著者
橋本 文人 三浦 元喜
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.20, 2013

近年、音声合成技術であるボーカロイドやドイツの電子音楽グループのクラフトワークなど、計算機が自動でライブを演出する機会が増えてきている。生身の人間による演出と比較すると、計算機が自動でライブを演出する場合は、リアルタイム性や一体感、持続性などに欠ける印象がある。本研究では、それらの要素を補えるような計算機によるライブの演出を楽しむための1つの手法として、コメント入力により音や映像への干渉を行う「Live Operator -In the Comments-」を提案する。
著者
川岸 康司 三浦 豊雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.51-57, 1996-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

春植え食用ユリ(品種: 白銀)の生育特性を明らかにするとともに, 萌芽後と着蕾後における窒素とカリの追肥が鱗茎の肥大に及ぼす影響をポット試験と圃場試験で検討した. 春植え栽培における食用ユリの生育期は以下の4期に区分できた. 第1期は植え付けから6月の萌芽直後までであり, この時期には鱗茎の貯蔵養分により茎葉が萌芽し始めた. 第2期は茎葉展開から着蕾までであり, 茎葉が旺盛に発育するとともに, 茎葉から鱗茎への光合成産物の移動も始まった. 第3期は着蕾後から本来開花期となる8月中旬頃までで, 葉面積や茎葉乾物重が増加し続け, 主に旧鱗茎の乾物重が増加した. 第4期は8月中旬頃から収穫期までで, 茎葉部の生育はほぼ停止し, 主に新鱗茎の乾物重が増加した. 一方, 着蕾後の窒素とカリの追肥は, 根の生長を促進し, 生育後期まで養分吸収と乾物生産を持続させるため, 第4期の鱗茎肥大が旺盛になり, 増収に結び付くと推察された.
著者
西峯 秀夫 三浦 誠二 衛藤 公洋 岡部 次夫 有馬 徳行
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.661-673, 1992-12-25 (Released:2007-03-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1

The plasma concentration, distribution, metabolism and excretion of 14C-Y-25130 were investigated in rats after intravenous administration. 1. Plasma levels of radioactivity (14C) decreased multiexponentially at the dose levels of 0.4, 1, 2, 10mg/kg, and the terminal half-lives (t1/2z) were 8.4 -9.5 hours. No dose or sex differences in t1/2z were observed. The areas under the plasma level-time curve were approximately proportional to the dose. Tissue levels of 14C were high in the liver, lung, kidney, pituitary gland, submaxillary gland, pancreas, stomach, adrenal, bone marrow, thyroid and spleen. Radioactivity rapidly disappeared from all tissues and was not detected in carcasses 96 hours after administration, suggesting no accumulation of 14C. 2. Binding rates of 14C to plasma proteins were 42.8-44.6% during 0.25-2 hours after administration. 3. Four days after administration to male rats at a dose of 1 mg/kg, urinary and fecal excretion of 14C were 45.5% and 52.9% of administered dose, respectively. At this dose, urinary excretion was much higher in female rats than in male rats. The excretion in male rats increased significantly at the highest dose level. Unchanged drug was found mainly in urine, while the unchanged drug, M1 and M3 were present in feces. The amount of unchanged drug in urine was much higher in female rats than in male rats. This amount increased at the highest dose level in male rats. 4. Fourty eight hours after administration to bile-duct cannulated male rats, 42.0% of the dose was excreted in bile and 12.8% in feces. This result indicates that another direct excretion route to the gastrointestinal tract exist besides the bile. About 13% of 14C excreted in bile was reabsorbed from the intestines by the enterohepatic circulation.
著者
西峯 秀夫 三浦 誠二 黒板 孝信 川北 武志 有馬 徳行
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.771-785, 1992-12-25 (Released:2007-03-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2

1.14C標識化合物を静脈内投与して,Y-25130のイヌにおける代謝を検討した.尿,糞および血漿中には未変化体のほかに少なくとも4種の代謝物が検出された.主代謝物は尿中ではM1,M2およびM4,糞中ではM1およびM5であった.ラットにおいて生成した代謝物M3はイヌでは検出されなかった. 2.イヌの尿中から4種類,ラットの尿中から1種類の代謝物をそれぞれ単離し,これら代謝物を合成標品の核磁気共鳴および質量スペクトルとの比較により同定した.Y-25130はN-脱メチル化反応,アザビシクロオクタン環の窒素原子の酸化反応,これらの反応の組み合わせ,オキサジン環の開裂およびベンゼン環の水酸化反応により代謝された.
著者
佐川 元保 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 中山 富雄 芦澤 和人 遠藤 千顕 小林 健 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-76, 2018

