著者
野口 晴子 田中 隆一 川村 顕 牛島 光一 別所 俊一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は,子どものHCの蓄積過程に焦点を当て,因果推論に裏打ちされた政策評価手法を応用する同時に,実装プロセスを開発することで,官学協働による実効性のあるEBPMの実現を目指すことにある.東京都足立区との協働の下,公的な保育・教育サービスを利用する子どもたちの「全数」を対象に,同一の子どもを10年間以上悉皆で追跡することの出来るパネルデータを独自に構築・整備する.本研究により,世界的に主流となっている計量経済学の分析手法の活用可能性が広がり,これまで日本では困難であった,子どものHCの蓄積過程に関わる様々な要因間での相関メカニズムを解明することが可能となる.
著者
百瀬 浩 舟久 保敏 木部 直美 中村 圭吾 藤原 宣夫 田中 隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.45-53, 1998-10-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
4 5

A field survey was made on many artificially constructed Floating Islands in Japan in order to evaluate their function as habitat for birds such as nesting or resting site. We searched each island for birds' nesting activity and observed the behavior of birds on and near the island. We also collected plant samples and identified them to make the plant species list found on each island. Floating islands were classified into four basic types according to their structure and bird usage was conpared among these types. It was found that the island type B, in which the surface of the planting material was in lebel with the water furface, was suitable as the nesting place for the several water bird species, and all types of the islands were suitable as the resting place for the water birds.
著者
山中 隆 鹿嶋 雅之 佐藤 公則 渡邊 睦 緒方 淳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.792-799, 2009-05-01 (Released:2009-05-01)
参考文献数
11

Many researches have been done as for outdoor scene recognition by analyzing optical flow information. However, a practical driver-oriented system has not been proposed yet that notices the “Risk degree” when multiple obstacles exist, such as, parking cars and pedestrians. This article presents a new method to detect stand still obstacles using the “model flow” corresponding to optical flow field where there is no obstacle. The model flow is calculated using the knowledge as for navigation environments. Standard Points which are regularly set on image coordinates are transformed to Environment Points on road plane using several parameters such as, steering angle and camera tilt angle. Stand still objects are automatically detected by analyzing the difference between a model flow field and a real optical flow field which is acquired by an in-vehicle camera image. The algorithms have been installed in a desktop PC by Microsoft Visual C++6.0 programs. Experimental results by several kinds of outdoor scenes have shown the effectiveness of the proposed method. Total detection ratio is 91.0% and that in Dangerous case is 100%.
著者
下村 剛 藤浪 麻美 油布 邦夫 齋藤 聖多郎 竹中 隆一 中嶋 辰徳 三城 英昭 岡田 憲広 髙橋 尚彦 坂本 照夫
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.671-679, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
14

大分県では2017年4月17日より,大分県遠隔画像伝送システムへの機能追加の形でクラウド型12誘導心電図伝送システムの運用を開始した。各消防本部に1台ずつのクラウド心電計を配置し,伝送には,既存のタブレット端末および回線を利用した。このシステムでは5地域中核病院を含む18施設が参加し,大分県の広い範囲を網羅している。運用開始から 2018年3月12日までに,111件(男性71例・女性40例:平均年齢75.6±12.7歳)の心電図伝送を行った。搬送先は,救命救急センター36例,PCI施設36例,地域中核病院32例で,そのほか7例あった。緊急心臓カテーテルが行われた22例(19.8%)の72.7%がACSであり,PCIが行われた14例は,コントロール群に比べ,有意にdoor to balloon time(DTBT)が短縮した。また,心電図所見からACSが否定的な45例(40.5%)は,近隣の施設で対応することにより不必要な遠隔地への搬送が回避できた。
著者
伊藤 昭 田中 隆晴 上井 雅史 平野 弘之(MD、PhD)
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第28回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.117, 2009 (Released:2009-08-11)

