著者
中村 菜々子 井澤 修平 山田 クリス 孝介 亀山 倫華 田上 明日香
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本人労働者4609名を対象とした横断的調査,3235名を対象とした縦断的調査,400名を対象とした実験を実施して,ストレスの過小評価という認知的変数が精神的健康やメンタルヘルス知識,メンタルヘルス情報の評価に与える影響を検討した。研究の結果,(1)ストレスの過小評価の傾向は,女性より男性でより強かった,(2)過小評価傾向の強い男性は,メンタルヘルスリテラシーが低かった,(3)過小評価傾向は,1年後のメンタルヘルス不調を有意に予測した,(4)過小評価傾向とメンタルヘルス情報の評価との関連は明確ではなかった。労働者のストレス対策では認知的変数も考慮する必要性が示唆された。
著者
有賀 哲也
出版者
京都大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究は、固体表面上における「表面電位」の空間分布を、原子レベルの空間分解能で明らかにすることを目的として行った。実験は、申請者が最近開発した超高真空走査トンネル顕微鏡(STM)により行った。このSTMはいくつかの特徴を有するが、その一つは、きわめて低雑音(システム雑音〜1pA)なことである。トンネル電流一定(即ち、探針-試料間距離一定)の条件のもとで、探針を駆動するピエゾ素子の電圧に微小な変調を与え、ロックインアンプによる位相検波を行うことにより、d1nJ/dzすわち障壁高さを測定した。この方法の特徴は、常に探針-試料間隙が一定に保たれるため、熱ドリフトなどさまざまな実験的ゆらぎ要因の影響を無視できることである。また、トポグラフィ像と障壁高さ像を完全に同時に測定した。試料としては、超高真空下で清浄化したPd(100)表面を用いた。ステップ付近において大きなコントラストが観察された。コントラストは、探針-試料距離に依存することが判った。探針が十分遠くにあるときは、Smoluchovsky効果から予測される表面電位像が観察された。逆に探針が表面に近づくと、コントラストが反転した。これはトポグラフィカルな効果によるものであると結論した。
著者
小玉 美意子 小田 原敏 アンジェロ イシ 吉田 文彦 音 好宏 鈴木 弘貴 金山 智子 中 正樹 日吉 昭彦 黄 允一 小林 直美 沈 成恩 章 蓉
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、2008年8月に行われた北京オリンピック報道によって視聴者の対中国意識がどのように変化したか探ることを目的とし実施された。調査の結果、テレビニュース視聴者の中国(人)についての認識は、オリンピック前後で部分的に変化があったことが明らかとなった。中国(人)イメージが変化した人は直接的な経験(渡航経験や友人・知人)が無い、オリンピック前に中国に対しネガティブな印象を持っていた人がオリンピックを契機に良い印象を持ったようである。このような傾向を持つ人は若い世代が多く、今後テレビの報道内容によって、若者は中国(人)イメージが変化する余地が示唆された。中国(人)の印象が変化しにくい人は、メディア接触によって先有傾向の強化・補強が行われていることが推察された。取り上げられた出来事がインタビュー対象者自身の中国経験やイメージと結びつけられていたからである。テレビニュースは中国を発生地とする報道が全体の38.1%を占め、中国報道の議題設定や放送局別の傾向が明らかになった。視聴者はオリンピックの競技ニュースというよりは、オリンピック開催前、期間中の関連報道から中国(人)に関する情報を得ていたようである。またテレビをよく視聴した人は、新聞、インターネットなどに多く接した人よりも肯定的イメージへの変化がみられた。
著者
堤 正臣 笹原 弘之
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

回転軸のピッチ誤差、バックラッシを考慮した5軸制御マシニングセンタのモデルを開発し、円すい台の仕上げ切削を想定したシミュレーションを行い、ボールバーによる測定結果と種々条件を変えて比較したところ、両者はよく一致することがわかった。このモデルを四角すい台に応用したところ、ほぼ同様の結果を得ることができることを示した。このモデルを使えば、工作精度を予測でき誤差を診断することが可能なことを示した。
著者
遠藤 一佳 高尾 敏文
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

