著者
兒玉 憲人 﨑山 佑介 小迫 拓矢 武井 藍 中村 友紀 橋口 昭大 道園 久美子 松浦 英治 中根 俊成 髙嶋 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.95-102, 2018-01-10 (Released:2019-01-10)
参考文献数
10

42歳,男性.全身の発汗低下を主訴に受診した.起立性低血圧や頻尿を伴い,広汎な自律神経障害が示唆された.皮膚生検で汗腺及び血管周囲にリンパ球浸潤を認め,抗ganglionicアセチルコリン受容体抗体陽性が判明した.通常,同抗体は自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy:AAG)の原因となるが,汗腺への直接作用は明らかでない.本症例には汗腺と自律神経節障害の両者の特徴が混在し,ステロイド治療が有効であった.
著者
鈴木 昭 吉田 美香子 八木 茜 岩下 あいり 山田 亜由子 中村 朋美 渡部 茂
出版者
日本小児口腔外科学会
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.177-181, 2010-12-25 (Released:2014-07-18)
参考文献数
19

We report the case of an eight-year-old girl who had dysplasia of the teeth, suspected to be induced by chemotherapy. The patient was born at full term by normal delivery, and was diagnosed to have neuroblastoma (stage IV-S) by ultrasonography. Tumor resection was performed 15 days after birth, and chemotherapy was performed for 12 months after that. She has had a good prognosis since then.   The examination of the oral cavity revealed morphological abnormalities of the crowns of the right and left upper central incisors. X-ray showed findings of morphological abnormalities of the four central incisors and deficiencies in tooth germs of the right and left lower lateral incisors.   The dysplasia of the teeth in this patient was considered to be caused by chemotherapy, because the period of chemotherapy doses coincided with the formation period of those teeth.
著者
森川 友樹 糸島 亮 小川 亮 小田 新 廣間 武彦 中村 友彦
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.195-199, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
18

妊娠初期の梅毒血清検査が陰性で当院への新生児搬送時には未診断であった先天梅毒の症例を経験した.母親は22歳,妊娠13週の梅毒血清検査は陰性だったが,同時期に外陰部に潰瘍を認め,診断に至らず軽快していた.児は33週5日,出生体重1,586g,緊急帝王切開で出生した.重症新生児仮死となり当院へ新生児搬送となった.鞍鼻,全身の皮膚の落屑,肝脾腫を認め,児の梅毒血清抗体価の上昇から先天梅毒と診断した.出生時よりなんらかの先天感染を疑い,Ampicillin(ABPC),Cefotaxime(CTX)による抗生剤治療を開始していたが,日齢4の先天梅毒の確定診断後よりBenzylpenicillin(PCG)に切り替え10日間治療した.後障害なく退院し1歳半時点で成長発達は正常である.近年,若年女性の梅毒および先天梅毒の報告数が増加しており,妊娠初期以降の梅毒感染にも注意する必要がある.
著者
中村 嘉志 西村 拓一 伊藤 日出男 中島 秀之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2670-2680, 2003-11-15

本論文では,赤外線タグを無電源で駆動する情報端末CHOBIT(Card type Hyper Optical Battery-less Information Terminal)と,そのタグ検出器について述べる.我々は,位置に基づいてユーザを支援するCoBIT(Compact Battery-less Information Terminal)システムの研究開発を行っている.CoBITは,環境やユーザが提供するエネルギーのみで情報の送受信を実現するインタラクティブな情報端末であり,CoBITシステムは,CoBITを利用した情報支援システムである.これまでのCoBITには数mの到達距離を持つユーザ属性の発信器が装着されていなかったため,その属性に基づいた個人対応の情報支援をCoBITシステムで実現することが困難であった.そこで,本論文では,CoBITの無電源性を損なわずに赤外線タグを駆動する手法を提案する.さらに,プロトタイプの実装および評価からこの手法の有効性について述べる.
著者
中村 充 水上 優子 青木 法明 梅本 貴之 日渡 美世 池田 達哉 荒木 悦子 船生 岳人 加藤 満 城田 雅毅
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.126-135, 2014 (Released:2014-04-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

