著者
岡田 三津子 櫻井 陽子 鈴木 孝庸
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、宴曲詞章の検討を通して、中世における道行文の形成と展開に関わる基礎的考察を行った。以下に、三点に分けて考察の結果を述べる。第一に、宴曲譜本のすべてを網羅することを目指して、室町期の譜本を中心とした文献調査を行った。そこでは、江戸時代の能役者が宴曲譜本を収集していたことなどを明らかにした。第二に、宴曲詞章の文学史的影響について検討し、論考を書いた。最後に、特別研究会を開催した。そこでは多くの研究者が宴曲詞章を検討する場を提供することができた。今後の課題は、これまでの成果を踏まえ宴曲に特徴的な用字の訓例索引を作成することである。さらに、用字の相違に注目した校訂本文作成を目指す。
著者
許 雷
出版者
東北工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

建物情報モデリング(BIM)の国際標準仕様であるIndustry Foundation Classes(IFC)に基づいて、建築意匠・設備設計が一体となる建築デジタル環境設計手法を提案した。まず、学生150名を対象として建物使用者・居住者がどのような建築情報を求めているのかをアンケート調査を行い、安全性・安心性、経済性が最も重要視されていることが確認した。次に3次元CAD ソフトArchiCAD を用いて建築のIFCデータを作成し、建物を構成する全ての要素、住所、建物、階情報、建物部位・部材(部屋、壁、スラブ、窓、ドアなど)を解析した。そしてASHRAEの負荷計算方法を参照したで空調負荷計算用建物のIFC情報を解析し、デジタル空調負荷計算ツールを構築した。Accessで作成された建材データベース、外部気象データなどとの連携により、空調負荷、年間エネルギー消費量、環境負荷及び省エネルギー計算を行った。今後では、建材環境性能データベースの改善・充実をしながら、開発した環境設計ツールを更に改良する予定である。
著者
石田 清仁 大沼 郁雄 貝沼 亮介 及川 勝成 山内 清 須藤 祐司 貝沼 亮介 及川 勝成 山内 清 須藤 祐司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

Co基合金の状態図について実験ならびにCalphad法による熱力学解析を行い、Co基熱力学・状態図データベースを世界に先駆けて構築した。このデータベースを基に新しいL1_2化合物γ' 相Co_3(Al, W)を利用したCo基スーパーアロイの合金設計を行い、800℃で10万時間のクリープ推定強度が100MPa以上を期待できる鍛造用合金を開発し、また鋳造合金の応用としてFSW(摩擦撹拌接合)用ツールに適用し、商品化に成功した。また磁性材料としてCo基磁気材料としてCo-W基合金薄膜とCo基ホイスラー合金が磁気記録材およびスピントロニクスとして有望である事を示した。さらに生体材料としてCo-Al基合金のγ (fcc)/β (B2)層状組織を利用したポーラス化を行ない、そのための最適組成、熱処理条件を明らかにした。
著者
橋本 裕行
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、温泉成分中に含まれる塩化ナトリウムに着目し、温泉と遺跡との有機的な関係性を明らかすることを目的として実施した。その結果、日本列島の内陸部に形成された縄文遺跡と温泉源との間には、有機的な関係性を有する事例があることを指摘できた。また、古代における牛馬の飼育と温泉源(化石海水)との間にも同様の事例が存在することを確認した。
著者
豊田 太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,化学物質受容体やイオノフォアとして機能する膜タンパク質が,厚さ5nmの生体膜において如何に構造形成し,機能するかという非平衡系のダイナミクスを計測する手法の開発を目的とした.夾雑物のないモデル生体膜として袋状脂質二分子膜であるジャイアントベシクルに着目し,mRNAから膜タンパク質が合成される反応系の内封法を構築した.蛍光膜タンパク質の一つであるeGFP-BmOR1をGV内部で合成したところ、これが自発的に膜に組み込まれることを明らかにした.一方,厚み方向でナノメートルの分解能をもつ反射干渉顕微鏡を構築した.これにより,基板上に接着したジャイアントベシクル膜の非平衡状態における特異な変形を観測することができた.以上の成果は,生体模倣反応場であるジャイアントベシクルを用いて,膜タンパク質の形成過程や機能発現に分析化学的にアプローチできる要素技術として重要である.
著者
佐久間 尚子
出版者
(財)東京都老人総合研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

