著者
小野 顕光 中野 眞一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.72, pp.53-57, 2005-05-13

半順序集合Pが与えられたときに、すべてのトポロジカルソートを生成する幾つかのアルゴリズムが知られている.既知のアルゴリズムで最も高速なものは、各トポロジカルソートを"平均"定数時間で生成する.本文は, 各トポロジカルソートを定数時間で生成するアルゴリズムを与える.既知のアルゴリズムは, 各トポロジカルソートを丁度2回づつ生成し, そのうちの一方のみを出力するのに対し, 我々のアルゴリズムは各トポロジカルソートを丁度1回づつ生成する.
著者
小栗 克弥 中野 秀俊 日比野 浩樹 加藤 景子 関根 佳明
出版者
日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

我々は、次世代の超高速デバイス材料として有望な大面積エピタキシャルグラフェンの超高速緩和ダイナミクスを明らかにすることを目的として、原子層一層レベルの表面の光励起キャリア緩和ダイナミクス計測が可能な高次高調波光源を用いたフェムト秒時間分解表面光電子分光法を実現した。また、30倍程度の信号強度増強効果を有する表面増強ラマン散乱分光法を確立し、基板のからのラマンピークと重畳することなく、エピタキシャルグラフェンのラマンピークの詳細な分析に成功した。更に、超高速過渡回折法を用いることにより、グラフェンの電子位相緩和計測に成功し、緩和時間をおよそ50 fsと見積もることができた。
著者
上村 千賀子 中野 洋恵
出版者
国立婦人教育会館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、国立婦人教育会館及び各地の婦人教育施設、女性センター、生涯学習施設における女性学講座参加者を対象としたアンケート調査により、参加の目的、女性学講座に期待する内容と方法、学習上の問題点、性別役割分業観、男女の地位の平等観、及びそれらと性別、年齢、職業との関連を明らかにするとともに、社会教育における女性学教育の内容と方法を考察した。本調査は、女性学講座参加者956人に対する調査表記入方式により平成6年8月から平成7年1月に実施し、回収数604(女性545:男性56)、回収率63%であった。調査結果から次のことが明かにされた。(1)「男は仕事、女は家庭」の考え方について、『男女平等に関する世論調査』(総理府平成4年調査)と比較すると、「賛成」と答えた者が総理府調査では23%であるのに対して本調査ではわずか1%で、性別役割分業観から自由な参加者像が浮び上がった。さらに、本調査では、国立婦人教育会館とその他の施設、男女、職業、年齢により参加者の性別役割観に差がみられた。(2)学習上の問題点としては、内容が広すぎ焦点が不明、女性問題解決の方法が不明が最も多い。(3)期待する学習内容は、施設、性別、職業、年齢により違いがみられた。また、これらの属性に共通する学習内容として、「性・性差・性役割」「家庭・家族」「労働・職業」「社会活動」「教育・学習」「政治・政策」「男性の意識改革」があげられた。(4)属性による性別役割分業観、期待する学習内容と方法を分析することにより、社会教育における女性学の学習課題、成人男女の多様なライフ・スタイルやライフ・ステージに対応した具体的な学習内容を明らかにするための基礎的なデーターを得ることができた。
著者
中野 俊郎 吉田 昭治 粟生田 忠雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

