著者
松井 晋 Audrey STERNALSKI Christelle ADAM-GUILLERMIN 笠原 里恵 五十嵐 悟 横田 清美 渡辺 守 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.169-174, 2015 (Released:2015-12-13)
参考文献数
21
被引用文献数
2

福島第一原子力発電所事故から1年後の2012年に東京,長野,茨城,福島を含む地上から1 mの空間線量率が0.11-21.4(μGy/h)の地点で回収したカラ類(シジュウカラParus minorもしくはヤマガラPoecile varius)の主にコケ類を用いて作られた巣材の放射性セシウム[Cs-134+Cs-137]濃度は6.6-6,128.9(Bq/g dry weight, n=14)となり,空間線量率が高い場所で採集した巣材ほど,巣材の放射性セシウム濃度が高くなる傾向があった.これらの結果は,地上1 mの空間線量率は相対的な巣材の汚染レベルの指標になりうることを示唆し,空間線量率の高い地域ほど巣材に含まれる放射性物質から繁殖期に卵,雛,親が近接的に受ける外部被曝線量率が増加すると考えられた.
著者
岩鶴 早苗 池田 敬子 板谷 裕美 服部 園美 日下 裕子 上田 恵
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
和歌山県立医科大学看護短期大学部紀要 (ISSN:13439243)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-70, 2002

本研究の目的は炭酸ガス入り足浴(;炭酸ガス浴)の有用性の検討である。健康な女性16人(平均年齢19.6±0.7歳,平均身長160.2±5.0cm,平均体重52.4±5.8kg)を対象とし炭酸ガス浴と従来の足浴(;混浴)を実施した。測定内容は生理的指標として,皮膚血流量,体温(中枢温・末梢温・・腋窩温),脈拍,血圧であり,主観的指標として炭酸ガス浴と温浴を比較した被験者の感想である。生理的指標は足浴前,足浴直後,15分後,30分後,1時間後,2時間後に測定した。データの分析はpaired-t検定を行った。その結果,炭酸ガス浴後の皮膚血流量において,温浴と比較して有意に上昇していた(p<0.01〜O.05)。体温,脈拍,血圧では有意な差はみとめなかった。被験者の感想では,炭酸ガス浴の満足度は非常に高かった。以上のことから,炭酸ガス浴は皮膚血流量増加による保温効果や心地よさのレベルを高めることが明らかとなった。
著者
福岡 明 小山 悠子 福岡 博史 上田 恵里子 山本 光祥 貴田 晞照 吉村 ひろ子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.170-175, 2003-03-01

〔目的〕外気功を含めたCAMを積極的に併用することによって、腫瘍の縮小を見た2例について報告する。〔症例I〕A.F.76才♂歯科医師結腸腫瘍自覚的症状無くB.D.0-ring Testにて下行結腸に腫瘍の共鳴あり。内視鏡検査、組織検査にて同部に2.5cm程度のTubular Adenoma(Group3)を確認。その後、約2ヶ月外気功を含めたCAMの併用後、腫瘍が約1cmに縮小し、内視鏡的切除を可能にした。〔症例II〕M.Y.59才♂医師転移性肝内腫瘍排便異常、体重減少を主訴。内視鏡検査にて、大腸悪性腫瘍(ClassV)、画像診断により肝への転移を認める。大腸腫瘍切除手術後、約9ヶ月間、化学療法を施行。その後、外気功を併用し、画像診断により、肝転移性癌腫瘍の縮小傾向良性化が認められた。〔症例III〕T.S.42才♂会社員脳動脈瘤1999年8月2日交通事故の後遺症にてMRI・脳血管造影により動脈瘤2ヶ所を認めた外気功の併用にて動脈瘤の縮小、血流の改善をみた。〔結論〕以上、外気功を併用し、経過良好の3症例について報告する。
著者
上田 恵美子 古川 文子 小林 敏生
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.5_39-5_47, 2006-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
38

スタッフナースの心身の健康は,患者に対する看護の質を保証する上で重要な課題であるが,その実態と影響要因については明らかでない。本研究では,健康関連QOL(HRQOL),職業性ストレス要因,緩衝要因,個人要因の実態把握,各要因間の関係探索,HRQOLに及ぼす影響要因の検討を目的とした。対象者は近畿圏のスタッフナース500名で,HRQOLにSF-36下位尺度4項目,職業性ストレス要因に小林らの看護職職業性ストレス尺度,緩衝要因に影山らのコーピング尺度,自意識に菅原の自意識尺度を用い自記式質問紙調査を行った。その結果,SF-36の活力(VT)と心の健康(MH)は,20歳代,現喫煙者,看護職不向きと思う者,公的自意識の高い者が有意に低かった。またVTは達成感,気分転換,量的負荷からの影響,MHは質的負荷,達成感から有意な影響を受けていた。今回,主として達成感の充足支援と仕事負荷のコントロールがHRQOLの改善に重要であることが示唆された。
著者
上田 恵子 辻森 めぐみ 小谷 真也 千葉 亜希子 増野 和彦 久保 昌一 長井 薫 関谷 敦 河岸 洋和
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.309-314, 2008

