著者
河上 眞理
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「イタリア美術」という概念はイタリア半島初の統一国家イタリア王国の成立に伴い形成されたと仮定し、絵画を中心に、遺産としての過去の美術の扱いと、同時代の動向との関係を通して考察し、以下が明らかになった。第一に18世紀に遡るイタリア美術史編纂事業を通して、半島内で展開した美術の独自性と世界への発進力が改めて認識された、第二に美術品保護の充実が訴求され、公私の美術館制度が整備された、第三に「イタリア美術」というブランド力の国際的な場面における効果が認識され、謂わば、海外における「イタリア美術」像を再受容し、イタリア王国は美術外交という施策を展開した。
著者
横川 博一 定藤 規弘 田邊 宏樹 橋本 健一 吉田 晴世 原田 康也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成28年度は,外国語処理における繰り返し接触による気づき・注意機能の発現と自動化に関する理論的・実証的研究として,主として以下の3つの研究課題を設定し,次のようなことが明らかとなった。(1)「相互的同調機能の発現が日本人英語学習者の第二言語産出に及ぼす影響」を研究課題として設定し、日本人英語学習者を対象にプライミング手法を用い、相互的同調機能を支えるメカニズムである統語的プライミング効果について検証した。その結果,英語母語話者を対象とした実験で見られた、プライムを音声提示、ターゲットを音声または文字産出した際の統語的プライミング効果が日本人英語学習者に対しても見られることが明らかになった。(2)「日本人英語学習者の文理解における統語構造および意味構造の構築の検証」を研究課題として設定し、初級および中級熟達度の日本人英語学習者を対象に、目的格関係節文と受動文とを用いて、音声提示および文字提示で心理言語学的実験を行った。その結果、中級熟達度の学習者は、意味役割の再付与はある程度自動化しており、音声と文字とでは同程度に処理ができるが、複雑で複数の統語処理が必要な場合、文理解が困難になることがわかった。一方、初級熟達度の学習者は、意味情報に依存して文を理解し、意味役割の再付与に困難性があり、統語構造の構築が困難であることがわかった。また音声のほうが文字よりも処理が困難であることが判明した。(3)「タスクによる注意機能が第二言語文理解時における言語情報処理に与える影響:自己ペース読み課題による検討」を研究課題として設定し,句構造規則違反では、低熟達度群は統語情報に注意を向けなければ意味主導の処理を行っていることが、また、意味違反では、高熟達度群は意味情報から注意をそらしても意味違反を即座に検出したが、依然として日本人英語学習者は意味主導の処理を行っていることが明らかになった。
著者
前田 亜紀子
出版者
長野県短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度のアンケート調査から、登山ブームの背景となっているのは、中高年登山者であることが確認された。秋期という登山に適したシーズンにおける登山時の被服類、装備品調査でも、被服類の満足度が低いことが明らかとなった。愁訴の多くは、衣服の濡れや発汗に伴う不快感であったことから、平成17年度は、濡れた衣服を着用した時の人体の体温調節反応について、基礎データを得ることを目的に着用実験を実施した。被験者は健康な成人女子11名であった。人工気候室は、気温30、25、20℃(相対湿度は80%一定)に制御された。衣服の様式は、スウェット上下(様式S)とTシャツおよび短パン(様式T)とした。かくして上記の条件より5種条件(30S,30T,25S,25T,20S)を設定した。衣服の濡れ条件は、D(乾燥)、W1(湿った)、W2(びしょ濡れ)の3種とした。条件D,W1、W2における全衣服重量の平均は、様式Sでは各々819,1238,2596g、様式Tでは各々356,501,759gであった。各濡れ条件において、安静期と作業期を設けた。作業期における踏み台昇降作業のエネルギ代謝率は2.7であった。測定項目は、酸素摂取量、直腸温(Tr)、平均皮膚温(Tsk)、および主観申告値とした。酸素摂取量は、衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した。Trの値は、条件25Tと20Sでは漸減した。Tskは環境温に依存して漸減し、特に条件20Sにおいては著しく低下した。本研究の要点は次の通りである。1)濡れた衣服を着用した場合、気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる。2)気温25℃以下では、軽装の場合、寒冷ストレスが生じ得る。3)衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ、全身温冷感が中立であるとき、Tskは約33℃であった。4)濡れた衣服条件における特色は、全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき、平均皮膚温が著しく低下することである。
著者
三田 一郎
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