年をとると言葉が思い出しにくくなり、しばしばスムーズな会話ができなくなる。こうした加齢にともなう語想起困難のメカニズムがどのようなものかを検討する目的で、健常成人の各年代を対象に、単語を種々の条件下で想起させ、単語の発音までの時間(音読潜時)を指標とした縦断研究(5年間の継時的変化)を行うことを企画した。当初は、視覚刺激が1msec精度で提示でき、音声スイッチによって発音までの時間が計測できるAVタキストスコープを用いて音読潜時を測定しようとした。しかし、5年間の短い期間で健常成人の加齢変化を鋭敏に捉えるには、刺激提示の精度ばかりでなく、音読潜時の正確な測定も必要となる。従来は、発声にともなう音圧が一定レベルを越えた時点を発話開始の時点とみなし、この時間までを音読潜時としてきた。しかし、この方式では、発音の出だしから強い音声が出るものはうまく検出できるが、出だしが弱い音声は開始時点をうまく検出できない可能性があり、問題がある。そこで本研究では、最初に、音読潜時を正確に測定するシステムを作成し、次に、健常成人の実験データを得ることにした。今回は、従来の音声スイッチによる時間計測に加え、その前後の音声を録音し、後で音声解析を行って、正確な音声の開始時点を求める方法を用いた。若年成人10名に、平仮名1文字の音読潜時を求めたところ、出だしから強い音声が出る母音(あいうえお)は、音声スイッチと実際の発話潜時との差が平均20msec以内になるのに対し、出だしが弱い摩擦音(例:さしすせそ)はその差が平均100msec以上となり、音声の種類によって音読潜時が変わることが明らかとなった。以上より、単語の音読潜時を指標とする場合は、条件間で語頭をそろえる必要性が確認されたので、現在までに語頭を揃えた種々の刺激リストを用意した。今後は、各年代の健常成人を対象とした音読実験を行い、5年間の継時的変化を検討する予定である。
著者
鈴木 康子
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の第一の課題は、近世の幕府による対外政策の推移を、長崎奉行の職掌の変化や、就任者の傾向を分析することにより明らかにすることであった。これについては、『長崎奉行の研究』(思文閣出版、2007)により明らかにした。特に注目すべき点は、(1)近世初期の長崎奉行とその職掌これについては、さまざまな論考を紹介しつつ、重要な職掌としてはキリシタン取締、貿易統制にあったとした。そして、この段階において、長崎奉行の地位は低く抑えられており、幕府直轄領の長官として政治的な役割が重視されていた。(2)貞享〜元禄長崎奉行制度の変化1685年に御定高制度が設立さ…れ、それに多大な貢献をした川口摂津守の活躍により長崎奉行の地位は、90年代に上昇してゆく。一:方その背景には、幕府財政が窮乏してきたため、長崎貿易からの利潤をを収公しようとする幕府の思惑も働いていた。これにより、幕府は外国貿易を評価するようになり、これに伴い近世初期から根強くあった幕府の外国(人)蔑視に変化が見られた。それと同様に、長崎奉行職の重要性も認識されるようになった。(3)長崎目付創設1715年の正徳新例制定時に長崎目付も創設された。これ以後享保期においては、長崎目付経験者が長崎奉行に就任する事例が多くなった。これは、一面長崎地下人の統制に幕府が目を向けるようになったためである。(4)元文〜天明期までの長崎奉行就任者の傾向1732年に享保の大飢饉が起こり、長崎貿易も停滞:した。それを打開するために1736年に、それまで勘定所関係役職を歴任してきた萩原伯看守が長崎奉行に着任した。これ以後、長崎奉行就任者は、勘定所と緊密に関わる者が就任する傾向が見られるようになった。その中で、寛延〜宝暦初期には松浦河内守、宝暦後期〜明和期には石谷備後守が勘定奉行と長崎奉行を兼職して、長崎貿易改革を実施した。この時期、長崎奉行は急速に経済官僚化して勘定所との関係を深めてゆく。そして近世初期のキリシタン取締から、幕府財政を支える長崎貿易の管理者として、貿易から最大の利潤を幕府に収公させること:が重要な職務となったのである。本研究の第二の課題は、オランダ東インド会社による対日貿易政策であるが、2回にわたってオランダのライデン大学とハーグ国立公文書館において、関係文献、史料の収集に努めた。また、東京大学史料編纂所に所蔵されている「日本商館文書」のマイクロフィルムも複写した。これにより、今後18世紀を中心としたオランダ側の対日貿易政策の推移と、その背景としてのアジア・ヨーロッパ市場の動向を分析する予定である。
著者
汐崎 順子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

