著者
田中 隆 森川 英雄 安広 矩明 木下 裕宣 虎渓 邦孝 佐藤 博信 市橋 正嘉 河口 忠彦 坂部 孝
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.215-219, 1979-06-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
5

In 66 cases with esophageal achalasia who were treated in the authors' clinic during the last 20 years from 1958 to 1978, 22 cases had a history of respiratory complaints. Five cases out of the 22 had been treated for chronic bronchitis or bronchitis, the pertinent symptoms of which had apparently occurred from aspiration of ingested food into the bronchus. Cardioplasty was performed on these 5 cases mainly using the modified Girard's technique with successful results. In this report, the clinical courses of the 5 cases were presented with special reference to chest X-ray findings, preoperative care and anesthetic techniques.
著者
岡田 富雄 浅井 淳平 飯島 宗一 早川 律子 田中 隆義 大橋 勝
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.378-382, 1980 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

飽和炭化水素であるスクワランに長期紫外線照射すると, 経時的にTBA値が上昇し, その紫外線照射スクワランをモルモットの皮膚に繰り返し塗布すると明らかな紅斑が生じ, 血管透過性が亢進した。組織学的には, 表皮におけるacanthosig, hyperkeratosis, 基底細胞層の一部に空胞変性, exocytosisが見られ, 真皮上層では好中球を主体とした細胞浸潤と中等度の血管拡張がみられた。超微形態学的には, 表皮基底細胞においてミトコンドリアの膨化, 拡大した細胞間隙に細胞成分の残渣が浮遊している像がみられた。また, この紫外線照射スクワランをGLC, TLCを用いて分析した結果, 紫外線照射によって新たに生じた二次産物は過酸化物であることが確認された。
著者
田中 隆充 王 懿敏 阿部 裕之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.102, 2020 (Released:2020-08-27)

本稿は,岩手県の伝統的工芸である南部鉄器の鉄瓶の輸出用の造形について示したものである.近年,南部鉄瓶は海外での需要が高まり,従来の南部鉄瓶の典型的な造形や表面にデコレーションされる文様(多くはアラレ模様),色彩のバリエーションが増えた.国や地域によって鉄瓶の使い方や上述のデザインの好みの差異があるため,マーケタによってデザイン条件が示される.しかし,南部鉄瓶は工芸職人が一人でデザインを行い,手づくりで制作する場合もあれば,制作過程毎に分業化され機械を主体とした量産用の制作の2つのカテゴリに分けられる.南部鉄瓶を専門としたデザイナはほとんど皆無であるため,量産に適さない造形を見極めるのが難しい.本研究ではデザインプロセスの川上に位置する,発散的な造形のバリエーションをデザインし,その後,工芸の専門家に一品物の鉄瓶に適しているのか,または,量産性のある造形であるかを確認,整理し考察を行った.整理をすることで,多くのデザインバリエーションから量産できるデザインの要素と量産可能な造形の可能性を知ることできると考えた.そして,目標に対して的を射たデザインを提案できると推察する.
著者
藤川 愛咲子 竹尾 直子 中田 京子 安西 三郎 福田 晴香 岡田 憲広 竹中 隆一 坂本 照夫 米津 圭佑 油布 邦夫 波多野 豊
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.99-102, 2020-04-01 (Released:2020-06-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

山間部在住の 74 歳,男性。猟犬の飼育歴があり,獣肉アレルギーの既往はない。1 年前,鼠径部のマダニ刺症後に鼠径から大腿部にかけて瘙痒性皮疹を生じ,マダニ脱落後に自然消退した。4 月,草刈り後に下肢に瘙痒性皮疹が出現し全身性に拡大した。腹部にマダニを発見し,自己除去した直後に呼吸困難感,胸痛が出現し救急搬送された。1 カ月後,陰囊部の瘙痒を自覚し同部にマダニを発見し,搔破にてマダニが脱落した直後に全身性の瘙痒,呼吸困難,胸痛を自覚した。Galactose-α-1,3-galactos(eα-Gal)特異的 IgE 抗体は class 2 であり,いずれのエピソードもマダニアナフィラキシーと診断された。自験例は自己除去や搔破などのマダニへの刺激により,唾液中の α-Gal が大量に皮内に注入されたことで発症したと考えられ,マダニアナフィラキシーの既往のある患者にはマダニ刺症時にマダニを指でつまむ,引っ張るなどの刺激を加えないことの啓発が必要と思われた。
著者
井上 功 山本 砧三 武嶋 寛剛 中小 路澄子 貞岡 達也 坂哲 郎 垣鍔 典也 坂倉 淳 牧本 一男 高橋 宏明 和田 公平 大森 研史 林 伊吹 藤田 隆夫 渡辺 猛世 藤澤 俊二 宇野 功 野中 隆三郎
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.87, no.7, pp.985-995, 1994-07-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

