著者
御厨 貴 小塩 和人 牧原 出 野中 尚人 河野 康子 伊藤 隆
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

今年度の研究の進展状況については、前年度から継続して行なってきた鈴木俊一氏(前東京都知事・現自治体国際化協会名誉顧問)に対するインタビューを7回(前年度よりの通算では17回)、後藤田正晴氏(元警察庁長官・元内閣官房長官)に対するインタビューを10回(同通算14回)実施したことに加えて、今年度より奥野誠亮氏(元自治事務次官・元国土庁長官・現衆議院議員)に対するインタビューを2回行なったことが主たる成果である。旧内務省出身の三者から、継続的、集中的にインタビューを実施した結果、新たなる知見を得ることができた。具体的には、戦前・戦中における地方(県)行政の状況、占領戦後期のおける地方財政制度整備の方針、警察予備隊発足時のGHQとの交渉の経緯、戦後の警察行政の流れ、内閣官房の役割の変遷、東京五輪時・いわゆるバブル期の東京都政、などが主要なものとして挙げられる。自治省、警察庁、東京都、そして政界・知事職とそれぞれに要職を経験した立場から、その時々の官僚機構における人事運営や意思決定の手法をもまじえての重要な情報がもたらされた。このような継続的、集中的インタビューをより実効性のあるのもとして実施していくために、迅速で正確な速記録を作成し、多くの資料を準備することにより、インタビュー前後の論点整理や質問項目の検討に役立てた。全体としては本プロジェクトは着実に成果を挙げ、基礎研究としての性格から見ても意義ある進展を示したと考える。
著者
吉村 博幸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年,各人の生体情報を利用した個人認証システムは,パソコンやスマートフォン等,我々の身の回りの情報機器や携帯端末等で多く使用されている。しかし,各人の生体情報は一度外に情報が漏れてしまうと取り換えることができないため,暗号化や加工などの手法でテンプレートを作成して保存し認証処理を行うことが望ましい。本研究では,指紋情報の加工を安全に行うため,非整数次フーリエ変換を用いた指紋テンプレート作成方法を種々提案し,認証精度を最も高くするための変換次数などの条件を明らかにした。またこの処理を高速かつ高精度に行うため,レーザ光やレンズを用いた光情報処理による手法について提案した。
著者
尾上 哲治
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

宇宙空間に存在する直径1 mm以下の固体微粒子を宇宙塵とよぶ.地球に流入した宇宙塵の一部は大気圏突入時に溶融し,大気圧下で酸化鉱物を晶出する.この酸化鉱物のうち,スピネル類に含まれる鉄の化学組成を調べることにより,過去の地球大気の酸素分圧を定量的に求めることが可能であると考えられる.本研究では,過去2億5千万~1億7千万年前と32億年前のチャート層から回収した溶融宇宙塵に含まれるスピネル類の化学組成を明らかにし,さらにそこに記録された各地質時代における地球大気の酸素分圧を解読するための鉱物学的,地球化学的基礎研究を行なった.
著者
塩野谷 明
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、スキー実滑走時模擬振動暴露シミュレータの開発を行なうとともに、スキー滑走メカニズム解明のための基盤構築を目的とする。シミュレータは、スキーヤーを想定した雪塊を、雪面に見立てたスキー滑走面で滑走させるものである。スキー板の振動は、ボールバイブレータを圧縮空気で回転させ、発生させる。シミュレータでは雪塊が滑走する際の動摩擦力、動摩擦係数、滑走速度が算出される。実験の結果、250Hz付近の振動を板に暴露した場合、滑走速度の増加、摩擦係数の低減、滑走速度の増加に伴う動摩擦係数の低下が認められた。以上の結果より、本シミュレータはスキー滑走メカニズム解明の基盤として適当であることが示唆された。
著者
内貴 章世
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アカネ科のアリドオシ属においては、二型花柱性(短雄しべ・長雌しべをもつ花と長雄しべ・短雌しべをもつ花がみられる現象)は倍数性と相関し、4数体では二型花柱性が崩壊している。本研究では二型花柱性をもつ2倍体では自家・同型不和合性を示し、二型花柱性を持たない4倍体では自家受精による結実が可能であることが明らかになった。また分子系統学的解析により、4倍体の出現はアリドオシ属内で複数回起こっていることが示唆された。
著者
梶 博史
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

