著者
横路 誠司 高橋 克巳 三浦 信幸 島 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1987-1998, 2000-07-15
参考文献数
17
被引用文献数
13

インターネット上に分散するWWW文書を位置指向に検索するシステムを開発した.本システムでは,任意の地理的領域に属するWWW文書を検索することが可能である.本検索システムの実現のために,3つの手法を開発した.まず,位置指向検索に必要なWWW文書を選択的に収集する手法,次に,WWW文書から住所を抽出し,抽出住所を緯度経度と対応づけることによる構造化手法,そして,構造化された文書の緯度経度を用いた,地理的検索手法である.選択的収集手法は,WWW文書の内容を予測し,位置に関連した情報を高い割合で収集することができる.構造化手法では,住所辞書を持った形態素解析と,住所表記の正規化を用いて,WWW文書からの住所抽出を行った.その結果,正しい住所の抽出を保証したうえで,出現住所文字列の92%の抽出を丁目レベルで実現した.地理的検索手法では,構造化で付与された緯度経度情報と検索領域の重なりに存在するWWW文書の情報を提示する.この手法の評価実験を行った結果,提案手法は,検索領域として住所文字列を使用する従来のキーワード検索で少なくとも約25%存在していた検索もれを解消することができた."We developed a location-oriented search system for WWW documents on the Internet.This system can search WWW documents related to any geographical area.The system has three modules.(1) ``Location oriented selective information collecting robot''that collects documents from the Internet,(2) ``Location oriented structuring parser''that extracts address strings from the WWW documents andputs longitude-latitude information to the original document,(3) ``Location oriented structured search'' that performs geographical search.Our ``robot'' collects documents related to the location selectivelyby estimating the target document has the location information or not.Our ``parser'' extracts address strings using the morphological analysis andnormalization of address variants.It extracts 92% of detailed address strings while guaranteeingthe precision of the extraction.And our ``location oriented search'' method searches the documents whichits longitude-latitude overlaps to the polygon of the search request.This method can search all documentsthat conventional keyword search overlooks at least 25% of documents.
著者
三浦 亮 井和丸 光 野口 直人 伊藤 誠 山下 幹也 中村 恭之 三浦 誠一
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.84-95, 2018-03-01 (Released:2018-04-24)
参考文献数
7

2011年に海洋研究開発機構で導入された可搬式マルチチャンネル反射法地震探査(可搬式MCS)システムでは,運用を開始して以来,ストリーマーケーブルの複数のアクティブセクションに同時に現れるノイズ(等走時ノイズ)が発生している.この等走時ノイズは,スクリューの回転あるいは電源系に起因して周期的に現れる場合,およびランダムに発生する場合がある.ノイズの発生はストリーマーケーブルの電気的性質に起因すると推定されているが,現在のところ根本的な解決には至っていない.中でもランダム型の等走時ノイズは,反射波シグナルより強い振幅かつ反射波シグナルに近い周波数帯域で現れることが多いため,重合後データに対しての悪影響が大きい.可搬式MCSデータの処理においては等走時ノイズのみを抑制し,シグナルを残すようなデータ処理法を適用する必要がある.等走時ノイズの速度特質を利用し,速度フィルターの一種であるF-Kフィルター(周波数・波数領域フィルター)の適用を試みたところ,完全に除去することはできないものの,ノイズの影響を抑制することができた.
著者
三浦 広暉 林 立也
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成28年度大会(鹿児島)学術講演論文集 第4巻 通風・換気 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.141-144, 2016 (Released:2017-10-31)

小学校における普通教室の年間利用時間は1500時間程度であり、残りの7000時間が未利用であることを勘案すると、換気エネルギー消費量の大幅な削減を実現するためには、長期休暇等の児童不在時において停止の可能性も含めた機械換気の運用方法を検討すべきである。 具体的には教室の内装材等から放散する化学物質の濃度を計測し、蓄積による基準値超過等のリスクを評価することによって、安全性を満たした上で管理可能な範囲を把握することが必要である。
著者
三浦 勉 寺田 宙 太田 智子
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