The effectiveness, safety and usefulness of ketotifen nasal spray were investigated in 163 patients with allergic rhinitis. Ketotifen nasal spray (0.05mg/puff) was given four times daily for 4 weeks or more. “Slight to high” improvement was recorded in 92.4% of patients and “moderate to high” improvement in 61.0%.Overall usefulness was very high for both perennial and seasonal allergic rhinitis. Side effects were noted in six patients (3.7%). Drowsiness was noted in five patients and nasal mucosal pain in only one.The results of this study suggest that ketotifen nasal spray is very useful in the treatment of allergic rhinitis.
著者
田中 隆
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.62-73, 2017-12-24 (Released:2017-12-24)
参考文献数
9

This study utilizes time-series data on the excess influx of population to the Greater Tokyo Area (Tokyo, Saitama, Chiba, and Kanagawa Prefectures) as well as indices of income per capita of this same region to conduct an analysis of the causal relationship between inter-regional income disparity and domestic demographic shift. Data from 1972 to 2014 were analyzed using the Granger causality test, which revealed the existence of a causal effect of inter-regional income disparity on demographic shift but not vice versa. This result suggests that this population influx into the Greater Tokyo Area could be motivated by higher income in that region. The data also revealed that the higher income was brought about by the concentration of industries with high labor productivity in the Greater Tokyo Area, particularly in Tokyo itself.
著者
松尾 洋介 大渡 遼介 草野 リエ 齋藤 義紀 田中 隆
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP33, 2015 (Released:2018-10-01)

【序論】紅茶は世界中で広く飲まれる飲料であり、ポリフェノールを豊富に含むことからさまざまな健康維持効果が知られている。紅茶は生茶葉を揉捻して製造されるが、その過程でカテキン類が酵素酸化を受けてテアフラビン類やテアシネンシン類などのさまざまな紅茶特有のカテキン二量体が生成する1)。テアフラビン類 (1–4) はベンゾトロポロン環を持つ赤橙色の紅茶色素であり、カテコール型カテキンとピロガロール型カテキンの酸化的縮合によって生成する2)。テアフラビン類は紅茶製造過程においてさらに酸化されることが知られている3)。我々はこれまでにepicatechin (5) 共存下におけるポリフェノール酸化酵素でのtheaflavin (1) 酸化生成物について検討を行い、theanaphthoquinone (6) やflavanotheaflavin A (8) などが生成することを報告した4)。しかし、ガロイル基を持つテアフラビン類であるtheaflavin-3-O-gallate (2), theaflavin-3′-O-gallate (3), およびtheaflavin-3,3′-di-O-gallate (4) の酵素酸化反応について、これまで十分な検討は行われていない。さらに、1は中性条件下において自動酸化され、ポリフェノール酸化酵素とは異なる酸化生成物bistheaflavin B (16) が生成することが分かっているが5)、ガロイルテアフラビン類2–4の自動酸化生成物は明らかとなっていない。紅茶ポリフェノールとして構造が解明されているのは全体の数パーセントにすぎず、実際の製造過程では非常に複雑な酸化生成物が生じており、その大部分の構造については解明されていない1,6)。これら未解明の紅茶ポリフェノール生成にテアフラビン類のポリフェノール酸化酵素や自動酸化による酸化が寄与していると考えられることから、本研究では5共存下におけるガロイルテアフラビン類2–4の酵素酸化機構および、中性条件下における自動酸化機構について検討した。【テアフラビン類のポリフェノール酸化酵素による酸化機構】Epicatechin (5) 共存下において3位にガロイル基を持つtheaflavin-3-O-gallate (2) をポリフェノール酸化酵素で処理した結果、theanaphthoquinone-3′-O-gallate (7), flavanotheaflavin B (9), およびtheadibenzotropolone A (10)7) が得られた。化合物7はベンゾトロポロン環が酸化を受けてナフトキノン環へと変化したものであり、9はベンゾトロポロン環と5が酸化的に縮合したものである。一方、10は2のガロイル基と5が縮合して新たなベンゾトロポロン環を形成した生成物であった。同様の条件で3′位にガロイル基を持つtheaflavin-3′-O-gallate (3) を酸化したところ、ガロイル基と5が縮合したtheadibenzotropolone F (12) が生成し、ベンゾトロポロン環が酸化を受けたものは得られなかった。 3位および3′位にガロイル基を持つtheaflavin-3,3′-di-O-gallate (4) の場合も3と同様に、ガロイル基と5が縮合したtheadibenzotropolones D (13), E (11), およびtheatribenzotropolone A (14)8) が得られ、ベンゾトロポロン環が酸化を受けたものは得られなかった。さらに、テアフラビン類1–4単独あるいは5共存下における酵素酸化反応について経時的変化を調べたところ、テアフラビン類単独ではポリフェノール酸化酵素によって(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
堀田 裕貴 田中 隆文 小谷 亜由美
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-22, 2022-04-25 (Released:2022-05-09)
参考文献数
49

