著者
熊井 英水 今村 儀佐 中村 元二
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.211-218, 1983-03-25 (Released:2010-09-07)
参考文献数
10

マイワシ単一餌料を給与したハマチに対するDBT-HClの投与効果をみるため, 実験Iでは対照群の他に硝酸チアミン5mg, DBT-HCl2mg, 5mgを投与した合計4群を, 実験IIでは対照群の他にチアミン無添加のビタミン混合物投与群更にDBT-HCl2mg, 5mg, ビタミン混合物+DBT-HCl2mg, ビタミン混合物+DBT-HCl5mgの6群を設定し60日間飼育し次の結果を得た。1) DBT-HCl投与群の組織中チアミン濃度は投与量に対応した濃度を示した。2) DBT-HCl2mgあるいは5mgの単独投与群は実験Iおよび実験IIいずれにおいても顕著な効果を認めなかった。3) チアミン無添加のビタミン混合物の投与はへい死を予防した。4) チアミン無添加のビタミン混合物にDBT-HClを2mgまたは5mg併用すれば増体重が著明に向上した。5) マイワシ単一餌料の連続給与はチアミン欠乏症の他にそれ以外の餌料性疾患を併発すると判断した。
著者
中村 元
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.223-231, 1954-09-25 (Released:2010-03-09)
被引用文献数
1
著者
小関 俊祐 小関 真実 中村 元美 大谷 哲弘 国里 愛彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.29-39, 2018-01-31 (Released:2018-06-18)
参考文献数
21
被引用文献数
3

本研究は、児童の行動抑制および行動賦活の傾向を把握する自己記入式尺度のBehavioral Inhibition System and Behavioral Activation System Scale(児童用BIS/BAS尺度)日本語版を作成し、信頼性と妥当性の検討を行うことを目的とした。本研究では、小学3年生から6年生1,624名を対象に調査を行った。確認的因子分析の結果、児童用BIS/BAS尺度は原版と同様の4因子構造を示した。信頼性において、児童用BIS/BAS尺度はBAS-刺激追求のα係数は低かったが、全体としては十分な内的整合性と再検査信頼性を示した。また、BISは、抑うつと正の相関を示し、外向性および情緒安定性と負の相関を示した。BASは、攻撃行動および外向性と正の相関を示し、抑うつおよび情緒安定性と負の相関を示した。以上より、児童用BIS/BAS尺度の構成概念妥当性が確認された。
著者
中村 元昭 橋本 龍一郎 板橋 貴史
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

TMS(経頭蓋磁気刺激法)と脳波を組み合わせた実験の方法論を確立し、定型発達者29名、自閉症スペクトラム障害者20名のデータを取得した。前頭前野へのシータバースト刺激(TBS)前後で経時的にTMS誘発電位と認知機能を測定した。定型発達者において、TBS群はシャム刺激群と比較して、TBS実施後10分~50分においてN45成分の振幅が増幅効果を示し、20分~40分において作動記憶の一時的な増強効果を示すことが確認された。その一方で、発達障害者においては、N45成分や作動記憶の増強効果を認めなかった。前頭前野の神経可塑性様変化において、定型発達者と発達障害者の間で顕著な違いを見出すことができた。
著者
澤田 雄宇 中村 元信
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.77-82, 2018-03-01 (Released:2018-03-19)
参考文献数
26

皮膚は生体の最外層に存在する生体外と生体内を区分する重要な臓器であり,外的刺激からのバリア機能を主とした生体防御機構として働いている.食事や運動,睡眠などをはじめとした日々の生活習慣は,人が生きる上で欠くことのできない行動であるが,近年の報告では,この生活習慣が皮膚疾患と密に関連していることが報告されている.生活習慣と皮膚疾患とのかかわりについては,疫学的な調査を皮切りに,さまざまなアプローチでその病態に及ぼす影響が検討されてきた.皮膚科領域において,炎症性皮膚疾患の代表的なものとして乾癬があげられる.乾癬は特に生活習慣と密に関連しており,食事,睡眠,喫煙,飲酒などさまざまな因子から影響を受けている.乾癬の病態としてinterleukin (IL)-23/IL-17 axisを代表としたカスケードが重要であるが,日々の生活習慣はその病態に影響を与える可能性が考えられている.本総説では,日々の生活習慣がいかに乾癬の病態に関与しているかについて,疫学調査から具体的にメカニズム解析を行った研究を交えて報告する.
著者
中村 元信 戸倉 新樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Suppl.19, pp.31-35, 2012 (Released:2013-07-06)
参考文献数
7

