著者
福盛 貴弘
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
no.14, pp.179-194, 2016

『時そば』は上方落語のネタ『刻うどん』を三代目柳家小さんが翻案し、江戸落語に滑稽噺として定着させた。その際に『時そば』に移植されなかった、換言すれば『刻うどん』にしかないくだりの一つを本稿で扱った。本稿で取り上げたくだりは、うどん屋をほめる前にいじるくだりである。このくだりを理解するために必要な知識や背景をふまえて解説することが、このエッセイの主たる目的である。
著者
黒田 浩司 岡井 文彦 高野 和朗
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.125, no.3, pp.286-292, 2005-03-01
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

The 76GHz millimeter wave radar has been developed for automotive application such as ACC (Adaptive Cruise Control) and CWS (Collision Warning System). The radar is FSK (Frequency Shift Keying) monopulse type. The radar transmits 2 frequencies in time-duplex manner, and measures distance and relative speed of targets. The monopulse feature detects the azimuth angle of targets without a scanning mechanism. Conventionally a radar unit is aimed mechanically, although self-aiming capability, to detect and correct the aiming angle error automatically, has been required. The new algorithm, which estimates the aiming angle error and vehicle speed sensor error simultaneously, has been proposed and tested. The algorithm is based on the relationship of relative speed and azimuth angle of stationary objects, and the least squares method is used for calculation. The algorithm is applied to measured data of the millimeter wave radar, resulting in aiming angle estimation error of less than 0.6 degree.
著者
渡邊 徹
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.623-628, 2010-06

酪農現場における飼料給与を中心とする飼養管理方法についての一考察。外的要因の主なものとして、気候や牛舎環境の影響、管理の不具合があります。具体的には、暑熱や寒冷の影響、牛床、飼槽、繋ぎ方等いわゆるカウコンフォートの項目としてあげられているものです。また、飼料の変動、牛の入れ替え、牛群内でのイジメ、近所での工事等も飼料摂取に影響を与えます。これら外的要因は牛に負担をかけ、ストレスが生じ、その結果飼料摂取量が低下します。ストレスとは物理的、精神的に外部から力が加わっている状態で、寒冷、暑熱、筋肉疲労、炎症、感染、怒り、不安などの物理的、化学的、精神的な負荷は全てストレスの要因となり得ます。また、ストレスが加わると副腎皮質からコルチゾール(糖質コルチコイドの一種)が分泌され、ストレスを緩和しようとしますが、コルチゾールは繁殖ホルモンやカルシウムの代謝などに大きな影響を与え、乳牛の生乳生産をマイナス方向に導きます。乳牛がストレスを感じるのは、行動に制約がある時、不快な時、不安な時等です。
著者
重森 雅嘉
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

ヒューマンエラーを事故が起こる前に発見するためダブルチェックを複数回行うことがある。しかし、複数人が作業に関与すると、単独で行うよりも個々のパフォーマンスが落ちること(社会的手抜き)が知られている。したがって、ダブルチェックにおける社会的手抜きの可能性を検討した。大学生を対象に、2つの誤字を含む文章校正課題を単独で行う条件(単独条件13名)と複数人で行う条件(複数条件、1回目:31名、2回目:29名、3回目:28名)で実施し、各回の平均誤字検出数を比較した。その結果、単独条件の検出数が複数条件の各回よりも多かった。また複数条件の各回の検出数には違いがなかった。これらの結果から、既にチェック済みのものを再度チェックする場合とこれからチェックするものがその後他者にチェックされる場合の社会的手抜きについて検討した。
著者
刈部 博
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1001-1009, 2021-09-10

Point・高齢者頭部外傷は転帰不良であり,高齢者特有の身体能力の低下や解剖学的特徴,生理学的特徴に外傷リスクや悪化リスクがあると考えられている.・Talk and deteriorateは高齢者頭部外傷における転帰不良の要因である可能性がある.・外傷後の凝固線溶系障害や抗血栓薬内服はtalk and deteriorateを惹起する可能性がある.
著者
浅田 徹
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.27, pp.47-93, 2001-03-29

藤原定家の下官集について、その内容を検討する。本書は草子の書き方を中心とした伝書で、文学の内容そのものとは直接関わらないため、和歌研究者からのまとまった考察がない。しかしその記述を考証していくことで、顕註密勘・三代集之間事・僻案抄といった歌学書群、あるいは定家本三代集の校訂作業などと同じ基盤を有していることを指摘できるのではないかと考える。従来の研究(国語学の分野からのもの)は仮名遣い規定に集中し、それ以外の部分は詳しい注釈も行われずにきているので、本稿ではまず全文を改めて検討することから始める。同時にそこに一貫する定家の姿勢を「他者と自分との差異を提示して、それを一つずつ根拠付けていく」ものと捉え、最終的にそれを歌道家当主としての自己定位の営みを象徴するものとして読むことを試みる。また、他者としての六条家の存在はここでも作品形成の一つの契機となっていただろう事を示す。 This is consideration of contents regarding Gekanshu by Fujiwarano Teika . This is a book called densho(伝書)mainly about how to write Soshi. There is no definite consideration of waka researchers, because it did not associate directly with the very contents of literature. However to study its description, it seems that it is possible to point out that it has the same substrate as “Kagaku-sho” group such as “Kenchumikkan”(顕註密勘), ”Sandaishu-no-aida-no-koto”(三代集之間事), “Hekian-sho”(僻案抄) or the textual collation of Teikabon-sandai-shu. At first the whole sentence was reviewed in this paper because the conventional study ( from field of the Japanese literature) concentrate Japanese grammar and others had not be written an extended comment. At the same time, it was considered that the consistent attitude of Teika as -Show a difference with others and oneself and based on it one by one-. An attempt was made to read it symbolizing his position as the head of the art of Waka poetry in the end. Then it was shown that the existence of Rokujo-ke as others would be one opportunity of the work formation here.
著者
金 秉俊
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.24-35, 2005-01

本論文は、1992年韓国で発生した殺人事件を素材にする。K警察官が犯人として逮捕されてから虚偽の自白をし、第1審および第2審において有罪判決(懲役12年)を受けた。その後上告し、最高裁の判決が下る前に真犯人が捕まった。Kが無罪で釈放されるまでの過程を通し、彼の虚偽自白をめぐる関係者たちの構造と、虚偽自白が発生し、真実が明らかにされるまでの心理過程をフランスの精神分析家であるJacques Lacanの理論に従い、理解しようとしたものである。Lacanは主体($)と支配記標(S_1)、知識(S_2)、対象(a)の位置を中心に真理と関連した4つの談論を提示している。本論文では、K警察官の虚偽自白は、取調べ官たちの「主の語らい」と「科学の語らい」、被告人の「ヒステリ-の語らい」が結合して虚偽自白の壁を形成していると解釈した。そして、このような虚偽自白の壁を崩すための談論として、「分析家の語らい」の必要性とその条件および内容について述べた。
著者
秋本 英明 水野 和夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.972, pp.6-8, 1999-01-04

——堺屋太一経済企画庁長官が、景気について「変化の胎動」があると述べました。確かに景気動向指数の一致指数が1998年9月、10月と2カ月連続で50%を超えるなど変化の兆しを示す指標が出てきています。政府は99年度は0.5%のプラス成長という経済見通しをつくりましたが、どう評価していますか。