著者
今村 維克
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

糖によって形成された非晶質固体(アモルファスマトリクス)は食品・医薬品において不可欠な素材である.本研究では,種々の糖類アモルファス試料について,個々の状態にある収着水の量を解析し,各試料の物理化学的特性と突き合わせることで,個々の収着状態にある水の物理化学的特性に対する寄与(機能)を明らかにした.約20種類の糖類を用いてアモルファス試料を作成し,それらの水分収着特性(水分収着等温線)とガラス転移温度(Tg),および収着状態を解析した.
著者
渡邊 継男 柴田 健一郎
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

汚染細胞から高率に検出されるマイコプラズマ(Mycoplasma oraleとMycoplasma fermentans)の増殖能に対する界面活性剤、trypsin、MnCl_2、加熱ならびに培養温度の影響を調べた結果を参考にして、人為的にM.oraleで汚染したHeLa細胞からのマイコプラズマの除去を以下の通り試みた。1.Triton X-100処理:汚染細胞5x10^4個を0.01%Triton X-100添加DME medium5mlに浮遊させ、37℃で3、6、9分間強く振盪しながらincubateした。遠心(1,000rpm、5分間)で細胞を沈澱させ、10%FCS添加DME medium(FCS-DME)10mlで3回、毎回遠心管をかえて、洗浄した後に、FCS-DME5mlに浮遊させ、flask(25cm^2)で培養した。confluent layerとなったところで、細胞を収穫し、マイコプラズマ増殖用培地に浮遊させ、培養し、マイコプラズマの検出を試みた。2.trypsin処理:汚染細胞5x10^4個を0.25%trypsin(Gibco)5mlに浮遊させ、37℃で30分間、Triton処理と同様に、incubateし、以下、同様の処理を行った。3.MnCl_2添加培地での培養:0.5、1.0あるいは2.0mM MnCl_2添加FCS-DME5mlに汚染細胞5x10^4個を浮遊させ、flaskで培養し、confluent layerとなったところで、細胞を収穫して、以下、Triton処理の場合と同様の処理を行った。4.50℃での加熱:汚染細胞5x10^4個を5mlのFCS-DMEに浮遊させ、50℃で1、2、3分間加熱して、遠心で細胞を収穫し、以下、Triton処理の場合と同様に処理した。5.40℃での培養:汚染細胞5x10^4個を5mlのFCS-DMEに浮遊させ、40℃で強く振盪しながらincubateし、48、72、そして96時間後に、細胞を集め、以下、Tritonの場合と同様に処理した。その結果、40℃での培養で、比較的高い成功率でマイコプラズマを除去することが出来たので、以下の方法を確立した。1.汚染細胞5x10^4個をFCS-DME5mlに浮遊させ、40℃で強く振盪しながらincubateする。2.24時間後に、細胞を集め、10mlのFCS-DMEで、3回、毎回遠心管を変えて、洗浄する。3.step1と2をさらに3回以上繰り返す。以上の実験と同時に、M.fermentansの諸性状について検索していたところ、このマイコプラズマはprotein tyrosine phosphatase活性を持つことが明らかにされた。
著者
江守 一郎
出版者
成蹊大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1985

