著者
田中 直樹 長屋 匡信 中村 浩蔵
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

トランス脂肪酸は日常生活で我々が頻繁に食する脂肪酸である。米国ではトランス脂肪酸摂取が禁止されているが、我が国ではトランス脂肪酸の健康被害に関する科学的根拠が乏しいとの理由で、その摂取に注意が払われていない。我々はトランス脂肪酸が肝癌を促進させる可能性を見出したが、そのメカニズムは不明である。本研究では、食事中トランス脂肪酸が肝臓に与える影響を多角的に解析し、その毒性を機能性食品で軽減する方法も探索する。トランス脂肪酸毒性に関する明確な科学的根拠とその予防戦略を提示できれば、国民の食生活の改善や健康寿命延伸、新規産業創出につなげられる可能性があると考えている。
著者
中村 理乃 手島 陽子 三浦 美代子 小西 史子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.141-150, 2016 (Released:2016-03-24)
参考文献数
18
被引用文献数
3

The effect on elasticity and taste of adding glucomannan to rice bread was investigated. Elasticity factor 1, indicating the hardness of bread, was significantly lower in bread containing glucomannan (glucomannan bread) than in bread made only with rice flour (control bread) 24h after baking. The ratio of elasticity 2 and 1, indicating the degree of glutinousness, was significantly higher in glucomannan bread than in control bread. Elasticity factor 1 was significantly increased 48h after baking in both glucomannan bread and control bread, while it was still significantly lower in glucomannan bread than in cotorol bread. These results suggest that adding of glucomannan to rice bread prevented staling of the bread. Sensory testing of glucomannan bread both 24h and 48h after baking revealed higher scores in softness, moistness, glutinousness and total preference than those for control bread.
著者
中村 雅彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.131-137, 1984-08-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to examine the effects of personalistic self-disclosure on interpersonal attraction. Thirty-two male subjects participated in the experiment. After showing intimate or superficial disclosure, the confederate attributed the cause of his disclosure either to the subjects (personalistic condition) or to the confederate himself (non-personalistic condition). Subjects were then informed of these attributions. Results obtained clearly supported the hypotheses. Subjects who received intimate and personalistic disclosures liked the confederate significantly more than those who received intimate and non-personalistic disclosures. On the other hand, subjects who received superficial and personalistic disclosures disliked the confederate significantly more than those who received superficial and non-personalistic disclosures.
著者
大関 誠 中村 聖三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.97-102, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
41

各種業務の効率化や高度化の観点から,土木工学分野でのAI研究および活用が進められている.画像から損傷の判定や領域の抽出を行うアプリケーション等,維持管理分野において様々な研究がなされて既に実用化されている技術がある一方,AI活用が期待されているものの研究自体があまり進んでいない分野も存在する.本稿では,AIの適用対象を鋼構造に限定し AI活用の現状と課題,および展望と期待を述べる.AI活用の現状と課題では,土木分野全般におけるAI活用事例やコンクリート部材を対象とした事例と比較することで,鋼構造におけるAI活用状況を整理する.展望と期待では,様々な分野でのAI活用事例を参照し,鋼構造でのAI活用の方向性の検討や活用を進める上で関連しうる技術,検討活性化に向けたアイディアを提示する.
著者
中村 敏子 木村 玄次郎 富田 純 井上 琢也 稲永 隆
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1407-1413, 1995-11-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
16