ロキシスロマイシンは14員環マクロライドの1つであり,抗生物質としての作用以外にサイトカイン産生抑制,抗酸化,好中球機能抑制などさまざまな作用が知られている。組織にマスト細胞の浸潤が認められた好酸球性膿疱性毛包炎にロキシスロマイシンを投与したところ,効果が見られた1例を経験し,ロキシスロマイシンによるマウス骨髄由来マスト細胞の IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC 産生調節について検討を行った。ロキシスロマイシンは IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC いずれの産生も抑制した。今後,マスト細胞が関与した皮膚疾患にロキシスロマイシンの効果が期待される。(皮膚の科学,増19: 31-35, 2012)
著者
中村 元彦
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.30-36, 2018-03-31 (Released:2019-08-17)
参考文献数
14

会計監査において,ITの利用はすでに一般的となってきている。例えば,CAATを利用した仕訳テストなど,精査的な手法での利用は広く実施されているが,定型的な業務が中心である。見積りの監査へのITの活用は,貸倒・賞与引当金などの見積りの不確実性に関して,客観的な評価方法やデータが利用可能で主観性が少ない場合は実施されているが,繰延税金資産の回収可能性など主観性が強い場面におけるITの適用は,必ずしも深い利用に至っていない。AI(人工知能)などの技術を監査においても取り込むべきであり,特に主観性が強い場面において,監査人の判断に資する情報を提供することは有用である。また,過去データ,外部データ,非財務情報の活用も有用である。さらに,監査のリアルタイム化と監査における付加価値の提供も実現可能と考える。但し,被監査会社から提供される情報の信頼性,被監査会社におけるITの活用状況,データの標準化と守秘義務の問題が課題となっている。
著者
横田 将生 吉武 春光 砂川 賢二 中村 元臣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1170-1179, 1988-12-15
被引用文献数
7

現在までに,医療を目的とした実用的患者情報システムが数多く開発されてきているその大部分は数値あるいは符号化されたデータを対象としており,自然言語で記述された文章データは取り扱っていない.しかしながら,文章データは患者情報のより大きな部分を占めており,治療や診断により重要と考えられている.最近,著者らは九州大学附属病院に保管されている退院サマリ(カルテの一種)中の自然言語文章データに関する自動理解処理の研究を開始した.本論文では,議論世界に関する知識に基づいたそれらのデータの体系的分析および自動処理の概要について述べる.
著者
上村 郷志 稗圃 泰彦 小頭 秀行 岡本 泉 竹原 啓五 中村 元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.218, pp.81-86, 2008-09-18
被引用文献数
2

テレビ・ラジオ番組など特定のイベントを契機として発生するアクセス要求は,短時間に特定のサーバに集中する傾向があり,そのアクセス数は平常時のそれをはるかに上回るため,当該サーバの不安定動作あるいはシステムダウンを引き起こすことがある.本稿では,整理券を用いることにより,特定のサーバに集中するユーザからの大量のアクセスを所望のレート以下に制御するアクセス制御システムを提案する.提案システムでは,新たに導入するアクセスパスサーバにおいて,ユーザ端末がエンドサーバにアクセスするまでに待機すべき時間を整理券に記載して発行することにより,エンドサーバにおける同時接続セッション数を所望の数以下に制御する.また,提案方式を実装したプロトタイプシステムは,モバイル端末向けスクリプトであるFlash Liteを用いてユーザ端末の動作を制御し,ユーザ端末およびエンドサーバへ特別な改修を施すことなく,実稼働中のシステムへ導入することが可能である.
著者
斉藤 司 椎橋 裕子 明賀 博樹 原口 賢治 増田 唯 黒林 淑子 南木 昂 山崎 英恵 中村 元計 伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.519-527, 2014-11-15 (Released:2014-12-10)
参考文献数
22
被引用文献数
5 7

かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香気分析を行った.GC-MS分析,AEDA法によって,重要香気成分を絞り込んだ結果,グアイアコール,5-メチルグアイアコール,2,6-ジメトキシフェノール,4-エチル-2,6-ジメトキシフェノール,2,6-ジメチルフェノール,4-プロピルグアイアコール,バニリン,フラネオール®,(2E,7Z) -trans-4,5-エポキシデカ-2,7-ジエナール,(4Z,7Z) -トリデカ-4,7-ジエナール(以下TDDとする.)の10成分が同定された.この中で(2E,7Z) -trans-4,5-エポキシデカ-2,7-ジエナールとTDDは,かつお節の香気成分としては未報告の成分であり,特にTDDは,食品の香気成分として初めて同定された成分であったため,かつお節の香りにどのような影響があるのか,官能評価を行った.官能評価に用いる用語は,かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物を用いて6種(くん液,木材,魚肉,金属,生臭い,カラメル)を選定した.かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物中の定量値を用いて,TDD以外の重要香気成分9成分と,TDDを加えた10成分の匂い再構成液を作り,各風味項目ついて比較した.その結果,「木材」の項目がTDDの添加により,有意に増強された.このことから,TDDはかつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香りを構成する新規重要香気成分であることが示された.さらに,料理人の官能評価によって,TDDを含むかつお節フレーバーは,かつおだしをより好ましい風味にさせる効果があることが示された.
著者
中村元 [ほか] 編
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1989
著者
宇川 義一 生駒 一憲 魚住 武則 鬼頭 伸輔 齋藤 洋一 谷 俊一 寺尾 安生 飛松 省三 中村 元昭 藤木 稔
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.513-515, 2016-12-01 (Released:2017-12-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

最近, 国際臨床神経学会のホームページで, 経頭蓋直流電気刺激, 経頭蓋交流電気刺激の個人的な使用に関する勧告が出された。そこで, 日本臨床神経生理学会では, その日本語訳を以下に示すことにした。最終的結論に, 本学会の脳刺激委員会としても賛成である。
著者
宮地 良樹 中村 元信 荒川 明子
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

円形脱毛症の中には、多発型円形脱毛症あるいは全頭部に拡大する全頭型脱毛症、眉毛や体毛の脱毛もある汎発型脱毛症があり、ステロイドの外用、内服、局所免疫療法、光線療法などの既存の治療法に反応しないことが多い。私たちは円形脱毛症の病因が制御性T細胞の機能不全であるという仮説のもと、坂口志文教授らとの共同研究で円形脱毛症患者の末梢血を解析し、有意な制御性T細胞減少があることをすでに見いだしている。自己免疫疾患マウスに制御性T細胞を移入すると自己免疫反応を抑制できるため、制御性T細胞操作の治療への応用が期待されている。我々はまず円形脱毛症を自然発症するC3H/HeJマウスの皮膚局所へ制御性T細胞を投与し、人体に応用する前にまず、円形脱毛症モデルマウスC3H/HeJマウスへの治療効果を検討する。(1)C3H/HeJマウスCD4陽性細胞をソーティングする。(2)FoxP3発現用レトロウイルスをトランスフェクト(3)C3H/HeJマウスの末梢血、脾臓、胸腺を採取する。(4)CD4陽性CD25陽性細胞をソーティングする。(5)FoxP3発現用レトロウイルスをトランスフェクトしたCD4陽性細胞とCD4陽性CD25陽性制御性T細胞をそれぞれC3H/HeJマウスの脱毛斑に局所投(6)外毛根鞘細胞のMHCclassI、II蛋白の発現量、インターフェロンガンマの産生を定量する。
著者
丸谷 美紀 里中 利恵 中村 元子 佐久間 勇人
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.549-556, 2021-12-28 (Released:2022-02-09)
参考文献数
23