地理的に離れた流域間においては,降水条件が大きく異なるため流量データのみからその流域が持つ降雨–流出応答特性(本論文では流出特性)を比較することは難しい。そのため流出モデルのパラメータを比較することで流出特性を比較するという試みがなされている。しかし,多数の流域で同一の構造を持つ流出モデルを用いて蒸発散量を考慮した1年以上の長期間の流出解析を行い,そのパラメータを比較することで流域条件が与える影響を検討した研究はほとんどない。そこで本研究では,降雪が少なく上流にダムが無い国内の27の堆積岩流域・変成岩流域,38の火成岩流域において,タンクモデルパラメータと流域の気候・地形・流域面積・地質年代・土壌・植生との関係を重回帰分析により検証した。その結果,年平均降水量が多いほどタンクモデルの流出率は大きくなる傾向,そして浸透率は小さくなる傾向が見られ,特に堆積岩流域・変成岩流域でその傾向が顕著であった。また,地質を問わずTopographic Wetness Index 7以上の面積率が大きいほど,タンクモデルの第一タンクの横孔が低くなる傾向と,森林面積における広葉樹林の割合が高いほどタンクモデルの第一タンクの流出率が小さくなり,洪水時のピーク流量が小さくなる可能性が示された。
著者
土井 幸輝 豊田 航 田中 隆
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会 2011 (ISSN:24242667)
巻号頁・発行日
pp._S153012-1-_S153012-4, 2011-09-11 (Released:2017-06-19)

Children with visual impairment and teachers of school for the children request new Raised-Line Drawing Kit for practical use in the field of education, because the existing drawing kit do not have sufficient performance to satisfy their various needs. In this paper, we reported that the development of the test model of our Tactile Drawing Pen using beeswax enable people with visual impairment to express and perceive their ideas more accurately. Additionally, we conducted two experiments for collecting the quantitative data to decide the basic specification guaranteeing the high usability for all age people with visual impairment including the children. The results showed that people with visual impairment felt that our device was easy to write when the pen pressure needed to release the inks was lower, and when the radius on the tip was larger. We determine that the recommended values are 50 gram-force. Furthermore, we determined that our Tactile Drawing Pen should equip mechanism to release inks which sizes are 2.0 mm height and 3.0 mm line width because the dimensions are appropriate to understand easily.
著者
木村 拓哉 馬場 里英 岡部 太郎 藤井 遼 皆川 裕祐 藤田 健亮 角谷 隆史 加茂 徹郎 高井 千尋 山田 宗 鯉沼 俊貴 萩原 祥弘 三角 香世 小林 孝臣 山中 隆広 髙橋 秀徳 小村 賢祥 荒井 大輔 長尾 元太 小西 駿一郎 神元 繁信 仲地 一郎 小倉 崇以
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.147-152, 2021-03-20 (Released:2021-10-02)
参考文献数
13

