著者
中川 哲治 乾 健太郎 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.408, pp.25-30, 2009-01-19

本稿では,自動獲得されたラベル付きデータを利用して,統計的な分類器に基づく評価極性分類の精度を改善させる方法について述べる.正解ラベルの付与された訓練データは機械学習に基づく自然言語処理を行う上で非常に重要であり,これまでにラベル付きデータを自動的に収集する方法がいくつか提案されている.しかしながらそのようなデータは誤りを含んでいる可能性があるため,訓練データとして直接利用するには適さない可能性がある.そこでこの問題に対処するために,ラベルの確信度により事例の重み付けを行う方法を提案する.実験の結果,提案手法を用いて自動獲得されたラベル付きデータを利用することにより,評価極性分類の精度を向上させることができた.
著者
中川 純子
出版者
龍谷大学短期大学部
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本検査被検者は44名(男5名、女39名:平均年齢19.95歳range18〜23歳)となった。1.孤独感尺度(LSO)の基本統計量が出され、箱庭作品の被検者によるSD評定の分析がなされた。SD評定は因子分析により7因子抽出された(VARIMAX回転)。2.箱庭作品の数量的分析:岡田(1984)と比較すると神経症群よりも取組全時間、玩具総数とも、短く、少ないが、これは「孤独」をテーマにして作成してもらった影響が大きいと考えられる。3.箱庭作品の専門群による評定の分析:専門群7名が被検者と同じ形のSD法で評定した。多次元尺度構成法(ALSCAL:INDSCALモデル)で分析、6次元を抽出。第1次元「ひとりぼっちを意識させられる【tautomer】周囲にとけ込み開放される(重み0.34)」、第2次元「萎縮【tautomer】にぎやかでエネルギッシュ(重き0.19)」、第3次元「方向性のある攻撃性やざわつき【tautomer】観念的、抽象的で拡散している(重み0.19)」、第4次元「ひんやりした暗さ、冷たさ【tautomer】明るさ(重み0.16)」、第5次元「求心性、自己の囲いを持つ【tautomer】拡散して守りが無い(重み0.06)」、第6次元「ふと隣り合わせに感じる危機感【tautomer】どちらかというひとごとのさみしさ(重み0.06)」と考えられた。この6つの次元軸は、孤独というテーマを臨床的に考えるとき、重要な軸になると考える。またLSOと次元負荷値の関連をみるとLSO-Eと次元2、次元3に有意な相関が見られた。それによると、「人間は本来ひとりであると思っている」ことと、孤独の表現を「にぎやかなものにする」「方向性のある攻撃性やざわつきを示す」ことは関連があることが分かる。4.各箱庭のテーマ分析:箱庭の数が多いので詳細は省略。「2」「守り」等興味深いテーマが多い。
著者
中川 哲治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.47, pp.19-24, 2007-05-24
被引用文献数
1

本稿では,ギブスサンプリングを用いた係り受け解析手法を提案する.既存の解析手法ではしばしば変数間に独立性を仮定しており,利用可能な素性が限られているという問題があった.提案手法では,依存構造木全体をモデル化する確率分布を考えることで,依存構造木中の兄弟ノードに関する関係や,子ノードと祖父母ノードに関する関係などの,文中の任意の素性を利用することができる.複数のコーパスで実験を行った結果,提案手法は既存手法と比較して同程度以上の解析精度を持つことを確認した.In this paper, we present a method for dependency parsing with Gibbs sampling.Existing methods for dependency parsing often assume independence among variables, and have limitations in available features.Our method uses a probabilistic model of a whole dependency tree, and allows us to use arbitrary features in a dependency tree, which include relations between sibling nodes and relations between a child and its grandparent nodes.Experimental results on multiple corpora showed that the performance of our method was competitive with other state-of-the-art methods.
著者
西野 康人 中川 至純 谷口 旭 韓 東勲
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では定着氷に着目し、道東オホーツク沿岸域にある能取湖で2013―2015年の結氷期に調査を実施した。本研究の結果、結氷期にも水柱では高濃度のクロロフィルaが分布すること、そして、その分布動態は年により大きく変動することが明らかとなった。また海氷中のアイスアルジーも積算値では水柱より少ないものの、下部に集まることで、効率良く一次消費者に一次生産物を伝える機能を有することが推察された。すなわち、海氷は一次生産を活性化させる機能を有することが示唆された。
著者
中川 泰宏
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

