
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.39, pp.107-127, 2008-03

チェーザレ・リーパの図像学事典『イコノロジーア』(1593年初版) において定義されている5種類の「節制」の擬人像のうち、一人は「ポルポラの服を着た女性」である。すなわち「節制」とは「中庸」であり、それは「ふたつのまったく異なる色」の「合成物」たるポルポラの服によってあらわされるのだという。これはポルポラが二色の合成色であることを最初に明言したという点で特筆すべきものであるが、リーパはこの知識をいかにして得たのであろうか。 古代のプルプラ貝による染色はとうに廃れ、15世紀の染色マニュアルや衣裳目録には、「ポルポラ」という色名すら見いだすことはできない。チェンニーニ等による諸文献は、ポルポラが赤と青の合成色、もしくは赤そのものとみなされていたことを間接的・・・に伝えているが、いずれにせよポルポラはすでに一般的な色彩用語ではなかったことが理解できる。 16世紀に各種出版された色彩象徴論からも同様な事情が窺える。エクイーコラ、テレージオ、モラート、リナルディ等は、ポルポラを古典文学作品に頻出する色と認めつつも、それを単に赤をあらわす色名の一つとみなしているに過ぎない。 しかし1565年、紋章官シシルの『色彩の紋章』のイタリア語訳が出版されたことが、イタリア人のポルポラ観を変えることになった。この書の第一部では、紋章を構成する基本色として金、銀、朱、青、黒、緑、プールプルが論じられているが、そこではプールプルが「他の [6 つの] 色で出来て」いる合成色であることが明言されている。さらにシシルは、プリニウスや聖書の記述からプールプルが王や皇帝に属する「高貴な」色であることを強調しており、このことはイタリア人にポルポラの象徴的価値を再発見させることにもなったと考えられる。 シシルの論はイタリアで版を重ね、ロマッツォの『絵画論』等、16世紀後半以降に書かれた色彩象徴論に大きな影響を与えたが、リーパも寓意像の服の色彩を決めるにあたってこれを参照したことは間違いない。とりわけ『イコノロジーア』におけるポルポラを着る寓意像の説明には、シシルのプールプル論が色濃く反映されている。さらにポルポラを二色の合成色とみなす考え方も、『色彩の紋章』第二部における、プールプルは「赤と黒のあいだの色であるが、黒よりも赤により近」く、「藍か青の色をもつ」という記述を踏まえたものだと考えられる。したがってリーパの言う「ふたつのまったく異なる色」とは、赤と黒、もしくは赤と青と考えられるが、それを明らかにしなかったのは、ポルポラが人によってさまざまな色名で言い換えられる色調の定まらぬ色だからである。
著者
藤原 帰一 城山 英明 ヘン イークァン ORSI ROBERTO 和田 毅 錦田 愛子 華井 和代 HUSSAIN NAZIA 中溝 和弥 竹中 千春 清水 展 杉山 昌広
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、水資源を焦点に、グローバル・サウスの地域・国々の事例を取り上げ、気候変動による自然の衝撃が社会と政治にどのようなストレスをもたらすか、また、いかなる過程を経て社会の不安定化、資源獲得競争、国家の動揺、武力紛争、難民・移民などの現象を引き起こす原因となるのかを問い、気候変動政治のメカニズムを解明する。同時に、自然の脅威を前に国際社会、国家、草の根社会がいかなる緩和と適応を行うかを考察し、気候変動レジリアンスの仮説を提示する。さらに、気候変動安全保障を中核とする新しい安全保障論と、国連持続可能な開発目標(SDGs)とを連携させたグローバル・ガバナンス論を論じ、政策的検討を試みる。
著者
鶴田 武志
出版者
名古屋短期大学
雑誌
名古屋短期大学研究紀要 = Bulletin of Nagoya College (ISSN:0286777X)
巻号頁・発行日
no.56, pp.225-243, 2018

