著者
飯田 真琴 青木 諒 望月 龍輝 奥村 天翔
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

Ⅰ 研究概要<目的> 伊豆半島には柱状節理が多く存在する。貴重な地質遺産である柱状節理を統計的に解析することで柱状節理の成因、形成状況を解析するために本研究を行った。<既存成果>昨年は、比較的厚い溶岩やマグマ中にできた柱状節理を対象に研究を行い、柱状節理の角数が、冷却速度の均一さと相関があると結論付けた。Ⅱ 実験、結果及び考察1 浮島柱状節理〈方法〉 伊豆半島にある浮島海岸の柱状節理に対して、ドローンを用いて空中写真を撮影、ソフトを用いて3Dデータ、オルソ画像を作成した。そこからQGISを用いてオルソ画像の判読を行い、232個の柱状節理のポリゴンデータを手作業で作成し、角数と面積データを収集した。縦軸を全体に対する個数の割合、横軸を角数としてグラフ化し、昨年度の柱状節理のデータと比較した。〈結果〉グラフを分析した結果から、昨年度調査した柱状節理は6角形が一番多いが浮島海岸の柱状節理は5角形が一番多いことが分かった。〈考察〉浮島海岸の柱状節理は薄い岩脈で形成されており冷却環境が悪いことが角数分布のばらつきに由来するのではないかと考えられた。2 海外の柱状節理データの収集、解析〈概要〉 海外の文献から世界の様々な柱状節理の角数分布に関するデータを収集し、グラフにまとめ、国内の柱状節理との相関を調べた。〈結果〉文献からBurntisland dykeが薄い岩脈にできた柱状節理で、その他は厚い岩体にできた柱状節理であることが判明した。また、国内・海外の柱状節理の角数分布をグラフにまとめ分析した結果、比較的厚みのある岩体にできた柱状節理は6角形が一番多く、岩脈の薄いBurntisland dykeや浮島海岸は角数にばらつきがあることが分かった。〈考察〉Burntisland dykeと浮島海岸の角数のばらつきは、薄い岩脈でできており冷却環境が悪かったことに由来するのではないかと考えた。3 片栗粉実験〈方法〉 粉体と流体の混合物が乾燥し収縮するとき、溶岩が冷却され体積が収縮するときと同様に、核が形成され柱状節理となる。そこで、以下の手順で実験を行った。水と片栗粉の混合物をプラスチック製容器に入れ乾燥させ人工的な柱状節理を作成。今回は片栗粉水溶液を乾燥させる段階で白熱電球を使用し、温度勾配をつけるために白熱電球を置く位置を三つのケースに分けて実験した。電球を容器の端に置いた場合電球を容器の中央に置いた場合インキュベータで均一に加熱した場合サーモグラフィーカメラを用いて温度勾配ができていることを確認形成される片栗粉柱状節理を手作業でボロノイ分割によってデータ化面積、角数、熱源からの距離などのデータを収集しグラフにまとめ分析〈結果〉データと作成したグラフを分析した結果、どの条件下でも全体の割合として6角形の度数が大きいと分かった。一方、温度勾配の大きい場所に着目すると、不均一に加熱した試料は熱源に近いところほど面積が大きくなり、ある一定のところまで離れると熱の影響が少なくなり、均一に加熱した柱状節理と同じようになることが分かった。角数においては、均一に加熱した場合は6角形が突出した傾向があるが、温度勾配を付けた場合では、均一に加熱した場合と比べて5角形と6角形の分布に差がなく、角数のばらつきが大きくなったことが分かった。〈考察〉加熱が均一でなかったことが柱状節理の角数の分布に関係しているのではないかと考えられる。Ⅲ 全体を通しての考察昨年度調査した柱状節理、浮島海岸、海外の柱状節理の統計から、岩体が厚い柱状節理ほど、角数分布にばらつきがなかったため、冷却速度が均一であることが、6角形が多く分布する条件であると考えられた。また、片栗粉実験で、加熱温度に不均一さを持たせた柱状節理には角数にばらつきが生まれたので、上記の考察を再現できることが分かった。さらに、加熱温度に不均一さを持たせることで、面積にばらつきができることも分かった。Ⅳ 結論 柱状節理は厚い岩体ほど6角形が多く分布し、薄い岩脈では6角形の分布が少なくなり、全体的に角数のばらつきが大きくなる。また、岩体や岩脈の厚さによって冷却温度が不均一になり、面積にもばらつきが生じる。Ⅴ 参考文献・1、水口 毅、地形現象のモデリング海底から地球外天体まで 第9章 柱状節理 —— 火成岩の亀裂とそのモデル実験、名古屋大学出版会,2017 ・2、Paul Budkewitsch and Pierre-Yves Robin、Modelling the evolution of columnar joints、Journal of Volcanology and Geothermal ResearchVolume 59, Issue 3, January 1994, Pages 219-239・3、鈴木淑夫,岩石学辞書,朝倉書店,2005
著者
堀内 正樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.25-41, 2000 (Released:2018-05-29)

