著者
山田 胡瓜 福地 健太郎 大澤 博隆 宮本 道人 江渡 浩一郎 倉本 到 渡邊 淳司 前田 太郎 中村 裕美 寺島 裕貴 加藤 淳 米澤 朋子 塩見 昌裕 新山 龍馬 宮本 隆史 水野 雄太 櫻井 翔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.71-77, 2019-12-15

研究者に,漫画家・山田胡瓜流のSF作劇手法を学んでもらった上でSF作品を書いてもらうという『情報処理』特集記事「『AIの遺電子』に学ぶ未来構想術」に寄せられた内の12作品を対象に,山田胡瓜氏を囲んで実施された講評会の様子を記す.各作品に対して,山田氏に加えて講評会に参加した研究らが,その意義や現実の社会に与えうるインパクトについての議論がなされた.議論の中で,『AIの遺電子』に描かれなかった設定についても山田氏本人から語られる場面があった.
著者
野崎 正行 小林 克己 中村 厚志 吉川 郁子 深澤 雄一郎
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.543-544, 1998-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
3

We report a case of retinoblastoma in an adult male without any family history. A 23-year-old man came to our hospital complaining of myiodesopsia in his right eye.Funduscopic examination demonstrated a tumor on the periphery of the right fundus in the optic area.Fine needle aspiration cytology revealed many clusters of small round cells and necrotic debris. Rosette-like formation was also present.Immunocytochemical study of the smear showed that the tumor cells were positive for neuron-specific enolase (NSE) and synaptophysin. Extraction of the eyeball was performed and histological examination confirmed the presence of retinoblastoma.
著者
高橋 政行 中村 慎策 佐藤 光太郎 横田 和彦
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.336-347, 2015 (Released:2018-01-11)
参考文献数
8

The system environments of the axial flow fan are various. The axial flow fans are often used under unsuitable operating condition. Especially, the cases where the obstacles are distributed in upstream of the fan to downsize are increasing, in recent high density design of equipment. An attempt is made to clarify the influence of the obstacle on the flow characteristics of axial-flow fans. In this study, a blockage disk is installed upstream of a test fan which is a typical cooling axial-flow fan. Blockage disks with various diameters are set up. The performance curves of axial-flow fan with blockage disks are measured. In addition, flow instabilities with a cell structure are demonstrated on typical condition. The main objects of the present study are : to evaluate the performance degradation when obstacles are installed in upstream of the test fan, to elucidate causes of positive slope for the performance characteristics curves and reverse flow, to clarify the generation mechanism of flow instabilities when the blockage disks which are larger than diameter of the test fan are installed.
著者
小林 弘 中野 和枝 中村 守純
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.31-37, 1977-01-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
8
被引用文献数
20 24

The ginbunas (Carassius auratus langsdorfii) captured in the Kanto district were exclusively females, and the majority of them showed the triploid chromosome number of 156. A few individuals, however, contained 206 instead of 156 chromosomes in the same district. In this connection, we re-examined the chromosomes of ginbunas collected from Chiba prefecture, using scale epithelial cell cultures and have been able to demonstrate a consistent karyotype in ginbunas with 206 chromosomes; they consisted of 22 pairs of metacentrics, 41 pairs of submetacentrics and 40 pairs of acrocentrics. Consequently, these female ginbunas appeared to represent the 4n lineage. In order to find out th productive system of the 4n ginbuna, a cross breeding between a female ginbuna (4n) and a male kinbuna (2n) collected from Kasumigaura was made in a series of this study. The development of the cross-bred eggs was normal, and the larvae grew up normaly. All the grown up offsprings were females and similar to the maternal ginbun in their body shape. Chromosome preparations in the offsprings were made from short term lymphocyte cultures obtained from renal tissues. The results of chromosome counts in 6 offsprings examined revealed the modal chromosome number of 206. Comparing the karyotypes of the offsprings with that of the maternal 4n ginbuna, we could not find out any difference among their chromosome constitutions, so far as the morphological analysis is concerned. Based on the present findings, the most likely explanation would be that the production of the 4n offsprings by a hybrid cross, 4n ginbuna×2n kinbuna, might have arisen by gynogenesis, as has already been pointed out for the production of 3n ginbunas by the authors.
著者
中村 豊 佐藤 勉 齋田 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00260, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

