著者
久高 潤 糸数 清正 平良 勝也 仁平 稔 岡野 祥 中村 正治 岩永 節子 富永 正哉 大野 惇
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-15, 2008
被引用文献数
2 14

海ぶどうの細菌学的汚染状況を把握し,効果的な衛生対策を確立するために調査・研究を行った.沖縄県内16か所の養殖場で各生産段階や製品など11か所における腸炎ビブリオおよび海洋細菌の汚染実態調査を実施した.調査の結果,養殖海水中の海洋細菌数は,養殖により平均10<sup>3</sup>から10<sup>6</sup> cfu/mLまで増加した.一方,海ぶどうの海洋細菌数は母藻から出荷の段階,あるいは出荷7日後まで平均10<sup>7</sup> cfu/gと高い菌数で推移した.腸炎ビブリオは使用海水56%,母藻25%,製品19%から検出されたが,<i>tdh</i> は増菌液,分離株のいずれからも検出されなかった.今回の調査結果を踏まえ,今後,各養殖工程に適した具体的な消毒方法,殺菌装置の評価・改良等についてさらなる検討が必要である.
著者
伊藤 ゆり 中村 正和
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.613-618, 2013-09-15
参考文献数
12

<b>目的</b> 1998年にたばこ特別税が創設されて以来,2003年,2006年,2010年と過去 3 回のたばこ税•価格の引き上げが実施された。我が国におけるたばこ販売数量および販売代金に関する統計データの年次推移を用いて,過去のたばこ税•価格引き上げの影響を評価する。<br/><b>方法</b> (社)日本たばこ協会による紙巻たばこ統計データより,平成 2 年~平成22年度(1990~2010年)の年度別販売実績(数量および代金)をそれぞれ,Joinpoint Regression Model に適用し,年次推移を分析した。また,過去三回のたばこ税•価格引き上げの影響を平野らの方法を用いて,たばこ価格引き上げ前の販売数量の減少(税•価格引き上げ以外の要因による減少)を考慮した上で,価格引き上げによる販売数量減少効果を推定した。<br/><b>結果</b> Joinpoint Regression Model により,1998年度以降たばこ販売数量は減少に転じ,2005年度以降は年率平均 5%で減少傾向にあることがわかった。また,2003年度,2006年度,2010年度のたばこ税•価格引き上げ年度における減少効果はそれぞれ−2.4%,−2.9%,−10.1%(震災影響の補正後)であり,価格弾力性はそれぞれ−0.30,−0.27,−0.28(同補正後)であった。2010年度の大幅値上げ時に販売数量の減少効果がもっとも大きくなった。一方,価格弾力性は2003年度,2006年度とほぼ同レベルで,税•価格を大幅にあげても販売代金および税収への影響は小さいことが示唆された。<br/><b>結論</b> 2010年度におけるたばこ税•価格の大幅引き上げは,たばこ販売数量を大きく減少させたが,価格弾力性は2003年度,2006年度とさほど変わらなかった。今後我が国における喫煙の被害を減少させるためにも,さらに大幅なたばこ価格の引き上げが必要であることが示唆された。
著者
徳本 圭伊子 土田 和範 河村 誠 中村 正一 長谷川 健二 岩本 義史
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.923-930, 1985-12-28
被引用文献数
2 1

25〜57歳の歯周炎を有するボランティア8名を対象に,水性基剤にテトラサイクリンを配合した軟膏(TG軟膏)および基剤のみのプラセボを,2週間に8回,ルートキャナルシリンジを用いてポケット内に直接投与し,その効果を,2日,1週間,2週間,4週間後に細菌学的に検索した。また臨床的にも検討を加えた。その結果,TG軟膏を局所投与した部位は,2日目から全菌数が有意に減少した。さらにspirochetesの割合の有意な減少と,coccoid cellsの割合の有意な増加が見られ,菌叢が有意に変化していた。これに対しプラセボ投与部位では,全菌数は1週間目と2週間目で有意な減少が見られたものの,4週間目では初診時と差のないレベルに戻っていた。spirochetes, coccoid cellsの割合は実験期間中有意差がなく,菌叢は変化しなかった。臨床的には,TG軟膏投与群は,4週間目までに歯周に関する各指標の改善が見られた。
著者
山口 勇人 福岡 清二 中村 正則 荏原 徹 木村 聡
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.543-547, 2014 (Released:2015-03-06)
参考文献数
6

