著者
林 則充 窪田 均 中村 恵宣 山元 康王 岡 幸蔵
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.128-132, 2019-08-01 (Released:2021-02-06)
参考文献数
6

コレステリルエステル転送タンパク質(Cholesteryl Ester Transfer Protein:CETP)阻害剤は、動脈硬化惹起性のLDLコレステロール(LDL-C)の低下、抗動脈硬化性のHDLコレステロール(HDL-C)の上昇という理想的な脂質制御が可能であり、新規の動脈硬化治療薬として期待できる。筆者らは、最適化研究において、「通常製剤での薬剤開発を意識したin vivo評価法の採用」および「in vitro評価法の改良」により、カルボン酸型化合物が優れた作用を有することを見出した。そして、カルボン酸型化合物のさらなる最適化により、臨床候補化合物TA-8995(obicetrapib)の創製に成功した。TA-8995は近年の臨床試験において、同クラスの化合物と比べて世界最強の作用を示した。
著者
中村 育子 前田 佳予子 田中 弥生 本川 佳子 水島 美保 前田 玲
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.19-27, 2023 (Released:2023-08-29)
参考文献数
18

本研究は人生の最終段階において,管理栄養士が多職種と連携して食支援を行うことは,できるだけ自分の口から食事を摂取し,最期まで食べる喜びを感じることができる等,QOL 向上に対する管理栄養士の在宅訪問栄養食事指導の介入効果と,その中で,疾患の違いによる介入効果についても検討する. 在宅訪問栄養食事指導における食支援は,管理栄養士が介護者の困りごとの相談に応じて,介護者の調理技術の向上や簡単に食事を用意できることを可能にし,介護者の食事作りの負担を軽減させ,在宅療養者の最後に食べた物は好物であったことに貢献していた.
著者
高須賀 明典 渡井 幹雄 入路 光雄 米田 道夫 中村 政裕 亘 真吾
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

魚類において「産卵親魚量と卵生産量は比例する」というパラダイムは、現在の水産資源管理・加入研究における根本的仮定である。しかし、卵生産における種内・種間密度効果によって、この比例関係には歪みが生じることが示された。本研究では、野外データ解析・標本分析と飼育実験によって、様々な小型浮魚類 (イワシ類、サバ類等) について、卵量・卵質に対する種内・種間密度効果を検証する。卵生産量に基づいた資源管理基準の設定方法の検討と資源管理リスク評価、卵生産量に基づいた生残指標値の検討と既存の加入研究の再検証を行う。以上より、従来の産卵親魚量ではなく、卵生産量に基づいた新しい資源管理・加入研究の基盤を構築する。
著者
武智 通 中村 文彦 福岡 正彬 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.243-254, 2023-09-30 (Released:2023-09-30)
参考文献数
23

This study investigates sense of agency (SoA) and sense of body ownership (SoBO) according to the automation level involving target setting, user’s input, and trajectory modification of a robotic arm by machine intelligence. We defined five automation level in a pick-and-place task using a robotic arm and set the control weight of the participants. Also,we implemented the collaborative and obstructive conditions. We compared the SoA and SoBO under different automation level through two experiments. The result showed that SoA and SoBO increased by increase of participant control weight. Moreover,we found that increasing the automation level decreased SoA and SoBO.
著者
河田 正仁 岡田 敏男 清水 雅俊 高田 幸浩 下川 泰史 五十嵐 宣明 岡嶋 克則 宮武 博明 水谷 哲郎 中村 哲也
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.337-343, 1999-05-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
9