人身傷害を伴う交通事故は、一般の犯罪と同様、業務上過失傷害または致死事件として捜査が開始され、あるものはその刑事責任を問われて送検され、あるものは正式裁判に持ち込まれる。刑事事件と併行して多くは民事訴訟が起こされ、刑事、民事とも高等裁判所に控訴され、上告されて最高裁判所まで持ち込まれるものもあるから、それにかかる国家的経費は言うに及ばず、関係者の時間的損失は莫大なものである。本年度は米国を中心とした事故調査を行い、交通事故の抑止と後処理がどのように行われているかがある程度明らかになった。米国では自動車事故は人身事故であっても、関係者は刑事責任を問われない。事例研究により明らかになったことは、事故直後現場に急行する警官の主たる任務は、負傷者の搬送と、事故車を移動することにより、できるだけ早く交通渋滞を解消することにある。これは国民の時間的損失を総合的に考えれば当然のことであろうが、その反面、その事故がどのようにして生じたかを明らかにするための証拠保全に対する努力は全く払われていない。したがって、我国に比べると事故再現ははるかに困難で、防止対策を事故再現によって求めることは不可能に近い。その点、我国は人身事故が刑事事件の対象となるため、証拠保全はある程度十分になされ、具体的安全対策を見出すにはむしろ有利な体制にあると言えよう。以上のように米国では、事故から得られる資料が少ない反面、予防に関する研究は盛んである。交通事故を刑事事件のひとつとして取り扱う法体系は、まだモータリゼーションが定着していない時代に確立されたものであって、本研究により、その体系を基本的に考え直さなければならない時期にきていることが浮きぼりにされた。どのようなシステムに改正すべきかは、今後の研究に俟たなければならない。
著者
豊田 雄
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

扁桃体は側頭葉内側部に位置する脳部位で、とりわけ扁桃体基底外側核(BLA)は恐怖条件づけの形成と恐怖の消失に関与する主要な部位である。近年、恐怖記憶の発現と恐怖の消失がBLA内の一部の神経細胞集団の活動によって担われることが明らかになりつつある。しかし、この神経細胞集団を構成する個々の細胞およびそのシナプス伝達の変化については明らかになっていない。そこで私は、恐怖の発現と消失に対応したシナプス伝達とその構造的基盤である形態について明らかにすることを研究の目的とした。活動した神経細胞を生きたまま可視化できるArc-dVenusトランスジェニックマウスに恐怖条件づけを行い、恐怖記憶の想起時に活動した神経細胞からパッチクランプ記録を行ったところ、恐怖記憶に対応した神経細胞の微小興奮性シナプス後電流(mEPSC)の頻度が増加し、ペアパルス比(PPR)が低下することが見出された。シナプスを多く含むと考えられる樹状突起上のスパイン形態については有意な差は認められなかった。この結果は、恐怖記憶に対応した神経細胞に入力するシナプス選択的に伝達物質の放出確率が増大した可能性を示す。また、同様にして消失記憶に対応した神経細胞についても解析を行ったところ、mEPSCの頻度が増加したが、PPRに有意な差は認められなかった。樹状突起上のスパイン形態において、サイズの小さなスパインにおいて密度が増加していることを見出した。この結果は、消失記憶に対応した神経細胞に入力するシナプス選択的に、シナプスの数自体が増加した可能性を示す。以上の結果は、個体動物の記憶・学習に対応した神経細胞のシナプス入力選択的に伝達効率が増強し、恐怖記憶と消失記憶は異なるメカニズムで貯蔵されることを示唆している。本研究は、学習とシナプス伝達効率の変化を結ぶ新たな知見であると考えられる。
著者
佐藤 正泰 諌山 明彦 稲垣 滋 長山 好夫 稲垣 滋 長山 好夫
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

相対論的効果、放射の伝搬方向、プラズマ閉じ込め装置の磁場構造・トーラス形状・真空容器内壁での反射を考慮し、炉心級プラズマにおけるシンクロトロン放射損失の評価を行った。高速電子の影響、内壁での反射及びモードスクランブルの効果、放射損失のプラズマパラメーター依存性を評価した。放射損失の磁場依存性はトロイダル磁場の2.5乗を示し、放射損失を低減するには磁場を下げる事が有効であり、これは現在の核融合炉の設計が低磁場化している傾向と整合している。
著者
鬼塚 俊明
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