2008年に小林誠氏, 益川敏英氏がノーベル物理学賞を受賞されたことは我が国にとって大変おめでたいことである. この約半世紀の歴史を振り返れば, 日本人が素粒子論における自発的対称性の破れ, およびCPの破れの理論を提唱し, 日本国民の血税で世界に類のない加速器が建設され, そして日本でその正しさが証明されたという偉大な歩みが見えてくる. まさに我が国が誇るべき研究成果であろう. わたしは小林・益川理論の基でB中間子にける大きなCPの破れを発見した. この予言を検証するために高エネルギー研究機構およびスタンフォード線型加速器研究機構でBファクトリーを建設することを提案し, 2003年に見事にこの予言は検証された. 現在B中間子物理学はフレーバー物理学の一部として今後大きく開花しつつある. 本研究ではB中間子におけるフレーバー物理学を理論的に追求した.
著者
藤原 裕展
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

毛包バルジ部に存在する表皮幹細胞は、発生期を通して幹細胞の性質を獲得するが、そのメカニズムはよく知られていない。本研究では、毛包幹細胞が表皮細胞としての性質に加え、立毛筋制御のための腱様機能を持つという多機能性が幹細胞としての性質決定に関わるとの仮説を立て、それを検証した。バルジ表皮幹細胞の遺伝子発現プロファイルを他の細胞と比較したところ、バルジ幹細胞で筋肉-組織接続部に特徴的な遺伝子の発現が強く誘導されていることが明らかとなった。さらに、バルジで発現する腱組織形成に重要な転写因子Scleraxis 欠失マウスを作製したが、毛包形態や幹細胞の遺伝子発現に顕著な異常は現れなかった。
著者
内藤 親彦 田井 晰
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

ニホントガリシダハバチHemitaxonus japonicus complexの野外個体群を研究対象として、同所性寄主転換と生態種形成機構を解明するために、主として遺伝・化学生態的手法により研究を行い、以下の新事実を得た。1.日本の北緯34度付近の狭い移行地帯(南北約10km)において、イノデ生態種がジュウモンジシダ生態種から、寄主転換と生殖隔離をともなって同所的に分化している。2.寄生転換の主要因である雌成虫の寄主選択性は一遺伝子座支配と考えられ、両生態種は異なる産卵誘引物質を感受している。両化学物質はパルミチン酸メチルに近い揮発性成分であるが、それらの構造決定には至っていない。3.両生態種は外部形態や染色体で区別することはできないが、酸素多型やDNA高度反復列の比較においても、生態種分化に伴う明瞭な変化はみられず、生態種形成の速度が極めて速いか、またはその過程が遺伝的変化とは独立であるかを示唆している。4.同所的生態種形成とその短期確立には、寄主選択機構の他、寄主植物上での同系交配、一方向的選択交尾、条件づけ効果による幼虫の不食化等の諸要因が関与している。一方向的選択交尾は旧生態種から新生態種への遺伝子流入を防ぎ、新生態種の遺伝的独立性を保証する機構であり、それには性フェロモンの介在が実験的に示唆されたが、両フェロモンの同定には至ってない。5.機種転換が一遺伝子座支配による分断選択に起因していることを想定し、ジュウモンジシダ旧生態種の雌に、寄主選択の突然変異因子を含むイノデ派生生態種の雄を交配し、得られたF1雌にさらにイノデ生態種の雄を交配して、イノデのみに産卵、摂食するF2雌を分離することに成功し、生態種形成の実験的再現の可能性を強く示唆した。
著者
持田 大輔
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、日本列島出土の朝鮮半島・中国系の金属器-とくに装飾付大刀・銅鋺・銅鏡の変遷について整理し、それら遺物が受容される過程について検討した。結果、各時期の東アジア国際情勢を反映しながら威儀具的性格を有する金属器が日本列島で製作され、古代国家成立過程においてとりこまれていく過程の一端が明らかになった。
著者
大野 和朗
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