【目的】平成18年4月に厚生労働省が「医療機能の分化・連携と在宅生活への早期復帰」を掲げた。平成20年8月時の一般病床平均在院日数が18.8日と、平成15年の20.7日に比べ短縮した。在宅リハビリテーション(以下:リハ)を担う診療所リハの役割が重要になってきた。今回、我々は診療所の運動器リハ開設から1年8ヶ月間の運動器リハの来院数の推移、疾患群別来院比率及び天気変化による来院数変化の関係について検討した。 【対象】平成19年6月~平成21年1月の間に運動器リハを行った512例(男性131、女性381)平均年齢が66.2±16.3歳であった。 【方法】平成19年6月~平成21年1月までの月別来院数を集計した。対象の疾患を肩関節疾患群(以下:肩群)腰部疾患群(以下:腰群)膝関節疾患群(以下:膝群)頸部疾患群(以下:頸群)2種類以上の疾患複合群(以下:複合群)骨折後リハ群(以下:骨折群)手術後リハ群(以下:手術群)及びその他群(脳血管障害、難病等)に分け検討した。天気と来院数の変化の関係を気象庁のデーターを参考に検討した。 【結果】平成19年6月の一日平均リハ施行者数が40.3名で、平成20年12月には66.3名となった。対象疾患割合がそれぞれ、肩群8.3%腰群23.9%膝群15.7%頸群8.7%複合群25.7%骨折群1.9%手術群5.3%及びその他群10.5%であった。開設後に手術治療を施行した症例が6例であった。晴れ曇り雨の日及び日内気温変化が7度以上の来院率に有意差がなかった。悪天候日に来院率が上昇した群がその他群及び複合群で、下降した群が肩群及び膝群であった。前日との気圧が10hPa降下したとき肩群及びその他群の来院率が上昇し、腰群が下降した。他の群に変化がなかった。 【考察】平成19年6月から平成20年12月までに一日平均リハ施行者数が64.5%増加した。1998年の厚生労働省調査で日本の有訴率が腰痛、肩こり及び四肢関節痛の順に多く、日常生活及び外出に影響ある者が65歳以上で11%あった。当院の約8割の対象症例に同様の症状を認め、痛みで日常生活に影響する程になると症状の悪化防止・改善目的で来院すると考えられる。天気の変化では悪天候日及び気圧下降でその他群の来院率が上昇した。その他群の内訳が52%が脳血管障害、パーキンソン氏病等の難病疾患で19%が50歳以下の症例であった。他群と異なり付き添い者が多く、若く、ニーズ及びモチベーションが高い為天候に左右されず来院したと考えられる。また、その他群と肩群が気圧変化に伴う疼痛の変化が少ないと考えられた。一方、腰群は佐藤らと同様に気圧降下で痛みが増強し外出を控えたと考えられた。
著者
伊藤 昭 上井 雅史 田中 隆晴 平野 弘之
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第27回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.24, 2008 (Released:2008-08-01)

【目的】肩関節周囲炎の治療期間に関する先行研究及び報告は多い。治療期間と運動療法の頻度及び注射療法の頻度に関する統一見解がない。今回、我々は肩関節周囲炎の治療期間と運動療法の頻度及び注射療法の関係について検討したので報告する。【対象】平成18年6月から平成20年1月の間に当院を受診した肩関節周囲炎患者28例34肩(右肩19肩、左肩15肩)であった。男性4例、女性24例、平均年齢64.7±9.6歳であった。リタイヤ患者及び変形性肩関節症など病変部位が明らかな患者は除外した。【方法】治療期間を、短期間群(1~4ヶ月間通院、n=17)及び長期間群(5ヶ月間以上通院、n=17)の2群に分けた。運動療法を週2回未満施行群(n=21)と週2回以上施行群(n=13)に分けた。注射療法をヒアルロン酸ナトリウム(以下、ヒアルロン注)の注射頻度及びステロイドの注射回数に分けた。ヒアルロン注の頻度がそれぞれ月1回(n=10),2週間に1回(n=13)及び2週間に1回以上(n=11)に分けて検討した。治療開始時と最終時の肩関節屈曲及び外転角度で治療成績を評価した。統計処理にStatcel2を用いた。各群間の比較に対応のあるt検定を用いた。治療期間と運動療法の頻度及びヒアルロン注頻度の相関関係をPearson’sの相関係数検定を用いた。有意水準を1%未満とした。【結果】長期間群の治療開始時と最終時の屈曲及び外転角度の間に有意差を認めた(p<0.01)。運動療法の週2回未満群と週2回以上群の治療開始時と最終時の屈曲及び外転角度の間に有意差を認めた(p<0.01)。ヒアルロン注の2週間に1度群の治療開始時と最終時の屈曲及び外転角度の間に有意差を認めた(p<0.01)。ステロイド注射回数の1回(n=12)と3回以上(n=6)の治療開始時と最終時の外転可動域の間に有意差を認めた(p<0.01)。治療期間と運動療法及びヒアルロン注との間には相関関係が認められなかった。治療期間とステロイド注射回数との間に正の相関関係が認められた(r=0.58)。【考察】先行研究で運動療法とヒアルロン注を併用することで関節可動域の改善と自覚・他覚所見(自発痛、夜間痛、運動時痛及び圧痛)の改善が得られるといわれている。今回の検討では、運動療法が週2回以上おこなっている症例でヒアルロン注を2週間に1度実施し、かつ通院期間中1回のステロイド注射をうけていた症例は有意に関節可動域の治療成績がよかった。治療期間が5ヶ月以上必要でだった。それぞれ治療期間、運動療法の頻度及びヒアルロン注頻度の間に相関関係が認められなかった。この理由として、肩関節の運動痛の強さがあげられる。
著者
山中 隆吉 西村 芳一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.15, no.53, pp.25-30, 1991-09-27

