著者
岡澤 均 田川 一彦 田村 拓也 戚 美玲 伊藤 日加瑠 塩飽 裕紀 榎戸 靖 曽根 雅紀
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

私たちはフェノタイプおよび病態解析に有用で薬剤開発にも利用出来る複合的モデルシステムを戦略的に開発した。細胞モデル、ショウジョウバエモデル、マウスモデルで構成される複合的システムは、オミックス解析と組み合わせることで多くの結果を生み出すことが出来た。私たちは、新規病態としてDNA損傷修復障害を明らかにし、さらにHMGB, Ku70, Hsp70, Omi, Maxerなどの主要分子を発見した。さらに、この解析システムを用いた薬剤スクリーニングで候補薬剤を同定した。
著者
鈴木 清一 小山内 康人 上野 禎一
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

2年度に渡り国内各地の軟体動物を主とする化石産地10数箇所を調査し,既存データを含めて続成作用に伴う炭酸塩化石硬組織の保存状態の変化を検討した.初生鉱物がアラレ石のものと方解石(低Mg方解石)のものとの間で保存状態が異なり,有孔虫殻など高Mg方解石のものはそのいずれとも相違する.最も安定なのは方解石で下部白亜系でも初生内部構造が残存することが確認された.次いで安定なのは高Mg方解石で,3者中で最も溶解し易いという一般的見解とは異なる結果を得た.これは埋没段階の極めて早期の低Mg方解石化に起因すると思われる.アラレ石は最も不安定であるが,方解石化により殻体自身は保存されることが多い.ただし,内部構造は消失する.方解石化は第四系でも生ずる一方で,上部白亜系に未変質で残存することもあり,母岩の状況に左右される.一般に未変質アラレ石は,泥岩のような細粒砕屑岩類や方解石セメントが粗粒化した砂岩に含まれる.これらの岩相では間隙水の流動性が低いとみなされる.炭酸塩化石の他鉱物による交代現象は極めて多様であり,とくにアラレ石質殻体の選択的な交代により,内部構造を保存することが,珪化,緑泥石化,海緑石化,黄鉄鉱化で確認された.珪化は様々な地質時代と地域を通じて普遍的に生じている.この種の珪化はアラレ石の方解石化以前の埋没早期に行われており,化石内容や産出層準,方解石セメント中の微量元素なども含めて判断すると,埋没環境として沿岸域における「海水-淡水混合帯」を想定できる.なお,一部では方解石化後にも珪化が生じ,2段階の交代作用が認められた.この他,アンケライト,菱鉄鉱,重晶石,方沸石の晶出例があったが,交代か溶脱後の充填か不明である.また,カソードルミネッサンス像観察により,方解石の再結晶化に伴う化石とセメントの同化段階が識別され,続成変質の進行を従来より詳しく検討できることが判明した.
著者
佐藤 毅彦 松本 一郎 石井 雅幸 上田 晴彦
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

小学校第6学年理科「月の満ち欠け」学習では、日々変わる月の形を観察・記録することが重要だが、晴れの日が続くことは日本ではなかなかない。そこで天候条件に左右されにくいよう、ネット経由で晴れているサイトの月を観察できるツールWel-CAMを開発し、教育実践や教員研修に活用した。このツールは、月の満ち欠けと同時に、月と太陽の相対的位置関係も把握することができるよう工夫されている。これにより、観察結果にもとづいて子どもたちが現象の規則性を調べ、その原理を納得・理解することができるようになると期待される。
著者
大渕 憲一 佐藤 弘夫 三浦 秀一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

仏教、儒教、神道等の伝統的思想は慣習、習俗、処世訓として日本人の生活に深く浸透し、現代日本人の価値観にも影響を与えているとの仮定のもと、伝統的価値観を測定する質問紙尺度を作成し、その信頼性と妥当性を検討するとともに、日本と同じ東アジア文化圏に属する中国と韓国、それにこれとは異なる文化圏に属するアメリカにおいてこれを施行し、伝統的価値観の国際比較を試みた。その結果、この価値観が多様な側面を包含する多元性を持つものであること、東洋に固有のものではないこと、神道に類似の価値観が日本以外の国にも見られること、年代差は4カ国に共通で、概ね、年長者ほど伝統的価値観が強いことなどが見いだされた。
著者
松原 洋 小澤 正直 吉信 康夫 築地 立家 佐藤 潤也 井原 俊輔 三井 斌友
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

