著者
畠 佐代子 新野 聡 富樫 悦夫 上野山 雅子 澤邊 久美子
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.53-62, 2018-10-24 (Released:2018-10-24)
参考文献数
20

宮城県仙台市若林区内において,カヤネズミMicromys minutusの新産地を3ヶ所発見した.新産地のうち,広瀬川左岸河川敷で発見された生息地は,国内における本種の分布の北限として知られる坪沼よりも北に位置しており,新たな北限となる.新産地の周辺は圃場整備や護岸工事が進み, それぞれの生息地が孤立した状態であると推察されることから,生息環境の早急な保全が求められる.
著者
安里 芳人 筒井 大輔 杉田 康 上野 隼平 橋本 倫季 天羽 惠佑 上田 一志 中崎 正太郎 狭間 研至
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
pp.2019.0029, (Released:2020-03-24)
参考文献数
9

2018 年度調剤報酬改定では,ポリファーマシー対策における薬剤師業務の評価を目的に服用薬剤調整支援料(以下,本支援料)が新設された.今回,当薬局にて本支援料を算定した123 名を対象に患者背景,減薬理由,薬効別内訳や薬剤師の経験年数などを解析するとともに,推定削減額と本支援料の関連を検証した.1 人当たりの薬剤数は,9.0 剤から6.0 剤に減少していた.うち,薬剤師の提案による減薬が274 剤(87.3%)を占めており,中止となった薬剤には消化器用剤と解熱鎮痛消炎剤の併用が多かった.服用薬剤数は80 歳から84 歳以下の10.7 剤がピークであったが,年齢と減薬数には大きな差はみられなかった.190 剤(69.3%)が漫然投与の改善であった.123 名で算定した本支援料は,延べ133 回166,250円であった.一方,本算定要件となる28 日間で薬剤費は461,680 円の削減となった.また,薬剤師の経験年数と本算定には関係性は認められなかった.薬剤師による服用後のフォローと薬学的見地からのアセスメント,医師へのフィードバックを基本サイクルとして,患者個々において薬剤師が医師や他の医療従事者と連携する環境を整えることは,服用薬剤数を減少させ,ポリファーマシーの改善に寄与するとともに,医療費の適正化にも貢献すると思われた.
著者
福山 泰広 西山 優太 上野 宥那 依田 信一朗 田村 咲絵 岩田 和也 近藤 佑衣 川原井 晋平 圓尾 拓也
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.199-205, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
14

自壊した皮膚腫瘍(出血,感染,悪臭)は局所腫瘍の進行病変で治療困難なことがある。この治療のためにカルボキシメチルセルロース(CMC)を基剤とした変更Mohsペースト(moM-CMC)1.0を作成したが,保存できないという問題があった。塩化亜鉛 5 g,蒸留水 2.5 ml,CMC 0.75 gを混合し湯煎すると糊状ゾルとなり直ちに使用可能であるとともに3ヶ月保存できた。このmoM-CMC 2.0を犬8頭,猫2頭の自壊した皮膚腫瘤に対して使用した。臨床徴候として全例で自壊に加えて悪臭があり,7頭で出血が認められた。診断は乳腺癌2頭,耳介の肥満細胞腫,口腔扁平上皮癌,皮膚扁平上皮癌,皮膚組織球肉腫が各1頭ずつ,病理検査を行なっていないものは,耳道の腫瘤2頭,乳腺腫瘤,頸部皮膚腫瘤が各1頭であった。塗布すると水分を吸収しゲルとなった。治療時間は中央値30分(幅,10–60分),回数の中央値2回(幅,1–11回),間隔は1週毎,治療期間の中央値2週間(0–20)であった。治療反応は一時的には完全奏功3頭,部分奏功1頭,安定5頭,増大1頭であった。出血は7頭中6頭で改善し,臭いも全例で改善した。合併症として潰瘍部の拡大が4頭で認められ,自傷行為が2頭で認められた。このことから合併症はあるものの保存していたもので直ちに使用が可能であり,自壊した皮膚腫瘍の緩和治療が容易になる可能性がある。
著者
藤井 優子 上野 忠浩
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.369, 2019 (Released:2021-10-30)

幼いころ誰もが好きだったブランコ。風を切り揺れる感覚は何とも気持ちのいいものでした。重症心身障害児や座位保持が不安定な肢体不自由児にも、療育の現場では様々な工夫をしながら揺れ遊びを提供してきました。しかし、ベルトやクッションを駆使しても姿勢の安定性に欠け、十分に揺れを楽しめず、抱っこでは子どもの表情が見えず、スピードの調整が難しい状況でした。 今回、横浜市リハビリテーション事業団30周年記念事業としてのプロジェクトに採択されたことをきっかけに、研究開発課とチームを組み、横浜市西部地域療育センターに屋外用車いすブランコ「リバティスイング」を設置し、さらに屋内用姿勢保持機能付きブランコを製作しました。 「リバティスイング」はオーストラリアで2000年に考案され、今やアメリカ、ニュージーランド、イギリス、フランス、スペインなど世界各地に広まっています。http://www.libertyswing.com.au/ 日本には岩手県一関市の遊水地記念緑地公園にあるオーストラリア日本友好公園に1台あるのみです。今回日本の輸入代行会社に依頼し2018年8月当センターの園庭に設置しました。 また、「姿勢保持機能付きブランコ」は、研究開発課と遊具製作業者で設計・試作を重ね、リクライニング可能な姿勢保持機能付き遊具(1号機)を完成させました。その後軽量化を目的とし別のメーカーと研究を行い、介助者一人で取り付け可能な製品(2号機)を完成させました。現在は当療育センター通園のお子さんを中心に日常の療育の中で使用し未定頸のお子さんから、自閉症や知的障害で運動面に障害はないものの持続的な姿勢の保持が苦手なお子さんも、安定した姿勢の中で揺れを楽しむことができ、保護者や療育者も安心・安全に遊びを提供する幅が増えました。 申告すべきCOIはない。
著者
柏原士郎 上野淳 森田孝夫 カシハラ シロウ ウエノ ジュン モリタ タカオ Kashihara Shiro Ueno Jun Morita Takao
出版者
大阪大学出版会

