著者
高野 祐輝 三浦 良介
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.14, 2018-12-14

いま,AliceとBobは同じ家に住んでおり,CharlieはAlice達の隣町に住んでいるとする.ここで,Aliceの利用可能な通信手段は直接会話と電話の2通りであるとすると,このとき,Aliceは,Bob,Charlieへ通信するときにはどの通信手段を用いるだろうか? 一般的には,AliceからBobへの通信は直接会話を,AliceからCharlieへの通信は電話を用いると考えられる.この事実が示すことは,チャネルにはある普遍的な順序関係があり,その順序関係は,通信主体の存在する場所など,通信主体どうしの関係性に依存して変化すると考えられる.本発表では,通信手段と周辺環境が備える特徴,制約を明らかにした後,それら特徴を備えた階層型並行計算モデルである,マトリョーシカ・モデルの提案と形式化を行う.マトリョーシカ・モデルは,チャネルに対して,有効範囲と通信可能範囲を定義することで,チャネルの順序付けを行うことを可能にする.本モデルを用いることで,上の例でいうところの,直接会話と電話の持つ意味,すなわち通信手段の持つ意味について形式的にとらえることが可能となる.さらに,本発表では,現在のコンピュータ・アーキテクチャ,オペレーティングシステム等における,チャネルとプロセスを,マトリョーシカ・モデルで表現する例を示す.Assume that Alice and Bob live in the same house and Charlie lives in a neighboring town of Alice, and Alice can take advantage of two communication channels, which are direct conversation and telephone. In this case, which channel does Alice use when communicating to Bob and Charlie? In general, She should use a direct conversation channel and a telephone channel to communicate Bob and Charlie, respectively. This fact implies that there is a universal order relation for channels, and the order relation depends on the relationship of the communication subjects, such as where the subjects exist. In this presentation, we reveal that the features and constraints of communication channels and the environment of the channels, and then propose and formalize the Matryoshka model, which is a hierarchical computational model with the features. The Matryoshka model can order channels by defining an identifier domain and a communication range of the channels. Furthermore, in this presentation, we will express channels and processes on the modern computer architecture and operating system by the Matryoshka model.
著者
三浦 正
出版者
島根農科大学
雑誌
島根農科大学研究報告 (ISSN:05598311)
巻号頁・発行日
no.9, pp.(A-1)222-236, 1961-03-31

ニシキソウ科のアブラギリの実から搾取した桐油が,乾性油として重要性をもっていたことは特筆するまでもない.特に第二次大戦後の数年は桐実の生産者価格も非常によく,農家にとっては有利な特用樹であった.島根県は我国でもアブラギリの主要生産地として大きな役割を果たしてきた.ところが,1950年頃から島根県下のアブラギリ栽培地帯にオオキンカメムシ(Eucorysses grandis THUNBERG)が大発生して桐実に大被害を与えた.島根県に栽培されているアブラギリの大部分は日本種で,支那アブラギリや広東アブラギリは比較的近年植付けられたもので生産量も僅かである.この支那種も広東種も島根半島地域の割合暖い場所でみられる.このアブラギリの害虫であるオオキンカメムシは島根においては日本種に被害を与え,支那種,広東種は被害を全く受けなかった.桐実が加害されると結実不良となり,桐油かとれないので被害は大きい.島根は気侯条件からして日本種が最適で外国種は霜凍害を新芽に受けやすく生育が良好でない.日本種が本虫の被害を集中的に受けるので県としても,農家としても重要な問題であるので防除対策を講じなけれぱならない必要から著者は本虫に関する研究をなしてきた.本虫の発生当時はオオキンカメムシに関する研究は殆ど皆無であった.著者は本虫の生態について研究し,三浦,近木(1953),三浦(1954),三浦,近木(1957),三浦(1958)として公表してきたが,近年オオキンカメムシが減少し実験も殆ど不可能になってきたので一応研究を打切りたいと考えて,今までの研究成果をとりまとめて印刷公表し,参考に供したいと考える.本研究は1952年から'57年までに実施したもので,その間多くの人から御援助いたゞいた.特に本学近木助教授には共同研究者として又本文をまとめるについて色々と教示いただいた.京都大学内田教授,島根県農林部吉岡,須山両技師の御厚意に深く感謝いたします.
著者
副田 賢二 松村 良 原 卓史 天野 知幸 和泉 司 五島 慶一 三浦 卓 杉山 欣也
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