計算可能性と多項式時間計算可能性の分野は、集合論、帰納的関数論、計算量理論、学習理論、確率モデル論、量子計算量理論等と密接に関係しており、本研究の研究実績も多岐にわたる.以下はそれぞれの分野における成果のいくつかを報告する.詰め将棋の計算量:8×8の桝目をn×nに拡張し、コマの個数をo(n)にして詰め将棋を作成したとき、一般化詰め将棋問題はEXPTIME完全であることを示した.これにより、一般化将棋もEXPTIME完全であることになる.確率モデル:一様ランダムに生成される回路の出力端子の個数の分布を決定した.学習1:負例のみからなるサンプルと無矛盾なo(logn)長の単調単項式を提出する問題の計算複雑さは、AND-OR-AND型の3段並列回路でo((logn)^2)個の入力変数をもつものの充足回発見問題と対数領域還元について同等であることをしめした.学習2:包除の原理を応用してDNF式を2^<o(√n)>時間で学習するアルゴリズムをえた.さらに、これ以上高速には学習できないことを頑健学習モデルの上で証明した.学習3:o(logn)個の変数に依存する一般の関数について、その関係変数を高速に発見する3種類のアルゴリズムを提案した.吉信はApproachability Propertyという無限組合せ論の命題と、ある条件を満たしたゲームの必勝法の存在のextendabilityという性質が同値だということを証明した.松原はS.Shelahとの共同研究でλがstrong limit singular cardinalであれば、NS_<kλ>はprecipitousにはなれないことを証明した.さらにこの結果を使って、Menasの予想がλがstrong limit singular cardinalの場合に成立することを証明した.
著者
細江 達郎 佐藤 嘉夫 青木 慎一郎 細越 久美子 小野澤 章子 糸田 尚史
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

引退期における高齢者の非適応問題を、(1)団塊世代の追跡調査、(2)高齢者万引きへの集中的調査で確認した。(1)は、深刻な非適応への移行が予想される対象者の状況が確認された。周辺者の保護的受け皿・出身地への回帰可能性の有無が大きな要因であった。(2)については、高齢万引き犯の大半は孤独な高齢者による偶発的なものであり、高齢者を支援する仕組みの脆弱さによるものが多い。総じて、高齢者の非適応問題として、孤独死など重篤な状態や常習犯罪者に移行する前段階・中間形態などがみられる。こうした問題への対応は、行政施策のみならず、一般市民が高齢者と関わる手段の可能性の発掘が必要である。
著者
東 達也
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