くも膜下出血や手術後などのストレス状態におかれると急性心筋梗塞類似の病態となり,冠動脈に器質的狭窄がなくても広範な左室壁運動障害を引き起こすことが知られている.症例は81歳の女性で,当初は右下肺野の陰影で入院した.次第に陰影が広がり,呼吸困難を呈した.第10病日に突然呼吸困難が増悪し,心電図上胸部誘導で高度のST上昇をきたし,ショック状態となった.挿管の上,緊急冠動脈造影を施行した.冠動脈の器質的狭窄はなかったが,左室造影上前壁,心尖部,下壁にわたり広範な無収縮を認め,心基部のみ正常収縮をしていた.患者はその2日後に肺炎陰影が両肺に広がり呼吸不全で死亡したが,血清の最大CKは296U/lであった.病理解剖における心筋組織には壊死,炎症細胞浸潤などを認めなかった.本症例は重症肺炎を契機にstunned myocardiumが疑われる病態が引き起こされ,原因として冠攣縮やカテコールアミン心筋障害などが推定された.まれではあるが,ストレスを伴った低酸素血症がstunned myocardium様の心機能低下の誘因となった重要な病態であると考えられ報告する.
著者
中村 祐子 奥田 博之 後藤 由佳 勅使川原 早苗
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.344-354, 2019 (Released:2020-03-06)
参考文献数
22

更年期障害の治療において,更年期女性を「証」に基づき個別的総合評価を行い,治療薬を選択する漢方治療は有用である。中でもホルモン補充療法(hormon replacement therapy 以下HRT)禁忌,または HRT を希望しない場合はその有用性が高いと考える。今回我々は漢方的指標を用いて証を判断し駆瘀血剤に抑肝散加陳皮半夏を併用し有効だった症例を経験したので報告する。
著者
中村 大輝 堀田 晃毅 西内 舞 雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45098, (Released:2022-01-21)
参考文献数
47

本研究は,社会認知的キャリア理論(Social Cognitive Career Theory, SCCT)に基づき,我が国におけるSTEMキャリア選択に影響する要因とその性差を検討した.OECDが実施したPISA2015調査の日本データを用いて,SCCTのキャリア選択モデルを追試した結果,当該モデルは日本の高校生のデータにも十分に適合することが明らかになった.多母集団同時分析の結果より,STEM職業志望への有意な影響が認められた要因としては「自己効力感」「結果期待」「興味」「社会経済文化的背景」があった.このうち,「結果期待」「興味」「社会経済文化的背景」の影響には有意な性差が見られたが,「自己効力感」の影響には性差が見られなかった.本研究の結果に基づけば,STEMキャリア選択者を増加させるためには,性別ごとに異なる介入方法が有効である可能性がある.
著者
緒方 一喜 渡辺 登志也 宮本 和代 川口 正将 豊田 耕治 小曽根 努 松岡 宏明 白石 啓吾 森岡 健志 吉岡 照太 鈴木 雅也 千保 聡 美馬 伸治 中村 友三 足立 雅也 芝生 圭吾 池田 文明 玉田 昭男 田中 生男 石原 雅典
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-58, 2012-11-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

ヒトスジシマカ成虫に対する殺虫剤による防除実地試験を東京の寺院の庭で2010年の夏に実施した.5%ペルメトリン,10%フェノトリン,7%エトフェンプロックス水性乳剤の50倍希釈液を背負式噴霧機によって50 ml/m2の量で草むら,植木,空地に噴霧した.スイーピング法,ドライアイストラップによる捕集密度の変化,配置した成虫の死亡率から効果を評価した.結果として,ペルメトリンでは約10日間,他の2剤では4~5日間は成虫飛来密度が0近くに減少した.その違いは,処理面積の違いに基づくものであろうと考えた.その後密度は緩やかな回復に向かったが,吸血シーズンの終了に伴い散布前のレベルにまで回復することはなかった.以上の結果から,処理面積を大きくすることで,感染症発生時の緊急的媒介蚊防圧にこの手法は充分に実用的効果があるだろうと結論した.
著者
松田 圭史 関根 信太郎 中村 智幸
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.438-446, 2023-09-15 (Released:2023-09-23)
参考文献数
15