構造物などのヘルスモニタリング手法として,波動伝播速度や減衰定数を観測波形から直接リアルタイム計測できるCERS法がある.これをダム堤体の一部であるスラストブロックの物性値計測に適用した.対象は仙台市青葉区の大倉ダム(1961年に建設された日本唯一のダブルアーチダム)であり,竣工後50年の2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の際にも特に被害は報告されていない.公開されたアーチ間のスラストブロック頂部および点検坑道内の強震記録により,観測点間の波動伝播速度をCERS法により直接測定し,物性の変化を検討した. その結果,Mw9.0の強震動でスラストブロックの剛性が約6割まで低下し,記録終了時には約7割に回復したことが確認されるなど,物性値の変動や減衰に及ぼす貯水位の影響等が把握できた.
著者
原田 貴史 中村 明美 友竹 正人 大森 哲郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.33-40, 2007-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

看護職は高い専門性や自律性を求められると同時に,確認や清潔などの徹底も要求される.職場適応障害や燃え尽き症候群など心身医学的治療を要する症状を訴える者も多い.女性看護職に対する質問紙調査では強迫傾向が指摘される.われわれは,心身医学的見地より女性看護職の強迫傾向を検討し,強迫傾向と抑うつ度がQuality of Life (QOL)に与える影響の違いを比較した.自己記入式質問紙MOCI邦訳版(Maudsley Obsessional Compulsive Inventory)による強迫傾向群は16.3%と多かった.心身症患者の心理的特徴とされるアレキシサイミア(失感情症:alexithiymia)傾向は,強迫傾向に有意な相関を示した.アレキシサイミアの中でも「感情の同定困難因子」が,強迫傾向の「確認」「優柔不断」「疑惑」の高さと関係していた.抑うつ度は年齢層やQOL構成項目に限定されず,主観的QOLの低さと相関した.しかし強迫傾向は,若年女性看護職では「身体的領域」「心理的領域」の主観的QOLの低さと相関し,熟年看護職においては「社会的関係」の主観的QOLの高さと相関し,年齢や主観的QOLの領域により異なる影響をもたらす可能性が示唆された.若年看護職は強迫傾向と同時にアレキシサイミア傾向も高く,アレキシサイミアの中でも感情の同定困難と主観的QOLの低さとが関係していた.今後,このような若年看護職に対する心理的サポートをどのようなかたちで,どのような方法で行っていくのかが問われ,心身医学的検討が待たれるところである.
著者
小谷内 範穂 安達 弘典 中村 達也 中野 栄二
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.918-928, 1993-09-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3 6

A self-contained type hexapod walking robot was developed in Mechanical Engineering Laboratory. It is called MELCRAB-2. This hexapod has specific features both in the mechanical design and in the control way. This paper provides a few significant guideline to design the self-contained hexapod walking robot from the point of view about the stair climbability, turning mobility, efficient foot force delivering based on the two decoupled actuation ways, GDA (Gravitationally Decoupled Actuation) and MDA (Motion Decoupled Actuation) . An approximately straight line linkage is used in the leg mechanism of the MELCRAB-2 to satisfy both of GDA and MDA. The inverse kinematics of the approximately straight line linkage was solved for position control. Tactile sensors and proximity sensors are installed on the front side and back side of each foot to detect obstacles and walking environments. Control algorithm with many motion procedures to negotiate the stairs and walking environments was developed. MELCRAB-2 could climb up the experimental stairs with the same dimensions as the real buildings by using that algorithm. MELCRAB-2 is the real self-contained hexapod robot actuated by electric motors, and it can walk with the fast speed owing to GAD and MDA. compared with the past developed walking machines.
著者
田村 和貴 中村 昭博 松尾 聡 伊藤 重彦
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.209-213, 2002-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