先天性副腎過形成症 (CAH) をはじめとする先天性代謝異常症の精密検査法の確立を目標に,マーカー分子の特徴的部分構造を多点で認識し,超高感度・高選択LC/MS/MS分析を実現する誘導体化=多点分子認識ESIラベル化法を開発した.さらに本法の臨床試料 (濾紙血,尿,唾液など) 分析への応用性を評価したところ,CAHに加えて,長鎖3-ヒドロキシアシル-CoA 脱水素酵素欠損症や潜在的ビタミンD欠乏症診断において良好な結果が得られた.
著者
高坂 友和
出版者
京都府立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は複数のDNA型を組み合わせて得られる情報を合わせたDNA型鑑定(個人識別法)を確立することである。本研究ではヨーロッパ、アジア、アフリカの集団から採取された尿資料から抽出されたDNAを用いてmtDNA型、JCV DNA型、男性資料のみY染色体DNAハプログループ(Y-HG)の解析を行った。本研究によりY-HG、mtDNA、JCV DNA型の組み合わせ解析を行うことで出身地域や民族集団の推定が可能であることが示された。本研究の成果は法医遺伝学分野の国際学術集会[DNA IN FORENSICS 2012]の場において報告された。
著者
安藤 清志 松井 豊 福岡 欣治
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本報告書は、1994年に発生した名古屋空港中華航空機墜落事故の遺族77名に対するアンケート調査、「一般遺族」に対する予備調査(有効回答数1253名)、本調査(有効回答数835名)、および、前述の墜落事故遺族に対して2000年に実施した(第1回)アンケート調査の再分析の結果を含む。航空機事故遺族に関しては、事故後8年半を経過した時点においても、統制群として設定された「一般遺族群」と比較して精神的健康度の悪化が持続し、事故の衝撃も残存していた。具体的には、GHQ-12の得点は、事故遺族群が5.73に対して一般遺族群は4.06であり、事故遺族群のほうが有意に高かった。また、IES-Rの得点(侵入、回避、過覚醒得点)は、事故遺族群でそれぞれ12.05,11.06,7.55であったのに対して、一般遺族群ではそれぞれ3.71,4.75,1.68だった。こうした傾向の原因として、悲惨の遺体確認現場の目撃、意味了解の困難さ、ソーシャル・サポートの縮小、不適切な取材活動、当事者(航空会社、メーカー)の対応等が検討された。さらに、日本における航空機事故遺族に対する対策が乏しいことを指摘し、とくに遺族の短期的・長期的な心理的ケアを定める法律の制定が必要であることが強調された。一般遺族調査に関しては、直後悲嘆の規定要因やソーシャル・サポートの効果、死別後の自己変容など多くの側面から分析が実施された。
著者
庄垣内 正弘 熊本 裕 梅村 担 西田 龍雄 藤代 節 吉田 豊
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、ロシア科学アカデミー東方学研究所サンクトペテルブルグ支所に保管されている古語文献を調査・整理してカタログを作成することと、主要文献を文献学的・言語学的に研究することであった。対象とした言語はウイグル語、コータン語、ソグド語、西夏語、蒙古語である。研究成果の主なもの掲げる:1.カタログ作成:(1)Kаmало〓 Tан〓уmскux Бу〓〓u〓скuх Памяmнuкоб Инсмuмума Восмокобе〓енця Pоссu〓ско〓 Ака〓емuu Наук(ロシア科学アカデミー東方学研究所所蔵西夏語仏教文献カタログ)京都大学 1999年792p..(2)『サンクトペテルブルグ所蔵ウイグル語文献カタログ』京都大学2001年(印刷中)2.文献研究:(1)『ウイグル文Dasakarmapathavadanamalaの研究』松香堂1998年xii+377p.(2)Contribution to the Studies of Eurasian Languages:Issues in the Asian Manuscripts at the Archive of the St.Petersburg Branch of Oriental Studies,Russian Academy of Sciences,Kyoto University,Kyoto(in print).3.シンポジウム:「中央アジア古代語とチュルク系極小言語-死語と危機言語の研究-」京大会館・京都大学文学部羽田記念館1997年10月24日〜25日.以上のほか、文献研究においては研究代表者・分担者の提出した論文が総計約20点に及ぶ。また、日本とロシアで10回を越える研究討議もおこなった。
著者
大道 等
出版者
国際武道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1:歩行という系統発生的な運動学習を経る動作様式においても、技術差のあることた示唆された。それは「歩行指導」の存在することから傍証される。これは歩行の運動失調症への機能回復訓練に示唆となる。2:近年のフィットネス・スポーツブームの背景もあって、「ウォーキングなるフィットネス運動」が成立した。ジョッギングよりもブームの期間が長く、そこではエステ志向も散見する。前項1の意味においても、ウォーキング動作は体力科学的に正しい歩き方の存在が意識化されている。運動の量と動作の質、つまり生理強度と力学的機序が明らかにされねばならず、本研究はその両面から明らかにし得た。3:歩行を健康科学の観点からみるにせよ、教育的接近法によって解釈するにせよ、そこでは「フォーム」の経時的変化をパターンとしてみる必要がある。そのためには、ビデオレコーダー、使い捨てフィルム、デジタル・カメラ等が有効であり、さらにOA機器の普及によるファクシミリの広い普及により、指導者と歩行者の伝達が極めて容易になった。これらの映像器械の民主化はバイオメカニクス研究の営みを大きく変えた。そして現に変えつつある。連続分解写真に源がある。4:当初、筆者らが考察し、ソニーKKから開発販売された、動点検出システムは15年を経て、その科学的社会的役割が終焉したことが明らかになった。それは、ビデオプリンターとファックスの価格低下が、当システムの原理性を安価性と物量において敗北したのである。5:ビデオプリンター等を用いて、歩行・走行・投・打・蹴・舞・落などのスキル向上のカルテを作成した。これらは医学でいうところのカルテとその存在価値は全く同じである。この映像のデータバンクの整備を志向するさきがけとなる役割を本研究は担った。6:体育指導法における動作フィードバックの必要性が強調された。
著者
福岡 克弘 高木 敏行 小島 史男 相山 英明 橋本 光男
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

