著者
中村 忠司
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2-12, 2015 (Released:2021-05-28)

一般的に旅行は、メディアの影響を大きく受ける。なぜなら、行ったことのない場所に対する知識は旅行者にはないため、伝える側のメディアとの間に大きな情報格差が生まれるためである。特にテレビに代表される映像メディアは、訪れる場所の選択と評価の基礎知識さえ消費者に与えてしまう。 受入地域の側では、特に際立った観光資源のない地域においても、アニメで取り上げられたために大勢の若者が集まるアニメ聖地巡礼の事例や、毎年放送される NHK大河ドラマや朝の連続テレビ小説 の舞台地への旅行者が放送年に増加することから、積極的に番組の誘致に乗り出す自治体も現れている。しかしながら、放送翌年に一気に観光客数が減少する例もあり、一過性の観光誘致のマイナス面を指摘する声も出ている。地域にとっては「地域のファン」になって何度も訪れてもらい、地域との関係性を持続してもらうことが重要である。 本研究の目的は、コンテンツが誘発する旅行者行動がどのようなものであるかを明らかにすることである。研究手法は、一般消費者を対象にしたインターネットによる定量調査を採用した。 調査の結果、①コンテンツツーリズムには、作品と対象地域の間でのループ型の旅行者行動があること、②「能動型確認行動」「受動型確認行動」「場所型確認行動」の 3種類のタイプの観光行動があることがわかった。 得られた結果から地域に対し、「利用者のニーズに合わせた受入体制の整備」と「旅行者の観光行動タイプに合わせた PR の展開」についての提言を行った。
著者
板倉 智敏 中村 菊保 中塚 順子 五藤 精知
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.561-566, 1979-10-25 (Released:2008-02-13)
参考文献数
10
被引用文献数
8 12

犬ジステンパー(CD)生ワクチンを接種された3頭のレッサーパンダが, 定型的なCD症状と病変を示した. 特微病変は, 上皮細胞, 細網内皮細胞における酸好性細胞質ならびに核内封入体形成と, リンパ組織からの著明なリンパ球減数であった. 電顕下で, 細胞質封入体はnucleocapsidから構成されていた. 以上の所見は, 本動物がCDに対し高い感受性を持つこと, CD予防に際し生ワクチン使用は極めて危険であることを示唆する.
著者
大場 隆之 中村 友二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.75-81, 2020-02-10 (Released:2020-02-10)
参考文献数
72

多様に進化した3次元集積技術をレビューする.電子情報産業は,半導体デバイスとシステムの機能および市場性を両輪として300兆円規模に発展した.これらを牽引(けんいん)してきたのが微細化と実装技術である.ところが,微細化は物理限界に近づき,また実装性能は頭打ちになりつつある.3次元集積技術は,これら2つの課題に対する新たなブレークスルーとして今後進展することが期待されている.本稿では,さらなる高集積化,高機能化に向け,前工程・後工程それぞれの世界で開発が進められた3次元積層技術を振り返り,筆者らが開発したウェーハレベル3次元集積技術について紹介する.
著者
植田 篤史 松村 葵 相見 貴行 新熊 孝文 大木 毅 中村 康雄
出版者
一般社団法人 日本スポーツ理学療法学会
雑誌
スポーツ理学療法学 (ISSN:27584356)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.7-15, 2024 (Released:2023-09-30)
参考文献数
35

【目的】肩甲骨の運動異常(Scapular Dyskinesis:SDK)を有する野球選手の肩屈曲運動中の肩甲骨運動を評価すること。【方法】対象は肩挙上・下制時ならびに投球時に肩関節痛のない野球選手51名とした。SDKの評価はSDKを4つのtypeに分類し(type I~IV),type Iを認めた場合は異常群,type IVの場合は正常群とした。測定は肩屈曲動作を実施し,三次元動作解析装置を用いて,肩甲骨と肩関節の角度を算出した。解析区間は,肩屈曲30°~120°位の肩甲骨の上下方回旋,内外旋,前後傾角度を算出した。【結果】異常群の挙上期30°~90°の肩甲骨の後傾は正常群に比較して,有意に小さかった(p<0.05)。また,異常群の下制期30°~60°の肩甲骨前傾は正常群に比較して,有意に大きかった(p<0.01)。【結論】SDK type Iを有する無症状の野球選手の肩屈曲動作中の肩甲骨運動の特徴として,挙上期30°~90°の肩甲骨の過小な後傾と下制期30~60°の過剰な前傾運動を呈していることが明らかとなった。
著者
中村 恵理子 小林 隆司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.755-762, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
20