長辺50m、短辺40mの20aの水田に排水の能力差のある暗渠条件を長辺方向に2本設けて、暗渠の能力差による排水効果を測定した。一本の暗渠は小排水路に排水され暗渠の水頭差は田面下60cmである。他方の暗渠は田面下100cmに埋設された集水渠に接続したため大排水路の水位が集水渠より常時高く暗渠には約40cmのサクションが掛かる構造になった。その結果、取水時、間断潅水時および落水の水管理時には集水渠に接続した方のA暗渠の水位は常時田面下60cmを維持するようになり、土壌水分張力値もA暗渠の方が大きくなることがわかった。気象装置や土壌水分張力測定器を設置観測開始年の2年間は少雨高温の特異年であった。TDR土壌水分率測定結果も平行して測定した結果は、作土層と耕盤層の土壌水分は心土層より約1日遅れで圧力が伝達されて減少し始めることが分かった。お盆過ぎから刈取り期近くの間断灌漑は慣習的に5〜4日間隔で水管理されているが、耕盤層の水分張力の減衰が1日間観測されていることから、3日間隔の方が稲の生育生長および収量や地耐力の発現に好結果を期待することができると思われる。地耐力の測定にはコーン指数で判定する構造改善局基準があるが、側面摩擦抵抗や泥炭地水田では必ずしも適さない事例があり、ベーン試験と三軸試験機を用いた非排水条件の側圧一定試験から有効応力解析を行いベーン試験による沈下量とスリップ率から判定した。その結果、シルト質粘土地盤の作土層表面が極度に乾燥履歴を受けてシルトの噛合い成分が強くなり、刈取り期近くになると粘着力成分より摩擦力成分が卓越することが判明した。一方、植物遺骸が堆積した泥炭地水田の作土層の表面が乾燥すると植物遺骸の繊維質がメッシュ構造を生成して地耐力が増強されると判断した。
著者
笹原 祐介 喜多野 征夫 家本 敦子 吉川 良恵 中野 芳朗 森永 伴法 竹内 勝之 川真田 伸 村上 能庸 玉置(橋本) 知子
出版者
兵庫医科大学
雑誌
兵庫医科大学医学会雑誌 (ISSN:03857638)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.95-104, 2007-12

我々は抜去した毛髪の毛包からケラチノサイトの培養を試み,培養法を確立するとともに得られたケラチノサイトの特性を検討した.このケラチノサイトは毛包バルジ部分に存在するバルジ幹細胞に由来するとされている.成人ボランティアよりインフォームドコンセントを与えられ毛髪を抜去することで毛包を採取した.男性10名,女性10名,年齢は20歳代から70歳代であった.各毛包提供者において,初期遊出が観察された率(初期遊出率)は20.0〜100%,平均48.5%であり,毛包提供者の全例で初期遊出細胞が得られた.これにより抜去毛包からの毛包ケラチノサイトの初代培養は性,年齢にかかわらず可能であることが示された.細胞数倍加時間は,対数的増殖を示す継代3〜5代の期間において27〜31時間,平均28.4時間であった.1毛包より最終的には1.4×10^<11>〜7.3×10^<12>の細胞数が得られ,継代2代から平均約26.2回の分裂を経たことになった.細胞数倍加時間や総細胞数は毛包提供者の性,年齢にかかわらずほぼ一定であった.またRT-PCRにより,継代4代までCD34遺伝子のmRNA発現が認められた.このことから得られた細胞は個体のエイジングにかかわらない体性幹細胞であるバルジ幹細胞に由来すると考えられた.このようにヒトバルジ幹細胞は,抜毛により侵襲が少なく採取でき,エイジングに関係せず一定の細胞数を効率よく,確実に得られるため再生医療の細胞材料として有用と考えられた.
著者
鈴木 和弘 鈴木 宏哉 中西 純 小磯 透 石井 好二郎 高木 誠一 中野 貴博 長野 敏晴 小山 浩 霜多 正子 溝口 洋樹 川村 徹 梅津 紀子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の目的は,幼児から中学生の子どもを対象にライフスタイル改善教育及び体力向上プログラムを幼児・学教教育に適用し,同一集団の子どもをそれぞれ縦断的に追跡しながら,その有効性を検証することであった.おもな成果は次の3点であった.1)体力向上プログラムに参加した幼児の体力は,小学校1年で極めて高く,体力A評価は50%を超え,持ち越し効果が確認された.2) 低学年児童を対象に基本的動作習得を目指した8時間の授業で,動作の改善と共に,50m走後半の疾走スピードに有意な改善が見られた.3) 中学校での3年間継続した体力向上への取り組みによって,生徒の遅刻回数や不定愁訴が有意に減少した.
著者
安浦 寛人 築添 明 平川 和之 伊東 望 中野 信哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.857-863, 2003-11-01
参考文献数
2
被引用文献数
2