背景. 肺癌患者ではしばしば高カルシウム (Ca) 血症を合併し, その原因として副甲状腺ホルモン関連蛋白 (PTHrP) の関与が指摘されている. 今回我々はPTHrP産生により高Ca血症を生じ二次性尿崩症をきたした肺癌の1例を経験した. 症例. 症例は68歳, 男性. 平成11年5月, 咳嗽と胸部異常陰影の精査のため入院し左下葉進行肺癌と診断された. 化学放射線療法施行後の平成12年11月, 全身状態悪化のため再入院となった. 胸部CT上, 腫瘍の再増大と左無気肺を認めたが, 骨や脳転移の所見はなかった. 入院中, 多飲・多尿出現し高Ca血症と血清PTHrP-C端の上昇を認めたことから, humoral hypercalcemia of malignancyによる二次性尿崩症と考えられた. パミドロン酸ニナトリウム30mgにて高Ca血症と多尿は速やかに改善したが, 多発肺転移から呼吸不全を生じ死亡した. 腫瘍組織の免疫組織学的検討では腫瘍細胞の細胞質にPTHrP抗原の発現を認めた. 結論.二次性尿崩症を生じたPTHrP産生肺癌の1例を経験した. 心肺機能低下例での高Ca血症治療においてパミドロン酸ニナトリウムは単剤でも有効であった.
著者
山田 忠史 中村 昂雅 横山 大河 谷口 栄一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.272-284, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
45

本研究は,均衡制約付き数理計画問題の枠組みで,サプライチェーンネットワーク(SCN)と交通ネットワーク(TN)を統合したスーパーネットワークを対象に,TN上の離散設計変数の値を最適化するモデルを提案する.このモデルの上位レベルは,TN上のリンクの組み合わせ最適化問題に相当する.一方,下位レベルには,サプライチェーンとマルチモーダル交通のスーパーネットワーク均衡モデルを採用し,スーパーネットワーク上の各主体,すなわち,製造業者,卸売業者,小売業者,消費市場,物流業者,旅客の行動が記述される.このモデルを用いて,TN上のリンクの新設・改良によるSCNの効率性向上(TNの最適設計),および,リンクの途絶によるSCNの余剰低下(TNの脆弱性評価)について,基礎的検討を行う.
著者
中村 専一 東 伸行 新居 善三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.903-906, 1960-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
5

安定化処理した窒化ホウ素(BN)に塩酸,硫酸,リン酸等を加え,さらに分解促進剤として過マンガン酸カリウム,重クロム酸カリウム, 過塩素酸カリウム等を加えて硬質ガラス管に封入し, 190~300℃でオートクレーブ処理してBNの分解によるアンモニア態窒素の生成条件を検討した。分解液として硫酸がよく,その最適濃度は5Mである。アンモニア態窒素を減少させない分解促進剤としては過塩素酸カリウムが適当である。分解方法はBN30mgを5M硫酸4cc,過塩素酸カリウム40mgとともにL型に曲げた硬質ガラス管に封入し(または棒状封管を水平に置き),280℃で1~2時間保持するのが適当と思われる。
著者
鈴木 創 中村 陶子 長谷川 亮 形山 憲誠 住友 秀孝 小林 重雄 布村 眞季 小泉 博史
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.329-334, 2008-05-28 (Released:2008-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

53歳,女性.10年間の維持透析歴あり.偶然,高レニン・高アルドステロン血症を指摘され入院.血漿アルドステロン濃度は40,080pg/mLと著明高値を認めた.右副腎腫瘍を認め各種内分泌的検査結果より,腎細動脈硬化によるレニン上昇とアルドステロン産生副腎腺腫による原発性アルドステロン症の合併と診断した.右副腎摘除術施行.術後,血漿アルドステロン濃度は低下した.慢性腎不全患者においては,時に著明な高アルドステロン血症を呈する例が散見される.腎不全の病態においては,各種のアルドステロン分泌抑制因子が減弱することから適切なネガティブフィードバック機構が作用せず,より高値をとりやすいと考えた.また維持透析患者ではアルドステロン測定系に干渉する物質が存在すると思われ,その評価は慎重に行う必要がある.
著者
殿山 俊吾 中村 恭志 井上 徹教
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_919-I_924, 2020 (Released:2021-11-30)
参考文献数
13