作業療法士養成校にとって,学生の学習意欲を高め主体的な学習へ導くことは重要な課題である.本研究では,作業療法士を目指す学生が,主体的な学習へと学習意欲を変化させる過程について複線径路等至性アプローチを用い,変化の時期や内容を分析した.その結果,学習意欲の変化の時期は8つの区分に分かれ,早期からの学習意欲の向上には関係志向と自尊志向を利用した学習支援や早期体験型学習などで実用志向,充実志向を促すような学習の重要性が示唆された.
著者
渡邊 幸樹 稲村 浩 中村 嘉隆
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.379-380, 2018-03-13

近年,BLEビーコンによる屋内の人流把握が注目され,特に滞留行動の把握は様々な効果が期待される.本稿では,試作したセンシングデバイスにて周囲の移動端末に搭載されたBLEの挙動を検知し,人流から滞留者の検知と働きかけの対象となる潜在顧客の判別を試みる.取得したRSSI値の変動に対してDTWを用いたテンプレートマッチングにて潜在顧客の行動特徴を示した滞留者の判別を行った.このセンシングデバイスは環境発電による間欠動作を想定している.しかし,人流のように連続的な計測が必要な場合には間欠動作では判別精度の低下が懸念される.ハードウェア最適化を考慮した上で判別に適切な動作間隔についても議論する.
著者
中村 達雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.507-512, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
14

人工神経管(PGA-C tube)を用いた再生医学の臨床応用が2002年より始まっている.この再生医療を支えるのがin situ Tissue Engineering(生体内再生)の概念である.in situ Tissue Engineeringは欠損した組織を生体内のその部位(in situ)で再生させる手法で世界に先駆けて本邦で提唱された.末梢神経は再生能力を有するが,人工神経PGA-C tubeは神経再生の「場」をPGAチューブの内腔に有する医療器具である.これまでに再建した末梢神経は合計300本を超え,また神経因性疼痛に対しても効果があることが判明し,新たな治療法として期待が高まっている.
著者
安達 雄裕 山田 大樹 中村 智 徐 哲俊 内藤 英樹 秋山 充良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.10-19, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
21

近接目視に代わり,ドローンを用いた撮影に基づく点検が可能になった.一方,現状はひび割れの確認に留まっており,その画像を用いた対象部材の健全性,特に耐荷力の評価には至っていない.塩害環境下の鉄筋コンクリート(RC)構造物は,鉄筋腐食に伴い部材表面に腐食ひび割れが生じるため,これをドローンにより撮影し,RC部材内部で生じている鉄筋腐食量を推定できれば,劣化RC部材の耐荷力評価が可能となる.本研究では,有限要素解析,確率場理論,および機械学習に加えて,ドローン撮影により取得した腐食ひび割れ幅の情報を用いることで,劣化RCはり部材の耐荷力の確率論的評価を可能にした.また,ドローンを用いて撮影した画像では,近接撮影したものよりも腐食ひび割れの同定が難しく,それがRC部材の耐荷力の推定結果に及ぼす影響を検証した.
著者
田中 成典 中村 健二 山本 雄平 今井 龍一 窪田 諭 姜 文渊
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.826-845, 2016-10-15 (Released:2016-11-12)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