立体的な形状をした被検査対象物を高精度に非破壊検査する技術の確立を目的とし、磁粉探傷試験と渦電流探傷試験を組み合わせたハイブリッド電磁非破壊検査システムの確立を検討した。具体的には、磁粉探傷試験と渦電流探傷試験において、立体的な形状の強磁性体を探傷するため、三次元空間に均一且つ簡便に磁界を発生できる回転磁界型磁化装置の開発を行った。渦電流探傷試験により極微小な傷を探傷可能とするため、高感度な渦電流プローブを開発し、その特性を評価した。磁粉探傷試験により得られた探傷結果から、傷形状を定量的に評価する手法の確立を目的に、傷の形状と付着磁粉量および傷からの漏洩磁束密度の関係について評価した。
著者
小堀 聡
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は、日本の省エネルギー・低公害的な技術革新がどのように進展したのかを社会経済史的観点から解明することである。そのために、(1)省エネルギー・低公害化に関する産業技術史、(2)低公害化に関する地方自治体史・住民運動史の2つについて、実証研究を行なった。(1)については、①資源調査会の活動、②熱管理技術から公害防止技術への移転などについて明らかにした。(2)については横浜市および北九州市の公害防止政策と住民運動について明らかにした。
著者
加藤 清己
出版者
愛知県立瀬戸西高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1 研究の目的・意義子ども達の理系離れが叫ばれて久しい。高等学校においても、文理の類型選択に理科や数学を不得意とするおいて多くの生徒が理類型をさけ、文類型を選択する傾向が強い。本校では、文類型で2年、3年で合計5単位生物の授業を行っている。3年生の私立文系の類型では例年時間に余裕があり、実験観察の授業を積極的に取り込んでいるが、必ずしも体系化された授業とはなっていない。そこで、生物の不思議のテーマの基に体系的に計画的に実験を行う。それぞれの実験に際してアンケートを実施する。アンケートで生徒の意識調査をすると同時に、アンケートの質問によって自分の経験を他人に伝える意識を持たせるようにする。2 研究方法・計画次の項目に分け、実験を実施した。(1) 植物の生殖の不思議(1)弾子の観察(2)タンポポの綿毛の観察(3)群落遷移と種子の大きさ(2) 自分の体の不思議(1)スリップ現象(2)網膜(3)立体視の原理(4)反応の速さと心理(3) アントシアニンの秘密(1)アジサイ、紫蘇の葉の色素(2)赤キャベツで焼きそば(3)紫蘇の葉でペークロ(4) 日本人の主食米の秘密(1)古代米の観察(2)発芽玄米のしくみ(3)グルテンの作成(5) 生物の体の不思議(1)ウミホタルの発光(2)折り紙で脊椎動物(3)犬の折り紙3 研究の成果(1) 実験考察の集約(アンケートの実施)(1)興味の有無(2)知人へ話すか(3)自分の子どもに話すか についてアンケート調査した。(2) 集計結果(1) 興味の有無 ほとんどの生徒が実施した実験興味を持った。定期考査の問に対しても正答率が高く、成績がよい、悪いには相関がなかった。(2) 知人へ話すかと自分の子供に話すかは同じ傾向が見られた。まだ実験を行っていないクラスの生徒も、友達からの情報で実験内容を理解しており、興味のある話題については情報伝達が早かった。<アンケート結果>No.1赤キャベツで焼きそばNo.2スリップ現象No.3ウミホタルの発光(3) 自分の子供に伝えたい実験(家でやってみた)<アンケート結果>No.1赤キャベツで焼きそばNo.2スリップ現象No.3犬の折り紙ウミホタルの実験を家で見せたいからどのようにして入手方法の質問が多かったが、高価で、かつ入手方法が特殊なため、残念がる生徒が多かった。
著者
船城 道雄
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