脳磁図研究では、自己の名前、他人の名前、無意味な文字列を視覚呈示し、反応を記録した。健常対照者は、自己の名前>他人の名前>無意味な文字列というパターンだったが、統合失調症者では自己の名前という自己関連刺激に対する特異的な反応が失われていた。さらに、統合失調症、双極性障害、正常対照者の脳磁図反応を記録し、成果の一部を論文発表した(Schizophr Res, Bipolar Disord, PLoS ONE誌など)。脳構造研究では、平成25年度までに合計で、正常対照者131名、双極性障害者23名、統合失調症90名のMRIを撮像した。上側頭回の構造異常は、統合失調症に比較的特異的であった。
著者
杉崎 哲子
出版者
静岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日常に生きる書写指導の確立をめざし、まず字形が乱れる場面や要因を明確にし、次に姿勢と持ち方による字形の変化を検証した。続いて「なぞり書き」と「空書」、それらを融合したタッチパネル上への指やペンでのなぞり書き(「空なぞり」)の効果を検証した。さらに、字形の乱れが著しい横書き速書きの平仮名について、文字と文字とのつながり部分に注目したトレーニングを考案し、中学校において実践を試みた。
著者
渡邉 功
出版者
京都府立医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

我が国において脳血管疾患は死亡原因の第4位であり、寝たきりの最大要因となっている。脳血管疾患は高血圧や糖尿病等の関連とともに無症候性脳出血との関連も報告されている。本研究において、無症候性脳出血発現とコラーゲン結合能をコードする遺伝子を有するStreptococcus mutansの関連を認めたが、認知機能との関連は明らかではなかった。口腔内常在菌と脳血管疾患の関連が示唆された。
著者
三村 真弓 吉富 巧修 北野 幸子 水崎 誠 藤原 志帆 伊藤 真 小長野 隆太
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、主として、幼稚園児・小学校児童・中学校生徒の音楽的リテラシーの実態調査、現在及び過去に行われた音楽的能力育成を目指した音楽教育指導法の分析と音楽的能力調査方法の分析を行った。その結果、音楽的リテラシーの発達の諸相、音楽的リテラシー育成のための必要条件等が明らかとなった。それらをもとに、音楽的リテラシーの育成を目指した小中連携の音楽科カリキュラムの試案作成を行った。
著者
大里 齊 籠宮 功 角岡 勉 安藤 汀
出版者
公益財団法人名古屋産業科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

コーディエライト組成のガラスから、結晶化ガラスミリ波誘電体を作製した。コーディエライトの多形であるインディアライトを主とするセラミックスが得られ、ロスの少ない高Qf>200,000GHz、低誘電率ε_r=4.7、共振周波数の温度係数TCf=-27ppm/℃の特性の優れた次世代ミリ波誘電体を作製した。しかし、このガラスセラミックスは、表面からの結晶化で極めて異方性が強いものであった。コーディエライトは、低熱膨張で知られ、c-軸方向にマイナス、a-軸方向ヘプラスの熱膨張をもつ。表面失透でc-軸方向に伸長した結晶が垂直にぶつかる点でクラックを発生、割れが生じた。冷却速度を調整して大きなクラックは避けることができて、ミリ波誘電特性は測定可能であった。しかし、細かいクラックは避けることができず、品質係数に大きなバラツキを与えていた。さらに、この細かいクラックをも無くす目的で、ルチルを核形成剤として用い、ボリュウム結晶化を目指した。ルチルを10、20wt%添加したガラスを作製し、結晶化ガラスを得た。SEM観察で微細なクラックを抑えることができ、ミリ波誘電体特性も優れたものが得られた。品質係数Qf=120,000GHz、温特TCf=Oppm/℃、誘電率7。
著者
滝本 和広
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

完全非線形楕円型・放物型偏微分方程式に対し,その境界値問題の可解性や解の振る舞いについて研究し,非線形現象の解明を目指した。幾何学的な構造を持ったk-曲率方程式と呼ばれる完全非線形偏微分方程式の境界爆発問題の解の一意性,および平均曲率型の準線形放物型方程式における正値定常解の解構造および放物型方程式の解の時間無限大における挙動に関する新たな研究結果を得た。
著者
永谷 尚紀
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