高度経済成長期に建設された多くの高架道路橋は老朽化を迎えているため維持管理が必要である.しかし,これらの高架道路橋は,設計時や竣工時の図面が紙媒体であり,廃棄されているケースが多く維持管理業務に支障をきたしている.そこで,MMSの点群データから高架道路橋の維持管理用のSXF図面を自動生成する研究がなされている.既研究では,高架道路橋の継ぎ手の位置で点列を分割しスパンごとに道路橋の線形を生成している.しかし,継ぎ手を抽出できない場合や設計図に記載された線形の起終点が継ぎ手の位置から離れている場合,生成したクロソイド曲線と直線や円弧との連続性が失われる問題がある.そこで,本研究では,平面の直線,クロソイド曲線,円弧と縦断面の直線と2次曲線の起終点を算出し,各線形を連続に接続する解析手法を提案する.それにより,継ぎ手の情報なしで,高架道路橋上部工のSXF図面を高精度に生成することを実現する.
著者
木村 優花 川上 和宜 中村 匡志 横川 貴志 清水 久範 小林 一男 青山 剛 鈴木 亘 羽鳥 正浩 鈴木 賢一 高張 大亮 小倉 真理子 陳 勁松 中山 厳馬 若槻 尊 山口 研成 山口 正和
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1075-1081, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
21

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.
著者
佐宗 章弘 中村 友祐 北村 圭一 長田 孝二 太田 匡則 市原 大輔 杵淵 紀世志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

本研究では、衝撃波面前方に僅かな流速場を誘起すること(流速場nudge)によって波面を消失させるくらい積極的に背後圧力の増加を抑制する方法を原理実証し、ソニックブームなどの衝撃波被害緩和に応用することを目的とする。主要実験装置として「流動衝撃波管」を開発し、既設の屋内自由空間も活用して実験サイトを整備し、数値解析と光学可視化計測と密接にタイアップして研究を推進する。流速変化領域の有限長さや多次元性の影響等も含めて、関連する流体力学現象を解明し、衝撃波緩和・消失デバイスを原理実証、機能評価し、応用展開につなげる。
著者
中村 竣 岩本 雄馬 寺本 進 岡本 光司
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.94-100, 2023 (Released:2023-12-06)
参考文献数
15

Incoming wakes can induce separated boundary layer instability, and cause performance losses in turbine cascades of a gas turbine. An efficient numerical method that can analyze unsteady incoming wake effects is desirable from practical point of view. In the present study, an extended harmonic balance method (Chebyshev-based harmonic balance, C-HB) is introduced to the analysis of the incoming wake effect on the separated boundary layer. Convection of a one-dimensional wake-like profile and the flow around the flat plate whose front part is replaced by the NACA0012 with the incoming wake at a Reynolds number Re = 92,000 are computed by the C-HB method. The result shows that the C-HB method can resolve the transient phenomenon of wake convection and the associated linear instability of the flow around the blade.
著者
中村 長史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は、「平和活動や国際刑事法廷は、いつ終了が可能となるのか」という問いへの回答を通じて、対外政策終了論の体系化を目指すものである。まず、これまでの平和活動に関する研究を通して明らかになった《介入正当化と撤退正当化のディレンマ》や《責任転嫁可能な状況》という概念について、理論仮説に修正を施したうえで、ソマリア、ボスニア、アフガニスタン、イラク等を事例とした分析によって精緻化を図る。次に、平和活動終了についての分析を踏まえて、刑事法廷の終了について分析する。具体的には、上記の二つの概念が旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)やルワンダ国際刑事法廷(ICTR)の終了決定過程を説明できるかを検証する。
著者
中村 誠司 前原 隆 新納 宏昭 森山 雅文 柴田 琢磨 安河内 友世 坪井 洋人
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、代表的罹患臓器である唾液腺を解析し、特異なT細胞、B細胞、マクロファージ(Mφ)のサブセットが病態形成に関わっていることを明らかにした。しかし、詳細な病態形成の分子機構や病因は判っていない。そこで、本研究では、従前の研究成果を基盤とし、IgG4-RDの病因を解明し、新規治療法開発の基盤を築くことを目指す。第1にサブセット間の相互作用を解析して病態形成機序を明確にし、第2に発症に関わるT細胞とその認識抗原を同定し、第3に特異なMφを遺伝子導入により誘導したマウスを同定した抗原などで刺激することにより病態を再現する疾患モデルマウスを完成させる。
著者
小濱 健吾 中村 秀明 神田 信也 水谷 大二郎 杉崎 光一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.261-269, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
48