日本テレビは, 世界陸上におけるホストブロードキャスターとして世界中の放送局に国際映像を送り出す責務を負うことになったが.今回ゴール延長線上に新開発のゴール判定カメラを設置し, ゴールした選手を瞬時に映像化し, 世界で初めてテレビ放映した.
著者
田中 隆 中西 隆
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.205-206, 1993-09-27

鉄鋼プラント制御システムはショップレベルを統括する計算機と各セルレベルを管理するプロセスコントローラーによる階層構造で構成される事が多い。最近では、システムを構成する計算機システム、計装制御システム、電気制御システム間で情報や装置(LAN:制御用のネットワーク、PIO:プロセス入出力装置、MMI:マンマシン装置)を共有するCIE統合システムが採用され効果をあげている。CIE統合システムでは制御用LANにより高速で大量の情報の共有や交換が可能で、システム機能の分散や高速制御が容易になる。しかし、高速な制御が求められる電気制御システムと計算機を担当するメーカーが異なる場合は、両者を同一の制御用LANへ接続出来ない等の問題があり、プロセスデータや設定データ等の情報は、PIOや汎用の通信手段によって、各システム間で必要となる都度伝送する必要が生じる。又、各々の装置との通信方法がまちまちになり易く、相手に応じた通信路(PIOや通信回線)と通信手順(伝送制御プロトコル等の情報のハンドオフ機能)が必要になり、上位に位置する計算機は情報を交換する為の通信負荷が大きくなる。鉄鋼プラントの計算機の主要機能は、対象とするプラントのショップレベルの製造の自動化であり、生産計画に基づいて、各種の製品加工装置に情報を与え、目標とする形状や寸法の製品を作る事である。これを実現する為の主要な機能としては次の様なものがある。製品の生産管理と情報管理,製品のマクロレベルのトラッキング,製品加工装置や制御装置に設定する設定値の算出,製品加工装置や制御装置への設定,製品の加工実績の収集と次製品への設定値のフィードバック,ショップの運転員へのガイダンス,近年の様に多品種少量生産や高付加価値製品の製造に対応したり、製品の寸法精度の向上や、歩留まりの向上を達成するためには、各製造工程での加工履歴の収集、高性能センサーによる素材の寸法や温度の正確な把握、製造される製品の長期間の物流予測、等の情報を用いて、各加工装置や制御装置への設定値を求める必要がある。計算機の処理能力や記憶容量は年々増大し、従来では行えなかった様な複雑な計算や大量のデータの検索を短時間に行い、最適な設定値を求める事が出来る様になって来た。しかし、設定値の算出の高精度化はその機能だけでは済まず、上述した全ての機能の範囲の拡大と質の向上が求められる様になって来る。
著者
上井 雅史 伊藤 昭 田中 隆晴 平野 弘之
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.73, 2008

【目的】<BR> プライマリケア診療ではうつ病患者の80% に頭痛、腹痛、腰部・関節・首など骨格筋系の疼痛のような身体症状がみられる。気象各要素と痛みの度合いの関係に関する報告が多い。能力障害、VAS(Visual alanogue scale)および抑うつの相関関係をみる報告もある。しかし、VAS増減値から比較した報告は少ない。今回、我々は当クリニックを受診した患者に対しアンケートを行い、VASの増減、うつ傾向の度合いおよび天候に注目して検討した。これらの結果につき文献的考察を交え報告する。<BR>【対象】<BR> 対象者は運動器疾患を有し運動療法を実施している患者52名(男3名、女49名)であった。アンケート調査の実施に合意を得られたのは30名(男1名 女29名)、平均年齢は72.8±8.1歳であった。データ欠損、回答の拒否などを対象から除外した。<BR>【調査の方法と内容】<BR> 調査期間を2008/2/4より2/10の一週間とした。VAS測定時間を全例午前9時頃に行った。うつの評価にSDS(Self-rating Depression Scale)を用いSDS40未満を正常群、40点以上を抑うつ群とした。疼痛の評価にVASを使用した。疼痛の期間内でのVAS最大値から最小値を引いたものを疼痛の増減値とした。気象データは東京管区気象台の午前9時のデータを用いた。期間内での最大、最小VAS値を測定した。検討項目がVAS増減値とSDS、および天候それぞれのデータの、最大および最小の日時のVAS変化とした。統計学解析にMann-whitney U testを用いた。<BR>【結果】<BR> SDS40点未満の正常群が15例であった。40点以上の抑うつ傾向群15例であった。SDSとVAS増減値(p<0.05)の間には関連性が認められた。SDS40点未満の正常群ではVAS増減値の平均が1.34±0.89であった。一方SDS40点以上の抑うつ傾向群VAS増減値平均が3.80±2.86であった。期間内での気圧、温度および湿度とVAS値の間に相関関係を認めなかった。<BR>【考察】<BR> 今回の調査でVAS測定を9時としたのは、運動量による変動を極力除外するためであった。抑うつ群にVAS値の増減が有意に高かった。気象条件よりもうつ因子の方が疼痛の増悪に影響していた。現在セロトニン系とノルアドレナリンの下行経路に異常が発生すると機械的な感覚刺激が、不快なまたは痛みを伴う身体症状へと転換されることがわかっている。よって運動器疾患であっても、身体と心理面の疼痛原因の判別が重要で、精神心理面を考慮した評価、治療が必要である。
著者
田中 隆一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