本稿の目的は,東日本大震災以降の自然災害における難病患者と家族の被災経験や災害への備えを,患者・家族の声明として示し,今後の我が国の災害対策の一助とすることである.まず,全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会会長からは,2011年の東日本大震災以降,2019年の台風まで続く地震・豪雨等の災害においても,難病患者への避難支援や避難所の配慮が欠如し,法や制度と乖離している実態が報告された.日本ALS協会鹿児島県支部事務局長からは,熊本地震で在宅人工呼吸器装着患者への渾身の支援が報告され,患者・家族会の情報伝達システムの確立,及び災害への備えの重要性が言及された.一方,脊髄小脳変性症患者からは災害に備えたくとも障壁があることが述べられた.東日本大震災以降,法制度は整備されてきたが,その後も想定を上回る災害が続き,難病患者の避難支援,被災後の疾患・健康管理や生活の支援,災害への備えに関し,課題が山積していることが伺える.特に避難所での食事・睡眠・排泄環境等の不備が,患者の健康状態に影響した.2011年に比較すると2018年には,人工呼吸器装着患者の電源確保や原疾患の治療薬の備蓄は充実してきていた.しかし,難病患者が災害時も安心して過すためには,薬や人工呼吸器等の狭義の医療への備えに加え,食事・睡眠・排泄等の基本的ニーズを満たす生活環境の整備へ重点をシフトすることが必要となる.そのためには,難病患者の支援者も無事であることが求められ,換言すれば,難病患者の災害支援とは,全ての人の災害支援につながる.
著者
高橋 智弘 照井 克俊 及川 浩平 青木 英彦 遠藤 重厚 小松 隆 中村 元行
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_36-S2_40, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
12

背景:早期の電気的除細動が院外心肺停止(CPA)患者の生存率改善に有用であると報告されている.当院救命救急センターへ搬送されたCPA症例の現状を調査したので報告する.方法:2007年4月から2010年3月まで当院救命救急センターの外来診療記録をもとにCPAの病名のある270名のうち,救急隊により直接当センターへ搬入された院外CPA 223例を後ろ向きに調査した.結果:CPA患者の原疾患のうち心血管疾患は136例(61.0%)で,そのうち一般市民の目撃のある症例は60例(自宅内発生が70%)であった.60例のうち心室細動(VF)は20例であり,その予後をみると生存退院例が8例(40%),社会復帰例が5例(25%)であった.対象の中に一般市民による自動体外式除細動器(AED)使用例(public-access AED:PAD)はなかったが,院外で救急隊員による除細動が成功した3症例は全例神経学的後遺症を残さず社会復帰していた.無脈性電気活動(PEA)または,心静止(asystole)は合計40例であり,生存退院例が3例(8%)あったものの,社会復帰した例はなかった.内因性CPA症例への一般市民の心肺蘇生法(CPR)実施率は42.1%であり,過去の当院での成績に比べてやや増加していた.考察:院外心肺停止患者の救命率向上には,一般市民へのCPRのさらなる普及と,AED設置の充実が重要と考えられた.
著者
遠藤 陽子 清水 章 遠田 悦子 中村 元信
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

糖尿病による腎障害では線維化・尿細管萎縮(IFTA)が起こり、腎不全に至ります。IFTAが進行する原因の一つとして、血液中のマクロファージが腎臓へ浸潤し、腎臓線維化の促進に働くことが挙げられています。そこで、私たちはマクロファージの活性に関連するFROUNTと、FROUNTを抑制する処方薬のDSFに着目しました。DSFがマクロファージを抑制することで、糖尿病でのIFTAを抑制、腎不全への進行を止められると考えています。糖尿病モデル動物をDSF投与群と非投与群とに分け、その腎臓や血液・尿を検査し、マクロファージ抑制、IFTA抑制、腎機能保持が出来るのかを明らかとします。
著者
中治 春香 久村 正樹 久木原 由里子 淺野 祥孝 中村 元洋 園田 健一郎 安藤 陽児 輿水 健治
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.31-34, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
7

(症例) 66歳男性。 (既往歴) 統合失調症。 (現病歴) 自宅で転倒して動けなくなり, 近医を経て当院に搬送された。バイタルサインは安定しており, 急性腎障害疑い, 高CPK血症, 胸椎11圧迫骨折, 左大腿骨転子部骨折の診断で保存加療となった。 (入院後経過) 腎不全は輸液と透析で軽快し, CPKは第5病日にピークアウトした。第11病日にせん妄に対しリスペリドン6mgが開始され, その翌日から意識が低下する。第15病日から発熱し, 熱源として誤嚥性肺炎と診断された。抗菌薬で肺炎の治療を開始したが, 第23病日に死亡退院となった。 (考察) リスペリドンの副作用による誤嚥性肺炎による死亡と考えられた。せん妄は, 身体疾患による急性脳症であり, 原因となる身体疾患や薬物を同定して治療する必要がある。せん妄に対して対症療法として抗精神病薬を使用する場合には, 誤嚥などの副作用に注意して使用するべきであると考えられた。