堰状構造物が水路底面上の人体の流下を阻止する過程とその際の条件について数値解析を基に検討した.流動とそれによる人体の姿勢変化を連立した人体−流動連成数値モデルを使用し,全幅堰を持つ平坦直線水路について異なる水深,流速,堰高を想定した複数の解析を実施した.人体が堰を越えて下流へ流下する形態には,水中に上昇し堰を越える浮遊形態と,堰に衝突した後に堰を越える転動形態の2種類があった.浮遊形態は堰高に関わらず凡そ1m/s以上の流速で生じ,流れによる抗力が人体の水中重量を超えると生じた.転動形態は比較的遅い流速0.5m/s以上で生じたが,腕や脚など体の一部が主流域に引き出されることが必要で,堰高が凡そ70cmより高く堰前面の渦に人体の全てが含まれる場合には同形態で堰を越えることは無かった.
著者
中村 禎子 中山 敏幸 奥 恒行 田辺 賢一 下内 章人 金高 有里
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、妊娠期の母体の栄養環境に依存して胎児期の発生に異常を来すモデルマウスを用いて、妊娠期に難消化性糖質含有飼料を摂取させ、母体の腸内細菌が産生する水素ガスが胎児へ移行することによって、胎児のWntシグナル伝達を調節して正常な発生に誘導し、成長後の疾病の罹患や重症化へ及ぼす影響をモデルマウスを用いて明らかにする。申請する科研費では、まず、【実験Ⅰ】において、妊娠期に葉酸過剰飼料と、これに難消化性糖質を含有する飼料を与えて、胎児の発生期に惹起する異常に対する影響を観察する。【実験Ⅱ】では、実験Ⅰと同じ飼料を妊娠2週間前から与えて実験Ⅰとの同異を検討する。
著者
中村 篤智
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.742-748, 2022-09-15 (Released:2022-09-20)
参考文献数
19

It is well known that light environment affects the mechanical properties of inorganic semiconductor materials, but still little is understood about the detailed mechanism. We before reported that single-crystalline zinc sulfide, an inorganic semiconductor material, exhibits significant plasticity in the dark. This finding has prompted us to investigate the effect of light environment on the dislocation behavior of inorganic semiconductor materials once again. On the other hand, in understanding the effects of light environment on dislocation behavior, it is difficult to obtain large, millimeter-sized crystals of advanced inorganic semiconductor materials to which conventional mechanical tests can be applied. Therefore, one of the main goals of our research project is to establish a method to understand dislocation behavior at the nanoscale by constructing a new nanoscale mechanical testing system that can be applied to thin substrates under controlled light environment. We have successfully constructed a new nanoindentation system (we call Photoindentation) in which light can be quantitatively applied below the indenter from two directions at the same time, and conducted creep tests in which a constant load is applied at or above the load at which dislocations occur (pop-in stress). In addition, care was taken to obtain statistically correct experimental results by conducting a great number of experiments. As a result, it was demonstrated that light has little effect on the nucleation of dislocations, while light has a strong effect on the glide motion of dislocations. In addition to these nanoscale experiments, macroscale experiments have been conducted in an effort to further understanding of light environment effects on dislocation behavior.
著者
大村 一之 須賀 達夫 長田 知美 今 瑞季 鈴木 結香理 吉野 宗明 中村 美樹 根松 香織 原 史郎 青木 康弘
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.417-423, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

【背景と目的】閉塞性睡眠時無呼吸症のCPAP治療において,当院の検査技師は導入1週間後に電話連絡を行うなどしてアドヒアランス向上に努めてきた.CPAP継続群と脱落群の電話介入時に得られた訴えと,脱落群の脱落理由を比較検討したので報告する.【方法】対象はCPAP加療中の232例.導入1週間後の訴えを調査し,1年継続群と脱落群の中止理由,性別,年齢,BMI,ESS,AHI,各種睡眠変数,SpO2,3%ODI,周期性四肢運動障害指数(PLMI),体位およびREM依存性の有無,CPAP圧等を比較した.【結果】治療早期に多い訴えはマスクと鼻口症状で,治療中止は半年までに多く,脱落群の中止理由は入眠障害や鼻症状,違和感が多かった.また脱落群では有意にBMIとAHI,3%ODIが低く,平均SpO2,PLMIが高かった.【考察】治療後半年間は,入眠障害や鼻症状,違和感などに注意し,導入早期の訴えが中止理由に繋がる可能性も考慮して,電話などで早期に問題を抱える患者に介入していく必要がある.
著者
森 裕也 小谷 遥 伊藤 知行 枦 秀樹 横山 雄太 中村 智徳 太田 哲徳
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.165-169, 2021 (Released:2021-12-29)
参考文献数
9