血液透析の導入が必要である患者では, 高血圧や肺水腫等のため, 適正な体液量レベルの体重 (DW) をあらかじめ推測することが重要である. しかし, これまでは, DWを決定する絶対的な基準がないため, 実際にどの体重レベルまで除水すればよいのかを推定することは困難であった. そこで, 1977年から1987年の間に当施設で血液透析に導入し転院し得た慢性腎不全患者190例を対象として, 導入時の体重変化の程度と性別, 年齢, 原疾患, 血圧, 胸部X線 (CTR), 心電図などを調べ, DWまでの除水量や体液量是正後の血圧の推定が可能かどうか検討した. 導入期の体重 (iBW) と転院時の体重 (mBW) の差をとり, それを後者で除したものを体重変化率 (%ΔBW) とした. 導入期の収縮期血圧 (iSBP) と維持期の収縮期血圧 (mSBP) の差をとり, それを前者で除したものを収縮期血圧変化率 (%ΔSBP) とした. 性別や年齢は%ΔBWや%ΔSBPに影響を与えなかった. 導入時心電図所見を左室肥大とST変化により4段階に分けスコア化した (ECGスコア). %ΔBwはiSBP, CTR, ECGスコアと相関し, 慢性糸球体腎炎では糖尿病性腎症に比し低値を示した. iSBPは慢性糸球体腎炎では糖尿病性腎症や腎硬化症に比し低値であった. %ΔSBPは, iSBPやECGスコアと有意な相関を示し, 慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症では腎硬化症に比し高値であった. ECGスコアは慢性糸球体腎炎では糖尿病性腎症や腎硬化症に比して軽度であった. このように, 透析導入時に必ず施行される諸検査 (血圧, 心電図, 胸部X線) を利用して, 導入時の体重増加がDWの何パーセントであり, DWまでどの程度除水すべきなのか, 維持期には血圧がどのレベルまで低下するのかをも, 推定することが可能であることが示唆された.
著者
鷹野 一朗 中村 勲 沢田 芳夫
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会誌 (ISSN:00214787)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.214-218, 2002-06-05 (Released:2011-08-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3
著者
青山 祐樹 高橋 索真 稲葉 知己 泉川 孝一 中村 聡子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.145-152, 2019-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
30

70歳男性.黒色便・貧血精査の小腸カプセル内視鏡検査で回腸に輪状潰瘍を認め,原因としてnon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)貼付剤が疑われた.貼付を中止し小腸粘膜保護剤を開始後,潰瘍治癒にともなう瘢痕狭窄によるイレウスを発症し外科切除を要した.特異的な病理所見は認めず,臨床的にNSAIDs起因性小腸潰瘍と診断した.貼付剤でも消化管粘膜傷害を生じうる.
著者
斉藤 司 椎橋 裕子 明賀 博樹 原口 賢治 増田 唯 黒林 淑子 南木 昂 山崎 英恵 中村 元計 伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.519-527, 2014-11-15 (Released:2014-12-10)
参考文献数
22
被引用文献数
5 7

かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香気分析を行った.GC-MS分析,AEDA法によって,重要香気成分を絞り込んだ結果,グアイアコール,5-メチルグアイアコール,2,6-ジメトキシフェノール,4-エチル-2,6-ジメトキシフェノール,2,6-ジメチルフェノール,4-プロピルグアイアコール,バニリン,フラネオール®,(2E,7Z) -trans-4,5-エポキシデカ-2,7-ジエナール,(4Z,7Z) -トリデカ-4,7-ジエナール(以下TDDとする.)の10成分が同定された.この中で(2E,7Z) -trans-4,5-エポキシデカ-2,7-ジエナールとTDDは,かつお節の香気成分としては未報告の成分であり,特にTDDは,食品の香気成分として初めて同定された成分であったため,かつお節の香りにどのような影響があるのか,官能評価を行った.官能評価に用いる用語は,かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物を用いて6種(くん液,木材,魚肉,金属,生臭い,カラメル)を選定した.かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物中の定量値を用いて,TDD以外の重要香気成分9成分と,TDDを加えた10成分の匂い再構成液を作り,各風味項目ついて比較した.その結果,「木材」の項目がTDDの添加により,有意に増強された.このことから,TDDはかつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香りを構成する新規重要香気成分であることが示された.さらに,料理人の官能評価によって,TDDを含むかつお節フレーバーは,かつおだしをより好ましい風味にさせる効果があることが示された.
著者
道上 義正 神林 康弘 中村 裕之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

黄砂やPM2.5などの大気粉塵による健康影響が社会問題となっている。本研究では、大気粉塵中の重金属が成人慢性咳嗽(気管支喘息、咳喘息、アトピー咳)患者の目のかゆみや咳の悪化に関連していることを示した。重金属による症状の悪化は、血清IgEレベルの低い患者で強かった。重金属による影響は、アレルギー症状が弱い患者で強いことが示唆された。また、総浮遊粒子状物質とPM2.5で重金属の構成が異なっていた。特に、黄砂日では、総浮遊粒子状物質の重金属濃度は高くなったが、PM2.5では濃度があまり変わらない重金属もあった。粒子状物質による健康影響を考える上で、構成成分を考慮することが重要である。
著者
鳥居 大和 菊 雅美 水谷 法美 中村 友昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.17, pp.23-17098, 2023 (Released:2023-11-01)
参考文献数
2