糖尿病患者は年々増加の一途をたどり,それに伴い合併症である壊疽も増加している.壊疽部からは耐性株も検出され,予後に影響を与える.このため当院にて糖尿病性壊疽で下肢切断に至った症例をもとに検出菌の種類と抗菌薬感受性を集計し,予後との関連を追跡した.24名の患者から57菌株が検出され,内訳はグラム陽性球菌62%(35株),グラム陰性桿菌33%(19株),グラム陽性桿菌5%(3株)で,複数菌検出症例は15名であった.MSSA(Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus)をはじめとする皮膚常在のグラム陽性球菌が多く認められ,MRSA (Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は1名のみであった.患者の術後経過をみると7割(17名)の症例が経過良好で退院,3割(7名)が再手術となり8%(2名)が手術以外の原因で死亡した.使用された抗菌薬はCEZ(Cefazolin)が8名と最も多く,次いでPIPC(Piperacillin)5名,IPM/CS(Imipenem/cilastatin)4名,VCM(Vancomycin)4名,MEPM(Meropenem)2名などが使われていた.術後経過不良例では当初CEZを使用した例が多く認められた.複数菌が検出された15名のうち再手術となった症例は5名であり,菌種が多いほど予後は不良であることが示唆された.CEZ耐性の菌株が検出された症例は全体の約6割に上り,とくに透析やASO(Arteriosclerosis obliterans)合併例に多く術後経過不良であったため,周術期の抗菌薬選択には注意が必要と思われた.
著者
中村 正幸 楊 毓英 窪田 昭真 清水 洋 三浦 裕 和崎 克己 師玉 康成 滝沢 正臣
出版者
一般社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.30-39, 2003

A network of the emergency telemedicine for mountain climbers in Japan Alps area has been developed. The network consists of 2.4GHz wireless LAN with over 30 km distance to be connected the Cable TV LAN. We confirmed that this network is able to transfer the high quality video and audio signal suitable for the telemedicine between the mountain huts and hospitals. In this paper, we pointed out the shortcomings of wireless LAN system and cable TV network system in use, for the telemedicine, and wireless LAN module covered more than 30km and a extension system of upstream frequency bandwidth for Cable TV network. Experiments suggested that a low cost and long distance wireless LAN is useful for mountain climber's emergency telemedicine.
著者
高橋 英吉 喜々津 哲男 中村 正博 永沢 勝雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.19-23, 1974-03-15

1.千葉県のような雨の多い火山灰土壌で栽培された巨峰の,著しい花振いを防止するために,gibberellin (GA)処理の効果をB-995との比較において検討した.2. GA処理によって無着粒の果房数は減少し,着粒数は増加した.GA_<4+7> 100ppmは着粒数の増加に非常に効果を示した.7月8日の着粒率は,GA処理によって5〜6倍に増加していた.3. GA処理によって果梗重および果梗径が増し,特に100ppmでその効果が大きかった.果梗重はGA処理によって2.5〜3倍に増加していた.4. GAは果粒の単為結果を誘起し,それを肥大させた.しかし,このGAによって誘起された単為結果果粒は有核果よりも小さく,その約80%は中(5.5〜6.4g),小(5.4g以下)果粒であった.この単為結果果粒はdouble sigmoidの生長曲線を示した.5.可溶性固形物および酸はGA処理によってあまり影響されなかった.しかし,果皮の色素はGA_<4+7> 100ppmで最も多かった.
著者
二宮 敬虔 橋本 樹明 向井 正 中村 昭子 中村 正人 小笠原 雅弘 吉沢 直樹 石田 十郎 水島 泰彦 細田 寛人 高野 匡代
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.278, pp.69-75, 1998-09-18
被引用文献数
1

日本初の火星探査機、「のぞみ/PLANET-B」搭載のMars Imaging Camera(MIC)は、小型軽量の可視CCDカメラである。CCDは、波長分離のためにRGBそれぞれのフィルターで覆われた3ラインからなる。MICのCCDのライン方向は「のぞみ」のスピン軸にほぼ平行で、MICでは、「のぞみ」のスピンを利用して2次元画像を取得する。われわれは、画像の幾何補正や感度補正に必要な特性を地上試験で取得した。また、複数の方法を用いてMICの総合的な撮像機能の確認試験を行った。現在、打ち上げ後の機上校正試験を行っている。
著者
中村 正孝 山根 孝二 高山 一男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05
被引用文献数
4

ピッチ抽出は音声の分析合成系や音声強調において重要であり,今日までもいろいろな方法が提案されている.これらピッチ抽出法は大別すると,彼形処理法,スペクトル処理法,相関処浬法がある.本文では,時間波形の中のほぼ音源特性に相当する部分を強調する波形処理によるピッチ抽出について述べる.
著者
古川 和宏 中村 正直 藤城 光弘
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.469-476, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
46

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」の2019年がん統計予測によると,胃がんの罹患数は第2位,死亡者数は第3位を占めており,依然本邦におけるがん対策において,最重要がん腫の1つに位置付けられている.「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」において,胃内視鏡検診の胃がん死亡率減少効果が認められ,対策型・任意型検診としての実施が推奨されるようになった.胃内視鏡検診の精度管理を行うためには,がん検診受診率,要精検率,がん発見率,陽性反応適中度といったプロセス指標や感度・特異度の算出が必要である.本稿では胃がんの内視鏡検診の現状と今後の展望について概説する.