2017年度の全国の内水面漁協の業務報告書から,各組合の主要放流種(類)とこれらの放流漁場を抽出および分類した。解析を行った470組合の中から,総収入額に占める遊漁料収入額の比率が高い47組合(上位47組合と略す)を抽出し,その遊漁の特徴を解析した。上位47組合はワカサギやゲンゴロウブナを主要放流種(類)として,湖沼に放流していることが明らかになった。上位47組合の85.1%が人口の多い都府県やその隣県に存するか,人口の多い都府県からアクセスの良い県に存することがわかった。
著者
古川 和宏 中村 正直 藤城 光弘
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.469-476, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
46

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」の2019年がん統計予測によると,胃がんの罹患数は第2位,死亡者数は第3位を占めており,依然本邦におけるがん対策において,最重要がん腫の1つに位置付けられている.「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」において,胃内視鏡検診の胃がん死亡率減少効果が認められ,対策型・任意型検診としての実施が推奨されるようになった.胃内視鏡検診の精度管理を行うためには,がん検診受診率,要精検率,がん発見率,陽性反応適中度といったプロセス指標や感度・特異度の算出が必要である.本稿では胃がんの内視鏡検診の現状と今後の展望について概説する.
著者
中村 亮太
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.542-546, 2023-09-15

言語生成AIを用いて,オノマトペを生成したり,オノマトペの解釈をさせたりする授業実践の紹介.小学校2年生の児童と同じ学習活動を言語生成AIにさせることによって,イメージを広げたり,さらに学習してみたいことを発見したりすることへとつなげた.
著者
瀬川 修一 高瀬 貴仁 高澄 耕次 小杉 隆之 中村 剛
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.107-116, 2016 (Released:2018-05-28)
参考文献数
15

1)マウスの肝臓を用いたALDH酵素活性評価において,清酒由来の成分に阻害活性が認められた。2)清酒からALDH阻害活性を有する物質を疎水性吸着樹脂,陽イオン交換樹脂,ODSカラム,NH2カラムにより分離・精製後,LC/TOF-MSによる精密分子量測定を行った結果,α-GGが同定された。3)マルトースとグリセロールからα-グルコシダーゼを用いて合成したα-GGはALDH阻害活性を示した。4)市販の清酒に含まれるα-GGを測定した結果,約4~19 mg/mlの濃度であり,醸造アルコールを添加した清酒では低値の傾向が認められた。
著者
鈴木 悟 横内 裕二 中村 泉 大河内 千代
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、先天的、あるいは切除後を含めた後天的原因により、甲状腺、副甲状腺機能低下症を来した疾患に対し、iPS細胞を含めた細胞を用いた再生医療により、完治させることをグランドデザインとする。その過程で、甲状腺結節、癌のモデル細胞、動物を構築し、臨床上問題となっている甲状腺結節、癌の自然経過を明らかにする。甲状腺癌が発症し、細胞集団として増殖する過程でその大きさと増殖のスピードには、従来の株化細胞には認められない制御が存在する。iPS細胞を利用し、細胞レベルでより自然に近いモデルを確立し、検証し、癌の自然経過解明を目指す。
著者
中村 彰宏
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー (ISSN:24356921)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.13-24, 2015-11-30 (Released:2020-09-05)

わが国では、1985 年に電気通信事業法が施行され、電電公社による独占の廃止と市場原理の導入がはかられた。本稿では、わが国の電気通信市場に競争が導入されて以降、その時々に行われた実証分析を概観しながら、電気通信分野の自由化 30 年の振り返りを行っている。本稿は網羅的な先行研究のサーベイではないが、制度変更とその際の市場を捉えた実証分析を振り返ることで、わが国の電気通信市場の評価に実証分析が取り入れられ、より客観的な制度構築につながってきた歴史が明らかとなる。実証分析の系譜から見ても、わが国の電気通信市場が自由化 30 年を経て、NTT と他の競争事業者が一部を除いてある程度対等に競争する環境が整ってきていることが示される。