<p>肺がん検診は1987年に導入されたが,当初,多くの自治体や検診機関は「二重読影や喀痰細胞診の方法がわからない」状況であり,肺がん検診セミナーはそれらの需要に応えるものであった.それから30年以上経過し,「肺がん検診の方法を全国に広める」という本セミナーの当初の役割はほぼ達成され,同形態での実施の必要性は乏しくなった.精度管理の全国的な均てん化は不十分だが,セミナーという形態では改善できない.一方,肺癌診療医の読影技術向上への意識は高いが,学術集会においてそれに資するプログラムは少ない.また,学会員の多くが検診発見肺癌例の診療をしているにもかかわらず実際の検診に携わっていない現実を考えれば,「肺がん検診」の仕組みや現状に関する教育的な講座の必要性は大きい.そこで,2017年で「肺がん検診セミナー」を終了し,学会員対象で学術集会に組み込む以下の①②③と,地域での検診従事者を対象とした④へ移行することにした.①若手~中堅医師に対する「肺がん検診」のシステムや現状などについてのレクチャー.②気軽に参加できる読影セミナー.③必要時に,学術集会長に委員会企画枠を依頼.④検診技術・精度管理に関する地域での検診従事者講習会などの講師に委員を推薦.</p>
著者
衣畑 俊希 三浦 龍 大原 紳司 垂水 浩幸 林 敏浩 市野 順子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.15, pp.1-8, 2015-03-05

PC やスマートフォンを用いて,ネットワーク上で将棋の対局が活発に行われている.また,将棋プログラムが急速に強くなり,将棋プログラムとプロ棋士が対局を行う電王戦も複数回開催されている.しかし,対局後の感想戦の支援が不十分であり,また将棋プログラム (人工知能) を感想戦に活かしきれていない.そこで我々はコンピュータによる感想戦や将棋研究の発展を狙い,ネットワーク将棋における感想戦を支援するシステムの開発を行っている.本研究では感想戦支援システムにおけるクライアントの感想戦支援インタフェースについて改善を行い,昨年度に引続き評価実験を実施した.大学将棋部員による本システムの評価により,本システムの有効性を確認し,今後の課題を抽出した.Shogi, a chess-variant game popular in Japan, is recently played on the Internet. Players enjoy the game on some major game service sites. The technology of AI players have rapidly improved; they are now almost as strong as the top-level professional players. However, groupware and AI technologies are not used for post-game discussions on Shogi games - Kansousen -. We have been developing an integrated environment, SAKURA, for networked shogi games and discussions. In this paper, we describe the design and evaluation of discussion support functions and user interfaces. After the evaluation by seven amateur players, we confirmed the basic design for the discussion support is acceptable, but still we need improvements.
著者
三浦 國泰
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.48, pp.217-231, 2013-03