福岡県においては,産業界,大学,行政の連携による「シリコンシーベルト福岡」プロジェクトを進め,システムLSIの研究開発力の向上や設計産業の育成と合わせて,技術者育成事業の一つとして「福岡システムLSIカレッジ」を設立した.本稿では「福岡システムLSIカレッジ」の設立理念を述べた後,それに沿ったカリキュラムや教材・講習環境を示す.そして,1年半のLSIカレッジ運営の評価を行い,今後の展望についてまとめる.
著者
小槻 日吉三 市川 善康 上田 忠治 中野 啓二
出版者
高知大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、高効率な官能基変換プロセス実現のために、超高圧反応場の有用性を明らかにするとともに、そこから得られる情報を最大限に活用し、革新的な有機合成反応の開発に繋げることにある。その結果、以下の成果を得ることに成功した。1.アセタール類の無触媒的シアノ化反応の開発:アセタール類のシアノ化反応は、通常ルイス酸触媒存在下、アセタールとシアノ化剤との組み合わせで行われる。これに対し、Me_3SiCNをシアノ化剤とし、ニトロメタン溶媒中高圧反応を行うと、無触媒でも望むシアノ化反応がきれいに進行することを見つけた。2.アントラキノン類の高圧縮合反応を基軸とするステントリンの直接合成:我々は、ペリレンキノン系色素の構造と生理活性に興味をもちそれらの合成研究を行っている。今回、アントラキノン誘導体の二量化反応による直接的な合成を検討し、アルカリ条件下、過剰のヒドロキノンを加え高圧反応を行うと、目的とするジメチルステントリンCが好牧率で得られることを見つけた。3.尿素類の高圧縮合反応を基軸とするBiginelliタイプの多成分連結反応:Biginelli反応は尿素と活性メチレン化合物、アルデヒドとの3成分連結反応として、ジヒドロピリミジノン系化合物合成の重要な反応である。今回、低反応性ケトンを基質として、脱水剤となる(MeO)_4Si及び酸触媒存在下高圧縮合反応を行うと、期待する多成分連結生成物が牧率よく得られることを見つけた。4.新規屋根型キラルアリールプロリン触媒の開発:有機不斉触媒の開発と利用を目的とした合成研究の一環として、アントラセンのDiels-Alder反応を出発とする新規屋根型キラルアリールプロリン触媒を分子設計した。この計画を実行に移すため、アントラセンと無水マレイン酸とのDiels-Alder付加物を出発として、光学分割を経由する方法で不斉触媒の開発を行った。
著者
K・H Feuerherd 中野 加都子
出版者
神戸山手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

人間が何を重視するか、何を好むかといった問題は、それぞれの国の文化や自然的な条件、歴史によるものである。日独のライフスタイルを比較した結果、日本では便利さを追いかけることが目立つ。例えば、日本にある自動販売機の総数は世界一であり、自動販売機による消費電力は、出力110万キロワットの原発1基の年間発電量の8割に相当する。日独が比較される場合に必ず引き合いに出される例が容器包装ごみの問題である。ドイツでは、デュアルシステムという民間が主体となって行う容器包装ゴミのリサイクルシステムを整備したため、ゴミ問題は解決できたということが非難されている。しかし、日本では、家庭の主婦は夕食のために毎日のように買い物に行き、主食以外に何種類もの料理を準備する。内容も和食、洋食、中華など様々なものが取り入れられる。食材の調達方法も街の市場、スーパーマーケット、24時間営業のコンビニエンスストアから通信販売まで多様である。おまけに翌日配達の宅配便の普及や冷凍技術、真空包装の急速な進展のおかげで、日本のすみずみから産地直送の食材を手に入れることもできる。したがって、日々の消耗品に関わるごみが多く排出され、そのことが日本の環境問題を特徴づけている。ドイツでは消耗品が大量に排出されるようなライフスタイルを受け入れておらず、そのことがドイツの環境との接し方を特徴づけている。故に、日本とドイツとの決定的な違いは「出口」ではなく、「入口」である。しかし、一度獲得した便利さを失った時の不自由さは耐えがたい。ドイツから学ぶことは、「出口」対策としてのリサイクル方法や法律より、「入口」で一人一人が自分にとって必要かどうかを冷静に判断し、不必要なことを拒否できる主体性である。これは、日本での循環型社会形成推進基本法で明確にされたリデュースを最も優先する基本的考え方と非常にマッチすることが、この研究で明らかになった。
著者
安仁屋 政武 青木 賢人 榎本 浩之 安間 了 佐藤 和秀 中野 孝教 澤柿 教伸
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