戦後の日本における公立図書館の児童サービスの動きと,関連する諸要素の動きの調査・研究等から,1)児童サービスの発展には人的要素の影響が大きかったこと,公立図書館全体の流れと異なる独自の動きがあったことを明らかにした。2)児童図書館員の教育体制,職の機会について米国との相違を明らかにした。3)公立図書館の利用が,子ども時代の読書の外的要因となることを実証的に示した。4)児童書の出版と文庫の動き,および両者と児童サービスとの関係を検証した。
著者
会見 忠則
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

毒きのこ等難栽培性きのこ栽培のための基盤技術開発のために,ツキヨタケの人工栽培を確立すると共に,その毒成分であるイルジンSが,子実体で濃縮されると同時に,抗線虫活性を有し,自然界での生存戦略に寄与していた.ニガクリタケの人工栽培では,菌糸蔓延後,放置したままでは,原基形成までしかできないが,ガス交換により,子実体を発生させることができた.その他に,鳥取大学農学部及び同附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有の42種62株(腐生菌20種40株,毒きのこ4種11株,食毒不明22種22株)を用いた栽培試験を行い,22菌株で,良好な菌糸蔓延が観察でき,その内,1菌株で,子実体が発生させることができた.
著者
石井 正子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、フィリピン南部の紛争アクターのうち、1)モロイスラム解放戦線(MILF)、2)モロ民族解放戦線(MNLF)EC15派、3)MNLFミスワリ派の3つに注目し、主に関係者へのインタビュー調査を通じて、その動向を分析した。MNLFと政府との和平合意の行方が混迷するなか、MILFは支持者を増やし、MNLFは分裂弱体化している実態が理解できた。一方、MILFも政府との和平交渉が進まないなか、支持者の裾野は広げつつも、内部に意見相違があることが分かった。これらの研究調査により、紛争が長期化する原因について理解を深めた。
著者
山下 則子 武井 協三
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

当該科学研究費補助金によって得られた研究成果は、以下の通りである。1.様々な文芸に表れた「やつし」と「見立て」の用法について研究した。特に江戸時代の文学作品や演劇資料に表れた「やっし」と「見立て」の用例について調べ、時代に沿った展開や普遍性について研究した。2.「やつし」と「見立て」関係の浮世絵と版本とを原本収集し、「やつし」と「見立て」が最も著しく表れている箇所をデジタルカメラで撮影し、それらをデジタル画像データベースとした。これらの画像データベースは、310点である。3.「やつし」と「見立て」の浮世絵・版本画像データベースに、それぞれ書誌的説明を加え、それらの「やつし」と「見立て」の文学的・演劇的な解釈の情報を加えたデータベースを作成した。研究代表者及び研究分担者が作成した画像データベースは、95点である。4.「やつし」と「見立て」の文学的・演劇的な解釈の情報を加えたデータベースは、冊子体或いは展示会の形で公開し、関係研究者からの意見を求めた。5.これらの解釈付き画像データベースからいくつかを抽出して、音声付きDVDを試作した。つまり、「見立て」浮世絵とその解説を共にパソコン上で見られるばかりでなく、解説を朗読として聞くことができるものである。展示場等での、観客のDVDへの反応は大変良い。次の段階では、画像データベースを音声付きDVDとして完成させるべく、解釈付き画像データベースのコンテンツを更に充実させたい。
著者
相澤 一美 上村 俊彦 望月 正道 投野 由紀夫 杉森 直樹 石川 慎一郎
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本プロジェクトでは,3年間の研究期間内に,学習語彙表の作成と教材分析システムの構築を最終目標に掲げ,研究に邁進してきた。まず,前回作成したJACET8000を学習語彙表として検証し,その欠点を探ってきた。しかし,当初の予想以上にJACET8000の完成度が高いことがわかった。JACET8000の妥当性を検証した研究では,特に大きな問題点を発見することはできなかった。その結果を踏まえて,2年目途中から路線を転換し,検定教科書,口語,米語,児童英語に基づく4種類のサブコーパスを構築し,その中からJACET8000に漏れた語をsupplementとして提案することになった。しかし,時間的な制約に加えてsupplementの作成は,予想以上に困難な作業であった。新しく構築したサブコーパス・から,JACET8000をべースとした出現頻度順リストを作成した。非語,固有名詞等を排除した各リストを100万語換算で頻度補正した上で,4リストをマージしてレンジ値を取り,JACET8000のsupplement候補語636語を提案するに至った。以上のような軌道修正のため,教材分析システムを開発するという本プロジェクトの研究課題の一部が,未解決のまま残った。当面の間は,JACET8000とPlus250にもとついた清水氏作成のLevel Makerを代用することで対処したい。また,今回発表したSupplement636も,十分な検証が済んだわけではない。場合によっては,今回の候補語とJACET8000の語を統合して,リストを再構築することも視野に入れることも今後の課題として考えられる。
著者
小玉 芳敬
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

