著者
山本 泰雄
出版者
日本福祉大学大学院
雑誌
日本福祉大学大学院福祉社会開発研究 = The Study of Social Well-Being and Development, Nihon Fukushi University Graduate schools (ISSN:24362018)
巻号頁・発行日
no.16, pp.11-20, 2021-03-01

本研究は,高齢者の社会活動に向けた支援を検討する為の一研究とし,参加パターンとSense of coherence(SOC)との関連を明らかにすることを目的とした.要支援・軽度要介護者110名を対象に, SOCスケールと構造化面接を実施し,類型化した参加パターンとSOCとの関連を分析した.結果,参加パターンは継続群,再開群,不参加移行群,不参加継続群の4つの基準で分類され,不参加継続群以外でSOC下位因子間での差が有意に認められた.また,処理可能感では,不参加継続群よりも継続群と再開群が,有意味感では,不参加移行群,不参加継続群よりも継続群,再開群が有意に高い結果が得られた.要支援・軽度要介護者の社会活動促進に向けてSOCなかでも「処理可能感」「有意味感」を高める支援が有効である可能性が示唆された.
著者
佐伯 和信 分部 哲秋 弦本 敏行
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

骨格の形態的特徴が縄文人と多くの点で共通する南九州地域の古墳時代人(古代ハヤト)の遺伝的系統関係を明らかにするため、人骨のミトコンドリアDNAの解析を行い、ハプログループの頻度構成を導き出した。過去の分析例も加え、計16例のタイプを決定することができた。内訳はハプログループAが2例(12.5%)、Bが3例(18.8%)、D4が5例(31.3%)、Fが3例(18.8%)、N9bが1例(6.3%)、M7が1例(6.3%)、M8が1例(6.3%)であった。この結果はD4が多い点は現代日本人と共通しているが、縄文人に高頻度で出現するM7aや N9bもみられ、縄文人の遺伝的影響も残していると考えられる。
著者
八尾 隆生
出版者
慶應義塾大学言語文化研究所
雑誌
慶應義塾大学言語文化研究所紀要 (ISSN:03873013)
巻号頁・発行日
no.52, pp.227-242, 2021-03

はじめに一 貶資、貶爵とは二 貶資制度の変遷三 貶資制度の形骸化おわりに研究ノート
著者
田所 摂寿
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.51-62, 2018-06-30 (Released:2019-10-01)
参考文献数
72

本論文では,初学者に対するカウンセラー教育内容について欧米諸国の研究を概観し,日本における実証的研究(evidence-based research)に向けて考察することを目的とした。カウンセラー教育の研究として,①専門教育の準備,②トレーニング手法,③トレーニングの内容とその成果の3つに分類し,それぞれの研究知見をまとめた。「専門教育の準備」としては,大学生へのカウンセラー教育の意義と内容およびゲートキーピングについての検討を行った。「トレーニング手法」としては,①ロールプレイ,②グループ体験,③個人カウンセリング,④臨床実習とスーパービジョンのそれぞれの効果について先行研究を比較検討した。「トレーニングの内容とその成果」については,従来のカウンセリングスキル基礎訓練を取り上げた。また,トレーニングを受けることによる変化として,人間的成長および専門家としての成長,自己の変化,認知の変化を取り上げた。 これらのカウンセラー教育の内容を日本において活用していく方法について考察を行った。
著者
寺﨑 新一郎
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-32, 2017 (Released:2019-10-29)
参考文献数
55

本研究の目的は急速かつ不可逆的なグローバル化に起因する,外国に対する肯定的な消費者態度を社会的同一性理論に基づき整理した上で,消費者行動研究にとって有用な消費者アフィニティ,消費者世界志向,消費者コスモポリタニズムに焦点を当てレビューすることである。レビューの結果,セグメントの特徴,各態度が単独で消費者反応にもたらす効果に関する先行研究が多くみられること,他の理論との複合的な効果や,製品ではなくサービスを対象とした研究は限られていることなどが明らかになった。また,外国に対する肯定的な態度を,否定的なそれと分けて考えるのではなく,統合的に捉えることで,この研究領域に新しい理論的貢献が期待できることが示唆された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1015, pp.48-51, 2014-01-10

品川駅と田町駅の間に広がる約20ヘクタールの車両基地については、JR東日本が南北に長い敷地の西側半分〔地図B-2、3、A-3、4〕を使って業務ビル街を開発する構想を温めている。既に車両基地の機能を東側半分と品川以外の車両基地に移しており、布石が打たれた状…
著者
岩本 誠吾
出版者
京都産業大学法学会
雑誌
産大法学 (ISSN:02863782)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3/4, pp.685-666, 2012-01

1.問題の所在2.無人戦闘機の概要・運用・特徴3.兵器に関する国際法4.無人戦闘機に関する法的見解5.法的評価の総括6.まとめにかえて―無人戦闘機の内在的問題点
著者
森田 克徳
出版者
静岡県立大学経営情報学部
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部/学報 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.17-29, 2001-03-01