The importance of the endoplasmic reticulum (ER) in triggering a specific program of cell death has been recently reported. By triggering apoptosis on neural cells, ER-stress is a major cause of neurodegenerating disease such as Alzheimer disease. The demand for new protective substances to the ER-stress-dependent cell death prompted us to screen the protective activity of mushrooms. On the course of the screening, we isolated new hericenones, 3-hydroxy-hericenone F as a protective agent, along with related compounds, hericenone I and J. The structures of hericenones were determined by NMR and MS spectra. The structure of 3-hydroxy hericenone was elucidated as (8-formyl-3-hydroxy-5-methoxy-2-methyl-2-(4'-methyl-2'-oxopent-3'-enyl) chroman-7-yl) methyl palmitate, which had one additional hydroxy group compared to hericenone F. 3-Hydroxy-hericenone F showed the protective activity dose-dependently, however hericenones F, I and J did not have any activity at the concentration of 10μg/mL. Therefore, we suggested that the hydroxy group of 3-hydroxy-hericenone F was important for the protective activity. This is the first report of a new hericenone which has the protective activity against ER stress-dependent cell death. The further study using more hericenones is needed for the understanding of the structure-activity relationship.
著者
福居 信幸 上田 恵介
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.121-124, 1999-02-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
10
被引用文献数
9 6

Fruit of the Chinese tallow-tree Sapium sebiferum have white sarcocarp and dehiscence in autumn. The sarcocarp dries on the branch soon after the dehiscence. We observed eight bird species eating the fruit of S. sebiferum. Two species of crows Corvus corone and C. macrorhynchos, the Grey Starling Sturnus cineraceus and the Brown-eared Bulbul Hypsipetes amaurotis swallowed the fruit and excreted the seeds. The Tree Sparrow Passer montanus, the Great Tit Parus major and the Oriental Greenfinch Carduelis sinica took only a small part of the sarcocarp and left the seeds on the branch.The Turtle Dove Streptopelia orientalis took a lot of fruits and digested the seeds.The Tree Sparrow, the Great Tit, the Oriental Greenfinch, and the Turtle Dove are not seed dispersers, but a kind of seed parasite or predator.
著者
上田 恵子 粟島 由海 森田 直之 中安 雅美 足立 真理子 エデラ ロビンソン 井上 奈穂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.321-322, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
2

著者が在学していた東京都立多摩科学技術高等学校(以下、本校)は、平成22 年に開校し、平成24年に文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された。著者は平成26 年4 月から平成29 年3 月まで在学したが、本校では2 年次に『課題研究』、3 年次に『卒業研究』といった研究活動を主体とした授業が用意されている。この授業では、自ら課題解決に関するテーマを設定し、授業が展開されている。本研究では、SSH 指定を受けた進学型専門高校における課題解決型授業におけるテーマ設定プロセスを生徒の立場で考察し、実践した内容を報告する。
著者
許 俊鋭 朝野 晴彦 田邊 大明 上田 恵介 鈴木 義隆 宮本 直政 横手 祐二 関口 敦 見目 恭一 尾本 良三
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.354-358, 1997-04-15
参考文献数
7
被引用文献数
1

VAS治療例で透析施行ユ3例(透析群)と透析非施行6例(対照群)を比較した。1ヶ, 月生存は透析群5例(38%)・対照群3例(50%)、VAS離脱は透析群4例(31%)・対照群1例(17%)、生存退院は透析群2例(15%)・対照群1例(17%)で差はなかった。血液透析(HD)7例、腹膜透析(PD)3例、PDからHDへの移行(PD+HD)は3例で1ヶ月生存はHD例3例(43%)、PD例0例、PD+HD例2例(67%)でこの2例は長期生存した。Cr最高値はPD中7.8±2.3mg/dl、HD中4.9±1.6mg/dlで、透析関連合併症はHD中に3例(43%)に出血傾向、1例(14%)にポンプ感染、PD中に1例(17%)に出血傾向を見た。 (1) 透析群の成績は対照群に比較して遜色はなかった。 (2) PDの透析効率はHDに劣るが、透析関連合併症は少なかった。 (3) 初期にPD、安定期にHDに移行する透析法が望ましい。
著者
佐藤 義彦 土師 岳 叢 花 潘 儼 上田 恵理子 間瀬 誠子 山本 俊哉 山口 正己 廬 春生
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
植物遺伝資源探索導入調査報告書 = Annual report on exploration and introduction of plant genetic resources (ISSN:24347485)
巻号頁・発行日
no.23, pp.137-151, 2007-11