化石タンパク質のアミノ酸配列を決定する前段階として、現世腕足動物の殻体プロテオーム解析と外套膜トランスクリプトーム解析をLaqueus rubellusとCoptothyris grayiの2種について行った。その結果、74種の殻体タンパク質を同定し、これまでに他の動物門で知られる殻体タンパク質と相同ではない新規タンパク質が大部分を占めることを解明した。一方、約39万年前のL. rubellus、C. grayiの化石タンパク質の予察的解析も行い、殻体内の大部分のアミノ酸がペプチド内ではなく、遊離の状態で存在しており、アミノ酸配列を得るためには、化石抽出物の濃縮が必要であることを明らかにした。
著者
川端 有子
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、十九世紀イギリスの児童文学-雑誌読み物、宣教文学、冒険小説、家庭小説など-における、アングロ・インディアン(在印英国人)の子ども像を抽出し、イギリスと植民地インドの歴史的関係のコンテクストにおいて、二つの文化の狭間に宙吊りにされた子どもたちの文化変容の過程、そしてその経験がより広い文化現象のなかにどう位置づけられるかを探るものである。本報告書で分析の対象とした作品は、フランシス・ホジソン・バーネットの『小公女』、『秘密の花園』、ルーマ・ゴッデンの『河』、メアリー・ノートンの『床下の小人たち』であるが、それと同時にその背後に存在した、いまはもう忘れられた作品、『六歳から十六歳』『女王さまのために』『黄金の沈黙』との相互関係も考察した。さらに、現代の作品である『煙の中のルビー』、『バラの構図』などにも言及し、アングロ・インディアンの子どもという設定が、現実的なものから文学的装置となっていく過程を追った。この研究はまた、異人種間のみならず、男性・女性、異なる階級間、おとな・子どものあいだに働いている不均等な力関係をも明らかにしていくことになる。今後もさらに、ゴッデンのほかの作品や、M.M.ケイ、ポール・スコットなどアングロ・インディアンであった人々の作品や、声を上げ始めたジャミラ・ギャビンなど、インド人作家の作品を通して探っていきたいテーマである。というのも、21世紀にはいっても、なおかつオリエンタライズされた「インド」イメージは廃れていないからである。
著者
石川 信一
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,不安障害の児童を対象に家族に焦点を当てた認知行動療法の効果を検討することであった。対象者は12名の不安障害の基準に合致した児童であった。親子認知行動療法では,児童と親は10セッションからなる集団認知行動療法プログラムに参加した。さらに,親のみを集めた4セッションも準備された。分析の結果,3ヶ月時点において,6名が主たる不安の基準から外れることが示された。また,臨床家評定と親評定の不安尺度においても改善がみられた。
著者
三田 千代子 小池 洋一 柳田 利夫 山田 政信 山ノ内 裕子 拝野 寿美子 田中 祐司 柴崎 敏男 田村 エミリオ 加藤 博惠 堀 永乃 高木 和彦 松尾 隆司 松井 謙一郎 渡会 環
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の外国人就労者である日系ブラジル人は、ホスト社会、エスニック集団、ホームランドの3社会に同時に存在している。エスニック集団はホスト社会に組み込まれたものであるが、ホームランドとの繋がりを維持しているのは、IT機器や携帯電話といった容易で安価で迅速なコミュニケーション手段の普及の結果である。すなわち、物理的に存在しているホスト社会は、ブラジル人就労者にとっては絶対的空間であり、種々のコミュニケーション手段によって社会的関係を維持しているホームランドは相対的空間である。この2つの空間に人が生きているということは、グローバル化時代だからこそ可能となったことである。
著者
藤田 秋一
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

私たちは急速凍結・凍結割断レプリカ標識法(quick-freezing and freeze fracture replica labeling method:QF-FRL法)を用いて脂質の微細局在を明らかにしてきた。当初のQF-FRL法では、細胞膜における脂質の微細局在の解析に限られていたが、本研究では解析技術酵母および哺乳類細胞の細胞内の各種オルガネラの膜上の脂質についても解析が可能となった。また新規のプローブの開発によりPtdIns4Pの微細局在についても解析が可能となり、現在、細胞膜および各種細胞内オルガネラにおける微細分布の解析を行っている。
著者
加藤 浩 山村 英司
出版者
西南学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究ではSocial capitalが産業発展にどのように関係しているかを分析した。実証的な結果より、Social capitalは人的資本の形成を促し、ローカルな需要を高めることが分かった。これらの実証結果から、Social capitalは供給面、需要面の双方から産業発展を促すことが明らかになった。理論的な分析では、需要の不確実性が産業発展に与える影響について焦点を当てた。大きな発見としては、不確実性が大きいほど産業ライフサイクルが短くなるというものである。したがって、Social capitalが需要の不確実性にどのような影響を与えるかを明らかにすることが今後の研究課題となる。
著者
福田 祐子
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