福島原発事故に対応して、文部科学省は小中高向けの放射線副読本を昨年10月に作成し、今年度はそれを使用した放射線授業の全国的な実施を指導している。本報告では副読本の記述内容の傾向に関する調査をもとに、放射線教育の問題点と方向性を考察する。
著者
上原 拓也 角田 渓太 隅 寿恵 山内 周 望月 秀樹 中 隆
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.777-780, 2016 (Released:2016-11-29)
参考文献数
7
被引用文献数
7 6

症例は47歳女性.母親が原因不明の多臓器不全.4年前から両下肢の痺れ感が出現し,起立時に失神した.徐々に失神回数が増え下痢と便秘を繰り返すようになった.診察上,下肢優位感覚優位の末梢神経障害と高度な自律神経障害を認めた.心筋生検にてアミロイド沈着とトランスサイレチン遺伝子変異(Gly47Arg; G47R)が判明したが,多臓器不全のため積極的な治療は行えなかった.数か月にわたって徐々に意識が低下し,多臓器不全にて死亡した.解剖の結果,末梢神経系と一般臓器のみならず,クモ膜下腔および脊髄脳幹の表層に高度なアミロイド沈着を認めた.G47R変異が髄膜アミロイドーシスを引き起こすことを示した初の症例報告である.
著者
畑中 隆
出版者
立花書房
雑誌
治安フォーラム
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.23-30, 2017-05
著者
田中 隆文 大津 悠暉 熊谷 冴矢子 西田 結也 宮城島 由有
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

意見を公募したり住民が企画に参加してさえいれば,ボトムアップの意義が発揮されることになるのだろうか。災害対策基本法に基づく地区防災計画制度を例とすれば,内閣府のガイドブックにはボトムアップという言葉が繰り返し使われるが,地区の防災計画案をまとめる際に専門家のアドバイスを受けるよう繰り返し促されている。 東日本大震災の際の科学知の限界を踏まえれば,ここでの専門家のアドバイスは,ローカルノレッジを頭ごなしに却下する"固い科学"であってはならず,地域特性(自然科学的および人文・社会科学的な意味での地域特性も含む)の理解を踏まえた柔軟なものでなければならない(田中,2015)。しかし,このニーズに応えるために必要となる"柔軟な科学知"をアドバイスできる防災専門家は非常に少ないのが実情である。 本報告では,地区の防災計画およびその親規定である地域防災計画へのローカルノレッジの反映状況を調査し,課題を整理した。参考文献:田中隆文編(2015)想定外を生まない防災科学.-すべてを背負う「知の野生化」-,古今書院,p.299
著者
増田 彰則 平川 忠敏 山中 隆夫 志村 正子 武井 美智子 古賀 靖之 鄭 忠和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.369-378, 2004
参考文献数
23
被引用文献数
3

思春期・青年期の心身症およびその周辺疾患の発症に及ぼす家族の健康,養育環境,養育方法,家族機能と被暴力体験の影響について調査した.対象は,心療内科を受診した患者195名(平均年齢21歳)と健常大学生415名(平均年齢20歳)である.調査は,われわれが作成した自己記入式質問紙を用いて実施し,ロジスティック解析にて検討した.その結果,病気発症に有意な影響を及ぼす因子として,「親から身体的暴力を受けた」,「父親から母親に身体的暴力があった」,「家庭は安全な場所ではなかった」,「甘やかされて育った」,「片親が死亡した」,「幼小児期に可愛がられた記憶がない」の6項目が抽出された.これらの因子を2項目もっている例では,まったくもっていない例に比べてオッズ比で7.9倍,3項目以上もっている例では21.1倍の病気発症の危険因子となった.以上より,心身症およびその周辺疾患の治療では,家庭環境や家族機能について十分な配慮とアプローチが必要である.また,病気発症の予防に健全な家庭環境と良好な家族機能の回復が重要であることがわかった.