A survey for the distribution, utilization and conservation of fruit tree genetic resources was conducted in south-western part of Xinjiang Uygur Autonomous District of China in cooperation with scientists of Xinjiang Academy of Agricultural Sciences from September 2 to 10, 2006. The abundance and diversity of the pear and stone fruit were observed in the region visited. Local varieties and seedlings of peach (Prunus percica ) and Xinjiang peach (P. ferganensis ) were observed in the region surveyed. Local variety 'Suan Mei', which is thought to be P. domestica , is cultivated in south-western part of Xinjiang Uygur Autonomous District. Local varieties of three Pyrus species, P. × bretschneideri, P. armeniacaefolia and P. communis and their interspecific hybrids are distributed mainly in south-western part of Xinjiang Uygur Autonomous District. Besides these three species, P. betulaefolia is used as rootstock for Pyrus. But the diversity of these local varieties is rapidly declining with the spread of commercial cultivars that were introduced from other provinces. Analyses for genetic diversity of pear and stone fruits based on molecular markers were carried out.
著者
雨森 正記 西垣 逸郎 荻野 賢二 山下 滋夫 馬場 道夫 小杉 圭右 繁田 幸男 上田 恵一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.547-551, 1989-07-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

ケトアシドーシスにて発症したインスリン依存型糖尿病 (以下IDDM) に, インスリン持続皮下注入療法 (以下CSII) を施行中, 色素性痒疹を合併した症例を経験したので報告する.症例. 44歳男性. 糖尿病性ケトアシドーシスにて入院第3病日より, CSIIを開始した. 第5病日頃より, 著明な掻痒を伴う痒疹様発疹が出現, 血糖コントロールの増悪に伴い発疹も増悪し, CSIIを中断せざるを得なかった. 血糖コントロールの改善に伴い顔面及び四肢の痒疹は軽快した. 皮膚所見及び皮膚生検より色素性痒疹と診断した. 色素性痒疹は本邦において第1例が報告されて以来, 主として本邦で症例報告がなされているが, IDDMと合併した症例は国内外を通じ, いまだ報告をみず稀な症例と考えられた.
著者
那須 義次 荒尾 未来 重松 貴樹 屋宜 禎央 広渡 俊哉 村濱 史郎 松室 裕之 上田 恵介
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.47-58, 2019-08-31 (Released:2019-09-12)
参考文献数
39

The insect fauna in Ryukyu Ruddy Kingfisher nests was investigated on Iriomote-jima, Ishigaki-jima and Miyako-jima Is., Okinawa, Japan. Kingfishers on Iriomote-jima and Ishigaki-jima Is., where Takasago termites which make ball-like nests on trees are distributed, often dig nesting holes in the termite nests, but they excavate holes in decayed trees on Miyako-jima I. where the termites are not present. Moths belonging to the family Tineidae were found to be the main symbiotic insects in the nests, and eight moth species, including two species considered to be undescribed or newly recorded species from Japan, were confirmed. The differences in moth faunas of the kingfisher nests between the three islands are discussed.
著者
那須 義次 重松 貴樹 広渡 俊哉 村濱 史郎 松室 裕之 上田 恵介
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.25-28, 2019-04-30 (Released:2019-05-17)
参考文献数
12