河口閉塞は流域の氾濫の危険性を高めるため,対策が必要である.河口閉塞対策として,大規模河川では導流提や防潮堤が建設されているものの,中小河川を対象とした対策工の検討はほとんどされていない.そこで,本研究では,礫浜に接続する中小規模河川の河口閉塞対策工として沿岸方向に連杭を設置し,対策工が地形変化に及ぼす影響や,対策工の有効な配置形態について水理模型実験にて検討した.その結果,対策工を初期汀線近傍に千鳥状に配置することで,対策工がない場合に比べて,バームの形成や汀線位置,砕波地点を沖に移動させることがわかった.さらに,千鳥状に配置した対策工は,陸上への礫の堆積を抑制し,地形の平衡化を遅延させる効果が認められた.
著者
桂 利行 斎藤 毅 斎藤 毅 寺杣 友秀 向井 茂 金銅 誠之 中村 郁 石井 志保子 石田 正典 G. van der Geer
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

代数多様体は、いくつかの多項式の共通零点として定義される図形であり、数学の基本的な研究対象である。本研究では、標数がp>0の世界で、代数多様体を研究し、a-数、b-数、h-数という不変量を定義して、それらの間の関係を明らかにし、応用を与えた。また、標準束が自明であるK3曲面という代数多様体を標数2、3で考察し、超特殊と言われる場合に、その上の非特異有理曲線の配置の様子を解明し、格子の理論と関係を明らかにした。
著者
飯塚 俊明 西尾 勘汰 阿部 圭典 川村 壮司 加藤 岳仁 賀来 将大 伴野 眞優 松島 純 小林 悠也 中村 健二郎 佐原 宏典
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校
雑誌
小山工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02882825)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.63-68, 2017-12-25 (Released:2019-01-28)

This paper reports fundamental study on performance degradation, caused by solid catalyst, of 60wt% hydrogen peroxide thruster for small satellites. The chemical in-space propulsion system, with 60wt% hydrogen peroxide, has been proposed and developed based on three policies, safety first, border free, and effective COTS. Platinum based metal honeycomb solid catalyst has been installed to BBM of thruster, and the solid catalyst is one of cause to limit lifetime of the thruster. In this study, to understand degradation, comparison between observation results of solid catalyst surface by FE-SEM/EDS and thruster performance has been conducted. Small cracks have been observed on upstream surface. The evident growth of cracks has not been found; however, instability of response time has been confirmed.
著者
中村 怜之輔
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.73-76, 1961-03-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

1.渋ガキ果実の脱渋に対する凍結貯蔵の影響の有無をみるために,京大付属農場から採取した13品種の果実について,-12°Cおよび-25°Cの凍結貯蔵を10~90日間続け,その間における可溶性タンニン含量の変化を観察した。 2.その結果,凍結後すぐには脱渋しないが,貯蔵日数の経つに従つて可溶性タンニンが漸減し,一定期間後には確実に脱渋した。その場合の品種による脱渋の難易は,炭酸ガス法による脱渋の難易とよく一致した。 3.凍結貯蔵温度が-20~-30°Cまでは低いほど脱渋が速やかにおこるが,それ以下の極低温になるとかえつて脱渋が遅くなる傾向がみられた。 4.脱渋の機構につき2, 3考察を試みたが,その結果従来の脱渋機構とは性質を異にするようである。すなわち,凍結によりタンニン物質そのものは変化しないがそれを包含する膠質物質の不可逆的変性,特に脱水変性に密接に関係するものと思われる。
著者
大越 貴子 浅井 尚子 中村 かおり
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.126-127, 2020 (Released:2020-08-05)
参考文献数
3

Extensive reading is generally considered as input learning by reading. However, as extensive reading is not believed to enhance a class's comprehensive learning effect unless accompanied with output after reading, ways for extensive reading to lead to output must be considered. Therefore, in this research, an extensive reading class with output is implemented and those results are examined to develop a curriculum design for an extensive reading class. As a result, learners are observed to learn using metacognitive strategies through repeating various output activities. Thus, an extensive reading class with output is assumed to provide a high learning effect to learners.