1995年1月17日兵庫県南部地震発生.その直後から筆者らは現地に入り調査を開始し,避難所と避難生活の実態を継続的に記録する.そして地域住民の避難行動,避難拠点形成過程を分析し,施設・空間の利用構造,生活環境としての問題点を明らかにした.とくに避難所の中核“学校"についての知見と提言は,地方自治体の防災基本方針をたてるうえで一石を投じる.逃げないで安全で住みよい地域生活環境を創造するための貴重な基礎資料.
著者
上野 惠美 趙 彩尹
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education (ISSN:21899185)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.83-93, 2022-08-30 (Released:2022-08-30)
参考文献数
8

2019年から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、人々の日常生活が奪われ、行動制限の中で生活することとなった。コロナ禍の中、次世代を担う大学生の新卒採用において、企業等がどのような経験や能力を把握したいと考えているのかを確認し、今後のキャリア教育の内容に反映させることが本研究の目的である。本研究においては、大学生の就職活動の選考における初期段階で、選抜のために使われるエントリーシートに着目した。エントリーシートでは学生生活での経験を問う内容が多いが、コロナ禍の行動制限がある中で、それに答えることのできる内容は、コロナ禍前に学生生活を過ごした大学生と比較すると圧倒的に少ないと考えられる。そのため、エントリーシートの質問項目が大きく変化したのではないかという仮説を立てた。収集したエントリーシートをコロナ禍前後で比較するため、テキストマイニングによって分析を行った結果、コロナ禍前には画一的な質問項目が多かったがコロナ禍後においては、多角的な質問項目が増えたことが確認できた。また、「学業」「興味」「資格」という、コロナ禍においても一人で取り組みやすい質問項目が増えているという、興味深い結果が確認できた。
著者
上野 裕
出版者
千里地理学会
雑誌
ジオグラフィカ千里 = Geographica Senri
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-92, 2019-03-30

近代京都の都市形成に果たした土地区画整理事業の意義について地域論的な観点から考察した。この事業は,1920年代の人口急増と都市発展に対して,市街地を取り囲む形で計画・実施され,スプロール的拡大を防ぎ,整然とした街区からなる郊外地域を創出していった。都市計画事業として実施されたが,高燥地の北部では組合による居住環境整備の下,良好な住宅地が形成され,今日に継承されている。他方,南西部では市街地化の進行,地権者の多さから組合結成には至らず,多くの地区が市代執行で実施された。区画整備の進行とともに地価上昇をみ,工場のほか商店,住宅などの立地する混在地域へと変容していった。事業の実施においては,当該地区の自然環境や交通整備など地域的条件,地区住民(組合員)の取り組む姿勢が大きく影響した。平安京以来の歴史の継承性(格子状街区割など)を強く意識しかつ近代的思想も取り入れ作成された「敷地割報告書」が事業計画の基盤をなした。
著者
相川 達也 小島 眞樹 宮本 久仁子 上野 ちさと 高橋 雅春 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.352-361, 2008 (Released:2008-09-10)
参考文献数
44
被引用文献数
3 3

67歳の男性が結婚40年後にC型急性肝炎を発症した.その妻(68歳)がC型慢性肝炎患者であり,C型肝炎ウイルス(HCV)RNAが高力価陽性(>5,000 KIU/ml)であった.両者のHCV遺伝子型はともに1b型で,NS5B領域の1,087塩基長の配列において99.7%の一致率を示した.それに対し,これまでに報告されているHCV/1b株との一致率は最高でも96.7%に過ぎなかった.分子系統樹解析によっても,夫婦の持つHCV株は一つのクラスター(bootstrap値:100%)を形成し,同一株である可能性が強く示唆された.詳細な病歴聴取を行ったが,性交渉(月1, 2回)以外の感染経路はいずれも否定された.高齢夫婦間の感染には加齢に伴う生体側因子が関与していると考えられるが,高齢化社会を迎え,HCV感染者頻度の高い高齢者層でかかるHCV感染が起こる可能性を念頭に置く必要があると考え報告する.
著者
上野 将敬
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.34.002, (Released:2018-06-27)
参考文献数
75

Group-living primates often perform complex social behaviors. Traditionally, observational and experimental studies have provided important insights into the social behaviors of primates; however, these studies have limitations regarding unambiguous causality. The use of artificial stimuli can aid in understanding the mechanisms of animal behavior. A robot, which can perform some behavior sequences automatically or by remote control, serves as a new method to study the response of an animal to the stimulus of the same or other species. One of the advantages of using a robot is that researchers can change the appearance and behavior in line with their purpose. In addition, using a robot can help investigate the influence of more than one individual on another individual's behaviors. Although it is advantageous to use robots in the study of animal behaviors, it entails various challenges. This paper reviews the studies on animal behavior that used robots as stimuli and discusses the contribution of using robots in primate behavior study in the future.
著者
上野 千鶴子
出版者
University of Tokyo(東京大学)
巻号頁・発行日
2013

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 白波瀬 佐和子, 東京大学教授 武川 正吾, 東京大学教授 佐藤 健二, 東京大学教授 大澤 眞理, 関西学院大学教授 盛山 和夫