著者
郷間 英世 田中 駿 清水 里美 足立 絵美
出版者
日本発達支援学会
雑誌
発達支援学研究 (ISSN:24357626)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.99-114, 2022-03-31 (Released:2023-03-31)

今回発刊された新版K式発達検査2020の標準化資料を、1983版の標準化資料と比較し、現代の子どもの発達の様相や変化について検討した。その結果、2020年までのおよそ40年間の子どもの発達は、全体的にみると大きな変化はなかったが、いくつかの発達課題で顕著に促進した課題や遅延した課題がみられた。促進したのは「色の名称」課題で4つの色を答える検査項目では12ヵ月の変化がみられた。遅延したのは「図形模写」や「折り紙」課題であり、「正方形模写」「三角形模写」「菱形模写」では9~11ヵ月、折り紙を何回か折る検査項目である「折り紙Ⅱ」「折り紙Ⅲ」では3~6ヵ月の変化が認められた。これらの発達の変化は、社会環境や養育環境などの急激な変化に伴い、子どもの認知や運動の発達が変化してきたことが推測された。この変化をどうとらえ、どのように対応していくかは今後の課題である。
著者
早川 智
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.189-190, 2019-06-01 (Released:2019-08-07)
参考文献数
8
著者
小橋 浅哉
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.427-435, 2005-10-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

紙類に含まれる放射能のレベルを知るため, 我が国で製造された雑誌, 新聞, コピー用紙等の紙類について天然放射性核種 (226Ra, 228Ra, 228Th及び40K) の放射能をγ線スペクトロメトリにより定量した。また, それらの放射性核種の源を明らかにするため, 試料のX線回折測定を行った。文庫本の226Ra, 228Ra, 228Th, 40Kの平均含有量は, それぞれ6.4, 21.5, 23.7, 18.8Bqkg-1であった。他の種類の試料については, それらの核種の含有量は, 文庫本並みかそれ以下であった。228Thの濃度は, 228Raの濃度よりいくぶん高かった。紙類の製造過程において原料から228Raが228Thより優先的に水に溶出したのであろう。天然放射性核種の濃度は互いに相関していた。X線回折測定の結果は, 試料にはカオリナイト, 滑石及び方解石が含まれることを示した。試料のカオリナイト含有量は, 天然放射性核種の濃度と相関があり, このことは, 紙類に含まれている天然放射性核種の大部分は, 紙類の填料又は塗工用顔料として用いられているカオリナイトによりもたらされていることを示している。データの回帰分析の結果は, 填料用カオリナイトの天然放射能含有量は, 顔料用カオリナイトの天然放射能含有量より高いことを示した。
著者
清水 裕子 井上 一由 森松 博史 高橋 徹 山岡 正和 大森 恵美子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ヘム代謝の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)は横紋筋融解症性急性腎傷害に対して保護効果を示すと報告されている。BTB and CNC homology 1 (Bach1)はヘム依存性の転写因子で、HO-1の発現を制御している。今回我々は、横紋筋融解症ラットモデルの急性傷害腎においてHO-1 mRNAとHO-1タンパクが有意に増加し、ヘム合成の律速酵素であるALAS1のmRNAの発現が抑制されることを確認し、さらに横紋筋融解症性急性傷害腎において、細胞内遊離ヘムの増加に伴い核内Bach1タンパクが核外へ移行し、本研究は腎臓のBach1発現の動態をin vivoで初めて明らかにした。
著者
于 亜
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.396-413, 2005-08-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

Every traditional society has its own particular regional food culture. The dumplings examined in this article are one example. In northern China, the dumpling has played an important role in food culture, not only materially but also spiritually. Dumplings even have meaning as ceremonial foods, and they form one of the chief elements of traditional food culture. Due to the liberal reform policies carried out in the 1980s, the Chinese economy has developed remarkably, and daily life, especially the food culture of the Chinese people, has changed radically. The aim of this paper is to examine the changing nature of the traditional food culture by focusing on the dumpling, and also to examine the changing meaning and function of the dumpling itself.The region discussed in this paper is Shandong in the lower Yellow River valley. The present state of dumpling food culture was investigated in seven districts within this region. In each district I distributed questionnaires, interviewed local people, and consulted historical records concerning food culture.The Shandong region is the birthplace of the dumpling and we can trace the historical development of it by using local documents. People consume dumplings in various settings, not only in daily life, but on formal occasions as well. The latter category includes annual celebrations and ceremonial events such as weddings, funerals, ancestor-worship rituals, and coming-of-age ceremonies. People still recognize dumplings as a vital dish. Moreover, on formal occasions, the opportunity for consumption, the reason for consumption, the place of consumption, and the group preparing the dumplings differs from place to place. Thus, the dumpling in Shandong is a daily food staple made out of wheat, and, at the same time, is a part of the local food culture that is valued socially and ritually.Since every local area has its own natural environment and historical and social background, types of dumplings differ by locality. However, people's respect for the dumpling is universal. By observing variations in the form of dumplings and by interviewing cooks, it becomes clear that knowledge about dumplings-their different types, forms, and functions-is a sort of folk wisdom that has spread widely.
著者
水野 誠 佐野 幸恵 笹原 和俊
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.6-18, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
28
被引用文献数
2