1827年1月31日、ゲーテはエッカーマンに次のように語っている。「われわれドイツ人は、われわれ自身の環境のようなせまい視野をぬけ出さないならば、ともするとペダンティックなうぬぼれにおち入りがちとなるだろう。だから、私は好んで他国民の書を渉猟しているし誰にでもそうするようにすすめているわけさ。国民文学というのは、今日では、あまり大して意味がない、世界文学の時代がはじまっているので。だから、みんながこの時代を促進させるよう努力しなければだめさ。」(傍点、引用者)世界文学という概念を考えるとき、どうしても時代の背景として、「国民文学」対「世界文学」という対立概念を考えざるをえないだろう。国民文学なくして自国の文学が成り立たないからである。ヘルダーの要請により、ドイツのシェイクスピアたらんとしたゲーテがドイツ国民文学の基盤を築いたことは文学史上の常識である。にもかかわらずゲーテが「もはや国民文学が意味を持たず、世界文学を志向しなければならない」と語った意図はどこにあったのだろうか。ゲーテが「世界文学」に期待した意図には、ゲーテの文学観ばかりでなく、その時代的背景として、当時のドイツの抱えた政治的-歴史的な状況も関わっている。初期のシュトゥルム・ウント・ドラング時代から、中期の古典期の時代、『ヴィルヘルム・マイスター』における新大陸への期待、そして晩年に完成した時間と空間を超越した壮大なスケールの『ファウスト』文学や『西東詩集』の世界。そこではファウストとヘレナの結婚、ハーフィスとズライカの恋愛に象徴されるように、古代と近代、そして東洋と西洋の融合が語られている。ゲーテの文学的奇蹟は、政治的な保守的態度にもかかわらず、ゲーテ自身の生涯にも似て、つねに狭い垣根や固陋な慣習やモラルを否定しようとする地平の拡大を求めている。ゲーテにとって「世界文学」概念に込められた希望は、ウエルテルの反抗、ウィルヘルムやハーフィスの遁走、そしてファウストなどの飽くなき冒険に込められたゲーテ自画像のあらたな地平の拡大を意味していた。トーマス・マンは「市民的教養概念」として、さらに国家社会主義の偏狭な国粋的文学観に対する警告として「コスモポリタニズム」の立場からゲーテの「世界文学」概念を継承し、その積極的な意義と限界を指摘している。そしてトーマス・マンはその限界を克服する方向性の中に、あらたな「今日の世界文学」の「普遍的」意義を模索したのである。また哲学者ガダマーは異文化との対話的理解、あるいは地平の融合としての受容美学的、解釈学的観点から、ゲーテの「世界文学」に積極的な意義を見いだしている。ガダマーの「規範も変質する」という柔軟な規範性概念は「開かれた地平」を約束している。その際、異文化理解に重要な作業として「翻訳」の積極的な課題が強調される。なぜなら「国民文学」が「世界文学」になるためには「翻訳」は不可欠であるからである。しかし情報化・グローバル化する現代社会においては、「文化の平均化」にともなう「文学の平板化」という文学の価値低下が危惧される。そうした「文学の平板化」に抗する視点としてヘルダーや和辻哲郎の「風土性」の概念は依然として有効であろう。しかし先に引用したエッカーマンとの対話のなかで、すでにゲーテ自身が「文学の平均化」に警告を発している。あるいはまたニーチェ、ベンヤミン、アドルノなども文化産業-メディア批判として文化批判を展開した。われわれはグローバル化という地平の拡大と平均化という文化の質低下の岐路に立たされている。ゲーテの世界文学概念は、メディア産業化された社会の中にあって、そもそも「文学とは何か」という問いを再考する機会として、今日的な課題をわれわれに提供している。そこにゲーテの「世界文学」の新たなパラダイムを求める今日的意義があると思われる。なお本論考は、2009年3月、ミュンヘン大学日本文化研究所においてドイツ語で講演した原稿に加筆修正を施したものである。
著者
益本 貴之 尾形 理江 森本 規之 岡田 朋子 三浦 徹
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.265-268, 2007

今回われわれは子宮内外同時妊娠の1例を経験した.文献的考察を加えて報告する.症例は35歳既婚.0経妊0経産.平成○年2月3日を最終月経の開始日とした無月経を主訴に,当院を平成○年3月22日初診となった.既往歴,家族歴に特記事項なし.排卵誘発等の不妊治療歴はなし.初診時の腟鏡診,内診では異常所見を認めず,経腟超音波検査にて子宮内に胎嚢と思われるエコーフリースペースを認めた.平成○年4月4日,性器出血を主訴に再診.腟鏡診にて外子宮口からの少量の性器出血を認め,内診では右付属器領域に圧痛を認めた.経腟超音波検査にて子宮内にエコーフリースペースと,右付属器領域に胎児心拍を伴うエコーフリースペースを認めた.子宮内外同時妊娠(右卵管妊娠および稽留流産)を疑い,本人および家族に十分なインフォームドコンセントを行ったうえで,同日腹腔鏡下手術を施行とした.腹腔内には凝血塊を含む約200gの血液が貯留していた.右卵管は腫大しており,同部位の妊娠が疑われた.右卵管切除術を行い,同時に経腟的に流産手術を施行した.患者の術後経過は良好にて,術後3日目に退院とした.摘出組織の病理組織検査にて,右卵管は右卵管妊娠組織,子宮内組織は流産組織であることが確認された.近年のARTのめまぐるしい進歩に伴い,子宮内外同時妊娠の頻度は増加していると考えられる.本症例では初診時に超音波検査にて子宮内に胎嚢を確認したが,右付属器の異常所見を確認するには至らなかった.再診時に内診にて右付属器領域の圧痛を認め,初めて超音波検査にて右卵管妊娠の存在を確認できた.日常診療において子宮内に胎嚢が確認できたとしても,子宮内外同時妊娠の存在を念頭に置き,付属器領域等を注意深く超音波や内診により診察する習慣をつけることの重要性を再認識した.〔産婦の進歩59(4):265-268,2007(平成19年11月)〕<br>
著者
三浦 岱栄
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.297-307, 1965-04-15

