著者
南須原 美恵 鹿島 雄介 中村 隆志 山内 常生 大槻 憲四郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.63-78, 2011 (Released:2011-06-02)
参考文献数
72
被引用文献数
3 1

宮城県沖大地震に関連した前兆的地下水変動を検出するため,逆断層性活断層の上盤側にある深層孔井を選び,自動リアルタイムデータ受信システムを備えた観測網を構築した.孔井2本の水理学的条件,気圧,地球潮汐,降水の影響,水温観測の解像度を検討した後,観測期間2004年4月6日 から2007年末までに起こった地震の中から地震に関連した可能性のある3つの水温変動を同定した.それらは2005年12月2日の宮城県沖地震(MJ 6.6)の本震の2.7時間前から始まる0.003℃の低下,2007年4月12日に仙台湾で起こった浅発地震(MJ 4.5)の2時間前から始まった0.0012℃の上昇,および2007年5月29日に宮城県北部で起こった浅発地震(MJ 4)と同時の0.02℃に達する低下である.もし,将来の宮城県沖大地震がMJ 6.5以上の地震に相当する先駆すべりを伴うなら,我々の観測システムはそれを前兆的温度変化として捉え得る可能性がある.
著者
中村 隆 原 英一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ウッド夫人とメアリー・ブラッドンの長編小説に関して、なお考察が不十分と考えられる3つの視点を提示した。(1)不倫小説としてのセンセーション・ノヴェル(2)探偵小説としてのセンセーション・ノヴェル(3)ウッド夫人、ブラッドン、ディケンズの小説の相互関連。(1)について:センセーション・ノヴェルの中枢に「反逆する娘」(subversive daughter)と「反逆する妻」(subversive wife)がいることを指摘し、彼女たちが「不倫小説」を生み出す原動力となっていることを解明した。(2)について:ドイルの前に位置するセンセーション・ノヴェルの「細部」を重視する探偵たちは、19世紀末葉に興隆する犯罪科学(犯罪人類学、顔写真、指紋、毒物学)を先取りしていることを指摘した。(3)について:ディケンズ、ウッド夫人、ブラッドンの小説との比較検討を通じて、そこに、夫への不信を抱く妻、不倫願望を持つ妻、不倫妻の秘密を暴き出す男の探偵というパタン化された構図があることを解明した。
著者
生駒 英明 中村 隆一 原 章雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-09-18

GaAsの表面は多量の表面準位が存在し、表面フェルミ準位のピンニング現象を起している。そのだめ、GaAsのMIS(金属-絶縁膜-半導体)構造においてはSiの場合のように反転層、蓄積層が形成されないとされている。現在GaAs素子はショットキーゲートFET(MESFET)が用いられているが、MISFETがが不可能なだめ、SiのCMOSのような低消費電力の回路が組めない。まだHEMT,HBTや半導体レーザの表面バッシヴェーション膜も重要であるが、なかなか良好な絶縁膜がないのが現状である。とくに半導体レーザではその信頼性がパッシヴェーション膜によって左右される場合がある。含回、GaAsをヘリコン波を励起したN2とArプラズマにより表面処理(窒化まだは酸窒化)を行った結果、比較的に良好と思われる絶縁膜(およびMIS構造)が得られたので報告する。
著者
伊藤 ゆり 杉本 知之 中山 富雄 中村 隆 ベルナルド ラシェ ミシェル コールマン
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所)
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