斜面に発達する風紋を鳥取砂丘で精査した結果,風紋の限界進行傾斜角は降りで-17度,登りで+24度であることが判明した。また進行傾斜角に応じた風紋の断面形態を徹底的に計測した結果,形態特性は4種類に分類され,降り坂では波長6cmほどの短い風紋が,登坂では波長12cmほどの長い風紋が観察されることを明らかにした。いっぽう横列砂丘の風上側斜面の傾斜角を地形図の計測により調べた結果, 7度を中心にして4度~10度の傾斜角を持つ横列砂丘が多いことが判明した。
著者
飯島 淳一 包 捷
出版者
東京工業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

テキストマイニングとは,テキストデータの特徴ベクトルにもとづくクラスタリングや自動分類を行うことであり.その中核となる技術として,特徴ベクトルの抽出やクラスタリング,パターン認識,情報推薦などがあげられる.これらの技術を様々なストリームデータに適用し,新たな知見を得ることが本研究の目的であり,それに関連する今年度の研究実績は大きく3つに分けられる:1.平成15年度の音楽データに続き,平成16年度では,クリックストリームデータ(ユーザがWebページ間で遷移する履歴)のマイニングを試みた.クリックストリームデータから,ユーザの情報探索行動のパターンを発見するために,同じ話題に関するWebページ間での移動回数など,独自な特徴ベクトルを用いた分析手法を提案した.この分析手法を,個人のウェブサイト,企業の公式ウェブサイト及びポータルサイトのクリックストリームデータに適用し,ユーザの行動パターンを明らかにすることによって,Webサイト運営の担当者が直観的に感じていたことを裏付けるとともに,Webサイト改善の方向に示唆を与えることができた.(文献1)2.マイニング技術を利用した情報推薦システムで試みされてこなかった「意外性」のある情報の推薦に注目し,利用者の新しい発見に繋がる情報,言い換えると意外性のある情報を推薦するために,マイナーグループと呼ぶ推薦者のグループを構成し,このグループから情報提供を受ける推薦システムを提案し,実装を行った.実装したシステムを利用し,学生を被験者として,映画作品推薦の実験を行った結果,意外性があり,且つ興味・関心を持て情報を提供できることを確認できた.(文献2)3.2001年から2003年に新品種として登録された272品種のバラの52週間の売上データを対象に,各週の売上を特徴ベクトルとして用いてクラスタリングを行った結果,バラ新品種が市場で受け入れられていく4種類のパターンを明らかにすることができた.(文献3)
著者
岩本 隆司 市原 正智 上山 知己 中山 晋介 大内 靖夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

