著者
中村 隆志 矢谷 博文 古川 惣平 荘村 泰治 絹田 宗一郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

マイクロフォーカスX線CTを用い歯科修復物と模型等の断層撮影を行い、得られたデータから歯科修復物の適合性や内部欠陥等を3次元的および非破壊的に評価することを目的に研究を行った。まず歯科修復物の適合性について、Angel Crown(Mddia)、Procera Allceram(Nobel Biocare)、IPS Empress(Ivoclar Vivadent)、4)Estenia Crown(クラレメディカル)の4種類のオールセラミックをマイクロCTを用いて計測し分析した。その結果、1)Angel crownの間隙量の標準偏差は他のクラウンより小さく,安定した適合性を有していると考えられた。2)Procera Allceramはマージンを除き全体的に均一な間隙を有していた、。3)IPS Empressは本実験に用いたCAD/CAMシステムより優れた適合性を有していた.本実験結果より,CAD/CAMオールセラミッククラウンは安定した内面の適合性を有することを,マイクロフォーカスX線CTを用いた三次元的および非破壊的評価により明らかにすることができた。次にEstenia crownを除くの3種類の材料に関して、マイクロフォーカスX線CTを用い、気泡などの内部欠陥の形や大きさ、位置を非破壊的に分析した。その結果、CAD/CAMにより作製されたオールセラミッククラウンは内部欠陥が少なく、試料間でのばらつきも少ないことがわかった.一方で、手作業でポーセレンを築盛する部分では、内部欠陥が多く見られること、また試料によって大きさ、数、場所にばらつきが見られることが示された。以上のように、マイクロフォーカスX線CTを用いることで、歯冠修復物の内部欠陥の存在や適合性を非破壊的に分析することができた。本装置を臨床の場において簡便に使用することができればオールセラミッククラウンなどメタルフリークラウンの破折をより減少させることができると考えられた。
著者
中村 隆治 藤井 英二郎
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.139-144, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
2
被引用文献数
18 24

緑地の視覚心理的効果を明らかにするために, 本実験では生垣, ブロック塀, さらに緑量的にそれらの中間的な段階の視覚対象として樹木とブロックの比が2:5, 4:3, 5:2となる場合の5つの対象物をみたときの脳波, 特にα波β波について分析を行った。 その結果, α波とβ波の合計値に占めるα波の割合が, ブロックに対する樹木の割合が半分以上になると高くなる傾向を示した。 一般に, 安静時にはα波が増え, 緊張時にはβ波が増えると言われていることから, この傾向はブロックが緊張感をもたらし, 樹木はそれを和らげる効果があることを示唆するものであることが明らかになった。
著者
中村 隆文
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.229-242,258, 2007-10-30 (Released:2010-12-16)
参考文献数
34

Locke's theory as a contractarian has a great influence on the debates about social justice between “liberalism” and “libertarianism” yet. Even have many differences of opinions in those, they almost depend on the “natural law” and “natural right” elaborated by Locke when he tried to defend the “liberty” against an authority of the king. This reason is that they believe Locke's natural jurisprudence and ideas of “liberty” and “right” are set in the Declaration of Independence. It's nothing to be surprised at this, so now I intend not to doubt this fact, and that, not to convict their debates as pointless. I suggest that “liberty”, “right” and “justice” can be also defended philosophically by a school of thought in the eighteenth century other than Locke's, no matter how we estimate his influence on the then America. Directly and frankly professing, I regard the Scottish Enlightenment as functioning that role in the century, and its significance has still lived under the debate about the idea of social justice. I place a special emphasis on the point that Scottish thinkers, especially David Hume and Adam Smith, had defended the America outside the theory of contractarianism involved with liberalism and Libertarianism. It shows that “justice” intrinsically exists in a relationship, in other words “convention” and it can not be discovered in the contractual lawmaking way but in the judiciary way reflecting sense of justice, or moral sense, because law of justice will be expanding over the domain of human rationality of economical worldview.
著者
中村 隆之
出版者
The Japanese Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史学会年報 (ISSN:04534786)
巻号頁・発行日
vol.41, no.41, pp.58-70, 2002 (Released:2010-08-05)
参考文献数
45