米の澱粉組成タイプとその製粉特性および吸水特性との関係を解明するために,澱粉組成が異なる 「日本晴」 の準同質遺伝子系統を含む水稲27品種・系統の澱粉組成と製粉特性の米粉粒径,澱粉損傷度,米粉および精米の吸水性を調査し,さらに胚乳細胞組織の形態との関係を検討した.その結果,澱粉組成はDNAマーカー分析も併用して,アミロペクチン超長鎖比率による3タイプ(K,H,Y)と短鎖比率による2タイプ(S,L)の組合せから,KS,KL,HS,HL,YS,YL の6グループに大別された.米粉粒径中央値はアミロペクチン超長鎖比率の低いKタイプが,同比率の高いYタイプより有意に大きく,同比率が米粉粒径に関連していた.澱粉損傷度はYL<(HL,YS)<(KS,HS)のタイプ間で有意差が認められ,アミロペクチン短鎖比率が低くアミロペクチン超長鎖比率が高いと,澱粉損傷度が低くなることが明らかとなった.米粉の飽和吸水率は澱粉損傷度と正の相関があるだけではなく,アミロース含有率と負の相関のあることが精米の吸水性から確認された.澱粉組成の異なる「日本晴」の準同質遺伝子系統(KL,HS,HLタイプ)の玄米白色度を調査し,胚乳細胞組織の形態を走査型電子顕微鏡で観察したところ,KLおよびHLタイプの玄米白色度が高く,アミロプラストや澱粉粒の形態がタイプ間で異なっていた.このため,澱粉組成タイプによって澱粉の蓄積様式が異なり,それが製粉特性に影響している可能性が示唆された.
著者
舟木 剛 福永 崇平 井渕 貴章 福田 典子 中村 孝 柳澤 佑太
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.143, no.9, pp.636-643, 2023-09-01 (Released:2023-09-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

This study develops a transformer-less power supply for AC railway vehicles. The rail on the permanent route of an AC electric railway is grounded. The proposed power supply circuit takes advantage of this feature and performs AC-DC power conversion without using a bridge circuit. The circuit topology is a combination of indirect type DC-DC converters. The operation and control of power conversion from AC to DC power run and from DC to AC regeneration is confirmed using numerical simulations. In addition, the operation of the proposed circuit is validated experimentally.
著者
奥谷 喬司 中村 征夫 関 勝則
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.237-239, 1995-09-30 (Released:2018-01-31)
参考文献数
4

著者の一人関は1991年夏, また, 中村は1995年5月, 根室海峡羅臼沖で卵塊を腕に抱えて遊泳しているイカを撮影した。これまでタコ類の卵保護や保育は知られていたが, イカ類の卵保育はいまだかって一例の報告もない。今回標本を直接研究することはできなかったが, 開眼類イカの卵保育行動の世界最初の発見となるので速報する。
著者
坂本 考司 原水 聡史 征矢 智美 中野 詩織 松本 雅之 中村 純二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.247-252, 2022-09-20 (Released:2022-09-20)
参考文献数
25

化粧品の触覚情報は感性・情緒的価値をもたらす要素の1つである。これまでに,両手で顔の肌に穏やかに触れることで快感情を喚起するハンドプレス刺激の継続により,「キメの整い感」等の肌の質感が向上することが報告されているが,詳細なメカニズムは明らかではない。本研究では健常日本人女性を対象に,主に脳で合成されるホルモンのオキシトシンに着目し,検討を行った。その結果,快感情を喚起する触覚刺激の1つである前腕へのチークブラシ刺激の継続で,定常状態(ベースライン)のオキシトシンが上昇し,さらに試験参加者の88%が肌状態の変化を実感していた。そこでオキシトシンと顔の肌状態との関連性を解析した結果,オキシトシンと肌の質感(キメの整い感,色むらのなさ,つや)のスコア値が正相関を示した。そしてハンドプレスによる快感情喚起度合いとオキシトシンとの関連性を解析した結果,両者で正相関が認められた。したがって,ハンドプレスのような快感情を喚起するスキンケア動作の継続で,定常状態(ベースライン)のオキシトシンの上昇を介して,肌の質感が向上する可能性が示された。
著者
安住 祐輝 永井 秀利 中村 貞吾
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 2021年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第74回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.223, 2021-09-17 (Released:2022-04-27)

ポーカーは手札がランダムに配られ,相手の手札はゲームの最後に公開されるまでわからない不完全情報ゲームである.本研究では,フィックスリミットテキサスホールデムにおいて相手の特徴を知るための情報の一つであるブラフ率を推定して,プレイヤの行動選択に役立てることを目指す.相手のブラフ率を推定するモデルを作成するにあたって線形回帰分析を用いる. 作成したモデルを用いて対戦相手のブラフ率を推定し,推定したブラフ率に応じて最適な行動選択をするプレイヤ作成する.コンピュータプレイヤと対戦実験を行ったところ,作成したプレイヤがブラフ率を推定しないプレイヤに比べて多くのチップを稼ぐという結果が得られた.
著者
中村左衛門太郎編
出版者
中央氣象臺
巻号頁・発行日
1924
著者
川尻 啓太 森 照貴 内藤 太輔 今村 史子 徳江 義宏 中村 圭吾
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-32, 2023-07-31 (Released:2023-09-01)
参考文献数
56