海産物中のPb-210/Po-210測定の信頼性向上を目指した。金属鉛から調製したPo-210標準液、海産魚乾燥粉末を用いて既開発(Miura et al)のPb-210/Po-210分析法を評価した結果、全分離操作で90%以上のPo回収率が得られ、高い信頼性をもつことが実証できた。よって本分析法を基に標準分析作業手順書を作成した。予備実験で選定したかつお粉末といりこ粉末から調製した共同実験用試料を用いて、3機関が参加する共同実験を実施した。その結果、国内分析機関によるPb-210/Po-210測定値に有意な差は見られず、標準分析手順書の妥当性と国内分析機関の技術レベルが高いことが実証できた。
著者
平島 真一 多田 教浩 三浦 剛 伊藤 彰近 ヒラシマ シンイチ タダ ノリヒロ ミウラ ツヨシ イトウ アキチカ Shin-ichi HIRASHIMA Norihiro TADA Tsuyoshi MIURA Akichika ITOH
雑誌
岐阜薬科大学紀要 = The annual proceedings of Gifu Pharmaceutical University
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-9, 2011-06-30

酸化反応は有機合成における最も重要な柱の一つである。しかしながら、従来の酸化反応は重金属を大量に使用しなければならない、廃棄物が大量に副生するなどの問題点を有しており、いわゆる“グリーンケミストリー”の概念に必ずしもそぐわないものがほとんどであった。一方、最近では安価で原子効率が高い分子状酸素を酸化剤として用いた触媒的酸化反応が報告されている。この方法は適当な触媒を用いた場合に、反応後に副生されるものが理論的に水のみであり、理想の酸化反応として注目を集めている。係る背景において、筆者らは分子状酸素を用いる酸化反応について研究を行い、紫外光照射下(<400 nm)、HBrやBr2のような触媒量の臭素源存在下、芳香環上メチル基やアルコール類から対応するカルボン酸への酸化反応の開発に成功した。また、臭素源として触媒量のMgBr2を用いることにより可視光照射下(>400 nm)でも同様の酸化反応が進行することも見出した。さらに、上記の光酸素酸化反応を連続するエステル化反応へ展開し、芳香環上メチル基から芳香族カルボン酸エステルへの効率的な直接一段階合成法を確立することにも成功した。
著者
山本 健太郎 崔 原齊 三浦 佳世
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.9-18, 2014-09-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2

This study examined whether tactile information influences tactile impressions induced by visual textures. We used 22 natural images of materials (22.4°×22.4°; presentation duration of 100 ms) and asked participants to report the intensity of four types of tactile impressions described in onomatopoeias and an adjective (i.e., “zarazara” (coarsely), “tsurutsuru” (slipperily), “kasakasa” (dryly), and “komakai” (fine)) by making notations on each line-scale with check marks. We asked the participants to evaluate the visual textures during or after touching an index finger to a rotating cylinder (7.7 cm in diameter; approximately 10 rps) with regularly indented surfaces (visuo-tactile condition), and without touching the rotating cylinder (visual condition). The results revealed that, when the tactile stimulus was presented simultaneously with the visual textures, tactile impressions of them were evaluated higher in the visuo-tactile condition than in the visual condition. Particularly, three of the four tactile impressions (i.e., “zarazara”, “kasakasa”, and “komakai”) were strongly affected by the tactile stimulation. In contrast, when the tactile stimulus was presented prior to the visual textures for twenty seconds, the three impressions were evaluated lower in the visuo-tactile condition than in the visual condition, possibly resulting from a cross-modal aftereffect of adaptation to the tactile stimulus. Moreover, these effects were observed regardless of the similarity of tactile impressions between the visual and tactile stimuli. These results indicate that tactile information influences tactile impressions induced by visual textures. This effect might occur at the level of sensory processing.
著者
三浦 さおり
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