筋と骨ミネラル代謝の相互関連を解明するために。筋における骨化調節因子および筋から産生され、骨形成促進的に作用する体液性因子の同定を試みた。筋由来の細胞と骨化シグナルを増強させた細胞で網羅的遺伝子解析をおこない、骨形成活性を有する因子を抽出した。そのなかで、Tmem119は筋骨化を局所性に誘導する因子として期待され、オステオグリシンおよびFAM5Cは筋から産生される新規の体液性骨形成因子の候補として、今後の骨粗鬆症治療薬開発の標的としてさらなる研究を進めたい。
著者
服部 寛
出版者
松山大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

日本とドイツの法律学方法論の第二次大戦後における出発点について、奇しくも1953年11月に行われた報告・講演が双方の起点となっていることを指摘し、各起点の具体的内容とその背景について、先行研究では十分に解明されていない部分にも注目しながら、戦後初期における方法論を考察するための視座と課題を提示した。その視座を元に、戦前~戦時期の理論・議論および今日的動向にも目をやり、検討を深めていった。
著者
前野 博 淺間 正通 西岡 久充
出版者
至学館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

Web上での遠隔的協調学習環境を用いたプレオーガナイズド学習環境開発を行うと共に、対面授業をも組み込んだブレンディッドラーニングを通して、語彙学習における効果を検証した。プレオーガナイズド段階の活動履歴から、事前に適切な動機付けを行うことで活動状況が活発化した点が検証されたので、個々の自律学習が促進される可能性もが示唆された。研究代表者である前野の体調不良によりコア研究に関しては長期中断を強いられはしたが、研究スキーム自体は研究分担者による分担研究によって維持されたので、eラーニングでの進捗率と学習効果の連関性、及び対面補完を援用してのブレンディッドラーニングの効果などを明らかにするに至った。
著者
山本 達之 山本 直之 安藤 正浩 秋吉 英雄 伊村 智 工藤 栄
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

砕氷艦しらせが,H24,25年度の2か年連続して接岸に失敗したために,南極昭和基地周辺でのリアルタイム分光分析の実施を断念せざるを得なかった。このため,夏隊期間中の研究計画のうち,比較的遂行が容易な研究計画は実施されたが,本研究計画遂行の前提となるヘリコプターが,物資輸送に専念することとなったためである。そこで,生体固体の採取を断念して,すでに確保されていた死亡個体解剖学的研究を中心に計画を変更し,アデリーペンギン眼のガングリオン細胞分布の様子と種間差に関する基礎的データを得ることができた。
著者
土佐 昌樹 田原 淳子 大澤 清二 小石原 美保 イ ヨンシク 陸 小聰
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

3年間の調査研究計画として日本、中国、韓国を中心とする東アジア三カ国において集約的な現地調査をおこない、関係行政機関、ジャーナリスト、スポーツ指導者などを対象にインタビューを実施した。その過程で培われた知見とネットワークを基礎に、日中韓の代表者を集めて2013年11月30日に国士舘大学において国際シンポジウムを開催し、論議を深化させた。スポーツの社会的意義をグローバルで未来志向的な展望から捉え直す好機となった。
著者
鴈澤 好博
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

石英のOSL が熱に極めて敏感(300℃x20秒でリセット)であることに注目しOSL法による活断層年代測定のための基盤研究を進めた.アニール実験からOSLのFC (速成分)とTLのシグナル消失条件を検討したところ,OSLでは300℃,20秒で,UV‐TL270℃領域では300℃,12~30秒で消失した.トラップ寿命の評価でも,同様な結果が得られた.このことからOSL法は活断層年代測定に有効であることが示された。
著者
案田 順子 福島 祥夫 木村 憲洋 石坂 公俊 児玉 直樹
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

第1に「かなひろいテスト」の有効活用を目指し各母音位置による判別表を独自に作成、誤答および取りこぼしとの関係を明確にした。この判別表は早期発見と予防に新側面を齎した。第2に母音を均等に配し文脈の明解な「文字ひろいゲーム」を考案・作成した。第3にこのゲームを軽度認知症患者と健常者に実施、結果を分析し、文部省唱歌50曲をベースにした3~5拍の自立語の空所補入によるオリジナル脳リハビリテーションゲームを開発した。
著者
フランク スコットハウエル 猪俣 芳栄 橋本 剛 スコット ハウエル 猪俣 芳栄
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