日英語は基本的な構造は本来的に類似したものであるという普遍文法UGに注目することによって日英語はかなりの共通性があることが明らかになりつつある。従って、日本人の英語学習者は英語の全てを学習する必要はなく、英語の一部分、つまり日本語と異なる部分を学習すればよいというのが本研究の主眼である。日英語の共通部分として「意味単位」、「語順」、「カテゴリ」などの普遍部分がある。普遍部分を英語教育に応用するということは、英語の言語知識competenceが、日本語の中にもすでに存在しているが、日本人学習者は無意識のうちに習得しているのでそのことに気が付かないので、conscious raisingを通して普遍的な部分に気がつかせることが学習効果をあげると予測される。「学習させること」と「気づかせること」では負担度がかなり違うので、日英語の共通部分は気づかせることの指導を行い、日英語の相違部分は学習させるという指導を行うというようにUGをとり入れることによって英語理解と英語学習がより容易になることを目指した。日英語間でもっとも普遍性が高い意味役割を用いて、日本人学習者がどのようにして他の助けを借りず、自らの力で英語文を作る方法を考察した。まず意味単位の認定の仕方、意味単位を認定した後、認知的にどのように語順を決定するかを明らかにした。自分で生成した文を何をtriggerにして文法操作をおこうなうかも明確にした。最後にUGの知識をタスク中心学習へ応用する提案すると共に実践例を示している。
著者
武山 智博 宮下 直 関島 恒夫 石庭 寛子 坂本 大地 大石 麻美
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

統計モデルの構築によって、水田内の局所環境および水田周辺の景観の異質性が、3種のトンボ(ハラビロトンボ、シオヤトンボ、アキアカネ)の出現個体数に与える効果を検討した結果、個体数を説明する環境要因とそのスケールは種間で異なっていた。全般的な傾向としては、種間の飛翔能力の高低に対応したスケールにおける複数の環境要因が出現個体数に影響を与えており、これらのトンボの分布にとって水田と森林が入り混じるモザイク状の景観構造が重要であることが示唆された。
著者
柳澤 純 加藤 茂明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

核内ステロイドレセプターの一つであるPPAR(パーオキシソーム増殖剤応答レセプター)α、γ、δは脂質代謝、脂肪細胞分化誘導、血管内皮での泡沫細胞形成等の多彩かつ特異的な生理作用を司っている。PPARはリガンド誘導性転写制御因子として働き、リガンドのシグナルに応じて標的遺伝子の発現を転写レベルで調節する。この際、PPARはRXR(レチノイドXレセプター)とヘテロダイマーを形成し、PPAR、RXR各々のリガンド依存的に転写共役因子群を獲得し、基本転写装置と共に転写を開始する。このようなPPAR機能発現には、リガンドの結合が必須であるが、内因性PPARリガンドは複数存在することが知られている。そのためPPARによる多様な生理作用は、多様なリガンド各々固有の作用が担うと予想されている。その分子メカニズムとして、様々なPPARリガンドが転写共役因子群を選択的に使い分けることで、リガンド固有の作用をもたらしている可能性が考えられる。また、一般に既知核内レセプターリガンドの生合成はリガンド産生酵素により厳密に制御されているため、PPARリガンド産生酵素には未同定酵素の存在が考えられる。そこで、本研究ではPPARリガンド群の特異的生理作用をもたらす分子メカニズムの解明を目指し、I.リガンドによる選択的なPPARgと転写共役因子の相互作用、II.PPAR(a,g)リガンドの同定を目指した新規リガンド産生酵素の検索、の2点を検討した。
著者
柳澤 純 加藤 茂明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