申請者はこれまで、先行研究をもとに、農園部での労働は過酷で、労働・生活環境は近年改善されつつあるものの必ずしも良好とはいえないとの考察を得た。一方、ILOとSL統計局「こどもの活動調査票」(16000世帯60000人)25%のデータから、民族の違いによりこどもたちの労働や家事従事に違いがあるのか2次分析を行ったところ、少数民族のこどもの方が労働や家事に従事していると思われてきたが、比率的には多数民族シンハラ人のこどもの方が従事しており、その差は統計的に有意であった。しかし、労働しているこどもたちの労働時間をみたところ、少数民族のこどもの方が長時間、労働に従事していた。さらに、都市・農園・農村(小規模農家以外)・小規模農家の4セクターに分け、違いをみたところ、労働に従事しているこどもの比率は農村家庭のこどもが多かったが、労働しているこどもたちの中で、長時間労働に従事しているこどもの比率が高かったのは農園部であった。先行研究及び2次分析から明らかになったのは、労働や家事に従事しているこどもの状況は民族の違いだけでなく、居住地域と経営形態(プランテーション農園、小規模農家、その他の農村)の違いに影響を受けていることであった。また、民族という視点から「こどもの在籍状況」を2次分析したところ、SL全体では民族により違いがあるが、居住地域ごとでは都市以外の3地域では民族による違いがみられず、先行研究とは異なる知見が明らかとなった。上記の2次分析に加え、2014年7月及び12月にスリランカのデニヤヤ・モロワカ地域を訪問し、働き手にインタビューするとともに、村役場職員・保健婦・学校長も訪問し、インタビューを行った。
著者
松山 郁夫
出版者
佐賀大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究により、①自閉症児者の家族は、自閉症があると社会適応が困難で支援体制が不十分と捉えていること、②障害者支援施設の生活支援員は、自閉症児者の状態に応じた支援が必要と認識していること、③発達障害者支援センターの相談支援者は、自閉症児者の状況把握の困難さ、障害の特性、適応行為の困難さを問題視していること、④地域の支援者は、自閉症児者に対する自立生活と余暇生活に対する支援を重視していること、以上が明らかになった。これらのことは、青年期・成人期の自閉症者に対する地域包括支援を行う上で重視すべき視点と考察した。
著者
飛龍 志津子
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,コウモリもつ高度に発達した超音波センシングの実態解明を目的とし,室内及び野外においてコウモリの音響行動を計測した.まず室内での障害物回避や標的捕獲中のエコーロケーション行動から,①超音波のビーム幅を状況に応じてアクティブに変化,②ビーム幅の狭いコウモリは視野を補償するためより頻繁に放射方向のシフトを行う,③重要な障害物の方向にパルスを放射する,などがわかった.野生コウモリの採餌飛行では,①コウモリが直近の獲物だけでなく,その次の獲物も視野に捉えていること,また②flight attentionも先を予測する方向に向けられていること,などを見出した.
著者
蓮井 誠一郎
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、ラオスでのクラスター爆弾に特徴づけられる不発弾(UXO)汚染の問題を現地調査を用いて調査した。本研究では、ラオス北部シェンクワン、ルアンパバーン、中部ロンチェン、南部セコンを中心に調査した。調査によって、(1)ラオスでの深刻なクラスター爆弾の汚染状況、(2)地域開発や貧富の格差とUXOの関係、(3)気候変動による洪水とUXOの関係、(4)処理活動における政策上の課題が明らかになった。また、同様にUXOに汚染されている沖縄、茨城の問題を明らかにし、「3.11」後の放射能汚染についてもUXO問題との重要な類似点を明らかにすることができた。
著者
山崎 宣次 森廣 浩一郎
出版者
中部学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

児童の学習や生活の評価に関する観点と,教員が表現する語彙は一体的と考え,所見や「よいこと見つけ」から抽出した特徴単語を用いて,評価観点の偏りとその解消への気づきを促す支援の実現可能性を検討することで、教員の評価についての力量形成がなされると考えた.所見から効率的で簡明に特徴単語が抽出できる提案手法について比較検証し、提案手法が既存手法と遜色ない特徴単語を抽出できることがわかった.また,提案手法による特徴単語を教員に提示することで,所見記述の固定化を避けられるだけでなく,記述の語彙のレパートリを増やす可能性が示唆された.このことで,評価項目の固定化が解消され,教員の評価力量形成が期待される.
著者
小島 智恵子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、日本とフランスの原子力教育の歴史について比較した。初等・中等教育に関しては、日本が学習指導要領に基づき原子力教育を推進してきたのに対し、フランスでは原子力教育に積極的に関与してこなかった。一方原子力技術者教育に関しては、フランスは原子力庁付属機関の核科学技術研究所にて、半世紀以上徹底した専門家教育を遂行してきた。原子力大国である日本とフランスは、異なったアプローチで原子力教育を行ってきたが、その歴史的背景を分析した。
著者
三浦 元喜
出版者
九州工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