まず,Einstein・Kaehler 計量の一般化である,Kaehler・Ricci ソリトンを反標準類とは限らない一般の Kaehler 類の場合に一般化することに成功し,さらにその非自明な例を構成した.次に,トーリックでない Einstein・佐々木計量の例を構成することができた.そして第三に Nill・Paffenholz による非対称な Einstein・ Kaehler トーリックFano 多様体の例を高次元の場合へ一般化することに成功した.
著者
大岩 秀和 松島 慎 中川 裕志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.18, pp.1-6, 2011-02-28

オンライン学習 (逐次学習) とは,訓練データを 1 つ受け取るたびに逐次的に学習を行う手法であり,大規模な訓練集合からの学習が効率化される.L1 正則化とは,学習上不要なパラメータを零化する手法で,学習の高速化やメモリ効率の改善が期待される.2009 年に提案された FOBOS7) は上記の二手法を組み合わせた,教師あり学習のための L1 正則化付きオンライン学習手法である.しかし FOBOS では,特徴の出現回数が不均一な訓練集合では,低頻度の特徴が排除されやすい性質を持つ.FOBOS では各特徴の出現頻度やパラメータの累積更新幅とは無関係に全特徴に共通の零化を施すためである.しかし既存の L1 正則化付きオンライン学習アルゴリズムでは,この性質は分析されてこなかった.本稿では,特徴の出現回数の情報を用いた L1 正則化を導入した教師あり学習のためのオンライン学習手法 (HF-FOBOS) を提案する.さらに,HF-FOBOS は既存手法と同様の計算コスト.収束速度でパラメータの累積更新幅に応じた L1 正則化を実現する学習手法である事を確認する.また,HF-FOBOS と FOBOS に対して実問題に基づく実験を行い,出現頻度を利用した L1 正則化が精度向上へ寄与することを示した.Online learning is a method that updates parameters whenever it receives a single data. Online learning can learn efficiently from large data set. L1 regularization is used for inducing sparsity into parameters and exclude unnecessary parameters. FOBOS7) combines these two methods described above and presented a supervised online learning method with an efficient L1 regularization. FOBOS has the property the parameters of low frequency features are zeros in a heterogeneous data set. However, this property is not analyzed enough in the field of online learning. In this paper, we presented a new online supervised learning method with L1 regularization based on the number of occurrences of feature, named Heterogeneous Frequency FOBOS (HF-FOBOS). HF-FOBOS can solve optimization problems at same computational costs and convergence rate as FOBOS. Moreover, we examined the performance of our algorithms with classification tasks, and confirmed L1 regularization based on the frequency of features improve accuracy.
著者
石渡 貴之 長谷川 博 柳田 信也 鈴木 航太 松村 健 中川 晃
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

体温調節機構においては視床下部の視索前野/前視床下部(PO/AH)が特に重要な部位であり,セロトニン(5-HT)が熱放散機構,そしてドーパミン(DA),ノルエピネフリン(NE)が熱産生機構に関与していることが示されている.本研究では,自発運動によるPO/AHの脳内神経伝達物質の変動及び体温調節に及ぼす影響を解明することを目的とした.自発運動群は非運動群に比べて,安静時の心拍数が低いという結果が得られた.また,深部体温に関しても,昼夜の高低の変動がハッキリしており,メリハリがあることが明らかであった.更に自発運動群のPO/AHのDAとNEが非運動群と比べて有意に高い結果であった.
著者
加藤 圭子 澤井 信江 土師 俊子 稲垣 寿美 徳永 香里 中川 栄太 川平 明子
出版者
滋賀医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本の要介護高齢者が好む粥の誤嚥予防について検討するために、食事援助中の粥の粘度の経時的変化を明らかにした。また、食事援助中の粥の基本的な性質の経時的変化等についても明らかにした。
著者
日置 雅和 河並 崇 松本 洋平 堤 利幸 中川 格 関川 敏弘 小池 帆平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.198, pp.37-42, 2009-09-10
被引用文献数
3