戦前期『サンデー毎日』を中心とした週刊誌メディアと文学との関わり、及びその誌面レイアウトや視覚表象の構造を扱う本研究は三年目となり、大阪市立大学所蔵『サンデー毎日』の調査、分析、データ化を進めた。その研究実績は、主に学術研究誌への論文掲載及び学会・研究会での研究発表で発表した。2019年度は、7月に第3回科研費研究成果中間発表会を大阪市内で実施した。同時に日本出版学会関西部会に参加し、雑誌メディアにおける挿絵やレイアウトの研究において、同学会との交流を実現した。なお、2020年3月に京都教育大学で第4回科研費研究成果報告会(一般公開形式)の開催を予定していたが、新型コロナ感染流行のため延期となった。また、大阪市立大学や国立国会図書館、大宅文庫等で調査した戦前期『サンデー毎日』をめぐる資料やデータベースについては冊子形式の資料集として刊行して実績報告書とする予定であったが、3月以降図書館等での調査が不可能になったため、現在研究期間延長申請を提出し、受理されている。延長期間は1年間だが、新型コロナ問題が改善された場合は、2020年8月までに本研究の研究活動及び資料集の出版(成果報告)を完了しようと考えている。そこで刊行する成果報告には、データ化した戦前期『サンデー毎日』の全表紙のデータベース(創刊から占領期まで)、『サンデー毎日』創刊記念号等の特集号の資料紹介、分析、1920年代の文壇ゴシップ記事の分析等、これまでの研究成果を掲載する予定である。また、まず大正期を対象として『サンデー毎日』の視覚表象を分析して目録を作成、データベース化する調査を現在複数メンバーで進めている。その調査、研究成果は、新たに獲得した「1920~1950年代の週刊誌メディアにおける文学テクストと視覚表象の総合的研究」(基盤研究(C) 課題番号:20K00361)にて公刊する研究書に掲載予定である。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
佐藤 宗純 藤森 威 三浦 甫
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.628-636, 1979-11-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
3

Reflection characteristics of a sound absorbing wedge are related to acoustical properties of material as well as wedge dimensions. However, there are no reliable values of the acoustical properties of materials, so wedge design problems have been experimentally solved in each case. In this paper, the values of acoustical constants of glass wool such as flow resistance, effective density and effective volume elasticity are investigated and it is confirmed that the most important factor is the flow resistance. Next, the wedge design including selections of material and wedge dimensions are studied by the computer simulation whose results agree well with experimental results, and the useful results about the influence of base length, air space and wedge angle on the absorbing characteristics of wedge are obtained. Among these results, the most interesting one is that the wedge having satisfactory characteristics can be made by choosing the optimum base length corresponding to the value of flow resistance.
著者
三浦 要
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

古代ギリシア快楽主義の検討を通じ,特に,原子論者デモクリトスの快楽主義が一般的解釈に反し倫理的理論として肯定的に評価できること,同じ快楽主義のキュレネ派との相違点が顕著であるエピクロスの規範的倫理学説が,個人の閉じた生での幸福の実現を目標にしているかぎりで公的倫理の基礎を与えない点で限界を有すること,そして,快楽と人間とが親和的であるという快楽主義的洞察が真理であるからには,快楽主義が個人倫理の源泉を考える上で依然として有効性をもっていることを考察した。
著者
三浦 麻子 小林 哲郎
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-11, 2018
被引用文献数
11