Main two point problems of this paper exist. The first is to clarify the details concerning the dawn of Japanese beer industry since the beginning of 1870's. And secondarily, the process in which Dainipon beer company is established is clarified by joining three companies of the Sapporo beer company, Nipon beer company, and Osaka beer company in 1906.
著者
江種 満子
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.65-91, 2004-01

前稿で中断した「こわれ指輪」論を発展させ、テクスト全体の構造を、「女権」という主題軸と「指輪」によるレトリックの軸の相互関係としてとらえた。さらにこれらの二つの軸に埋もれるようにして、植木枝盛のいわゆる「歓楽」への視線が瞥見できる点を指摘。これはのちの紫琴時代のテクスト群がみせる粘弾性の強い人間観の貴重な兆しである。しかし紫琴時代に至るまでには、女権論者清水豊子を挫折させた二つの体験(大井事件による妊娠出産と古在由直との結婚)が介在する。この時期を、豊子書簡と古在書簡および掌篇「一青年異様の述懐」によって考えた。その後、夫の由直の留学によって僥倖のように訪れる紫琴時代をいくつかのテクストによって読み解く。なかでも「葛のうら葉」の位置は最も重要である。「葛のうら葉」は、構造的に清水豊子時代の「こわれ指輪」をなぞるかにみえて、じつはその後の豊子の体験と英知と想像力を結集して、異質な世界へ超え出た成熟の文学的達成である。
著者
假谷 直之 松村 誠士 RODIS Omar M M 紀 瑩 杜 小沛 志野 綾子 下野 勉
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.379-384, 2006-06-25

今回,我々は新しく発売されたミュータンス菌測定キット,オーラルテスターミュータンスの<I>S. mutans</I>検出能力を臨床評価する目的で研究を行った。被検児は岡山県内にあるN保育園児(4,5歳児)52名。オーラルテスターミュータンスとカリオスタットはマニュアルに従い処理,判定した。PCR法は,QIAGENのマニュアルに従いDNAを調製してPCR後,電気泳動にてバンドを確認した。対象を<I>S. mutans</I>とした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間ではP<0.001,カリオスタット値の同様な分析では,High-Low間においてP<0,01でBand検出の有無との問に関連性を認めた。対象を<I>S. sobrinus</I>とした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間においてはBand検出の有無との間に関連性を認めなかった。カリオスタット値の同様な分析においても,High-Low間でBand検出の有無との問に関連性を認めなかった。今回の研究で,<I>S. mutans</I>に特異的といわれている領域を増幅したPCR法によるバンド検出率と関連することが確認された。オーラルテスターミュータンスは,齲蝕原因菌のうち特に<I>S. mutans</I>の検査として有用と考えられる。
著者
岩井 草介 菊池 智子 三浦 貴士
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.110, pp.23-29, 2013-10-18

出芽酵母は、増殖が速く、増殖期にある細胞では無性生殖の1つである出芽の観察も容易なため、学校で簡単に培養することができれば実験教材としての幅広い活用が期待できる。そこで本研究では、身近にある材料を使って簡便に酵母を培養する方法を検討した。その結果、糖および園芸用液体肥料を成分とする液体培地で、市販のドライイーストの酵母が増殖することを見出した。培養液中の酵母を顕微鏡で観察したところ、出芽中の細胞が多数見られた。また上の成分のいずれかを欠いた培地ではほとんど増殖しなかったことから、酵母の増殖には炭素源と、窒素・リン・ビタミン類・無機塩類などの炭素源以外の栄養素の両方が必要であることが確かめられた。この実験は、生物の増殖に必要な栄養素や生物を構成する元素についての理解につながると考えられる。さらに、糖・ブイヨン・粉寒天を成分とする寒天培地で酵母が増殖することも見出した。

2 0 0 0 OA 商工名鑑

出版者
名古屋商工社
巻号頁・発行日
1912
著者
山田 麻紗子 渡邊 忍 小平 英志 橋本 和明
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.133-151, 2017-09-30

筆者たちは児童虐待への効果的支援のあり方を探るため,2015 年の児童虐待対応の先進国であるアメリカ(ニューヨーク市,バージニア州)視察に続いて,2016 年に韓国(ソウル市)の関係機関10 ケ所を,次の2 つの知見を得るために視察した.それらは,①韓国の児童虐待に関わる各関係機関の役割・機能,②各関係機関の連携・協働の実際についてである.その結果,過去10 年間における韓国の児童虐待等に関する取り組みには格段の進歩があり,日本にとって学ぶ点が複数みられた.政府,司法,地方自治体,民間機関が縦横に連携・協働している点やひまわり児童センターの総合支援システムには,目を見張るものがある.本稿では,韓国ソウル市における児童虐待,児童福祉の現状と課題などを紹介したい.
著者
杉田 貴洋
出版者
慶應義塾大学
雑誌
法律学研究
巻号頁・発行日
vol.26, pp.51-66, 1995-03