地域がん登録資料を用いて、がん患者の治癒割合および非治癒患者の生存時間の中央値を推定し、その時代変化を検討することによりがん医療の評価を行った。1975~2000年において、食道、胆嚢・胆管、肺がんは全期間を通じて治癒割合、生存時間ともに向上し、診断・治療技術の向上が示唆された。一方、肝がんでは治癒割合は向上せず生存時間だけが延長した。また、前立腺がんでは生存時間の延長がなく、治癒割合だけが向上し、過剰診断の可能性が示唆された。
著者
小沢 博 有馬 哲夫 大西 洋一 中村 隆 大河内 昌 石幡 直樹 ROBINSON Peter
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、英文学に現れた異人概念の変遷を比較検討することにより、英文学及び英国文化を、広義の異文化交渉史の中で捉え直すことにあった。新大陸や東洋のみならず、文学的尚古主義、階級差、性差といった広い意味での内なる異文化も対象とし、そこに継起する異人概念の変遷を検証することにより、英文学を内と外の複眼的視点で相対化しようとする試みである。こうした観点から、小沢は、英国ルネサンス期に見られる外国人排斥運動の思潮を検討し、これが当時の演劇作品と上演活動にどのような影響を与えているかを考察した。石幡は、英国ロマン派文学に顕著な尚古主義や高尚なる野人の概念を異文化への憧憬の象徴的行為として捉え、ロマン派思潮台頭の背後にある社会文化的要因を当時の異国趣味との関連で検討した。大河内は、19世紀における階層社会の形成を異人としての下層階級の形成として捉え、当時の政治経済理論がこうした内なる異人の生産といかに連動していたかを政治社会史的文脈の中で探った。中村は、19世紀英国小説におけるユダヤ人の表象を検証し、大衆文化の担い手としての小説がいかに通俗的な異人観を形成していったかを考察した。大西は、17・18世紀英国演劇における新大陸と東洋の表象を比較検討し、西欧の西進と東進がもたらした異なる二つの非西欧文化との交渉を演劇の文化史として考察した。有馬は、アメリカ文学におけるインディアンの表象の変遷を俯瞰し、これを英国の植民地政策との関連で比較文化論的に考察した。Robinsonは、英国近代文学の創作活動が異人としての女性の侵入と密接な関係を持ってきたことを、RichardsonのClarissaやT.S.EliotのThe Waste Land改作問題と絡めて検証した。以上のような具体的研究成果を通じ、共同研究者の知見を統合して、英文学における異人概念の変遷の一面を解明できた。
著者
中野 悦次 吉岡 俊昭 松田 稔 園田 孝夫 矢野 久雄 伊原 義博 黒田 秀也 岸本 知己 櫻井 勗 内田 欽也 児島 康行 中村 隆幸 清原 久和 佐川 史郎 関井 謙一郎 古武 敏彦 宇佐美 道之 三木 恒治 黒田 昌男 細木 茂 前田 修 友岡 義夫 吉村 一宏 水谷 修太郎 岩尾 典夫 三好 進 井上 彦八郎 本城 充 藤岡 秀樹 本多 正人 高羽 津 岡 聖次 松宮 清美 原 恒男 三宅 修 坂口 洋 竹山 政美 板谷 宏彬 宇都宮 正登 伊東 博 新 武三 永野 俊介 市川 靖二 野島 道生 長船 匡男 客野 宮治 山口 誓司 多田 安温
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.635-642, 1990-05