クリフォード・ギアツの著書に有名な 『Islam Observed』がある。視覚を通してイスラームを理解するということだろうか。しかし本稿では、見たり見られたりするイスラームではなく、聞いたり話したり呼びかけたりするイスラームがあって、その方が現実感があると考える。モロッコにおいてイスラームが提供する音には,コーランの詠唱に始まり,祈りの呼びかけ,預言者賛歌,神学のテクストの詠唱,神秘主義教団の祈祷句,憑依儀礼の音楽など様々なものがある 。一方 「音楽」の諸ジャンル,たとえば古典音楽,民俗歌舞,商業音楽などにも宗教的な要素が深く浸透している 。宗教音はこうした個々の音のジャンルを乗り超えて柔軟に結び合わされ,全体として人々に感覚としてのイスラームを提供しているように思う 。その感覚の統合化に機能する音の特徴として,本稿では「脱分節性」という概念を提起する 。この特徴は意味の分節化を抑制する機能を持ち,結果として特定の意味ジャンルを越え出て,それらを相互に結び付けることを可能にする。従来のイスラーム社会の分類方法の主流を占めてきた「正統イスラーム」対「スーフイズム」, あるいは「学究的イスラーム」対「土着信仰」といった視覚的な分類枠もこうした音文化分析によって組み替えることが出来るのではないか,という可能性を示してみたい 。
著者
長南 浩人
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.417-426, 2001
被引用文献数
2 2

本研究は, ろう学校高等部の生徒35人を被験者として日本手話・中間型手話・日本語対応手話の構造の違いが手話表現の理解に与える影響を, 被験者の手話能力と日本語能力という2つの要因から検討したものである。理解テストは, 被験者が, 日本手話, 中間型手話, 日本語対応手話を見て, それぞれと意味的に等価な絵をワークシートから選択するという方法で行われた。その結果, 手話能力と日本語能力が共に高いGG群は, 理解テストにおいて日本手話, 日本語対応手話のどちらでも高い得点を示し, 手話能力が高く日本語能力が低いGP群は, 日本手話でのみ高い得点を示し, 手話能力が低く日本語能力が高いPG群は, 日本語対応手話でのみ高い得点を示し, 手話能力と日本語能力が共に低いPP群は, いずれの手話表現でも低い得点を示したというものであった。このことから, ろう学校高等部の生徒が理解しやすい手話の種類には個人差があることが分かった。また, 中間型手話はどの被験者にとっても理解が難しい表現方法であることが分かった。
著者
田中 貴章 杉田 裕次郎 白沢 竜馬 亀沢 健太 東 剛秀 松下 翔太 小田 健太郎 下園 幸一 山之上 卓
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成23年度電気関係学会九州支部連合大会(第64回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.513, 2011-09-26 (Released:2013-03-05)