農薬に高度の抵抗性を発達させたアザミウマ類の捕食性天敵であるヒメハナカメムシ類の生存や繁殖にオクラの分泌物である真珠体が重要な働きをすること、露地ナス圃場にオクラを植栽することで、ヒメハナカメムシ類等の天敵ほ働きが安定することを、世界で初めて明らかにした。室内実験により、真珠体そのものは動物質餌と同等の効果はないが、補助的な餌として、動物質餌が少ないとき、天敵の幼虫の体サイズが小さく、餌を捕獲できないときに、天敵の生存を高め、結果的に天敵個体群の持続性の向上につながると考えられた。圃場調査から、ナス上で餌昆虫(アザミウマ)がいなくなっても、ヒメハナカメムシ類の発生は続くことが明らかになった。
著者
伊勢 晃 三好 郁朗 佐藤 文郎 伊藤 洋司 辻野 稔哉 森田 いく子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は、ベル・エポック期におけるフランス・モダニズムの諸相を明確にし、詳細な校注、解説を含むアポリネールの文芸評論の全訳を作成することを目標とし、研究を推進してきた。その結果、翻訳の下訳作業はほぼ完成し、フランスでの調査と資料収集によって、基礎的資料の整備を終えた。今後は平成24年度科学研究費補助金研究(基盤研究C)「20世紀初頭のフランス文芸思潮におけるモダニズムの形成と展開に関する実証的研究」(課題番号: 24520374、研究代表者:伊勢晃)に研究を引き継ぎ、さらに広範な調査を行い、出版物の形で成果を公開したい。
著者
岩田 和子
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

占代オリエントにおいても誓いは法的領域と宗教的領域の双方に跨る現象であり、様々な場面に見られる。重要な文献資料であるアッカド語の「エサルハドン誓約文書」とその関連文書を原文に即して研究することにより、当時の誓いのあり方を明らかにした。
著者
高橋 一義
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

レーザ計測による広域の水稲生育モニタリングでは、栽植密度、植付け方向、レーザ走査面の傾きが取得データに及ぼす影響の検討が必要である。本研究では、検討に必要なデータを効率的に取得する小型航空レーザ計測システムを試作した。また、地上実験データから前述した要因の影響を検討した。計測システムを試作したが,取得データに機体動揺の影響が残った。一方、地上実験により、走査面を鉛直から斜めにすることで、群落上部の反射点が多くなった。植被率40%以上では、栽植密度、植付け方向によらず田面が計測されない可能性がある。高い栽植密度の場合、植付け方向の影響を考慮した推定モデルが必要であることが示唆された。
著者
長谷川 正 丹羽 健
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ダイアモンドアンビルセル(DAC)という超高圧発生装置と赤外レーザー加熱(LASER)を組み合わせたシステムによって得られる圧力10~100GPa(1GPa=約1万気圧)および温度2000~4000K程度の"超高圧超高温"の"高活性な希ガス超臨界流体"を利用して,新しい希ガス化合物を創製することを目的とした.常圧で気体として存在する物質をDAC内に高密度に封入する方法として,常圧下で気体を冷却し液化して高密度な物質とし,これをDAC内に充填する方法を選択し,今年度は,まず昨年度に開発したダイアモンドアンビルセル内に液化ガスを充填する装置を改良した.特に,昨年度の実験で問題となった次の2点を改良した.観察系において窓に霜が付着し観察が困難となる.ガス導入パイプから流出する希ガスが過剰に冷却されパイプ内で固化する.これらの問題を解決するために,熱伝導を悪くし霜の付着を妨げるために,窓の部分に断熱材を挟んだ.さらに,霜を溶かした際に,水滴が排出されやすくするために,窓の淵の二箇所に切り込みを入れた.また,DACセルにサーマルアンカを取り付けて,ガス導入管パイプのサーマルアンカは外した.充填時にセル下部は上下方向に移動するため,DACセルに取り付けるサーマルアンカはこれを考慮して設計・改良・設置した.さらに,セルとサーマルアンカの接触を良くするために,薄いアルミニウム箔を敷いた.上記の改良の結果,希ガスの液化を容易に達成することができ,新しい希ガス化合物の物質探索が容易になった.研究終了直前に改良に成功し希ガス充填までたどり着けたが,新物質の創製は今後の課題として残された.しかしながら,本研究課題の最も重要な物質創製装置の開発には成功したため,今後新しい希ガス化合物が創製されることは十分に期待できる.
著者
寺村 泰 山崎 志郎 西野 肇 日向 祥子 小野塚 知二 松田 紀子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、業種ごとに市場のコーディネートが多様な形態で行われてきたことを資料に基づき実証するとともに、国際比較を踏まえて日本における市場のコーディネーションに関する特質を解明するものである。第一に、日本国内にある2100の業界団体に対して保存資料に関するアンケート調査を行い、その集計結果および資料リストを冊子にまとめ、研究者に郵送したほか学会において無償配布した。第二に、海外における業界団体等の資料保存体制に関して現地調査を行い、日本における資料保存体制との比較考量を行った。第三に、調査過程で収集した資料に基づいて多様な市場コーディネーションの実態について研究し成果を発表した。
著者
對馬 誠也 南 栄一
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