I.はじめに 私は上記表題のもとにたびたび講演をしたり,また記事として雑誌にのせたことがあるが,その大部分は通俗講演であり,または宗教雑誌においてであつて,本来精神医学のくわしいことを知らぬ大衆を相手としたものであつた。多少アカデミックな論文としては,「精神医学最近の進歩1)」に寄せたものがあるだけである。これも与えられた紙数に制限があつたため,この重要なテーマについての単なる形式的の輪廓を示すに終つたいたつて不満足のものであり,肉づけの豊かな論文を書くことは他日にのこされたのであつた。たまたま本紙の展望欄に本題について執筆することになつたのは私にとつて光栄であるとともに欣快とするところであり,今回は"少しはましなもの"が書けるのではないかと思う。 ひるがえつて考えるに,このテーマの取り扱いかたもいろいろのパースペクチーブから可能であり,そのすべてをここで取り扱うことはできない。展望欄での執筆という制約を考えれば,鳥瞰図(Rundschau)的な,多くの著者らの記述を紹介あるいは批判するのがほんとうかもしれない。これは大変な労を必要とするのであるが,筆者の"性"には合わないし,また多くの文献を渉りようするだけの時間もない。いいわけめくが,これではやはり百科全書的な知識を読者に提供するにとどまり,著者本来の見解がうすくなることはやむをえない。したがつてまた,この後者の点に重点をおく論文もあつてよいと思うのだが,それでは"展望欄の記事"にはふさわしくないかもしれない。そこで私はこの両者の中間をゆくことに決心したが,重点はどうも"著者のパーソナルな見解"を前方におし進めるという方向におかれることになりそうだということをあらかじめお断わりしておく。
著者
森下 誠也 三浦 理沙 曽我本 雄大 山中 孝訓 森 一起
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0022, 2015 (Released:2015-04-30)

【目的】ICU入院中の患者に対して理学療法実施中に心停止となった患者の経験に対する考察【症例提示】年齢性別:70歳代男性。診断名:脳梗塞,第5頸髄損傷,右肋骨骨折,右肩甲骨骨折,外傷性気胸。現病歴:外来リハビリ受診時にレベル低下。MRI施行し脳梗塞にて入院。第26病日に頚動脈血栓内膜剥離術施行。第31病日に転落により第5頸髄損傷,右肩甲骨骨折,右肋骨骨折,右外傷性気胸及び血胸受傷。【経過と考察】第32病日に呼吸状態悪化し気管挿管し人工呼吸器管理。第37病日理学療法実施中に心停止。ボスミン投与後即座にセラピストによる胸骨圧迫を行い,3分後心拍再開。第39病日より理学療法再開。その後のバイタルサインや意識レベルに関しては心肺停止による影響はなかった。今回の心肺停止の原因は挿管チューブが若干浅く,側臥位への体位変換時に更に浅くなり,人工呼吸器での換気が不十分になったことによる低換気が引き金になったと考えられる。理学療法再開までの期間が短期間であった理由に,ICUでの理学療法であったため心停止の認識が早かったこと,心拍再開までの時間が短かったことが挙げられる。その他,セラピストはBasic Life Support(BLS)を受講しており心停止時の胸骨圧迫に対する知識および技術が十分にあったことも要因の一つであったと考えられる。今回のようなモニタリング管理下でのリハビリは,異常があればアラームが鳴ることや医師や看護師が近くにいるため,緊急時の対応は行いやすい。しかし,リハビリの実施場所はモニタリングのないリハビリ室や,他の職種のいない訪問リハビリでの現場の方が多く,その際は各セラピストが緊急性の判断を行うこともある。今後,リハビリスタッフへの救急救命教育が必須であると考える。
著者
佐藤 慎一郎 稲葉 宏次 小穴 修平 三浦 雅憲 近藤 公亮 滝川 康裕 鈴木 一幸 上杉 憲幸 増田 友之 久喜 寛之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.595-599, 2005 (Released:2005-06-14)
参考文献数
15

症例は68歳男性.1996年より無症候性原発性胆汁性肝硬変の診断で通院中であった.2002年10月麻痺性腸閉塞の診断で入院,内科的治療で改善したが同時に四肢,体幹の筋萎縮と四肢の筋力低下を認めたため精査を行った.筋生検でragged-red fiberを認め,ミトコンドリア脳筋症の診断となった.原発性胆汁性肝硬変とミトコンドリア脳筋症の合併は過去に報告はなく極めてまれである.両者の合併に関連性があるかは不明であるが,抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody;AMA)がミトコンドリア脳筋症の発症やその後の経過に影響を与えた可能性は否定できず,AMAの病因論的意義を考える上で興味深い症例と思われた.