本研究では,スマートフォンが持つ加速度センサを利用し端末の移動距離を算出することで,スマートフォンを3次元モデリングツールとして利用可能にする事を目的とする.移動距離の算出は加速度センサの値を積分することで行う.しかし加速度センサの値には重力加速度の値も含まれるため重力加速度の影響を取り除かねばならない為,本研究ではまず,重力加速度が移動距離の算出にどの程度影響するかを調べる為の実験を行なった.実験の結果,重力加速度の盈虚を取り除くことで移動距離の相対誤差を30%まで抑えることが可能だと分かった.今度の課題は,センサキャリブレーション,重力加速度を性格に取り除くシステムの構築をすることである.
著者
石飛 太一 飯田 弘之
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.126-131, 2015-10-30

探索中に得られた情報を探索以外の目的に利用することはときに有効であると考えられる.本研究では,証明数探索で求められた証明数・反証数および探索ノード数を詰め将棋コンクールにおける順位と比較し,これらの探索指標をパズル問題の感性評価のために用いる.これらの探索指標はパズル問題において難易度を表すことを確認し,コンクールの順位付けと難易度には密接な関係があることがわかった.
著者
長崎 栄三
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.302-313, 2003-09-30 (Released:2007-12-27)

Mathematical academic abilities and mathematical literacy is considered from the Japanese and international context. On considering academic abilities and literacy, a framework that grasps those is discussed. There is an ambiguity of the words, 'academic abilities' and 'literacy'. As a measure for overcoming the ambiguity, three levels of curriculum that was proposed by the International Association for the Evaluation of Educational Achievement -IEA- is recommended to use: intended curriculum, implemented curriculum and attained curriculum. Firstly, the change of mathematical academic abilities and mathematical literacy since the Meiji era is summarized focusing on educational objectives and objectives for evaluation of primary and secondary mathematics education. Mathematical academic abilities and mathematical literacy in the Meiji era were composed of computational skills as substantial discipline and spiritual training as formal discipline. Through the scientific spirits by Kinnosuke Ogura and the mathematical considering or methods by Ryoichiro Sato in Taisho era and the mathematical thought by Naomichi Shiono in the beginning of Showa era, ways of mathematical thinking has been aimed after the war and enjoyment of mathematical activities is currently added as objectives. Mathematical literacy has been advocated since the 1980's by a group of Japanese mathematicians with upper secondary and university mathematics education in mind. Next, it is revealed based on the Japanese situation that mathematical academic abilities and mathematical literacy are different as views on mathematics education are different. Mathematics, education and mathematics education have their own views on such, and different abilities and literacy are identified based on the three views. In views on mathematics education by mathematics or education, objectives for its education tend to acauire mathematics knowledge and skills. ln view on mathematics education by such, objectives for mathematics education are to foster abilities and attitudes to think mathematically. It has its view of learning that children create their own. They are also discussed in other countries. In some countries, standards on mathematics processes as well as standards on mathematics contents are set. In the standards on the processes of such, representation, reasoning, communication, connection and problem solving are included. With reference to these discussions mentioned above, methodology for constructing mathematical academic abilities is described based on the view of mathematics education as follows: structuralizing mathematical academic abilities as objectives, systematizing instruction to foster it and concretizing evaluation of mathematical academic abilities. Finally, both content aspects and cognitive/affective aspects are proposed as mathematical academic abilities. bearing both children's growth and social development in mind. Regarding on mathematics content aspect, mathematics expressions and mathematics proof are included. Five strands of cognitive/affective aspects: 'understanding', 'processing', 'thinking', 'using' and 'enjoying' are proposed to foster mathematical academic abilities through learning the content. As future tasks, empirical research on mathematical academic abilities bearing educational values in mind and teacher education are presented.
著者
飯田 穀
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