Harrod's Dynamics represented a methodological revolution because his trade cycle theory not only connects multiplier and relation (acceleration) with each other, but also rejects the explanation of trade cycle by sequence of temporary equilibrium. Harrod showed the originality of his dynamics as the difference between lag theory of Samuelson, Hicks, Tinbergen etc. and antinomy theory of his own. But few number of economist understood the essence of his antinomy theory.Baumol, Alexander and many others regarded Harrod's theory as imperfect because his fundamental equation is merely identical equation, therefore it does not determine the behavior of the next moment. They thought the behavioral equation must be added in order to complete Harrod's model.Shackle insisted Harrod's ‘one point in time’ approach excluded the essential uncertainty in decision-making. Okishio insisted that difference-differential equation is essential for the completion of Harrod's instability principle. Although Besomi, scholar of Harrod's economics, introduces the Harrod's methodology, he also regards the fundamental equation in Harrod's Essay as missing the consideration of expectations.All critics above did not understand that his dynamics represents a direction of the movement at the very moment in time and need not have a behavioral equation. Harrod thought the moment analysis is more important than locus in the time sequence. But they held that the opposite of his intention was true.Despite these critiques I insist that Harrod's antinomy theory is valid and his methodology is very useful. For my conclusion I criticize Okishio model, which is representative interpretation of Harrod's instability principle so far. The model has two behavioral equations for product-decision and investment-decision.Harrod's fundamental equation expresses the antinomy of economic structure, which always exists, by the form of identical equation. Identical equation is objective, valid for qualitative analysis. His objective approach is similar to Keynes's approach which uses the fundamental equation in A Treatise on Money and the instantaneous multiplier in General Theory.Harrod's antinomy theory has been lost because the objective approach to dynamics was not understood. It is to emphasize that the ultimate cause of misunderstandings is a strong leaning toward the micro foundation of modern economics. We incline to start with individually subjective decision-making, not objective structure.
著者
布施 孝久 永井 肇 大原 茂幹 福島 庸行 福岡 秀和 高木 卓爾 伴野 辰雄 中村 隆昭
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.933-937, 1989 (Released:2006-09-05)
参考文献数
22
被引用文献数
9 9

A 39-year-old male experienced unilateral right hearing loss and tinnitus for 7 years and was hospitalized after he suddenly developed severe headache, vertigo, and right facial paralysis. Computed tomography (CT) showed a round, high-density area in the right cerebellopontine angle. Magnetic resonance (MR) imaging demonstrated a crescent-shaped region of high signal intensity, representing hemorrhage, in the superior aspect of the tumor, surrounded by edema. The right internal auditory canal was enlarged. Four-vessel angiography disclosed neither an aneurysm nor an arteriovenous malformation. A right suboccipital craniectomy revealed an encapsulated mass 3 cm in diameter in the right cerebellopontine angle. The tumor was totally removed. Histological examination revealed a typical neurinoma composed of Antoni type A and B cells. After undergoing anastomosis of the right hypoglossal and facial nerves, the patient was discharged in good condition. In this case MR imaging demonstrated intratumoral hemorrhage (which is rare in cases of acoustic neurinoma) and the surrounding tissue more clearly than did CT scanning.
著者
阿部 百合子 住友 直方 大熊 洋美 福原 淳示 市川 理恵 平井 麻衣子 中村 隆広 松村 昌治 金丸 浩 七野 浩之 鮎沢 衛 陳 基明 麦島 秀雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_64-S2_68, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
8