エクスプロラドーレス氷河の前面にある大きなモレインの形成年代を推定すべく周辺で合計15点の^<14>Cによる年代測定試料を採取した。大きなモレインの6つの試料の年代は9250BPから820BPである。このデータからは形成年代に関して確定的なことは言えないが、モレインの堆積構造、試料の産出状況、植生、年輪などから14-17世紀頃の小氷期に形成されたと解釈した。氷河観測では、D-GPS静的測位を用いた氷河流動測定、 D-GPS動的測位を用いた氷河表面形態の測量、5MHzアイスレイダーによる氷厚測定を行った。流動は各期に氷河上の巨礫を反復測定し、末端部付近では50m、アイスフォール下部では140m程度の水平流動を得た。また、末端部付近では著しい上方向の流動があることが観測された。レイダーによる氷河末端付近の氷厚は260〜300mと推定された。氷河流域の年間水収支を算出し、それにより氷河の質量収支を推定した。2004年12月から末端付近に自動気象・水文観測ステーションを設置し、観測を継続している。また、夏季(2004年12月)、冬季(2005年8月)の双方で、氷河上の気象要素分布・表面熱収支・融解量分布などの観測を実施して、氷河融解の特性を明らかにした。2004年12月から2005年12月までの1年間における末端付近の平均気温は7.4℃、降水量は約3300mm、さらに氷河流出河川の比流出量は約6600mmであった。ペリート・モレーノ氷河において、中流部の表面高度測量および歪速度観測、カービングフロント付近の氷河流動の短期変動観測および写真測量、融解観測、氷河湖水位観測、中流部におけるGPS記録計による年間流動の観測、氷河脇山腹における長期写真記録および温度計測を行なった。近年上昇していた中流部の表面高度が2004年〜2005年で減少していた。この地域に2004-2005年の期間にストレイングリッドを設置してひずみや上昇速度を観測したが、大きな下降速度が計算された。また移動速度は0.8〜1.2m/dayの値が観測された。氷河末端部の測量からは、1.5m/dayを超える速度が多くの地点で観測された。
著者
中野 幸紀 MOE Espen
出版者
関西学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