近年,河道内の樹木が定着範囲を拡大させる「樹林化」が日本全国で生じている.治水対策として,樹木の伐採に加え高水敷を掘削する対策が実施されているが,掘削後にヤナギ類等の樹木が再び繁茂する事例が報告されている.効率的な樹木管理を実施する上で,掘削後に再び樹林化することを考慮した管理計画が求められる.しかし,どの程度の速さで再び樹林が拡がるかについての知見は乏しい.本研究では,26 箇所の掘削地を対象として,掘削後に撮影された衛星写真と空中写真から河道内における樹木の繁茂状況を判読した.そして得られた繁茂状況の年変化から,ヤナギ類を中心とした樹林の拡大速度と,河床勾配による違いについて検証した.その結果,樹林は掘削から約 5 年が経過すると拡大速度を増し,掘削から約 10 年が経過した頃には掘削した範囲の約 50 %を覆うことが明らかとなった.掘削地には,ヤナギ類の種子が多量に運ばれ,約 5 年が経過する頃には複数の個体が掘削地の一部を覆うほどに樹冠を大きくしたものと考えられる.その後も,各個体での樹冠の拡大と個体の定着範囲の拡大が続いたことで樹林面積が増加したと考えられる.さらに,河床勾配に応じて,樹林化が進行する速度が異なっていた.河床勾配が緩い区間ではより速く樹林が拡大する傾向にあり,これは流速が小さく,樹木が流亡しにくくなったためと考えられる.また,勾配が緩いことで高水敷に堆積する土砂の粒径が小さく,湿潤環境が形成されやすいために,樹木が定着・生長しやすくなったと考えられた.本研究の成果は,高水敷掘削からの経過年数に応じた樹林の繁茂状況の推定に寄与する.これにより,掘削の後にいつ樹木管理を実施するべきかの判断材料となるだろう.また,樹林化の抑制対策の効果を評価する際,対策を実施しなかった場合に想定される樹林化の速度として活用されるだろう.
著者
中村 史朗
出版者
書学書道史学会
雑誌
書学書道史研究 (ISSN:18832784)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.26, pp.31-44,117-116, 2016-10-30 (Released:2017-04-04)

As moves towards establishing institutional systems for art accelerated on the part of the administration during the Meiji 明治 era, calligraphy too underwent major changes. The realities of these changes were strikingly demonstrated by the emergence of the so-called Six Dynasties school of calligraphy. It is generally acknowledged that the Chinese scholar-collector Yang Shoujing 楊守敬 came to Japan with a large corpus of materials related to bronze and stone inscriptions, whereupon Kusakabe Meikaku 日下部鳴鶴 and other Japanese calligraphers who were stimulated by their contact with him established the new style of Six Dynasties calligraphy, sweeping away old calligraphic conventions. But this does not necessarily accord with actual developments thereafter. The new style of calligraphy proposed by Meikaku and others had a strong correlation with existing Tang-style calligraphy, and its character was such that it could be better referred to as “new Japanese-style calligraphy.” Subsequently the direction taken by Meikaku and others came to form the central axis of calligraphy during the Meiji era, but it was only natural that calligraphers and groups advocating a different orientation should have appeared, and the Six Dynasties school of calligraphy assumed a multilayered character.  In this article, I first examine the actual substance of the Six Dynasties school of calligraphy as advocated by Meikaku and others, and then I undertake an examination of the activities of the Ryūminkai 龍眠会 (Society of the Slumbering Dragon) founded by Nakamura Fusetsu 中村不折 and others who lay at the opposite pole among the various parties espousing Six Dynasties calligraphy. Research into the history of Japanese calligraphy during the modern period has until now been primarily concerned with publicly recognizing outstanding calligraphers individually, and a stance that would clarify their relationships and trace historical developments has been wanting. In this article, I compare ideas of differing character that were put forward in relation to the Six Dynasties school of calligraphy while also ascertaining changes in calligraphy over time and the circumstances surrounding calligraphy with a view to making a start on forging links between past individual studies.
著者
中村元 [ほか] 編
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1989
著者
筒井 昭仁 中村 寿和 堀口 逸子 中村 清徳 沼口 千佳 西本 美恵子 中村 譲治
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.341-347, 1999-07-30 (Released:2017-11-12)
参考文献数
23
被引用文献数
2

社会人の歯科的問題の程度を企業の生産性および経済面から把握することを目的とした。福岡市に本社を置く電力供給に関連する大型電気機械を製造する企業の工場部門の全従業員421名を対象とした。年齢は20〜65歳に分布していた。質問紙の配布留置法により過去1年間の歯科的問題に関連した1日休,半日休,遅刻・早退,作業効率の低下の情報を収集した。これらの情報から労働損失時間を算出し,さらに金額にも換算することを試みた。質問紙回収率は96%であった。工場全体で歯科的問題に関連する労働損失経験者は22%で,全損失時間は年間1,154時間,日数換算で144日であった。1人平均労働損失時間は年間2.85時間であった。この労働損失は生産高ベースで約1,200万円,生産コストベースで約800万円,人件費ベースで約400万円の損失と算定された。一企業を単位に歯科的問題に関連した欠勤や生産性の低下を把握,収集したとき社会・経済的損失は多大であることがわかった。DMFTやCPIなどの客観的指標にあわせてこれらの情報を明らかにすることは,労使双方に強いインパクトを与えるものであり,産業歯科保健活動の導入,展開に寄与するものであると考える。