近年,土木の分野において積極的なAI技術の導入が期待されている.しかしながら,AI技術に関する知識不足は,AI技術の導入による効果の適切な把握や,AI技術を利用するために必要な各種データの収集を困難なものとし,AI技術の導入の障壁となってしまう.本論文は,AI技術を実業務において直面する様々な課題に活用したいと考えている土木技術者のために,教材の作成を目標として,理解に必要となる基礎的な知識の概要を説明する.具体的には,AIという言葉により示されているAI技術を適切にイメージできるようにAIの歴史を説明する.また,AI技術を利用するために必要な考え方やインプット・アウトプットを整理する.最後に,実事例の紹介を通じてAI技術に対する理解の定着を図る.
著者
森井 和彦 福永 智栄 多田 俊史 中村 進一郎
出版者
一般社団法人 日本病院総合診療医学会
雑誌
日本病院総合診療医学会雑誌 (ISSN:21858136)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.214-222, 2023-05-31 (Released:2023-10-19)

がんの治療方針は staging や performance status に基づいて決定されることが多いが,高齢者の場合は平均余命が短く,複数の併存疾患や加齢による脆弱性を認めることがあるため, 高齢者総合機能評価(comprehensive geriatric assessment;CGA)を行わないで治療を始めるのは危険である。高齢者の脆弱性は日常的診療では拾い上げが不完全であり,CGAでの評価が望ましい。多忙な日常診療ではまず G8 Screening tool で脆弱性の疑われる高齢者をスクリーニングして,該当者に CGA を行うのが効率的である。CGAでは検証されたツールを用いて,instrumental activities of daily living(IADL),併存疾患,転倒,栄養状態,化学療法の毒性の予測,がん以外の要因による平均余命, 薬剤関連の問題,認知障害,うつ病,社会的支援システムの不足などを評価する。近年使用頻度が増えている免疫チェックポイント阻害剤の 有益性・有害性の予測にもCGAが有効かどうかは,今後の課題である。
著者
中村 功
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.319-320, 2020-02-20

本研究は、デルタニュートラル戦略で利益をあげる投資手法を実現することを目的としている。将来のボラティリティの転換点を精度よく予測できれば、デルタニュートラル戦略で確実に収益をあげることができる。 本研究は、日経ボラティリティインデックスおよび、日経225先物出来高に離散ウェーブレット変換を施し解像度変換した後、LSTM-RNNモデルにより、将来のボラティリティの予測を行う手法を取る。予測結果から将来のボラティリティ転換点を求めた後、投資期間を設定し、デルタニュートラル戦略をあてはめ、投資収益を狙う。得られた投資収益と勝率により、手法の精度評価を行う。
著者
田中 ちひろ 山本 雄平 姜 文渊 田中 成典 中村 健二 中島 伸介
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.580-589, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
18
被引用文献数
3

スポーツ庁では,我が国の国際競技力の向上に関する重点政策において,日本代表選手の活躍を科学な側面から支援することを目指している.そこで,筆者らは,GNSSセンサによるフィールドスポーツの可視化システムを開発してきた.特に,アメリカンフットボールに着目し,QB,WR,DBのマッチアップを対象にした軌跡画像を用いて,深層学習によるパス成否の判定を目指してきた.ただし,プレーが完結したトラッキング情報のみを用いているため,プレー中の成功率の予測や,その予測値に基づくタイムリーな動作の選択と修正をサイドラインから指示できるようなプレー中の気づき情報の獲得には至っていなかった.そこで,本研究では,軌跡の経時変化を加味したトラッキング情報を用いることで,プレー中の成功率を予測することを試みる.実験では,クイックパス,ショートパスやロングパスなどの軌跡を対象に分析を行い,その有用性を実証した.