Espen MOE研究員が提示した「産業活動の持続的可能性に関する指摘理論分析フレームワーク」に沿って、日本の省エネルギー政策及び新エネルギー政策に関する文献調査、ヒアリング調査及び研究会を実施した。なお、本研究については当初2年間(24か月)の調査実施期間を想定していたが、Espen MOE研究員の本国ノルウェー科学技術大学に就職が決まったため平成21年12月22日までの1年と1カ月間の研究期間となった。これにより、平成21年度に計画していた研究については一部その実施が結果的にできなかった。以下、研究計画に沿って報告する。平成20年度にはEspen MOE研究員の来日を待って日本国内で実施する共同研究の具体化のために有識者との懇談を4回実施した(平成20年度実績報告書)。平成21年度前半には、風力発電システムの開発及びその社会的普及に関する調査を行った。(1)省エネルギー推進政策省エネルギー法の制定導入時に意図された政策目的を当時の担当課長、課長補佐などに電力中央研究所が過去にインタビュー調査した結果などについて、調査担当者などからヒアリング調査を行うことができた。(2)新エネルギー機器産業形成政策風力発電システムの開発普及に関して元三菱重工業風力発電システム開発担当者に7月末にインタビューを行い、風力発電電力の価格設定、既存電力系統との接続問題、電力の地域独占などの問題が日本における風力発電の社会的普及に足かせとなった時期があったことが明らかにされた。この経験から、将来のオフショア型風力発電システムの導入、スマート・グリッド導入などの政策的検討の際にもグリッド既得権の調整が大きな課題となることが予想されることが明らかとされた。本事例研究によって、MOE研究員が欧州及び米国の事例研究を通じて提示している既得権調整に関わる史的分析アプローチが日本の事例に対しても有効であることがわかった。次に、日本における太陽光発電システムの社会的普及について、同様のインタビュー調査を行うために夏休み明けから複数の企業と接触を開始したが、MOE研究員のノルウェー本国での就職が決まったことによって中断した。日本を事例とした研究成果は、MOE研究員がノルウェーに帰国後発表される予定である。平成22年度についてはMOE研究員が新たに所属することとなったノルウェー科学技術大学のプロジェクト研究として継続される予定である。
著者
土山 明 中野 司
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究は、火山爆発の原因であるマグマ発泡現象のアナログ実験として含水珪酸塩ガラスの加熱発泡実験をおこない、高分解能X線CT装置によるマイクロトモグラフィーを用いた3次元構造の時間発展(4次元構造)の観察法と解析法を確立し、さらにこれにより発泡過程とそのメカニズムを理解しようとするものである。平成17年度に含水流紋岩質ガラス(黒曜石)を用いて確立した観察法・解析法を、本年度は含水玄武岩質ガラスに適用した。天然物には実験に適したサンプルがないので、サンプルは内熱式高圧炉で合成した。これをステンレス製の字具に固定し、一定温度(675,700℃)で一定時間(5〜20分)加熱後冷却しCT撮影をおこなうというサイクルを繰り返した。CT撮影はSPring-8のBL20B2においておこなった(25keV、画素サイズ:3.14μm1344x1344マトリクス)。これにより、従来知られていない発泡様式を発見した。玄武岩質ガラスではサンプルの壁などから不均一核形成が始まり、数100ミクロンの泡へと成長していく。やがてサンプル壁のある場所より、多数の微細な泡(1ミクロン程度)が発生し、この泡に富む部分がシャープな境界を持ちながらサンプル内部に向かって一定速度で進行し、やがて発泡は停止する。流紋岩質ガラスでは均一核形成・成長によってのみ発泡を続けたのと対照的である。多数の微細な泡の生成によって、効率的に水を系外に逃がすことができるので、非爆発的な噴火が予想される。実際の高温での減圧発泡においても、この発泡様式がおこるとすれば、玄武岩質マグマの非爆発的な噴火を、今回新しく発見した発泡様式で説明することができる。今後、さらなる超高分解能でのCT撮影や、条件を変えた実験、また天然の玄武岩の組織観察などにより、これを検証することが必要である。
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.21-28, 2002
参考文献数
17
被引用文献数
8

<p>都市公園におけるゴキブリの生息状況を把握するため,2000年8月から2001年8月に東京都港区の公園等52箇所で調査を行った.夜間観察でゴキブリの生息の有無を確認し,種類,個体数,発見場所,活動状況を記録した.また,ゴキブリが生息していた樹木の種類等を調査した.</p><p>ゴキブリの生息は調査した公園等52箇所の46%である24箇所で確認できた.ゴキブリの種類はクロゴキブリとヤマトゴキブリであった.ゴキブリは公園の地面と樹木上で確認した.ゴキブリを確認した樹木は大木・老木が多く,12科19種であった.クロゴキブリはイチョウ,ケヤキ,ソメイヨシノなどに生息していた.ヤマトゴキブリは6,000m<sup>2</sup>を越える大きな公園にあるスダジイ,シラカシ,ケヤキ,エノキなどに生息していた.クロゴキブリは7月〜9月に多く確認した.ヤマトゴキブリは1年を通して確認したが,4月と11月に幼虫数のピークがあった.クロゴキブリは屋外でゴミ,鳥の糞,樹液,ネコ餌などを摂食していた.東京の都市部ではクロゴキブリもヤマトゴキブリ同様に公園で越冬し,周年生息ができると判断した.都市温暖化はクロゴキブリの屋外生息性を促進する可能性がある.また,公園でのネコやハトへの餌供給はゴキブリの増加を助長する怖れがある.</p>