本研究では,急速に発達する温帯低気圧である爆弾低気圧の中にも,その中でも激しい発達を見せる爆弾低気圧と爆弾低気圧であることが確認できる最低限の発達を見せる爆弾低気圧と双方が存在することに注目し,爆弾低気圧でありながらその中でも激しい発達を示す爆弾低気圧はどのような条件下においてそのような激しい発達を示しうるのかということを調べた.第一に,JAMSTEC(海洋研究機構)の示していた,黒潮の存在が爆弾低気圧の発達を助けるという研究結果を参考に,暖流である黒潮がもたらす暖気と爆弾低気圧の最盛期である冬季の北方からの寒気によって生み出される寒気と暖気の温度差が爆弾低気圧をより発達させているということ,またその際にエルニーニョ現象が発生していると,日本近海の冬季の海水温が上昇し黒潮がもたらす暖気との温度差が縮小することによって黒潮付近に特に急速な発達を見せた爆弾低気圧が集合するという傾向が弱まるということが分かった. 第二に,爆弾低気圧を発達させる要因となる,海面から大気中へ放出されるエネルギー量の指標となる海面フラックスというデータに注目し,爆弾低気圧は自身の発達による大きな風速によって周囲の海面の海面フラックスの値を上げ(すなわちエネルギーをより多く大気中に放出させ),そのエネルギーを受け取って更なる発達を示すということが分かった.
著者
青柳 優
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.426-439, 2009 (Released:2010-12-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

聴性定常反応 (auditory steady-state responce: ASSR) の歴史, 刺激音, 解析法, 起源, および臨床応用について述べた。他覚的聴力検査におけるASSRの最も重要な利点は, 正弦波的振幅変調音を用いた場合, オージオグラムの各周波数において周波数特異性の高い閾値を得ることができることである。正弦波状のその反応波形から, ASSRは高速フーリエ変換を用いたパワースペクトル解析やphase coherence法による閾値の自動解析に適している。ASSRの反応出現性は覚醒・睡眠により変化するので, 40Hz ASSRは覚醒時の成人, 80Hz ASSRは睡眠時の幼児における聴力検査に適している。それらの反応の起源については, 40Hz ASSRは聴性中間潜時反応 (MLR) の, また80Hz ASSRは聴性脳幹反応 (ABR) のsteady-state versionと考えられている。骨導ASSRは60dB以上の音圧においては信頼性は低いが, 伝音難聴の診断に有用である。80Hz ASSR閾値により500Hz以下の周波数の聴力レベルを評価することの難しさは, 聴覚フィルタによって説明できる。Multiple simultaneous stimulation techniqueを用いることによって両耳において4つの異なる周波数の聴力をABRより短い検査時間で評価することができる。さらにクリックによるASSRは新生児聴覚スクリーニングをより速く行うことができるであろう。音圧を連続的にsweepさせる刺激音 (sweep technique) によるASSRは補充現象の評価に, また音声刺激によるASSRは語音弁別能の評価に有用であると考えられる。これらのことからASSRは幼児や乳幼児における補聴器の他覚的フィッティングに役立つ。
著者
武村 俊介 矢部 優 江本 賢太郎
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

DONETやS-netといった海底地震計ネットワークの登場により、浅部スロー地震を含む海域の規模の小さな地震現象も多数捉えられ、基礎的な解析が進んでいる(例えば、Nakano et al., 2015, 2018; Nishikawa et al., 2019; Tanaka et al., 2019; Yabe et al., 2019)。しかし、それらの研究の多くは1次元構造による解析が主であり、海洋堆積物、海水や短波長構造の影響は考慮されておらず、不正確な震源パラメータが推定されている可能性を排除しきれない。本研究では、現実的な3次元地下構造モデルを用いて地震動シミュレーションを行い、海底地震計記録に含まれる海洋堆積物、海水や短波長構造の影響を評価し、震源パラメータ推定への影響を明らかにすることを目的とする。紀伊半島南東沖に展開されたDONET観測点を含む120x82.5x45 km3の領域を0.015 km格子で離散化し、OpenSWPC(Maeda et al., 2017)を用いて地震動シミュレーションを実施した。3次元地下構造モデルは、地震基盤以深についてKoketsu et al. (2012)を採用した。付加体内のS波速度構造モデルは、Tonegawa et al. (2017)による1次元S波構造モデルを5層モデルで近似し、各層の深さをGMT surfaceにより内挿および外挿し、3次元付加体構造モデルを構築した。最小S波速度を0.5 km/sとし、5Hz以下の地震動伝播を評価した。ここでは、浅部超低周波地震のCMT解(Takemura et al., 2019)を用い、0.2秒の三角関数を震源時間関数とすることで、浅部低周波微動の震源とした。通常の地震については、それらと近い位置で推定されたCMT解を参照し、同じ震源時間関数を仮定した。計算結果に1-5 Hzのバンドパスフィルターをかけ、RMSエンベロープを合成し、その様子を調べた。0.2秒の震源パルスであったにも関わらず、地震動シミュレーションにより得られたDONET観測点のエンベロープのS波継続時間は、震央距離10 kmを超えると10秒以上と長い。低速度な付加体にS波がトラップされたことで、継続時間が長大化したと考えられる。さらに、S波の継続時間は距離の増大に伴い増加する傾向にあり、例えばYabe et al. (2019)のように、これらのエンベロープの半値幅をそのまま震源の破壊継続時間と解釈すると過大評価となる場合がある。特に浅部低周波微動の場合、3次元不均質構造を考慮した解析、あるいは観測点を吟味して解析することが重要である。謝辞 F-netとDONETの観測記録(https://doi.org/10.17598/NIED.0005, https://doi.org/10.17598/NIED.0008)を利用しました。海洋研究開発機構の地球シミュレータを用いて地震動シミュレーションを行いました。本研究は、JSPS科研費19H04626の助成を受けて実施されました。
著者
市古 太郎 馬場 俊介
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.173-182, 1994-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