A preliminary report from a global study showed that remdesivir, a nucleoside analog pro-drug that was originally developed as a therapeutic drug against Ebola virus, may exert clinical efficacy in cases of COVID-19, by shortening the time to recovery. We had the opportunity to use this new drug in the treatment of 7 COVID-19 patients with respiratory failure.
著者
上井 雅史 平野 弘之 伊藤 昭 田中 隆晴 伊東 馨
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P1153, 2010

【目的】変形性膝関節症(以下膝OA)は関節組織の慢性の退行性変化と増殖性変化のため、関節の変形をきたす疾患である。老化現象に機械的な影響が加わり関節軟骨や骨の変形、半月板の変性、磨耗、筋萎縮、筋短縮、結合組織の変性がおきる。関節変形が初期から中期までの場合、保存治療が選択される場合が多い。膝OAに対する一般的なリハビリテーション(以下リハ)の内容は筋力強化が中心で、姿勢調整、動作パターンの改善、減量および生活指導などが行われる。近年では股関節周囲筋の筋力訓練を行うことで歩行能力や姿勢アライメントが改善するという報告がある。大腿四頭筋強化に股関節周囲筋の強化を加えて実施することがすすめられる。運動リハは可動域訓練、筋力訓練など痛みや疲労を伴う。敬遠される場合も少なくない。筋力強化のプログラム内容の増加が患者の負担になり、リハの継続を妨げる可能性がある。膝OAの運動療法は長期にわたるとリハ脱落群の増加が増える。モチベーション維持が大切である。今回、当医院の膝OA患者に大臀筋強化を実施した。その結果、実施前に比較し疼痛の軽減をみた。大臀筋訓練の影響を、文献的考察を交え検討した。<BR>【方法】対象は当医院に通院する、屋外歩行が自立レベルの患者11名14膝。通常の訓練後、歩行時VASを測定し大臀筋トレーニングを実施後、歩行時VASを測定しその前後で比較した。大臀筋トレーニングをMMT測定と同じ腹臥位、膝関節を90度程度屈曲した状態で行った。1クール10回を3セット実施した。腹臥位をとれない患者には側臥位で実施した。疼痛はVisual analog scale(VAS)を使用し0から100の目盛りを患者に示してもらい測定した。統計処理の手法にはt検定を用いた。<BR>【説明と同意】今回の研究は、内容、意義を説明して了解を得た患者に対してのみ実施した。<BR>【結果】大臀筋強化トレーニング実施前のVAS値が2.36±2.84であったものが、実施後には1.64+2.23と実施前に比較し減少(p<0.05)していた。<BR>【考察】膝OAの運動療法は、数多くの研究によって有効であることが知られている。いくつかの前向き、無作為の研究でSLR訓練をはじめとする膝関節伸展筋の強化で、それ単独でも膝OAの疼痛とADL障害の軽快に有効であるといわれる。その効果はNSAIDに優るとも劣らない。大殿筋の強化も骨盤帯の安定性増加や、関節軟骨の変形による股関節内転モーメント減少を緩和し、下肢、膝関節の姿勢アライメントの改善が期待できる。一方、運動療法で一定の効果を得るには、比較的長期の継続が必要である。時により疲労や筋肉痛をともない、長期にわたる筋力強化はモチベーションが大切となる。今回の研究で、大臀筋トレーニング実施前後で、VAS値が2.36±2.84から1.64+2.23と減少を示し、短期でも疼痛の軽減に有意な効果があることがわかった。一時的であっても、膝OAの主症状である疼痛の緩和によって、リハの満足度の向上、モチベーションの維持につながる可能性がある。大臀筋トレーニングは膝関節自体にストレスがない利点もある。疼痛緩和の継続が短いなどの意見や、運動方法、運動強度の設定などがあいまいだともいわれ、今後、比較検討が待たれる。<BR>【理学療法学研究としての意義】膝OAは日本全体で高齢化が進む中でますます増加しつつある。本研究は、大臀筋強化訓練による疼痛の一時的軽減が、膝OA患者のADL維持および、人工関節への移行時期を遅らせるための運動療法の継続を促すと考え行った。
著者
森 千鶴夫 神谷 均 佐合 穣 宮川 俊晴 田中 隆一 掛布 智久 森山 正樹 緒方 良至 秋吉 優史 臼井 俊哉 村上 浩介 羽澄 大介 中村 嘉行 渡辺 賢一 瓜谷 章
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-12, 2020