次の二つの観点より「化学英語論文における複合名詞」の研究を行った。1.Inorganic Chemistry誌中、英語圏の化学者と日本人が執筆した論文の各章の複合名詞(NCs)の使用頻度を比較した。両地域のNCsの利用頻度はほぼ同じで、日本人のNCs用法は適切であることがわかった。更に、NCs中に隠された表現を検討した。2.Dalton Transactions誌の英語圏化学者の論文中で使用されている頻出NCsをPERCコーパスで検索し、用法を調べた。その結果、NCs の従属部は単数形をとること、「名詞+名詞」と「形容詞+名詞」が同じ意味をとる場合、前者は意味を限定する役割があることがわかった。
著者
笠原 慧
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

人工衛星による粒子の直接観測は、宇宙における粒子加速機構の解明に不可欠である。本課題ではこれまで技術的に困難であった中間エネルギーイオン観測実現に向け、キーテクノロジーのひとつである質量分析器の開発を行った。数値シミュレーションを行って構造を決定し,それに基づいて製作した分析の性能を,実験室で確かめる事ができた.
著者
小粥 太郎
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

情報という観点から、私は、近代法のシステムを点検した。この作業によって、私は、近代法のシステムにおける自由、名誉、責任などの基礎概念の意義と変遷について、理解を深めることに役立つことができたと考える。また、情報化社会の進展などとともに、私は、近代法のシステムを支える民法学の役割が変化しつつあることも、認識することができた。具体的には、民法における近代性の危機というタイトルの学会発表などの成果がある。
著者
石坂 友司
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、1998年の開催から10年を経過した長野オリンピックの開催地域が、大会によって得られた遺産をどのように活用し、意義づけているのかを評価するとともに、各開催地域がどのような変容を経験しているのかについて、それぞれの取り組みから明らかにすることを目的とした。多額の投資にもかかわらず、現在でもポジティブな影響が見られるのは一部の地域にとどまり、多くの地域では借金や競技施設の後利用に課題を抱える結果が浮き彫りとなった。一方で、カーリングに代表されるように、遺産を積極的に運用し、スポーツを文化として育むことを目指す地域の取り組みもみられ、そのことを実証的に明らかにした。
著者
川本 真浩
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、スポーツ史及び帝国=コモンウェルス史の観点から、英連邦大会の初期の歴史を見直し、その新たな局面を明らかにした。同大会は、帝国=コモンウェルス史のなかのスポーツ文化の一つにとどまるものではなかった。同大会とその開催事業によって、政治の世界でいうコモンウェルスとは別の「もうひとつのコモンウェルス」がつくりだされ、しかも政治とも関わりあう形で一定の社会的機能を果たしたのである。さらに、本研究では、グローバルなスポーツ大会と本国の地域ナショナリズムの相互関係を視野に入れつつ、スコットランドの事例を探ることによって、スポーツの世界でナショナリズムと帝国意識が交錯する様子をも明らかにした。
著者
内田 みどり
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ウルグアイにおける1973年のクーデターと軍の人権侵害について、歴史家は一致して「少数派の大統領が軍に頼った末に生じた「国家テロリズム」とみなしている。だがゲリラと軍の双方に責任があるという「二つの悪魔」説が市民の間で生き残っているのは、合法政党に転身した元ゲリラを選挙戦で攻撃するために、自分たちは軍政の被害者だと考える政治家がこの説を利用してきたからだ。
著者
山田 満 吉川 健治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

広義の平和構築を考えると、長期的視野を持った社会経済的開発が求められ、特に社会開発・人間開発の視角から平和構築に必要な適正規模の「開発」とは何かが問われている。本研究では、紛争経験国のラオスと新生国家で開発段階に至った東ティモールとの比較研究を行った。その結果、政治体制及び独立に至る歴史的背景、つまりラオスはインドシナ旧仏領諸国との連携、また東ティモールは国連やドナー諸国の援助という外部アクターとの関係性が開発方法の基本的な相違点として浮き彫りになった。
著者
丹野 忠晋 山田 玲良 櫻井 秀彦 林 行成
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

理論パートでは医薬品卸と医療機関の間の交渉力の差によってどのように上流の製薬メーカーの利潤に影響を与えるかについて定性的な結果を得た.現行の薬価制度では卸の交渉力が高いほど上流の製薬メーカーの利潤は高くなる.実証分析による主要な結論は,病院や薬局の規模が大きいほど総価取引になる確率が高まることである.一方で,取引する卸の数が多くまたは後発医薬品の利用割合が高いほど単品単価取引に移行する確率が高くなる.四大医療用医薬品卸は上流の製薬メーカーに様々な情報を提供しており,その対価が大きな利益の源泉になっていることが明らかになった.