背景:抗真菌薬には種々の副作用が報告されている.抗真菌薬使用後QT延長に基づくtorsade de pointes(TdP),無脈性心室頻拍(VT),心室細動(VF)に対し静注用アミオダロンの効果が認められた小児例を報告する.症例:15歳,男児.再発急性リンパ性白血病(ALL)の化学療法後の骨髄抑制期間に深在性真菌感染をきたし,抗真菌薬であるアムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)を投与した.L-AMBの副作用と考えられる低カリウム血症を認め,補正を行ったが低カリウム血症が続いた.その後,真菌感染の増悪を認めたため,アゾール系抗真菌薬であるボリコナゾール(VRCZ)の追加投与を行った.VRCZ投与6日後から副作用と考えられるQT延長を認め,7日後からTdP,無脈性VT,VFをきたした.抗真菌薬の副作用と診断し,薬剤を変更して,さらなる低カリウムの補正を行い,メキシレチン,プロプラノロール,ニフェカラント,リドカインを投与したがVT,VFのコントロールは非常に困難であった.その後,アミオダロン1.6mg/kgの単回静注したところ,TdP,VTは停止し,アミオダロンの持続静注を開始したところVT,VFはコントロールされた.VT,VFは消失したが,抗真菌薬の変更を余儀なくされ,真菌感染の増悪を招き死亡した.結語:低カリウム血症を認めた場合に,ボリコナゾール(VRCZ)などQT延長を認める可能性のある薬剤の使用には注意が必要である.このような場合,アミオダロンの使用には注意が必要であるが,一部の症例では有効と考えられた.
著者
坂口 尚文 中村 隆
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.3-17, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
20

本稿では,階層型コウホート(HAPC)モデルによる推定でコウホート効果がフラットになるメカニズムを明らかにし,ベイズ型コウホート(BAPC)モデルで用いられているパラメータの1次階差に着目することが妥当であることを述べる.HAPCモデルは近年のコウホート分析において標準的手法であり,一般的に時点とコウホートを個々の対象者が属する集団の効果として,それらを変量効果として扱う混合効果モデルである.しかしながら,HAPCモデルによる推定はコウホート効果が想定よりもフラットになりやすいとの批判もなされてきた.他方,BAPCモデルはパラメータの1次階差に正規分布を仮定した経験ベイズ流の枠組みで従来とらえられてきたが,混合効果モデルとしてとらえることも可能である.両者とも変量効果の導入で識別不足を解消する点は共通だが,コウホート分析における識別問題へのアプローチは異なる.実証例として,コウホート効果が大きいと考えられる男性大学卒割合を用いて,両モデルの推定結果の違いを示す.HAPCモデルの推定はコウホート効果がフラットであるのに対し,BAPCモデルはコウホート効果が大きく,新しい世代ほど大学卒割合が高くなるという特徴を捉えていた.
著者
伊藤 智泰 早川 伸哉 糸魚川 文広 中村 隆
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2010年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.577-578, 2010 (Released:2010-09-01)

炭素繊維強化樹脂(CFRP)を放電加工することを目的として純水中で加工を試みた.その結果,形彫放電加工,ワイヤ放電加工とも加工可能であった.とくに直径0.25mmの黄銅ワイヤを用いて板厚約3mmのCFRPをワイヤ放電加工した場合は放電電流50A以下の場合に加工が比較的安定であり加工速度は約3 mm2/minであった.一方,形彫放電加工では加工面に炭素繊維の毛羽立ちが見られる場合があった.
著者
硯川 潤 井上 剛伸 中村 隆
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では,日常生活でのうつ熱発症予防という観点から,身体との接触面からの体熱除去で誘発される温熱生理反応の特徴抽出と,最適な冷却アルゴリズムの確立を目的とした.健常者を被験者とした温熱環境下での背部冷却実験から,発汗量の有意な減少を確認できたため,人為的な体熱除去が人体の温熱生理反応を代替できることが示された.一方で,被験者間の皮膚温のばらつきが減少したり,皮膚温と血流量の相関性が崩れるなど,体熱除去が通常の温熱生理反応の外乱となりうる現象も確認された.この結果は,代謝量や生理反応を指標として,冷却出力などをリアルタイムに調整する必要があることを示唆している.
著者
中村 太士 中村 隆俊 渡辺 修 山田 浩之 仲川 泰則 金子 正美 吉村 暢彦 渡辺 綱男
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.129-143, 2003
参考文献数
33
被引用文献数
6