これまでに我々は、雄性先熟魚クマノミにおいて、全ての個体で未分化生殖腺が卵巣へ分化すること、その後しばらくしてから卵巣内に精巣が分化することにより両性生殖腺を形成するという特異的な性分化を経ることを明らかにした。しかしながら、クマノミの性分化過程において、どのように性ホルモンが関与しているのか不明である。雌性ホルモンの精巣分化の役割を明らかにするために、外因性の雌性ホルモンの精巣分化前の生殖腺と両性生殖腺への影響を調べた。その結果、雌性ホルモンは、卵巣内への精巣組織の分化を抑制し、両性生殖腺形成を阻害した。さらに、両性生殖腺の精巣組織の消失を引き起こした。このことから、雌性ホルモンは、精巣分化および両性生殖腺の形成、発達を抑制する可能性が高いことが示された。雄性ホルモンの性分化における役割を明らかにするために、外因性の雄性ホルモンの性分化および両性生殖腺の発達に及ぼす影響を調べた。その結果、雄性ホルモンは、卵巣分化の前後の生殖腺に雄化を誘導しなかった。さらに、両性生殖腺の卵巣への精巣分化、発達においても影響を与えなかった。しかしながら、卵巣腔の形成の遅延や輸精管様構造の分化を引き起こした。このことから、雄性ホルモンは、生殖細胞の分化よりはむしろ体細胞の分化に関与している可能性が高いことが示された。従って、これらの結果から、雄性先熟魚クマノミの性分化過程の卵巣分化には、雌性ホルモンおよび雄性ホルモンのどちらも直接関与している可能性が低いことが明らかになった。一方、精巣分化に伴う両性生殖腺の形成には、雌性ホルモンが低下し、雄性ホルモンが上昇することが重要であるものと考えられる。
著者
三浦 憲蔵 スバサラム タドサク タウインタング ナクン ヌチャン ナリス 白石 勝恵
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-47, 1990-03-01
被引用文献数
2

東北タイ, コンケン県ポン地区においてシロアリ塚跡の地点で認められた高い生産力の要因を究明するため, 当地区においてキャッサバおよびゴマ畑でシロアリ塚跡の地点とその近傍の未攪乱の地点を対象に土壌の形態的および理化学的な検討を行なった.形態的には, シロアリ塚跡の地点では未攪乱の地点より, 層厚で, 暗色味の強い, 粘土に富むA層が形成されており, シロアリ活動による強度の土壌攪乱が認められた.特に塚跡の中心部では基岩の直上部に及ぶまで土壌攪乱による均質化が起こっていた.この土壌攪乱の程度は塚跡の中心部から外部に向かって次第に弱まった.理化学的には塚跡の地点では, それに隣接する未攪乱の地点と比較して, 粘土, 全炭素, 全窒素, 有効態リン, 交換性塩基(カルシウム, マグネシウム, カリウム)などの含量が高かった.シロアリ活動による土壌の形態的および理化学的な変化はシロアリが塚の主材料として用いたスメクタイト質の粘土を基岩直上部から運び上げ, さらに土壌粒子や団粒の膠着剤として用いた有機物(唾液や糞)を土壌中に取り込んだことに基づくものと考えられた.塚跡の地点における高い生産力はシロアリ活動による上記のような粘土と有機物の取り込みに起因する土壌肥沃度の向上によるものと考えられた.但し, 塚跡の中心部分では高pHによるリン, 鉄などの要素欠之が作物生育を制限したものと考えられた.以上より, シロアリ活動がもたらす土壌攪乱は元の土壌性質を一変させるほどに激しいものであり, 土壌の生成並びに肥沃度の面できわめて大きな意味を持つものと言えた
著者
甚野 尚志 大稔 哲也 平山 篤子 踊 共二 三浦 清美 青柳 かおり 太田 敬子 根占 献一 関 哲行 網野 徹哉 大月 康弘 疇谷 憲洋 皆川 卓 印出 忠夫 堀越 宏一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々のプロジェクトは、中近世のキリスト教に関わる諸問題をさまざまな視角から分析することを目指した。それも地域的には、ヨーロッパ世界に広がったキリスト教の問題だけでなく、布教活動とともにキリスト教化した他の世界の諸地域も対象とした。これまでの研究は主として、中近世キリスト教の非妥協的態度、迫害社会の形成、異教徒との対決の視点から研究がなされてきたが、我々は最近の研究動向に従い、中近世キリスト教世界の多様性やことなる宗教の共存に光があてつつ研究活動を行ってきた。この間の多くのワークショップなどの成果に基づき、各分担者が論文などで中近世のキリスト教史の新しいイメージを提示できた。
著者
三浦 正江 三浦 文華 岡安 孝弘
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究
巻号頁・発行日
2018
被引用文献数
6