マイクロRNAと呼ばれる小さなRNAはヒトの疾患に関連していることが解ってきているがその詳細は不明である。本研究では腸管に腫瘍を多発する家族性腸管腺腫症モデルマウスにマイクロRNAを過剰発現させることにより腸管腫瘍の発症が抑制されること、またその抑制にはマイクロRNA間の原癌遺伝子を介した相互作用、および一連の癌抑制性マイクロRNAの生合成に必須の分子の抑制が絡んでおり、それらの間には複雑なフィードバック機構が働くことを示した。さらにこれらのマイクロRNAを心臓に発現させると拡張型心筋症様の症状がおこる事実を見出し、その分子機構の一部を明らかにした。
著者
岩田 晃
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

肉離れ損傷の再発率の高さの要因が,損傷時の基底膜の変性にある,との仮説を立て,本研究を実施した。Wistar系ラットを用いて,電気刺激によって肉離れ損傷を誘発し,免疫組織染色法を用いて,基底膜の観察を行った。その結果,肉離れ損傷によって,基底膜の不整および肥厚が観察された。再生の主役である筋衛星細胞が,基底膜と形質膜の間に存在することを考慮すると,この基底膜の変性が不完全な再生につながり,再発率を高めている可能性が示唆された。
著者
横山 隆志
出版者
公益財団法人がん研究会
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

Trib1とTrib2は過剰発現により急性骨髄性白血病 (AML) を誘導するが、私達はこのTrib1による白血病発症にはMEK1との直接結合を介したMAPキナーゼ経路の活性化とC/EBPαの分解が必須であることを報告している。一方でTrib1, Trib2共にホモノックアウト (KO) マウスには重篤な異常が見られず、正常組織における機能は不明な点が多い。本研究ではマウス13.5日胚と成体組織におけるTrib1/2の発現を調べ,両者の発現は一部重複するが多くの組織において両者の発現分布が異なることを示した。また造血においてはTrib1をノックアウトすると顆粒球分化の促進が見られ、C/EBPαとその標的である複数の分化制御遺伝子の発現が上昇することを明らかにした。このことからTrib1は正常造血においてC/EBPαの分解を介してその標的遺伝子を制御し、顆粒球分化を調節している可能性が考えられた。またTrib2 KOマウスでは分化の亢進は見られず、Trib1/2ダブルKOによってもTrib1シングルKOと同程度の顆粒球分化の促進しか見られなかった。正常骨髄におけるTrib1のmRNAを調べたところTrib2の約5倍発現量が多いことから。顆粒球分化の調節においてはTrib1がより優先的に機能していることが示された。
著者
金子 邦彦
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

生きた顔はカメラで撮影され、脳反応は視覚誘発電位の電気信号として観測される.いずれも時間の経過とともに観測される時系列データである。本研究では、センサーから観測される時系列データの収集と蓄積と処理に関するプラットフォーム技術の創出に取り組んだ。その成果は次のようにまとめられる。・ Android オペレーティングシステムで時系列データ処理におけるバッファ管理の性能評価に取り組み、一定の成果を得た・顔画像の輝度分布,色相分布,周波数分布の統制については,既存の数多くあるアルゴリズムの目利きを行い,システムとして完成した.・視覚実験データモデルについては,日時を含むレコードデータをキーバリューデータモデルにマッピングする方法について検討を進めた
著者
塚越 覚 池上 文雄
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

培養液濃度がミシマサイコの生育,養分吸収特性,サイコサポニン含量などに及ぼす影響を調査し,ミシマサイコに好適な培養液濃度,組成を明らかにした.また,種子発芽に好適な条件についても検討した.ミシマサイコの養液栽培における好適な培養液濃度はEC1.2~2.4dS/mと考えられた.さらに植物体中の無機成分含有比から推定した培養液の無機成分組成は,N:P:K:Ca:Mg=7:26:8:1.5:2(me/L)であった.また,ミシマサイコ種子の発芽促進には,1.5μg以上の種子重選別が有効であり,発芽の適温は22℃前後と考えられた.
著者
堂免 隆浩
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、コミュニティ・ガバナンスによる都市集合財の持続可能な供給管理の有効性およびその条件を明らかにしている。1990年代以降、行政は住民自治組織に対する支援を減少させてきている。そのため、住民自治組織は、建築計画者と事前に協議し、違反者に対する説得を実施している。そして、住民自治組織の活動条件が、1)活動にかかるコストの抑制、2)活動に関する住民のコンセンサス、および、3)行政からの支援の拡充、であることが明らかとなった。