釧路湿原の多様な生態系は, 様々な人為的影響を受けて, 劣化ならびに消失しつつある. 大きな変化である湿原の樹林化は, 流域上地利用に伴う汚濁負荷の累積的影響によって起こっていると推測される. 汚濁負荷のうち特に懸濁態の微細粒子成分(ウォッシュロード)は, 浮遊砂量全体の約95%にのぼる. 既存研究より, 直線化された河道である明渠排水路末端(湿原流入部)で河床が上昇し濁水が自然堤防を乗り越えて氾濫していることが明らかになっている. Cs-137による解析から, 細粒砂堆積スピードは自然蛇行河川の約3〜8倍にのぼり, 湿原内地下水位の相対的低下と土壌の富栄養化を招いている. その結果, 湿原の周辺部から樹林化が進行しており,木本群落の急激な拡大が問題になっている. また, 東部3湖沼の中でも達吉武沼流域では, 土壌侵食ならびに栄養足負荷の流入による達吉武沼の土砂堆積, 水質悪化が確認されており, 水生生物の種数低下が既存研究によって指摘されている.ここではNPO法人トラストサルン釧路と協働で, 自然環境漬報の集約にもとづく保全地域,再生地域の抽出を実施している. また, 伐採予定だったカラマツ人工林を買い取り, 皆伐による汚濁負荷の流出を防止し自然林再生に向けて検討をすすめている. 湿原南部には1960年代に農地開発されたあと, 放棄された地区も点在しており,広里地域もその一つである. この地域は国立公園の最も規制の緩い普通地域に位置しており, 湿原再生のために用地取得された. ここではタンチョウの1つがいが営巣・繁殖しており, 監視による最大限の注意を払いながら, 事前調査結果にもとづく地盤据り下げならびに播種実験が開始されている. 釧路湿原の保全対策として筆者らが考えていることは,受動的自然復元の原則であり, 生態系の回復を妨げている人為的要因を取り除き, 自然がみずから蘇るのを得つ方法を優先することである. さらに, 現在残っている貴重な自然の抽出とその保護を優先し可能な限り隣接地において劣化した生態系を復元し広い面積の健全で自律した生態系が残るようにしたい. そのために必要な自然環境情報図も環境省によって現在構築されつつあり, 地域を指定すれば空間的串刺し検索が可能なGISデータベースがインターネットによって公開される予定である.
著者
小坂 健二 中村 隆一
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.93-100, 1983