<p>This study compared the psychological health of children who moved to temporary housing following the Fukushima nuclear accident with those who stayed in their own houses. The questionnaire was designed to measure stress responses, positive events in daily life, positive affect, and social support. It was completed by 28 children who had evacuated from the affected area and lived in temporary housing; 106 children living in their own houses in Fukushima Prefecture; and 321 children living in a nonaffected area in Saitama Prefecture. The results showed that children who moved to temporary housing experienced more frequent bullying and play-related stressors, had less positive experiences related to events with family members and during lessons, and received less support from their teachers and friends than other children. However, the differences in living environments did not affect their stress responses or positive affect. These findings suggest the importance of providing temporary housing environments that enable children to experience close interactions with friends and adequate support from teachers.</p>
著者
植田 浩安 三浦 清 金子 亜由美 磯部 賢二 前嶋 義夫 辻本 裕 西尾 和淑 村田 重男 梶原 啓史 實野 孝久
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.39-43, 2007
被引用文献数
1

The micro-printing technology which cannot be read with the n aked eyes is used as one of the imitation preventive measures. We p reviously developed the laser mark ing fiber by kneading the coloring pigments to polyester resin. Using this fiber, the irradiation conditions of YAG laser were examined and the best marking condition was found. It was expected the laser marking fiber which was marked original products info rmation was used effectively to p revent imitation.
著者
大山 廉平 丸谷 巌 富田 濤児 三浦 琢磨 吉成 道夫
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.702-708, 1980

近年, 内視鏡的膵・胆管造影は胆道精査法として著しく発達したが, 小児に対しては, その特殊性から, 消極的にならざるを得ず, わずか数例の成功例をみるのみである.<br>我々は, 小児(6才, 7才)の2症例に対して, ERCPを行い, 良好な結果を得たが, その検討の結果, 小児ERCP用フアイバースコープの改良開発が望まれるが, 現在汎用されているオリンパスJF-B3でも, 小児に対して可能であることがわかつた.<br>その適応として年令6才, 体重20kg及び身長110cm以上であれば, ERCPは可能であると考える. 更に重要なことは, 麻酔の問題であり, 小児に対しては, 経鼻的気管内挿管による全身麻酔を行うことが必須である. これにより, フアイバースコープ操作が容易となり, 安全かつ有効な検査が可能である.<br>今後広く小児に対する日常検査としてのERCPの適応の拡大が期待される.
著者
大塚 正人 GURUMURTHY Channabasavaiah 三浦 浩美 佐藤 正宏 和田 健太 高橋 剛
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第108回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.P-83, 2015 (Released:2015-09-15)

【目的】近年,CRISPR/Cas9系を含めたゲノム編集技術の開発によって,簡便にノックアウト(KO)マウス等のゲノム編集マウスを作出できるようになってきた。現行法では,(1)過排卵処理を施した雌マウスを雄マウスと交配して受精卵を採取する,(2)CRISPR関連核酸を受精卵へ直接顕微注入する,(3)顕微注入処理した胚を偽妊娠マウスの卵管へ移植する,という3つのステップを経て作製する方法が一般的である。しかしながら,これらは熟練した技術とmicromanipulatorという高価な設備を必要とするため,誰もが容易に実施できる環境にある訳ではない。そこで我々は,採卵,顕微注入,移植の手間を省くことが可能な,新規ゲノム編集マウス作製法「Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD)法」を考案した。【方法】麻酔処置を施された妊娠雌マウスから2細胞期受精卵を有する卵管を体外に露出させ,ガラスピペットを用いてCRISPR関連核酸溶液を卵管内に注入し,その後,直ちに卵管全体に対し電気穿孔法を施す。術後,卵管を雌マウスの体内に戻し,そのまま発生させる。【結果】本手法の妥当性を確認するために,まず,本技術によってRNA導入が可能であるかを検証した。GONAD法を用いてeGFP mRNAの導入を試みたところ,卵管上皮細胞および着床前胚でのeGFPの発現が観察された。そこで,次にCRISPR関連RNA(Cas9 mRNAとsgRNA)の導入を試みた。その結果,着床前胚において複数の内在性遺伝子,およびeGFP遺伝子のKOに成功した。また,着床後胚においてもeGFP遺伝子のKOにも成功した。これらの結果から,卵管内の受精卵に核酸を直接導入することにより,採卵や顕微注入,移植という一連の高度であるが,煩雑な工程を全てスキップしてゲノム編集マウスを簡便に作製できることが示された。
著者
三浦 知之 森 和也
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.47-63, 2008-01