膀胱乳剤にフェルビナクのエチルエステルを封入させたLM-001静注剤を尿路結石による疼痛と膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対する有効性ならびに安全性について検討した.1)尿路結石による疼痛に対しては53例中49例に効果がみられた.有効例49例中41例までが本剤投与15分以内に効果が発現した.また26例において効果が24時間以上持続した.2)膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対しても29例中25例に効果がみられた.有効例25例中16例までが15分以内に効果発現した.また13例において効果が24時間以上持続した.3)副作用として血管痛,熱感,視力軽度低下,血圧の一時低下がみられたが,いずれもきわめて軽度で何ら処置することもなく短期間に消失した.また,3例に白血球増多,1例にA1-pの上昇がみられたが,その程度は軽度であり,すぐに正常化した.4)LM-001は尿路結石による疼痛の緩和と膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対し,速効性で高い有効率を示し,かつ作用時間が長いこと,また副作用がきわめて少ないことから優れた薬剤と評価し得たClinical effect of LM-001, a prostaglandin synthetic inhibitor developed from a drug delivery system, was evaluated in 54 patients with pain from urinary tract stones (stone pain) and 32 with vesical urgency after an operation on bladder or prostate. LM-001, felbinac ethyl incorporated in lipid microsphere, wes intravenously administered at the onset of stone pain or vesical urgency. Of 54 with stones and 32 with urgency, 53 and 29 were eligible for response, respectively. The symptoms improved or disappeared in some cases just after the administration and in the majority of patients within 15 minutes, in 49 of 53 patients with stone pain. Further, the effectiveness lasted over 24 hours in 26 of the 49 responding to this agent. On one hand, improvement or disappearance of vesical urgency was recognized in 25 of 29 patients, and the effectiveness was observed shortly after injection in 16 and lasted over 24 hours in 13 cases. Toxicities of this drug were investigated in 54 patients with stone pain and 32 with urinary urgency. Side effects consisted of pain at the injection site in 4, a slight fall of blood pressure in 1, slight visual disturbance in 1, body heat sensation in 1, leukocytosis in 3 and elevation of alkaline phosphatase in 1. These symptoms were transient and disappeared without use of any agent. LM-001 is concluded to be a useful drug for controlling stone pain and vesical urgency since an immediate effect, long durability and high response rates were obtained without severe side
著者
森根 裕二 島田 光生 居村 暁 池上 徹 金村 普史 中村 隆範
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では肝再生における新たな調節因子をなりうるソニック.ヘッジホッグ(SHH)の作用機序についてラット肝切除モデルを用いて検討した。PCNAlabering index(L.I.)は術後24時間が最も高値で、非実質細胞ではPCNAL.I.は術後経時的に上昇した。全経過において、肝実質細胞.非実質細胞ともにPCNAL.I.は90%肝切除モデルが有意に高値であった。Shhに関しては90%・70%肝切除モデル間に発現強度の差はないが、肝実質細胞では術後24時間で最も高値で、術後経時的に上昇した非実質細胞は異なる発現パターンであった。肝実質細胞では各Zoneに均等に発現していたが、非実質細胞ではZone 1にのみ発現増強していた。Gli-1はShh発現と同様の発現パターンを呈した。本研究はShh pathwayが肝再生において、肝実質細胞・非実質細胞の再生と肝組織構築に重要な役割を果たすことを示唆した。
著者
中村 隆
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

A:「クルックシャンクにおけるホガース模倣」ポールソンの先行研究に異説を唱え、クルックシャンクはホガースに始まる英国の諷刺喜劇の図像的伝統に終焉をもたらした挿絵画家ではなく、ホガース的なエンブレム図像の正統な継承者の1人であるということを論証した。B:「クルックシャンクの連作版画『酒瓶』(The Bottle,1847)の社会文化史的解明」禁酒主義の思想を体現する『酒瓶』で用いられたのは「蝋刻電鋳版画」(glyphography)という版画媒体だった。精密さという点で銅版画よりも劣るこの方式をクルックシャンクが敢えて採用した理由は、安価な版画を直接労働者階級に届けるためである。労働者階級における飲酒の悪弊を根絶しようとした絶対禁酒主義者(teetotalist)としてのクルックシャンクの目論見がこの版画媒体を選択させたのである。
著者
中村 隆之
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
鹿児島経済論集 (ISSN:13460226)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.99-123, 2008-03