脂溶性ホルモンであるエストロゲンは、エストロゲン標的組織の細胞内に存在するエストロゲンレセプターに結合する。エストロゲンの結合してエストロゲンレセプター(ER)は、DNA上の特異的な配列に結合し、標的遺伝子の転写を制御することにより、様々な生理作用を現わす。ERの転写制御には、リガンド依存的に結合する一群の蛋白質複合体が必須であることが知られている。これらは、転写を活性化する転写活性化因子複合体と転写を抑制する転写抑制因子複合体に分けられる。われわれは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ融合ER蛋白質を用いたカラムを作製し、新規ER結合蛋白質複合体を精製した。質量分析による同定により、この蛋白質複合体はTRRAP, GCN5,TAFなどを含み、TRRAPを介して、エストロゲンの結合したERに結合することが明らかとなった。In vitro転写系において、この蛋白質複合体は、ERの転写活性を促進することから、転写活性化因子複合体として機能するものと考えられた。TRRAPのアンチセンスmRNAはERの転写活性を著しく阻害することから、この複合体がERの転写活性化において重要な役割を担っているものと考えられた。さらに、乳がん由来の細胞株であるMCF7に、このアンチセンスRNAを恒常的に発現させたところ、エストロゲン依存的な乳がん細胞増殖が顕著に抑制された。この抑制はER結合領域を持つが複合体を形成しないTRRAPドミナントネガティブ体を細胞内に導入した場合にも観察されることから、TRRAP/GCN5複合体はエストロゲン依存的な乳がんの増殖に関与している可能性が示された。今後さらに解析を進めることにより、エストロゲン依存的な乳がんの増殖機構が明らかになり、新たな抗がん剤の開発に結びつくのではないかと期待している。
著者
小川 佳宏 加藤 茂明 伊藤 信行
出版者
京都大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2001

【背景・目的】Fibroblast growth factor10(FGF10)は胎生期において四肢や肺、脂肪組織の形成に必須の増殖因子であるが、成体においては主に脂肪組織において発現が認められ、成体の脂肪組織においてFGF10が重要な役割を担っている可能性が示唆される。一方、FGF10ホモ欠損マウスは肺の形成障害により出生後早期に死亡する。本研究では肥満および肥満合併症の発症におけるFGF10の病態生理的意義を検討するために、FGF10ヘテロ欠損マウス(FGF10+/-)を用いて解析を行った。【方法・結果】標準食飼育下においてFGF10+/-と野生型マウス(FGF10+/+)の体重に有意差は認められなかった。しかしながら、10週齢より高脂肪食負荷を行ったところ両者において体重増加を認め、負荷後4週よりFGF10+/+はFGF10+/-と比較して有意に高体重を示した。負荷後8週目のFGF10+/-(31.5±2.7g)とFGF10+/+(41.8±2.5g)における糖代謝を検討したところ、血糖値に有意差は認められなかったが、血中インスリン濃度はFGF10+/-で低値を示した。糖負荷試験およびインスリン負荷試験においてFGF10+/+と比較しFGF10+/-で良好な耐糖能およびインスリン感受性が認められた。また負荷後8週目におけるFGF10+/-の脂肪組織重量はFGF10+/+の約1/2に減少していたが、組織学的には脂肪細胞の大きさに明らかな差は認められず、FGF10+/-とFGF10+/+の脂肪組織重量の差は脂肪細胞の数の差によると考えられた。【考察】FGF10は高脂肪食による脂肪細胞の増殖を促進し、高脂肪食負荷による肥満に伴う糖尿病発症を促進する可能性が示唆された。