筋電図反応時間(EMG-RT)は肢位変化によって変化することが知られている.例えば上腕三頭筋のEMG-RTは,促通肢位で短縮する.このEMG-RTの肢位依存性は,小脳障害患者で消失するがPNFによって一時的に回復する.このPNFの効果の神経機序を検討するために,サルの大脳皮質運動野刺激によって惹起されるEMGの潜時の肢位依存性について検討し,小脳核の破壊前と破壊後の肢位依存性の変化を比較検討した.さらに破壊後,皮質反復刺激を行なった.<br>皮質上肢運動野の連続電気刺激によるEMGの潜時は,肩のretraction肢位と比較するprotraction肢位で短縮した.この潜時の肢位依存性は,小脳核破壊によって消失した.試行間隔を短縮し,皮質刺激を反復すると,消失した肢位依存性は回復した.これらの神経機序については次のように考えられる.潜時の肢位依存性は,肢位変化による運動感覚入力が皮質運動野の興奮性を変化させた結果の現象である.小脳はこの運動感覚の入力系と運動の出力系に対してmodulatorとして作用しており,その破壊によって肢位依存性は消失する.この肢位依存性の回復には,試行間隔を短縮して皮質刺激を反復することでおこる上位中枢への運動感覚情報のより強力な入力が有効である.<br>このことからPNF治療には,最大抵抗下における随意運動の反復によって上位中枢への運動感覚入力を強化させることが重要である.
著者
硯川 潤 井上 剛伸 中村 隆 高嶋 淳
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,近年生産技術としての応用が期待されている3次元積層造形技術を福祉機器部品の製造に適用するための,基礎的な設計手法を提案することを目的とした.積層造形で製作された造形物には,積層方向に依存した異方的な強度特性が存在することが知られており,安全利用の妨げとなっている.そこで,引張・曲げ強度試験により強度特性を系統的に把握し,さらに,既存の表面改質処理が強度特性を部分的に改善する効果を有することを確認した.また,これらの実験的に得られた知見が,実際の義手部品の強度予測に適用可能であることを確認できた.
著者
伊東 元 橋詰 謙 齋藤 宏 中村 隆一
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.164-165, 1985-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
7
被引用文献数
11 3

健常男性20名に最大速度で歩行を行わせ,速度,歩幅,歩行率と大腿四頭筋の最大等尺性収縮トルク(MVC)およびMotor time(MT,急速膝伸展時の筋活動開始から運動開始までの潜時)との連関を検討した.速度の有意な決定因は体重,MVCで,体重が軽くMVCが大きいと速度が速かった.速度は歩幅,歩行率と正の相関を示すが,歩幅と歩行率との間には負の相関があった.この歩幅と歩行率の両者にとって有意な決定因はMTで,MTが短いと歩幅は大きくなり,MTが長いと歩行率は大きくなった.
著者
中村 隆
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.40-45, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
21

皮膚トラブルは,義肢装具の使用における大きな阻害因子の1つである.皮膚トラブルの原因には,力学的要因と生物学的要因の2つがある.力学的要因は圧力とせん断力によるもので,装着時には効率的な力の分散がなされなければならない.ライナーは圧力分散に優れているが,適合が十分でない場合には,たとえライナーを装着していても傷はできる.生物学的要因は感染によるもので,装着時の温湿状態が感染のリスクを高めるため,衛生管理は極めて重要である.皮膚トラブルを防ぐには,自己管理に向けた教育を入院訓練中に行うことが重要であり,退院後も義肢装具使用者に対し皮膚トラブルを早期に発見し,対処できる体制が必要である.
著者
渡辺 聡 後藤 春彦 三宅 諭 中村 隆
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.769-774, 2001

This study aims to clarify the characteristics of pedestrian's eye fixation behaviors in a shopping street. On this paper, first, we clarified the relationships between the characteristics of the street formation and the characteristics of pedestrian's eye fixation behaviors. Second, we clarified the relationships between the form & color of the sign and the eye fixation behaviors. And then we verified the relationships between the estimation and the eye fixation behaviors.
著者
中村 隆 山﨑 伸也 中川 雅樹 田中 亮造 高橋 剛治 飛松 好子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.194-197, 2016-07-01 (Released:2017-07-15)
参考文献数
7

四肢切断者のリハビリテーションと義肢の適応に関する症例報告である.57歳,男性.電撃性紫斑病による四肢末梢の虚血性壊死により,両前腕,両下腿の切断に至る.リハビリテーションでは移動の確保や義肢の自己装脱着といった課題が顕在化し,義肢の改良とデバイスの活用が必要であった.本症例は我々が経験した同疾病による3例目の症例であったが,過去2例と比較して訓練の遂行に問題はなく,両側能動義手(手先具 : フック)とライナーを使用した下腿義足の適応となった.皮膚状態に問題がなかったこと,両前腕切断と両下腿切断であったこと,先行2症例の経験を踏まえた適切な義肢を選択したことが,順調な結果に至った理由と考えられた.