<p>高等学校などで使用されているクルックス管は,一般的に漏洩X線を発生している。X線の線量率の測定に,これらの学校が保有している箔検電器を使う方法を提案した。箔検電器の箔の開き角は電極に与えられた電位に依存して変化する。この電位はX線によって空気中に作られたイオンを集めて減少し箔は閉じて行く。しかし,空気中のイオン密度は周辺の電位や風,および箔検電器に荷電する電荷の正負の影響も受ける。正電荷を荷電した場合に箔が閉じる時間と負電荷を荷電した場合のそれとの幾何平均値をとることによって,電離箱で測定した線量率との間に再現性のある関係を得ることができた。この関係を校正線と呼ぶが,他の同様の市販の箔検電器にも適用できる。</p>
著者
高山 詩穂子 田中 隆充
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

筆者は、ビニールやレジンなど透ける素材によって有機物を保存した作品を制作してきた。同様の素材を使用した先行研究として深堀隆介とダミアン・ハーストの作品を取り上げている。レジンは無色透明であるため人に見せられない部分を作ってはならない。そのため本稿で示す制作で特に留意したのが内容物の配置である。こうした視点から日常よく使用する製品について考えてみると、入れ物、つまりカバーや裏側、底が大きな役割を果たしていることに気付いた。デザインとは問題を解決するための手段であり、本研究ではカバーによって隠されてしまった本質的な問題を創作活動から発見し、可視化することで、デザイン行為を解決することが今後の課題であると考えている。
著者
田中 隆則
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.382-386, 2018

<p>  近年,海外において小型モジュール炉(SMR)の開発に向けての様々な取り組みが行われている。特に,米国,英国,カナダにおいては,政府も積極的に開発を支援する動きがみられており,IAEAやOECD/NEAなどの国際機関においても,SMRに関連する報告書が取りまとめられるなど,国際的にSMRへの関心が高まっている。このようなSMRの特性を分析し,今後,世界のエネルギー需給に与える影響を考察する。</p>
著者
宮崎 雄生 新野 正明 深澤 俊行 高橋 恵理 野中 隆行 越智 龍太郎 南 尚哉 藤木 直人 土井 静樹 菊地 誠志
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.357a, 2014 (Released:2014-10-07)

【目的】Sirtuin-1(SIRT1)はヒストン脱アセチル酵素であり,神経保護や脂質代謝などへの関与が報告されている.本研究ではヒト単球のIL-10制御におけるSIRT1の役割を検討した.【方法】健常者末梢血から精製した単球を用いLPSまたはIFNβで刺激後にSIRT1遺伝子発現を定量した.健常者,無治療multiple sclerosis(MS)患者,IFNβ治療MS患者の単球におけるSIRT1発現を定量した.単球のIL-10産生に対するresveratrol(SIRT1活性化剤),EX527(同抑制剤)の作用を検討した.【結果】単球におけるSIRT1発現はLPSで低下した一方,IFNβで上昇した.単球におけるSIRT1発現に健常者と無治療MS患者間で差は確認できなかったが,IFNβ治療患者で無治療患者より高い傾向が見られた.ResveratrolはLPS刺激に対する単球のIL-10産生を増強した.IFNβは単球からのIL-10産生を増強したが,この作用はEX527によりキャンセルされた.【結論】SIRT1は単球のIL-10制御に関与しており,IFNβによるIL-10産生増強にも関与することが示唆された.SIRT1は神経変性疾患動物モデルにおいて神経保護作用が報告されており,神経と免疫双方が関与する疾患であるMSにとって有用な治療標的であると予想される.