In Nagoya by both of land readjustment introduced by 1919 Town Planning act. and land consolidation carried out until then good residential area in the suburbs were builded in cooperation with land owners and planners. The style of this development is even unequal and ideal, but in practically there were not so a lot of area which had been completed with the original policy.The following three points have considered in this paper. First; development policy is arranged. Second; weakpoints involved the policy and factors prevented from realization are pointed out. Third; plans realized finally is considered in addition to knowledge given by present circumstances.
著者
亀田 徹 伊坂 晃 藤田 正人 路 昭遠 一本木 邦治
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.903-915, 2013-11-15 (Released:2014-01-07)
参考文献数
75

救急室や集中治療室で超音波検査(ultrasonography: US)は手軽に利用できるようになり,循環動態の評価のため焦点を絞ったUSによる下大静脈(inferior vena cava: IVC)の観察が広く行われるようになってきた。USによるIVC径(IVC diameter: IVCD)の計測では,IVCDに影響を及ぼす因子を事前に理解しておくことが大切である。患者の状態が安定していれば,体位は通常仰臥位にするが,症例により左側臥位による再評価が推奨される。呼吸はsniff(鼻をすする動作)が適切である。計測部位は一般に肝下面で右房入口部から0.5-3cm程度の位置とする。IVCの縦断像でIVCDを計測するが,事前に横断像で形態を確認しておくことは有用である。表示としてBモードもしくはMモードを選択するが,それぞれのモードの特性を考慮して利用する。IVCDの実測の代用として目測による評価も有用で,素早く施行可能なことからとくに重症患者において利用価値が高い。これまで日常臨床ではIVCDとその呼吸性変動の組み合せで右房圧の推定が行われてきたが,近年欧米ではその推定規準が見直された。またIVCDやその呼吸性変動を指標にすれば,非代償性心不全の診断や水分管理,初期蘇生における循環血液量減少の評価,人工呼吸中の輸液反応性の評価にも有用であるという報告がなされている。急性期診療において焦点を絞ったUSによるIVCの観察を加えることで,より非侵襲的で正確な輸液管理が可能になるかもしれないが,その確証を得るには今後標準化された計測方法と評価基準を用いた臨床研究が必要となる。
著者
杉山 博信 陳 友晴
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.135, no.10, pp.89-93, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
24