アメリカの教育財政制度は,財政民主主義の象徴である。自分の属する身近な自治体が,どれだけの税を課し,何を提供するかを自らの手で決定する。価値あるサービスを求めるならば,その分だけ税を負担しなければならない。従って地域の多様なニーズについて,身近で切実な議論が必須である。地方自治,なかでも学校区の教育自治は,民主主義の実践の場であると言われてきた。現在ではその理念型から離れ,各学校区の財政的な独立性は失われつつあるとはいえ,それは自治の精神と伝統を持っている。アメリカの隣国カナダにおいても,小学校から高校までの教育において学校区単位の自治が行われている。カナダでは,教育は各州の管轄である。州の中にいくつもの学校区があり,それぞれに教育委員会(School Board)が設けられ,その理事(trustee)は選挙によって選ばれる。学校区の中にいくつかの学校があり,各学校に保護者・生徒・教員・地域代表などによって構成される学校協議会(school council)が設けられている。カナダの教育自治はこの三層構造によって成り立っている。1980年代以降,カナダにおいて,教育自治のあり方は大きく変化してきた。学校区単位の独立性は薄れ,財政的な権限が上位レベル(=州)に集中する一方で,学校運営に関する決定がより下位のレベル(=学校協議会)に分権化されるようになった。上位から下位に向かって財政的な付与がある一方で,下位は上位に対してアカウンタビリティ(行動の成果を目にみえる形で示す責任)が求められるようになった。この集権化と分権化の両方向を含んだ変化は,1980年代から,程度と進度の差はあれ,西欧先進各国に共通で見られる新自由主義(ネオ・リベラリズム)的改革の特徴であると,一応は整理できる。だが,カナダにおける近年の一連の教育制度改革は,効率性・平等・民主主義という難しい三つの課題に挑戦した複雑な歴史であり,それ自体考察に値するものである。カナダの教育制度は各州で異なるため,カナダ一般を論ずることはできない。そこで,最大の州であるオンタリオ州を取り上げることにする。オンタリオ州は,カナダ全体の人口4割弱である1200万人を擁し,人種,民族,宗教の違い,所得格差,地域格差などあらゆる平等にかかわる問題が存在する。また,度重なる政権交代があり,制度が大きく揺れ動いた。このような観点から,オンタリオ州は,制度の変遷を辿る意味で格好の材料を提供するのである。以下,第一に,オンタリオ州の教育行政および教育財政の現状について,制度と財政の数値データを示すことで概略を説明する。第二に,オンタリオ州の教育財政制度の歴史を振り返る。教育財政制度の歴史はオンタリオ州の政権交代の歴史と密接にかかわっているため,それも必要な限りあわせて説明する。とりわけ重要なのは1995年から2003年までの進歩保守党政権の政策と,その後,現在まで政権にある自由党政権の政策である。最後に,オンタリオ州の経験が,今後の財政民主主義と財政調達制度について示唆することを述べる。
著者
渡辺 正敏 旭 博史 石田 薫 阿部 正 近藤 宗廉 小川 将 天野 一之 斉藤 功 金 直樹 中村 隆二 西成 尚人 森 昌造
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.1753-1757, 1985-08-01

domperidone の gastroesophageal reflux (GER) 対する治療薬剤としての評価について, 健常人18名を対象に, 食道内圧測定 (5名), テレメタリングによる24時間食道 pH 測定 (13名) を行い検討した. lower esophageal sphincter (LES) の圧と長さは domperidone 0.2mg/kg 静注にて15分後から有意の増加を示し, 60分後は最大で対照の約2倍に達した. GER に関しては, 逆流回数では domperidone 投与後に著変を認めなかった. 一方, 逆流時間では24時間中, 日中, 夜間のいずれの1時間当りの逆流時間においても対照と大差は無かったが, 投与後1時間の値では対照群に比べ著明な短縮を示した. 以上より, 本剤は LES 機能, 食道自浄作用を高めることに寄与することが示唆された.
著者
中村 隆典
出版者
新日本出版社
雑誌
労働運動
巻号頁・発行日
no.471, pp.100-107, 2003-10
著者
中村 隆 徳丸 仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.200-207, 1995-03-25
被引用文献数
22