松竹映画「彩り河」(1984)は、霧プロが製作した最後の映画である。前年に公開された「迷走地図」(1983)におて、霧プロの双璧である原作者、松本清張と松竹側の筆頭、野村芳太郎との間に決定的亀裂が起こったこともあり、「彩り河」はその煽りを受けた失敗作とされてきた。しかし、ここには1980年代の松本清張の作風の変化と松竹映画との相性の悪さなど、小説を商業映画にしていくプロセスにおける構造的欠陥が「彩り河」自体で顕在化してきたからに他ならない。本論では、その観点から今までなされてこなかった原作「彩り河」の表現構造分析、映画製作の過程を検証することで、作品がメディアを越境する際に起きる諸相、清張自身の自作映像化への目論見などを炙り出す。
著者
倉澤 茂樹 泉谷 憲正 武淵 さやか 塩津 裕康 横井 賀津志
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.481-489, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
18

応用行動分析学(以下,ABA)に基づき,2歳4ヵ月の自閉症スペクトラム障害(以下,ASD)児に早期の集中的な介入を行った.コンサルタントである作業療法士(以下,OT)は,母親だけでなく,障害福祉施設のOTおよび言語聴覚士とも連携し,不連続試行法および機軸的行動発達支援法を活用した介入を,1日30分以上,週10時間未満の範囲で実施した.2ヵ月後,数十種類のコミュニケーションスキルが獲得された.本報告は,ASD児への早期の集中的なABA介入の有効性を示唆する.加えて,行動コンサルテーションは,家庭内だけでなく地域の療育機関の連携を可能とし,集中的なABA介入の実現に寄与する可能性がある.
著者
木下 修一 吉岡 伸也 藤井 康裕
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.493-499, 2002-10-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2
著者
今浦 将治
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.179-184, 2021 (Released:2021-11-15)
参考文献数
37

医療技術の進歩は手術の低侵襲化を実現し, 高侵襲手術が困難な患者に対しても手術を可能にした. これにより, 高齢患者の手術件数は増加している. 一方で, 高齢患者は, 加齢に伴う臓器機能の低下, 併存疾患の存在, 栄養不良などから術後に予期せぬ合併症を発症することがある. そのため, 術前の呼吸機能訓練や栄養療法など, 手術に向けた準備が重要となる.まさに,本特集のテーマである「術前環境の適正化」が求められる. 薬はどうか.高齢患者に限らず,さまざまな疾患を合併している患者は,服用している薬剤数も多くなり,周術期の適切な薬剤管理が求められる.抗血栓薬の術前休薬は,代表例である.これは手術を安全に行うために重要だが,不用意な休薬は血栓塞栓症を発症させるリスクを高めてしまう. β遮断薬の急な中断は反跳性高血圧, 虚血症状, 不整脈などの中断症状を引き起こすことがあり, 継続が望ましい. 術前に薬を休止するのか, 継続するのかは患者側と手術側のリスク・ベネフィットを考慮した判断が求められる.
著者
礒部 智加衣 浦 光博
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.98-110, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

本研究では, 社会的比較において情報を好ましい意味へと再構築するスキルが劣っているのかもしれないといわれている低自尊心者でも (Taylor, Wayment, & Carrillo, 1996), 優れた内集団成員との比較による脅威から回避することが可能となるのはどのような状況かについて検討した。我々は, 集団間上方比較状況 (内集団が外集団より劣っている状況) では, 低自尊心者でさえ, 優れた内集団成員との比較による状態自尊心の低下が低減されるという仮説をたてた。95名の女性被験者に対し, IQテストを実施した後, 集団間上方比較が有るもしくは無い状況において, 内集団成員の優れたもしくは同等な個人間比較を想像によりおこなわせた。結果は仮説を支持し, 低自尊心者は集団間上方比較状況の無い時において, IQテストで優れた得点を得た内集団成員との比較後は同等比較後よりも状態自尊心が低下していたが, 集団間上方比較条件が有る条件ではこのような差が認められなかった。高自尊心者は, 集団間上方比較状況の有無に関わらず, 内集団成員との上方比較後に状態自尊心の低下はみられなかった。