磁性微粒子を用いて測定試料を前処理することによりバイオセンシングの高感度化を目的に検討を行なった。磁性微粒子での前処理は、測定対象のタンパク質、遺伝子の分離、濃縮に有効であった。磁性微粒子とバイオチップ技術を用いることによって遠心分離機を使わず濃縮、分離が可能であり、測定試料の前処理行程を短縮でき、さらに、イムノクロマト法を用いることで迅速で高感度の検出が可能であることが明らかとなった。
著者
飯高 哲也 定藤 規弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

健常者におけるストレス刺激への反応性を、機能的磁気共鳴画像(fMRI)と脳賦活検査を用いて研究した。顔刺激と不快な音声刺激を組み合わせ、新奇な嫌悪条件づけ課題を作成してfMRI実験を行った。学習に伴う扁桃体の反応が、一過性に上昇することが分かった。この結果は日常的な視覚と聴覚刺激によって、扁桃体を介した嫌悪条件づけが行われることを示している。日本人が日本人の笑顔を見ている時の脳活動を計測し、後部帯状回が同じ人種の表情認知に関わっていることを発表した。その他にMRIによって計測された扁桃体の体積と、気質の1つである損害回避傾向が関連していることを示した。
著者
北島 宣 山本 雅史 清水 徳朗 山崎 安津 米森 敬三 小枝 壮太 桂 圭佑 八幡 昌紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日本の本土および沖縄・南西諸島、中国の雲南省、広東省、台湾、ベトナム、フィリッピン、タイ、インドネシア、ミクロネシア等の在来カンキツ調査を行い、東シナ海および南シナ海地域をほぼカバーする地点での調査を行うことができた。その結果、これまで調査した日本、中国浙江省、江西省、広西チュワン族自治区、重慶等の在来カンキツおよび保存している世界のカンキツ種・品種と近縁属を含め、862個体のDNAを蒐集・保存し、細胞質DNAおよびゲノムDNA解析によりカンキツ種の分化が明らになった。
著者
鎌田 東二 河合 俊雄 鶴岡 賀雄 棚次 正和 町田 宗鳳 津城 寛文 井上 松永 倉島 哲 篠原 資明 斎木 潤 乾 敏郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「身心変容技法」とは[身体と心の状態を当事者にとってよりよいと考えられる理想的な状態に切り替え変容・転換させる諸技法/ワザ]を指すが、本科研では祈り・祭り・元服・洗礼・灌頂などの伝統的宗教儀礼、種々の瞑想・イニシエーションや武道・武術・体術などの修行やスポーツのトレーニング、歌・合唱・ 舞踊などの芸術や芸能、治療・セラピー・ケア、教育プログラムなどの領域の領域で編み出され実践されてきた身心変容技法を文献・フィールド・臨床・実験の4手法によって総合的に研究し、その成果を研究年報『身心変容技法研究』(1~4号、2012~15年)にまとめ、国際シンポジウムと大荒行シンポジウムで総括し、社会発信した。
著者
松下 冽
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