近年の電波利用の増加に伴い,電波の人体への悪影響が懸念されている.特に,職業上強い電波照射を受ける人々にとっては,大きな問題である.本論文では,強い電波を扱う研究者を対象に,人体への影響で問題となる吸収電力を完全導体のシールドを用いて低減させるという手法を提案し,その基礎段階として,完全導体のシールドを着けた円柱人体モデルに平面波が入射する場合の電力吸収率(SAR)の低減効果を計算し,シールドの有効性を示した.
著者
荒川 豊 柏木 啓一郎 中村 隆幸 中村 元紀 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.79, pp.49-54, 2009-06-04

我々はセンサやアクチュエータにより収集・操作する実世界のデータを蓄積・検索する機構uTupleSpaceの研究を行っている。多数のデバイスからのデータを蓄積し、様々なアプリケーションでこれを共有するため、uTupleSpaceはスケール性を考慮して構築されなければならない。そこで、uTupleSpaceを構成する複数サーバ間で動的に負荷を分散し、また必要に応じてサーバ増設を可能とするダイナミックヘルプ方式を考案した。評価の結果、センサデータを利用する想定アプリケーションにおける負荷に対し、考案方式によりuTupleSpaceは十分にスケール可能となることを確認した。
著者
佐野 洋 中村 隆宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.117, pp.39-44, 2004-11-20

筆者らは,中学校,高等学校で利用される英語教科書を調査し,英語教育過程で教授される英語文型を網羅的に調査した。その結果絵を基に,(株)小学館・マルチメディア局との共同開発により,BNC(British National Corpus: 一億五の英文コーパス)から文型を基に英文用例を抽出するための検索式を作成した。検索式を用いて英文用例を抽出した。英文用例はXMLデータベース化し,XMLデータベースからHTLMデータを自動生成して,インターネットを通じて英語教育素材を提供するWebサイトを構築した。本サイトは,小学館コーパスネットワーク(SCN)のサービスとして提供される。We have released a website that allows users to download sentence patterns for English educational purposes. These sentences were extracted from the BNC, and collected by writing search formulas using the LTB. Prior to the creation of the formulas, we surveyed major English textbooks used widely at Japanese educational institutes, for the purpose of covering This project was done in collaboration with Shogakukan and Sano Laboratory at TUFS. The site is provided as a part of SCN services.
著者
中村 隆文 ナカムラ タカフミ NAKAMURA Takafumi
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-17, 2008-09-24

現代哲学思想において「ヒューム主義(Humeanism)」というものは、反実在論(anti-realism)、あるいはそれに准ずるような、性質に関する「非.認知主義(non-cognitivism) 」として、一般的には主観主義に近い形で理解される傾向にある1。そのような傾向のもと、或る種の反実在主義者(そして、そのほとんどが非-認知主義者であり、たとえば、A.J. エアーのような表出論者やS. ブラックバーンのような投影論者たち)はヒュームの主張を好意的に取り上げる一方、或る種の実在論者たち(たとえば、J. マクダウェルのような認知主義者)はヒュームの主張それ自体を批判しながら反ヒューム主義を提唱するという対立の図式が出来上がっている。しかし、そもそもそうした反実在論vs. 実在論の対立が、あたかもヒューム思想を認めるかどうかであるように図式化されていることについて、私はそこに違和感を感じる。もちろん、その対立図式のもとで生み出された各種議論はそれぞれ重要な意味をもっているのであるが、そもそもヒューム思想がそのような二分法によって理解されるべきものであるかどうかについて、本論考全体を通じて考えてゆきたい。 本論考で紹介するヒューム主義的思考法とは、簡単にいってしまえば、通常は当たり前とされるような関係(いわゆる「分かっている」)を分析し、それが必然的なものではないこと(しかし、同時にそれが不可欠な形で採用されてしまっていること)を論じる手法である。そうした手法を通じて、我々が通常当たり前のように用いている「私」「われわれ」の概念を分析しながら、ヒューム主義というものが奥深く、かつ非常に哲学的な態度であることを論