種子消毒法により、無菌イネ(以下、低表生菌密度イネ、RLEと呼称)の作出に取り組んだ。その結果、3年間の試験から、RLEは通常栽培イネより1/10000以下の菌密度であり、RLEの研究用素材としての実用化が可能と考えられた。本成果は、マイクロアレイでイネ遺伝子発現を調べるにあたり、従来考慮されなかった「植物生息微生物ノイズ」を大幅に除去した「高精度のイネ遺伝子発現解析」を可能にすると考える。昨年に続き、RLEと普通栽培イネのマイクロアレイ解析を実施した。発現の違いに関する解析では、昨年同様に各遺伝子発現レベルで2-fold upしたものを選抜して解析に供試した。その結果、低表生菌密度イネではDNAの複製と修復、たんぱく質の合成・加工・輸送に関与する遺伝子群がより多く発現していることが明らかになった。
著者
田越 秀行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

コンパクト連星合体重力波をレーザー干渉計重力波検出器ネットワークで検出する場合のパラメータ決定精度を調べた.その結果,ショートガンマ線バーストに付随する連星合体重力波が検出できた場合には,高次変調モードを取り入れた理論波形を用いて解析することで,連星の軌道傾斜角を3度から7度の精度で決定できることが分かった.また,ブラックホール周りの赤道面上に円状の回転リングがある場合に生じる重力場の摂動を,Teukolsky方程式とCCK形式によって計算し,CCK形式を用いて具体的に重力場を求める際の問題点について有用な知見を得た.
著者
石原 俊
出版者
明治学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、アジア太平洋戦争中の小笠原諸島(父島・母島および周辺の島々)および硫黄諸島(火山列島)において強制疎開の対象となり(ただし住民の一部は現地で軍務動員)、敗戦後も故郷喪失状態に置かれ続けた人びとが、自分たちの置かれたディアスポラ状況にどのように対応してきたのかを、文献資料調査とインタビュー調査に基づいて、歴史社会学的観点から検討した。
著者
木村 逸郎 夏 宗ほあん 包 尚聯 伊藤 秋男 秦 和夫 今西 信嗣 XIA Zonghuang 包 尚聨 張 国輝 趙 子強 王 宇鋼 施 兆民 唐 国有 陳 金象 韋 倫存 今井 誠 神野 郁夫 高木 郁二 金 長文
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