筆者らは我が国の様々な鳥の巣に生息している昆虫類の研究をおこない,多種の昆虫が鳥の巣に生息し,巣内共生系とも呼ぶべき特殊な生態系が成立していることを報告してきた(那須,2012;広渡ら,2012, 2017;那須ら,2012;Nasu et al., 2012;八尋ら,2013など).これら研究の過程で沖縄県の宮古島と南大東島の鳥の巣から日本新記録となるヒロズコガ科のSetomorpha rutella Zeller, 1852の発生を確認したので,成虫と雄交尾器の図とともに報告する.Setomorpha rutella Zeller, 1852ミナミクロマダラヒロズコガ(新称)(Figs 1, 2)前翅開張約12 mm.頭部の鱗粉はなめらかで,暗褐色.前翅は長方形,先端1/3が背方にやや折れ曲がり,地色は淡灰褐色で多数の黒褐色の斑点をもつ.後翅は淡褐灰色.雄交尾器:ウンクスは一対の滑らかな突起で硬化が弱い.バルバは大きく,先端に長い鎌状に曲がった突起をもつ.エデアグスは細長い.サックスは細長く,前方部は膨らむ.一対のコレマータをもつ.分布:世界の熱帯,亜熱帯域に分布(Diakonoff, 1938; Hinton, 1956; Robinson and Nielsen, 1993).日本:沖縄(宮古島,南大東島).(日本新記録)食性:乾燥葉タバコ,スパイス,豆類や貯蔵穀類などの乾燥した植物,ハチの巣,鳥の皮・糞,動植物質のデトリタス(Hinton, 1956; Gozmány and Vári, 1973).備考:本種が属するSetomorphinae亜科は日本新記録のヒロズコガ科の亜科である.本亜科は世界的に分布し,3属9種からなる小さな亜科で,成虫の頭頂の鱗粉が薄板状で,やや頭に押しつけられている,口器(口吻,マキシラリ・パルプス)が退化するなどの特徴をもつ(Robinson and Nielsen, 1993;坂井,2011).宮古島のリュウキュウコノハズクOtus elegans elegansの巣箱とリュウキュウアカショウビンHalcyon coromanda bangsiの自然巣から成虫が羽化した.羽化標本がRobinson and Nielsen (1993)などが図示した成虫と雄交尾器の形態が一致したので本種と判断した.本種はNasu et al. (2012)が南大東島のダイトウコノハズクOtus elegans interpositusの自然巣から記録したSetomorpha sp.と同じものである.幼虫は鳥の巣内では朽ち木屑や糞などの動植物質のデトリタスを摂食していたと推測される.英名Tropical tobacco mothが示すとおり,熱帯域の乾燥葉タバコと貯蔵穀類の重要害虫であるため,今後,鳥の巣だけでなく,我が国の穀類倉庫や屋内から発生して問題になる可能性がある.
著者
上田 恵陶奈 岸 浩稔 光谷 好貴 小野寺 萌
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.967, pp.88-91, 2018-06-21

第2回オフィスで人工知能(AI)の活用が当たり前になると、人の働き方が劇変する。承認の仕事が中心の中間管理職は存在意義が問われる。一般社員はAIができないタスクを担う「ソルジャー」か専門家かの選択を迫られる。
著者
福岡 博史 上田 恵里子 小山 悠子 福岡 明 野呂 明夫 高橋 一祐
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.417-421, 2002-09

「波動」という新しい概念が提唱され、波動測定器というものが健康度や病気の進行度、物品の品質などを計測できる機器であるとされている。しかし、この種の機器での分析にあたり、計測担当者の操作技術、心理状態が計測結果に影響する要因として考えられており、研究者によっても得られた計測値の評価についての解釈は様々である。本実験では、熟練度の異なるオペレーターが、11種類の歯に装着する各種歯科材料を対象として、磁気波動共鳴分析器「MIRS」を用いて計測を行い、その計測値の差について評価した。またこれらの歯科材料の材料相互間の評価でなく、各被験者との相性を評価することができるかどうかを、同様に「MIRS」を用いて、十分な経験のあるオペレーターにより計測し、評価・検討を行った。
著者
齋藤 武馬 西海 功 茂田 良光 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.46-59, 2012 (Released:2012-04-27)
参考文献数
61
被引用文献数
3

メボソムシクイPhylloscopus borealis (Blasius) は,旧北区北部と新北区最北西部のスカンジナビアからアラスカまで,南端は日本まで繁殖する渡り鳥である.僅かな形態形質の違いから,これまで7の亜種が記載されてきたが,その分類には統一した見解がなく,分類学的混乱がみられる.この問題を解決するため,著者らはこれまでに繁殖分布域の全域において,分子系統学,形態学,音声学的手法を用いた解析を行い,メボソムシクイの地域個体群間の差異を明らかにしてきた.さらに,著者らは利用可能な学名の正しい適用を決めるため,渡り中継地及び越冬地から採集されたタイプ標本のミトコンドリアDNAを解読した.その結果,ミトコンドリアDNAの配列,外部形態,音声の変異の一致から,従来認識されてきたメボソムシクイには3つの独立種を含むことを明らかにした.それは,Arctic Warbler Phylloscopus borealis(ユーラシア北部~アラスカ西部),Kamchatka Leaf Warbler P. examinandus(カムチャツカ・千島列島・サハリン・北海道知床半島),Japanese Leaf Warbler P. xanthodryas(本州・四国・九州)である.さらに,これらの種について種和名を提唱し,Arctic Warblerをコムシクイ,Kamchatka Leaf Warblerをオオムシクイ,Japanese Leaf Warblerをメボソムシクイとすることを提案した.
著者
上田 信 金子 啓一 上田 恵介 阿部 珠理 佐々木 研一
出版者
立教大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