<p>This study investigated the influence of satisficing on response behavior in online surveys. We compared online response data to psychological scales and logical thinking tasks conducted by an online survey company and a crowd sourcing service. In previous studies, satisficing was found to be more likely to occur among online survey monitors than among crowd sourcing service contributors. Results of the present study replicated it and showed that satisficing in terms of inattentively reading items significantly damages the integrity of psychological scales. On the other hand, it was also found that the influence of satisficing in terms of inattentively reading instructions carefully can be reduced by raising respondents' awareness. Those conducting online surveys should discuss taking active measures to minimize satisficing. </p>
著者
竹田 周平 西尾 浩一 三浦 英夫 Nishio Kouichi 三浦 英夫 Miura Hideo 川島 洋一 Kawashima Yoichi 谷内 眞之助 Taniuchi Shinnosuke 山内 勉 Yamauchi Tsutomu 吉野 剛 Yoshino Tsuyoshi
出版者
福井工業大学
雑誌
福井工業大学研究紀要 Memoirs of Fukui University of Technology (ISSN:18844456)
巻号頁・発行日
no.44, pp.130-134, 2014

At 14:46 local time on March 11, 2011, a magnitude 9.0 earthquake occurred off the coast of northeast Japan. It was one of the most powerful earthquakes to have hit Japan. The many hospitals which are located at Fukushima, Miyagi and Iwate prefecture suffered damage from this Mega-earthquake. Forever, little is known about the damaged of hospital have not generally decreased in the last 20 years. In this paper, we used the following questionnaire to clarify the damage factor of a hospital. It was found that Medical disaster prevention product was a top priority.

1 0 0 0 お蝶夫人

著者
[三浦環述著] 吉本明光編
出版者
右文社
巻号頁・発行日
1947
著者
三浦 寛貴
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.17-22, 2016 (Released:2017-03-17)
参考文献数
30
被引用文献数
1

【目的】本研究は咬合接触状態の変化が姿勢制御にどのような影響を及ぼすのかを検討するため,下顎安静位,15%噛みしめ,30%噛みしめの3条件における安定域面積,重心動揺面積,姿勢安定度評価指標を比較検討した.【対象と方法】対象は研究参加に同意を得た,顎口腔系を含む全身に異常のない健常若年男性26名とした.測定は足圧分布計を使用し各条件での安定域面積,重心動揺面積,姿勢安定度評価指標を計測した.【結果】安定域面積は各条件間において有意差を認めなかったが,噛みしめ強度が大きくなるにしたがい拡大する傾向がみられた.重心動揺面積は15%噛みしめが30%噛みしめに比べて有意な減少を認めた.姿勢安定度評価指標は15%噛みしめと30%噛みしめとの間に有意差が認められ,15%噛みしめにおいて姿勢が安定することが示された.【結語】咬合接触状態が姿勢制御に影響を与えることが示唆された.特に,噛みしめの強度によって与える影響が異なることから,動作や運動パターンによって噛みしめの役割が異なると考えられる.
著者
三浦 千明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.315-321,302, 1987-05-10 (Released:2009-09-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

昭和40年代から現在にかけてクローズアップされた合成洗剤に関連した環境問題と, それに対して洗剤業界がとってきた対策及びその成果について環境測定データを基に考察した。その結果, 以下の点が明らかになった。合成洗剤のソフト化 (易生分解性界面活性剤への切替え) によって下水処理場における処理性は改善され, 生分解性の向上と下水処理施設の普及により, 河川の水質汚濁への洗剤の寄与度合が低下していることが示唆された。それに対し, 衣料用合成洗剤無リン化の水質汚濁改善への効果は明確なかたちで見出すことはできなかった。水質汚濁関題の現状を考えるとき, 真に有効な汚濁対策実現をはかるため, 高い視野に立った総合的な施策の策定とその実施が望まれる。

1 0 0 0 OA 法制史の研究

著者
三浦周行 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1919