我々の研究グループは,ソフトウェアとハードウェアの観点から,電力を再構成可能なFPGAである"Flex Power FPGA"の予備的評価を行ってきた.今回,我々はFPGAとしての回路再構成機能に加えて,電力再構成機能を有するFlex Power FPGAチップの設計と試作を90nm CMOS技術で行った.また,デバイス設計と同時に,Flex Power FPGAのための専用ソフトウェアを開発した.専用ソフトウェアを用いて16ビットカウンタ回路のビットストリームを生成しチップへ実装した.その結果,設計したチップ上で16ビットカウンタの完全動作を確認した.
著者
堀江 武 中川 博視
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.687-695, 1990-12-05
被引用文献数
24 21

イネの幼穂分化, 出穂および成熟などの発育ステージを環境要因の経過から予測するモデルの基本構造とパラメータの推定法を提案し, その考え方のもとに出穂期の気象的予測モデルを導き, 水稲品種日本晴に適用した。本モデルでは, de Witらの発育速度の慨念を適用して, 出芽後n日目の発育指数 (Developmental Index, DVI) はその間の発育速度 (Developmental Rate, DVR) を積算したものとして与える。さらに出芽時のDVIを0, そして出穂時のそれを1と定めることによって, 出芽から出穂に到る発育過程をDVI=0〜1の間の連続的な数値として表すことができる。このようなDVIの制約条件下で, DVRと気温および日長との関係を与える数式を導き, かつそのパラメータを, 筑波と京都での日本晴の作期移動試験および人工気象室実験から得られた出穂日のデータを用いて, シンプレックス法によって決定した。得られたパラメータの値から, 日本晴の出芽から出穂までの最小日数 (基本栄養生長性) は51.4日, 限界日長は15.6時間, 発育の最低温度は12〜13℃, 同最適温度は30〜32℃, そして日長に感応し始める時期はDVI=0.20と推定された。本モデルによる出穂データの推定精度は標準誤差で3.6日であったが, 従来の有効積算温度法によるそれは6.5日であった。したがって, 本報のモデルは従来の方法に比較して高い予測精度を得ることが可能と考えられる。
著者
最上 敏樹 吾郷 眞一 山形 英郎 酒井 啓亘 桐山 孝信 中川 淳司 中谷 和弘 児矢野 マリ 兼原 敦子 坂元 茂樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3年+1年にわたって研究会の開催や協議を通じ、この意欲的な分野の先鞭をつけてきた。とりわけ立憲主義の問題は、わが国ではこの共同研究がきっかけになって活性化したと言っても過言ではなく、わが国学界に最先端の論題を導入し、国際水準の議論ができる基盤を作ったと自負している。それと旧来の機能主義の理論枠組みをどう接合するかについても大きな展望が開けた。
著者
石村 豊穂 角皆 潤 長谷川 四郎 中川 書子 大井 剛志 北里 洋 菅 寿美 豊福 高志
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.18, 2013 (Released:2013-08-31)

底生有孔虫殻の同位体組成は海洋環境指標として有用であるが,同位体非平衡(vital effectなど)の複雑さや,分析技術の限界という問題点があった.本研究では微量炭酸塩安定同位体比測定法を用いて個体別同位体組成を明らかにし,有孔虫という分類群全体の同位体非平衡の特徴を理解することをめざした. 分析結果から,種内の個体分散が小さい種ほど直接的に低層水のδ13C・δ18Oを推定する指標となることがわかった.また,殻重量が重く成長度合いが高い個体ほど,一個体でも環境指標として有効な指標となることがわかった.一方,有孔虫全体で同位体非平衡の特徴を図示すると,種毎で検討するよりも,有孔虫という分類群全体で捉えることにより,そのトレンドが明確に浮き彫りになることがわかる. また本研究では,vital effectが強い種でも同位体組成の個体分散をもとにして底層水の安定同位体組成を推定することが可能であることもわかった.
著者
中川 功一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.71-81, 2012-09-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
30

本稿は,セラミック・コンデンサ産業の競争を分析し,日米逆転の理由を探索するものである.分析からは,半世紀弱の産業競争の中で,戦略を変更した企業は一社として存在しなかったことが明らかになる.1980年代の日米逆転を導く基本的条件は既に1945年時点で準備されており,逆転を果たした日本企業も,逆転を許した米系企業も,その後は根本的な戦略変更を一度も行っていなかった.ここから本稿は,同産業において戦略硬直化をもたらすスパイラルが作用したのではないかとの試論を行う.