酸化マグネシウム(Mg)は便秘の治療に使用されているが、腎機能低下患者に使用する場合、Mgの排泄量が低下し、血清Mg濃度が上昇することがある。そのため、定期的な血清Mg値の測定が推奨される。しかしながら、急性期病院において、酸化Mgを使用している腎機能低下患者における血清Mg値の測定率と薬剤師の介入の有用性を調査した報告はない。そこで、各腎機能群における酸化Mg錠を使用した患者を対象として、血清Mg値の測定率を調査した。さらに血清Mg値を測定している患者を対象に各腎機能群における高Mg血症発生率や薬剤師の介入の有用性について調査を実施した。東京ベイ・浦安市川医療センターにおいて、2016年4月1日~2017年3月31日の1年間、入院中に酸化Mg錠を使用した患者を対象に、体表面積補正を外した個別の推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate;eGFR)(mL/min)をA群:45≦eGFR<60、B群:30≦eGFR<45、C群:eGFR<30に分けて検討した。対象期間中の酸化Mg錠使用患者数は283人、血清Mg値の測定率は145人(51.2%)であった。薬剤師の介入患者数はB群で1人(1.0%)、C群で6人(7.1%)と計7人(2.5%)であった。各腎機能群における血清Mg値の測定率は、A群(n=33(33.4%))、B群(n=53(51.5%))およびC群(n=59(70.2%))であった。血清Mg値の測定患者における高Mg血症発生率は、27.3%、37.7%および61.0%であり、高Mg血症の発生率に有意な差を認めた(p<0.01)。腎機能低下群ほど血清Mg値の測定率は高く、血清Mg値測定患者においては、腎機能低下群ほど高Mg血症患者の割合も高かった。また、血清Mg値の測定率は51.2%で、検出されていない高Mg血症症例が存在していることが示唆された。特に腎機能低下患者に対して酸化Mg錠を使用する際は、薬剤師が介入し、血清Mg値測定を推進することが、高Mg血症の早期発見に寄与すると考えられた。
著者
澤田 美雪 兼松 健也 鈴木 紫帆 増田 友紀 中村 文子 杉原 匡美 吉井 秀徳
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.325-330, 2023-07-25 (Released:2023-07-25)
参考文献数
21

「糖尿病教室」は,患者治療の一環として実施される生活指導の場である。しかし,通院は時間的・身体的な負担が大きく,続かないことも経験される。そこで糖尿病教室の受講状況とヘモグロビンA1c(HbA1c)の関連を後方視的に解析し,有効かつ実践的な糖尿病療養指導のあり方を検証した。対象は2013年から2021年までに当センター糖尿病・内分泌内科主催の糖尿病教室を受講し,HbA1cを測定し得た339名である。患者年齢の中央値は66歳,男性が57.2%である。糖尿病教室では医師,理学療法士,管理栄養士,薬剤師,看護師,臨床検査技師の講義を受講する。初回受講と最終受講の前後1ヶ月内にHbA1c(NGSP)をHLC-723G11(東ソー)で測定した。受講前後のHbA1cの変動は,悪化28名(8.2%),不変120名(35.4%),改善104名(30.7%),著効87名(25.7%)であった。著効例は,男性・理学療法受講者で有意であった。HbA1c値8.0%以上の群では,男性・3回以上受講・理学療法受講者で有意に著効した。看護師/臨床検査技師受講者の著効率も高かった。糖尿病患者におけるHbA1cの改善は,受講回数が多いこと,理学療法の受講が有効であり,糖尿病教室の成果が示された。糖尿病は,多職種がチームとして取り組み,患者を支えることが重要である。