宮崎港の北に位置する9.6haの一ツ葉入り江に出現する鳥類について、これまで1年間の調査による出現種の結果を報告したが、本報では出現鳥類の季節的消長と摂餌生態を報告するとともに、入り江を繁殖地とするコアジサシの営巣の状況と営巣地保全に関する考察をおこなった。2002年から2007年まで、一ツ葉入り江において22科60種の鳥類の飛来が記録され、環境庁レッドデータブックで絶滅危惧I類CRのクロツラヘラサギ、絶滅危惧II類VUのズグロカモメ、コアジサシ、セイタカシギ、アカアシシギ、ホウロクシギおよび準絶滅危惧NTチュウサギ、ミサゴ、カラシラサギが確認された。同記載種であるコアジサシは、2002年、2004年、2006年および2007年に営巣した。留鳥はチドリ科のシロチドリ、サギ科のコサギ、ダイサギ、アオサギおよびカラス科のハシボソガラス、シギ科のイソシギ、カワセミ科のカワセミ、タカ科のミサゴおよびサギ科のアマサギであった。他に非湿地性鳥類10種も出現した。シロチドリは入り江の砂嘴部で繁殖した。夏鳥としてはカモメ科のコアジサシ、アジサシ、クロハラアジサシ、ハジロクロハラアジサシおよびサギ科のササゴイの5種であった。冬鳥は、ガンカモ科のマガモを含む12種が記録された。旅鳥はシギ科のハマシギを含む18種が記録された。これらの鳥類に関して、糞あるいはペリットを排出直後に採取し、餌生物の分析を行った。特にシギ類は入り江の甲殻類や魚を良く捕食し、入り江で最も生息個体数の多いコメツキガニが糞やペリットに頻出した。コアジサシがほぼ毎年営巣していたが、特に2006年と2007年の観察を元に一ツ葉入り江のコアジサシ繁殖地としての可能性を考察した。営巣の攪乱要因としては、台風や大雨による水位の上昇および人・車・飼育動物の侵入の影響が大きく、人的攪乱をできるだけさけることが肝心であるが、自然災害に対しては営巣地の数を増やすことが唯一の対応策となろう。営巣地に必要な立地条件としては見通しの良い荒れ地であることが重要であり、草地化を防止し、砂利などを敷けば、一ツ葉入り江は数百規模の営巣が可能になると考える。
著者
三浦 勲夫
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales
巻号頁・発行日
vol.19, pp.43-68, 1976-01-01
著者
三浦 あゆみ 辻仲 利政 今西 健二 白潟 初美 櫻井 真知子 森岡 亜希子 辻阪 真衣子 梶原 絹代 上野 裕之 三嶋 秀行
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 : 日本静脈経腸栄養学会機関誌 = The journal of Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.603-607, 2010-03-25
参考文献数
15

【目的】近年、外来化学療法患者が増加しているが、栄養状態の実態は明らかではない。【方法】今回、外来化学療法施行中の312症例(女性218例、男性94例)を対象に、簡易栄養スクリーニング法SNAQ(Short Nutritional Assessment Question)を用い、栄養状態を調査した。【結果】質問3項目のうち2項目以上該当した栄養介入必要群は51例(16%)であった。血清アルブミン値、ヘモグロビン値、小野寺の予後指標は、介入必要群で有意に低下していた。「食欲低下」項目該当患者の割合は、1項目該当群78例のうち73%、2項目該当群31例中では100%であった。男女別の比較では、血清アルブミン値、小野寺の予後指標は男性で有意に低下していた。疾患別では、下部消化管癌に栄養介入が必要な患者が多かった。【結論】今回の調査で、外来化学療法患者には栄養評価と栄養介入が必要であり、食欲低下への対策が重要であることが示唆された。