12CaO・7Al2O3 electride is one of the outstanding materials expected to be applied in various fields such as electronics and catalyst, and generally fabricated by sintering high purity CaCO3 and Al2O3. We attempted to fabricate 12CaO・7Al2O3 electride using limestone as a raw material instead of using high purity CaCO3 aiming at further industrial use, and investigated the gas adsorption properties of the fabricated samples. Three samples, two from limestone and one from high purity CaCO3, were prepared and exposed to the atmosphere for about 9 hours, and then the gas adsorption properties of them were analyzed by Py-GC/MS. As a result, desorption of N2 and O2 which are abundant in the atmosphere was not observed by heating the samples exposed to the atmosphere up to 700℃, while desorption of CO and CH4 was identified. It is implied that the desorbed CO originates from CO2 in the atmosphere. This result indicates these samples might selectively adsorb CO2 and CH4 as compared with N2 and O2. Furthermore, for the limestone derived samples, the selectivity of CO2 and CH4 adsorption was improved and this result indicated the possibility that the CO2 adsorption capacity of these samples is higher than that made from high purity CaCO3. One reason of this phenomena is inferred the changes in the electronic state of material surfaces due to the doping of impurities contained in limestones, such as Mg, Sr, and Cu, into the Ca sites of the cage-like structure in 12CaO・7Al2O3 electride.
著者
生野 達也 奥埜 博之 信迫 悟志 川見 清豪 山田 真澄 塚本 芳久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B3P3285, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】Pusher現象は、リハビリテーションの主要な阻害因子の一つである.KarnathらはPusher現象について、開眼時の視覚的垂直認知(以下SVV)はほぼ鉛直であるが閉眼時の身体的垂直認知(以下SPV)が健側へ偏倚していると報告しており、感覚モダリティによって垂直認知が異なることを示した.治療は、視覚を用いたSVVに関する報告は多いが、体性感覚を用いたSPVに関する報告は少ない.今回、閉眼時のSPVが健側へ偏倚している症例に対して、体性感覚を用いた治療アプローチを行ったので報告する.【自己身体の垂直性を認知する過程と観察の視点】1.注意を向けることによってはじめて体性感覚野の再組織化が起こる(Recanzone).2.身体の左右両側に受容野をもつニューロンが存在し身体正中部の情報を収集する(Iwamura).3.体性感覚と視覚を統合して空間内における身体像を符号化する(Iwamura).以上の知見より、SPVには患側の体性感覚に注意を向けて認知する能力と、左右の体性感覚を比較照合する能力について評価・観察することが不可欠である.【症例紹介】60歳代(女性) 診断名:脳梗塞(H20.8.2発症) 障害名:左片麻痺、左半側空間無視、注意障害 Pusher重症度分類:6.端座位ではPusher現象あり中等度介助レベル.開眼時のSVVはほぼ鉛直.閉眼時のSPVは健側へ偏倚.表在・深部感覚は重度鈍麻しているが、右側の触・圧覚に注意を向けた後であれば左側での識別が若干改善する.なお、本発表は症例の同意を得て行った.【病態解釈と訓練】本症例は、左上下肢の深部感覚に加え、左側殿部・足底部の触・圧覚を十分に細かく認知することが困難であり、左右からの体性感覚情報の収集に問題が生じた結果、SPVが変質したと考えた.訓練は、体性感覚の左右比較の基準を作ることを目的に、まず硬度の異なるスポンジを用いて右側殿部・足底部で触・圧覚に注意を向けた後に、左側殿部・足底部で硬度の異なるスポンジの認識する課題を通じて触・圧覚を弁別する課題を行った.左側触・圧覚の認知が可能になると共に左右比較を行った.前述の課題を通じて閉眼座位でSPVの偏倚が修正された後に、SVVとSPVを比較照合する課題を行った.【結果および考察】訓練一回毎の前後で変化が認められた.左側触・圧覚の認知が向上すると共に閉眼時のSPVは鉛直へと変化した.左半側空間無視・注意障害:軽減、Pusher重症度分類:2.端座位見守りレベル.SVVとSPVはほぼ一致した.注意を向ければ触・圧覚の左右比較が可能.本症例は感覚鈍麻に加え、左側殿部・足底部の触・圧覚に注意が向かずSPVが偏倚していた.体性感覚に注意を向け、必要な情報を選択できるようになり、左側殿部・足底部の触・圧覚の認知が可能になると共にSPVが再構築されたと考えた.