上記研究課題名のもとに行った研究成果は3つの柱にまとめられる。第1は、研究課題のキー概念である「ローカルな共有型分権化」へのアプローチとして、「ローカルな民主主義と分権化」に関する研究動向の整理と方法あるいは視点について考察したが、この考察は単なる地方分権化のみならず広い意味でナショナルなレベルとローカルなレベルでの「国家一社会」関係の変容・再編を伴う。この認識からの研究成果は、『立命館国際研究』(17巻3号、18巻2号、19巻1号)である。第2の研究成果は、メキシコにおける分権化促進の歴史的・政治的背景の分析、またこの分権化の発展過程と市民社会の登場および社会運動の展開との相互依存についての考察である。この面での成果は、『立命館国際研究』(20巻1号)および『研究成果報告書』の第4章(「メキシコにおける分権化と市民社会の相互発展」)である。なお、社会資本と「権力共有の可能性」という視点から『立命館国際研究』(19巻1号)でも論じた。第3に、ブラジルにおける「ローカルな共有型分権化」研究の成果は、『立命館国際研究』(18巻3号)がある。さらに、本研究を比較政治の視点から深めるために、インドのケーララの民主的ガヴァナンスとブラジルの事例を考察した論文が『長崎平和研究』(21号)である。なお、本研究課題とも共有する問題意識から、近年注目を浴びてきた概念として「パートナーシップ」がある。「国家-開発-市民社会」関係への「パートナーシップ」アプローチを批判的に検討して、この関係を「シナジー型戦略」理論の視点からブラジルの事例を分析した成果には編著書『途上国社会の現在-国家・開発・市民社会-』、とくにその「序論」がある。以上の研究成果は、ローカルな場での地方・州政府と市民社会および多様な市民・社会運動との相互協力がブラジルやメキシコのみならず、多くの発展途上国における発展と民主主義の深化にとって決定的に重要であることを例証している。そこでは、「ローカルな共有型分権化」の現実化の程度と進展、それを保障する多岐にわたる自立的諸運動と制度を分析することが不可欠である。
著者
御厨 正博 半田 真 崎山 博史 LUNEAU Dominique GILLON Beatrice
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

有機キレート配位子を金属塩と反応させて第一及び第二遷移系列元素の新規単核、二核、少数核及び多核金属錯体を合成し、X線結晶解析により構造を明らかにした。磁化率の温度依存性を調べ、磁気的相互作用や磁気異方性の様子を観察した。単核および二核コバルトの系では偏極中性子回折より磁気異方性の効果が観測された。二核ニッケル錯体では強磁性的相互作用を示すものを観察した。鉄錯体では高スピン型および中間スピン型を観測した。金属―金属結合を持つ二核を集積したルテニウムを含む系では80 Kでフェリ磁性体になるものが見出された。ロジウム、モリブデンの一次元集積錯体の窒素ガス吸着特性を調べ結晶構造との関連性を調べた。
著者
日下 俊次 大島 佑介 不二門 尚 西信 良嗣
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

未熟児網膜症モデルマウスとコントロールマウスの遺伝子発現をリアルタイムPCR法によって包括的に検討した結果、炎症性サイトカインの発現上昇は網膜新生血管の発現前から消退後に至るまで上昇しており、一方、新生血管に関連する血管内皮細胞増殖因子、アンギオポイエチン-2に代表されるサイトカインは新生血管の発現の直前に上昇し、新生血管の消退とともに発現が低下していることが判明した。
著者
坂出 健
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

航空機産業のような防衛産業基盤は国家安全保障に不可欠である。防衛産業基盤は、第一に国家の自立を確保するために重要であり、第二に、他国(例えばアメリカ)から供給を受けるにしても、機器の整備、購入時の交渉力を確保するために必要である。その意味で、軍事産業基盤は公共財という性格を有しているが、その国際的配分の規範もまた確定される必要がある。本研究を通じて、国際公共財としての軍事産業基盤の特質を理論的・実証的に検討する。
著者
赤澤 真理
出版者
同志社女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は、平安時代の皇后・内親王が参加した行事に着目し、調度や装束による舗設を含めた催しの空間を明らかにする。特に、歌合及び御遊(楽奏)に着目し、『うつほ物語』『源氏物語』『栄花物語』等の王朝文学と古記録の記述を抽出した。皇后・内親王・女房は、寝殿の母屋及び廂に着座し、御簾・屏風・几帳・女房装束の打出により行事の空間を演出した。南廂及び渡殿に公卿が、簀子に殿上人が着座する。打出は、当初は、行事時に高貴な女性に仕える女房の座所周辺を装飾したものが、11世紀後半から12世紀には、公卿の儀礼空間や使者を迎える妻戸等に設置される。すなわち、打出の舗設としての機能や故実が院政期に確立した。