視覚モデルへの直感的な操作から対応するソースコードを生成して提示するシステムAnchorGarden の有効性について検証を行った. 2011 年にメソッド呼び出しやデータ構造,返却値の可視化を実現したが,統計的な有効性は十分検証されていなかった.そこで大学2 年生の C 言語学習者約 100 名を対象とし,分数クラスのオブジェクト状況を図示する問題について,システム利用群の正解率は未使用群に比べて有意に高かった.このことから,オブジェクトの状況を操作しつつ,自動生成されるソースコードを観察することにより,ソースコードの表す意味を短時間のうちに,直感的かつ正確に理解できることを確認した
著者
松岡 瑞樹
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

(研究目的)現在日本での生食用トマト消費量は、過去15年間、ほぼ横這いであるが、国内の生食用トマト栽培面積がH10年と比較するとH25年には11%低下している。今後、栽培面積が低下し続ける傾向にあるので必要量を供給するために、単位面積当たりの生産量を向上させる技術を持つことが必要不可欠である。本研究ではトマトの低段密植栽培をする際に、鉄の直管を組み合わせた幅0.65m×長さ13.5mの高設ベンチに、雨樋(㈱タキロン製, 幅0.2m×長さ12.0m)を乗せ、培養液をポンプでくみ上げ循環させる方式による高生産性トマトの栽培研究を実施した。現状では、品種が麗容の場合、栽植密度を6000株/10aとした上で、3段栽培で年3作収穫した結果、25.4t/10aのトマト果実収量を得ることができた。しかし作型、品種、栽植密度の更なる改善で生産性の向上が見込めることから、年間収量を30t/10a以上でBrix6%以上のトマトを生産することを目標とし、マニュアル化を進めた。(研究方法)品種については、麗容、麗夏、桃太郎ファイト、桃太郎グランテ、カリオーソ、ピノッソの6品種を使用した。栽植密度は、6000株/10aの慣行区と10000株/10aの超高密度区を設定し試験を行った。作型については、3段栽培で年3作栽培する慣行区と2段栽培で年4作栽培する夏季栽培リスク分散型の処理区を設け栽培を行った。(研究成果)栽植密度10000株/10aにおいて、麗容→カリオーソ→カリオーソ→ピノッソの順に年4作2段収穫栽培した際に、収量が30.4t/10aでBrix5.9以上であった。販売率が88.6%であり、この作付けが最も品質と収量に優れていて有効であると考えられる。同様の作型により全て麗容で栽培を行うと32.8t/10aで最も収量性が高いが、販売率が50.4%で夏季の裂果や冬至の日照不足による乱形果が多くなり販売率に問題がある。秋冬時期の密植栽培は、光環境が非常に悪く晴天の日でも0μmol/㎡/sとなる期間が長く、乱形果や小果の発生が麗容や桃太郎系統の品種に多く見られる。今後は、株元の摘葉量、摘葉時期、LED照射による光環境の改善により単位面積当たりの収量性と品質の向上に向けて研究を進める予定である。
著者
新井 範子
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

エンターテイメント財の消費の意識を探るための調査や実験を行った。エンターテイメント財の消費をファン行動としてとらえると、行動の継続性を形成しているものは対象に対する魅力よりも、自分の過去の行動の一貫性や投資意識が大きく影響していることがわかった。また、エンターテイメント財を活用した戦略としてプロダクトプレースメントを取り上げ、実験を行い、コンテンツへの関与の度合いによって、影響力が大きく異なることを実証した。
著者
鍋倉 賢治 榎本 靖士 門野 洋介 品田 貴恵子 白井 祐介 丹治 史弥 小林 優史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

長距離走は、有酸素性能力(最大酸素摂取量、乳酸性代謝閾値、走の経済性の3要因)によってパフォーマンスの大部分を説明できると言われている。本研究では、レース中の生理応答、縦断的な体力測定などから中・長距離走のパフォーマンスと体力特性について検討した。中距離走の場合、有酸素性能力だけでなく無酸素性能力の貢献も大きく、また、体力特性に応じたレース戦略が重要であることが明らかとなった。一方、優れた長距離ランナーでは、3要因の中でも走の経済性の貢献が特に大きいこと、そして脂質をエネルギーに利用する能力が優れていることが明らかとなった。