前年度から引き継がれた問題点前年度は、NGOに関する情報収集と、NGOに関心を持つ大学教員に対する聞き取り調査を行い、基本的な認識を得るように努めた。今年度は、研究の焦点を緑化NGOに定め、その行為に参画し、実践的に研究を進めた。(1) 緑化リーダー養成講座GENは中国の沙漠化地域の一つである山西省の高度高原において、現地の青年連合会とパートナーシップを組んで緑化活動を行っている。そのなかで、現地の植生の調査、育苗・植林技術の向上、病害虫被害の分析などにおいて、大学教員や元教員と連携を図っている。その主なメンバーを招き、「緑化リーダー養成講座」というタイトルのもと、講演会を開催し、そのNGO経験に関するデータを集めた。(2) ワーキングツアーチコロナイは北海道でアイヌ民俗が多く住むニ風谷において、アイヌ文化の基盤となる森林の再生を目的とするナショナルトラスト活動である。毎年、数度にわたり現地においてワーキングツアーを企画しており、上田が参加して大学とのパートナーシップの可能性を探った。その結果、ナショナルトラスト活動は自然と文化と生活とを総合的に考察する機会を与えるものであり、ワーキングツアーは有効な教育の場となりうることが明らかとなった。(3) 文学部集中合同講義「アジア・開発・NGO」大学の学生のNGOに対する取り組みを調べるために、文学部の集中合同講義にNGOを取り上げた。学生にNGOが企画したシンポジウムやイベントの情報を提供し、興味を持ったものに参加するように促した。その結果、学生のNGOに対する目を開かせるためには、きめの細かいサポートが必要であることが明らかとなった。(4) サポートセンターの必要性以上の研究・調査の結果、大学とNGOのパートナーシップを構築するためには、両者の事情に精通したものがマッチンキグさせるための第三者的なサポート体制をつくる必要があることが明らかとなった。今後は、そのサポートセンターの設立の条件などについて、実践的に研究を展開させてゆきたい。
著者
シュプリンガー マークS. 樋口 広芳 上田 恵介 ミントン ジェイソン シブレイ チャールズG.
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.66-77_1, 1995-10-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
8 8

小笠原諸島の固有種,メグロApalopteron familiareは,1958年以降ミツスイ科に分顔されているが,これまでにヒヨドリ科,メジロ科,チメドリ科などにも分類されており,分類学上の位置が不安定な鳥である.われわれはミトコンドリア12SリボソームRNAをコードするDNAの塩基配列に基づく分子生物学的手法により,メグロがメジロ科の1種であることを示す証拠を得た.また,メジロ科の中では,マリアナ諸島南部に生息するオウゴンメジロCleptornis marcheiに近縁であることを明らかにした.オウゴンメジロもかつてはミツスイ類とされていたが,最近,DNA-DNAハイブリダイゼーション法や生態•行動研究などによってメジロ類であることが判明した鳥である.メグロは,相互羽づくろいや接触就眠を行なう,巣づくりから育雛まで雌雄で行なう,求愛給餌を行なわない,などの生態,行動面でもメジロ類に似ている.また小笠原諸島には元来メジロ類は分布しないことになっているが,メグロがメジロ類の1種になることで分布のこの奇妙な空白も埋まることになる.
著者
田村 實 上田 恵介
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.86-90, 2000-12-29 (Released:2008-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

一般に鳴禽類では,メスの囀りは一般的ではないが,著者らは1998年5~7月に,山梨県清里において,コルリの繁殖生態を調査中に,コルリのメスが囀るのを観察•記録することができた。観察したのは繁殖期の後半(6月下旬)で,2つのなわばり内の巣で,メスが巣内ビナに給餌を行っていた時期と,巣立ち雛を連れている時期に観察され,ビデオ撮影•録音された。またヒナが巣立った直後に発見した別のなわばり内の巣のメスも,巣立ちビナを連れながら,さえずっているのが観察された。メスの囀りにもいくつかのレパートリがあったが,オスの囀りと異なり,囀り4パターンの中,2パターンにおいて,オスの囀りに特徴的な「チッ,チッ,チッ…」という前奏が聞かれなかった。メスはオスよりも低い声で,また,オスよりも弱い声で囀っていたが,囀りのパターンは部分的にはよく似ている傾向が見られた。メスが囀ることの意味は,まだよくわからないが,人の巣への接近という状況下で起こっていることから,メスによる巣の防衛行動に関連した機能があると思われた。