最近粒子ビーム(中性子や荷電粒子のビーム)を用いた材料科学研究の進展は著しい。京都大学と北京大学は、いずれもこれらの先駆的な研究を進めているが、ここに大学間協定に基づいて研究協力を強化推進し、一層の高度化とさらに新しい分野への発展の基礎を築くことができた。本研究を通じ、京都大学から北京大学へ延べ8名の班員を派遣し、最近の研究の紹介を介して討論するとともに、実験の現場でも議論した。一方、北京大学から京都大学へ延べ8名の班員を招へいし、先方の研究成果について紹介してもらい、それについて討論した。さらに一部の班員はやや長く滞在して実験に参加させ、他の班員は京都大学の研究用原子炉や加速器において進行中の関連研究を見せ、現場でいろいろと議論した。やや具体的なテーマについての成果は次のとおりである。1.両大学で進行中の中性子ビーム利用研究では、まず核分裂過程の機構解明に関連し、核分裂即発中性子の測定法と測定結果、解析モデルと解析結果を比較し、共通点を見出した。また、中性子の非弾性散乱や荷電粒子放出の測定に関連し、データを比較検討した。さらに、中性子の新しい利用とくに医療利用についても議論を深めることができ、今後の協力が期待される。2.加速器による重イオンビームの利用については、両大学とも盛んに実験研究が進められているため論議が噛み合う所が多かった。なかでも、クラスターイオンの発生と利用、イオンビームによる表面分析、イオンビームによる新機能性材料の開発において、相互の実験手法を現場で詳しく見た上で議論し、ときには改善法を示唆したりもした。また北京大学の班員を京都大学での実験に直接参加させたことも実質的な協力として有意義であった。これらを通じ、今後のより実質的な協力の芽が育ったといえる。
著者
岡本 浩二
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

【平成21年度】マイトファジー・タンパク質Atg32とAtg8およびAtg11との相互作用の解析1. Atg32のドメイン解析マイトファジーに必須なタンパク質Atg32の膜貫通型タンパク質のトポロジー、マイトファジーに働くドメイン、ミトコンドリア標的化シグナル等を、生化学的アッセイ、蛍光顕微鏡観察等の手法により解析した結果、Atg32はN末端側のドメインを細胞質側に露出したトポロジーをとること、C末端近傍の膜貫通ドメインとC末端側ドメインがミトコンドリア標的化に必要であることがわかった。また、マイトファジー活性には、細胞質側ドメインが必要かつ十分であることが示唆された。2. タンパク質間相互作用を特異的に破壊するatg32, atg8およびatg11変異の単の離と変異タンパク質の機能能解析部位特異的変異導入法と免疫共沈降アッセイにより、Atg32-Atg11のタンパク質間相互作用が特異的に阻害されたatg32の変異を単離した。この変異タンパク質を発現した細胞では、マイトファジーが顕著に抑制されることから、Atg32-Atg11間相互作用がAtg32の機能発現に重要であることが示唆される。
著者
渡辺 伸治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は,ダイクシスの観点から日独語のフィクションの考察をおこなうことであったが,具体的には,ダイクシス(表現)の体系の構築とそれに基づいたフィクションの考察をおこなった。ダイクシス(表現)の体系は次のような分類として提示された。すなわち,ダイクシス表現の観点から記述すると,まず,ダイクシス表現は,指示ダイクシス表現と非指示ダイクシス表現に分類された。前者は,「私」,「今」などの発話場面同定依存ダイクシス表現と,「あそこ」などの非言語的指示行為依存指示ダイクシス表現に下位分類された。後者は,「行く/来る」,「たい」などの使用条件非指示ダイクシス表現と,モダリティ表現と感動詞などの意味解釈非指示ダイクシス表現に下位分類された。続いて,ダイクシス(表現)の体系に基づき,日本語が原文のフィクションの構成要素がどの様に分類されるか考察された。まず,語り手モダリティ文と登場人物モダリティ文が分類された。前者は登場人物非内省的意識文と地の文に下位分類され,後者は発話文と内省的意識描写文に下位分類された。また,登場人物非内省的意識文は登場人物知覚文と登場人物感情文に下位分類され,内省的意識描写文は自由間接話法と自由直接話法に下位分類された。また,分類と同時に,問題になったダイクシス表現が独訳ではどの様に訳されているかが考察された。
著者
濱本 卓司 倉田 成人 猿渡 俊介
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

都市における想定外事象の発生に備え,事前対策として原因分析や予知・予測に必要な基礎データを提供し,事後対策として避難誘導,安否確認,救助・救援活動を支援する建築群のネットワーク異常検知システム構築に関する実証的研究を行った。厳しい環境の下で建築群が崩壊過程にある長崎県軍艦島を検証の場として選び,映像・音声・振動のセンサデータを総合的に利用して想定外事象の発生を検知し,建築群の非線形挙動を追跡して損傷から崩壊への進行を監視する視聴触統合センシングシステムを実装した。現地におけるシステム構築により得られた新たな発見と経験的知見に基づき,システム改善のための今後の課題を明らかにした。