パワーブランドのロイヤル顧客には,しばしば熱狂的なファンが含まれる。彼らがなぜ熱狂するのか,しかもなぜ熱狂が持続するのかを理解するため,われわれはファンの熱狂が典型的に現われるプロ野球に注目する。その際,集合行動としての熱狂に働く社会的相互作用について把握するには,ソーシャルメディアでのファンのコミュニケーションを分析するのが1つの有効な方法である。そこでわれわれはTwitterから2018年の日本のプロ野球に関するツイートを収集し,ファンの投稿頻度のみならずポジティブ/ネガティブな感情を測定し,試合の勝敗や優勝争いの展開でそれらがどのような影響を受けるかを分析する。また試合中にファンのツイートとリツイートが瞬間的に同期する現象をバーストとして分析を行う。これらの分析から,長期と短期の異なるタイムスケールで熱狂が変化している様子を把握し,ファンダムを形成し維持するための示唆を得る。
著者
ベレック クロエ
出版者
日本女性学研究会
雑誌
女性学年報 (ISSN:03895203)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.63-86, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
21

薙刀(なぎなた)とは、本来長い柄の先に反り返った長い刃をつけた武器である。20世紀半ばまでは学校教育制度外における武術流派の道場で、男性のみならず女性にも薙刀の稽古が続行されたが、1910年に師範学校の女子生徒を対象に課外活動として認められた薙刀は、やがて高等女学校・女子実業学校へと広がった。それは、第二次世界大戦の終結後、GHQの指令により学校での武道教育が廃止されるまで続いた。 20世紀前半に女子教育の領域で普及した薙刀は、ジェンダーに関する新たな問題を提起している。薙刀は、相手を攻撃し、戦うための武器である。「武器」・「攻撃」・「戦う」という言葉で表現されることは、社会的には「男性らしい」と見なされているものである。にもかかわらず、薙刀は女子教育においていかなる理由で採用されたのだろうか。そして、学校教育では、社会や文化における男や女に対する期待と規範が教えられ、体育の教育も「女らしい」「男らしい」という期待に沿いながら行われている。そこで本論文では、20世紀前半の日本の薙刀教育において、「女性らしさ」に対する社会の期待の変化がどのように示されていたかを明らかにする。 当時の女子生徒向けの薙刀教本では、女性らしい健康な身体に備わった女性の優美さと、薙刀との関連性がよく指摘され、薙刀教育は女子の「女性らしさ」を育成しなければならないとされた。そして、薙刀教本では、薙刀と関係がある女性の例をよく取り上げることで、女子教育と薙刀の歴史的関係を強調し、女子向け教育として薙刀を正当化するとともに、薙刀を女性らしいものにした。 20世紀前半において学校教育に導入された武道の中では、薙刀だけが女子のみを対象とするものであった。薙刀を女子教育に採用することによって、女子の武道は男子の武道と差異化された。薙刀は女子武道を代表するものとされ、それによって男子との相違が強調されたのである。このように、薙刀を女子のみの武道として設定することによって、薙刀は女性化されたのであった。

16 0 0 0 OA 爆発現象の解析

著者
田中 克己
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.383-389, 1997-12-15 (Released:2017-04-30)

気体や火薬類の爆発現象の解析手法にっいて,爆発特性,着火機構,燃焼火炎の伝播,爆轟への転移および爆風の発生と被害について解説し,それらの現象を流体力学的に解析する手法について概説した.

16 0 0 0 OA 小牧陣始末記

著者
神谷存心 著
出版者
武蔵吉彰
巻号頁・発行日
vol.[記], 1889
著者
笠谷 和比古
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.16, pp.33-48, 1997-09

徳川家康の姓氏問題は複雑である。家康はその血統的系譜を清和源氏の流れを汲む新田一族の一人得川四郎義季の末裔たることに求め、自らの姓氏を清和源氏と定めたとされるが、これは天下の覇権を掌握した家康が、慶長八(一六〇三)年の征夷大将軍任官を控えて系譜の正当化をはかる目的で、そのような始祖伝承を無理に付会していったものであるとこれまで見なされてきた。しかし家康宛の朝廷官位叙任に関する口宣を分析した米田雄介氏の近年の研究成果は、このような通説的歴史像に疑義を生じさせるものとなっている。本稿はこれらの研究史を踏まえ、かつ家康関係文書の再検討を通して、家康の姓氏の変遷を追究する。それは単に、家康の源氏改姓の時期のいかんを求める事実問題としてだけではなく、姓氏の変遷に表現されたこの時期の国政上の意義にかかわる問題でもある。本稿では、この家康の源氏改姓問題を通して、豊臣秀吉の関白政権時代の国制はその下に事実上の徳川将軍制を内包するような権力の二重構造的性格を有するものであったことを論じる。
著者
西台 満 NISHIDAI Michiru
出版者
秋田大学教育文化学部
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.1-5, 2012-03-01

A person who gains a profit without a legal cause commits “the unjust enrichment” in Civil Law. He is required to recover the original condition by compensating the other party for his loss.The profit to be restored, however, is limited to “as much as existing” when he is asked for compensation, provided that he made the profit in good faith. Good faith means that he received the goods or money believing that he was entitled to do so.Money spent for amusements is commonly considered “not existing” so that he doesn't have to return it to the opponent. On the other hand, money spent for living expenses is counted “existing”, because it lets him escape paying the same sum of money from his savings.I take objection to such common view in this paper. Profiteer should pay the whole amount of ill-gotten gains including the amusement expense. But he doesn't have to return even the living expenses, when he has no means. I interpret that this is just the effect of good faith.