著者
佐藤 研一 今井 裕 石山 信之 小林 操 金沢 春幸
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.70-76, 1981-07-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
33

今回,われわれは極めて稀れ(本邦で9例)な奇形とされている下顎正中裂および下口唇正中裂の症例を経験したので報告した.患児は生後3ケ月女児,2児中第2子で同胞に異常は認められない.両親に血縁関係はなく,家系中にも異常を認めない.母親は妊娠2ケ月頃,転倒により腰部を打撲したことを除き,妊娠経過は順調であった.全身的には栄養発育状態は良好で,他部合併奇形などの異常を認めない.局所的には下口唇が正中で縦裂し,さらにその破裂下端部より願部にいたる腫瘤が認められたという(但し出産病院で腫瘤は切除) .下顎骨も正中離開し,そのため左右の下顎は個別に可動性を有していた.また,舌尖は下顎離開部を越え,その前方に附着し固定されていた.X線的には下顎骨正中離開を示すも,歯胚数の異常や舌骨の欠損は認められなかった.両親ならびに患児の染色体数は正常で,生後4ケ月目にZ-plastyによる下口唇形成術および舌小帯伸展術を施行した.術後経過は良好で現在に至っている.下顎裂に対する処置は,今後充分な観察の下に,下顎の発育を待ったうえ行う予定であり,併せてその論拠にっいての考察を附して報告した.
著者
今井 昭彦
雑誌
常民文化
巻号頁・発行日
no.10, pp.25-53, 1987-03
著者
久郷 真人 谷口 匡史 渋川 武志 岩井 宏治 平岩 康之 前川 昭次 阪上 芳男 今井 晋二
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.4, 2011

【はじめに】<BR> 皮膚筋炎(delmatomyositis:DM)は対称性の四肢近位筋・頸部屈筋の筋力低下、筋痛を主症状とし、Gottron兆候やヘリオトープ疹などの特徴的な皮膚症状を伴う慢性炎症性筋疾患のひとつである。臨床検査では血清筋逸脱酵素(creatine kinase;CK)やLDH、aldorase、尿中クレアチン排泄量が異常高値を示す。治療としては副腎皮質ステロイドが第一選択薬とされるが、長期投与により満月様顔貌、行動変化、糖耐能異常、骨密度低下、ステロイドミオパチー等の多彩な副作用を生じることも多い。また、近年運動療法の適応についても多数報告されており、その効果が期待されている。<BR>今回、皮膚筋炎治療中にステロイドミオパチーを呈した症例を経験したので報告する。<BR>【症例紹介および理学療法評価】<BR> 症例は43歳男性。2010年12月頃より右上腕部に筋肉痛・潰瘍出現、顔・頸部・対側上腕に皮疹が広がり、皮膚筋炎を疑われ精査目的にて当院入院となる。入院後皮膚生検・筋生検にて皮膚筋炎と診断され、ステロイド療法(prednisolone;PSL,60mg/day)が開始される。最大PSL120mg/dayまで漸増するもCK値低下遅延し免疫グロブリン療法(IVIG)施行。またPSL120mg/dayに増量後、副作用と思われる両下腿浮腫、満月様顔貌、および下肢優位のステロイドミオパチーと考えられる筋力低下の進行を認めたためCK値の低下に伴いPSLを漸減。<BR> 入院後15病日目より理学療法開始。開始当初よりCK高値(約6000IU/L)であり、易疲労性、筋痛、脱力感著明。筋力はMMTにて股関節周囲筋2~3レベル。HHD(OG技研GT300)を用いた測定では膝関節伸展筋力右0.96Nm/kg、左0.83Nm/kg、股関節屈曲筋力右0.3Nm/kg、左0.28Nm/kgであった。立ち上がり動作は登攀性起立様、歩行は大殿筋歩行を呈していた。6分間歩行は141mであった。また体組成分析(Paroma-tech社X-scan)を用いた骨格筋量/体重比では34.4%であった。理学療法では下肢・体幹筋の筋力増強を目的に、自動介助運動から開始。CK値の低下とともに修正Borg scaleを利用し自覚的疲労度3~5の範囲の耐えうる範囲で自動運動、抵抗運動と負荷量を設定し、翌日の疲労に応じて調節しながら行った。<BR>【説明と同意】<BR> ヘルシンキ宣言に基づき、症例には今回の発表の趣旨を十分説明した上で同意を得た。<BR>【結果】<BR> 理学療法介入後4ヶ月時点では、CK値は116UI/Lまで低下。PSLは25mg/dayまで漸減し、筋痛は消失するも易疲労性残存。筋力はHHDにて膝関節伸展筋力が右0.92Nm/kg、左0.78Nm/kg、股関節屈曲右0.69Nm/kg、左0.71Nm/kgであった。立ち上がりは上肢を用いずに可能、歩行はロフストランド杖にてすり足、大殿筋歩行。6分間歩行は180mに増加した。体組成分析を用いた骨格筋量/体重比では29.4%であった。<BR>【考察】<BR> 今回、皮膚筋炎治療中にステロイドミオパチーを合併した症例を経験した。ステロイドミオパチーは蛋白の分解促進と合成抑制が起こり、特にtype_II_b線維の選択的萎縮を招くとされ、近位筋を中心とした筋力低下により難治例も多い。<BR> ステロイドミオパチーに対する治療は主にステロイドの減量である。一方で、近年ステロイドミオパチーに伴う筋力低下、筋萎縮の進行に対して運動療法は予防および治療手段として有効であるとされている。また、皮膚筋炎の場合、急激なステロイドの減量は筋炎症状の再燃を招き易く、これらの相反する治療方法から厳重な投与量管理および負荷量の設定が重要であるとされる。本症例において、CK値の正常化後も有意な上昇もなくステロイド減量が可能となり、筋力、骨格筋量の著明な低下を最小限に抑えられたことから、今回使用した修正Borg Scaleを用いた運動負荷量の設定方法および継続的な運動療法が有用であると考えられた。また、市川はステロイド減量による効果として10~30mg/dayに減量してから1~4ヶ月で筋力回復が認められると報告しており、本症例においては長期間の経過により廃用性の筋力低下も合併していることが考えられるため、今後も長期的な理学療法の介入が必要であると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 皮膚筋炎およびステロイドミオパチーに対する理学療法において筋力低下の病態を考慮した上で、早期からの介入により運動機能の維持、向上に努め、長期的な理学療法の介入が必要であると考える。また運動療法効果についての報告は少なく、今後さらなる症例・研究報告が望まれる。<BR>
著者
平田(中原) 久美子 鈴木 慎一郎 今井 徹 鷲巣 晋作 田村 めい 間 勝之 大塚 進 木村 高久
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.19-22, 2020-06-10 (Released:2020-07-01)
参考文献数
16

Distigmine has reversible and persistent cholinesterase (ChE) antagonism, and is used for the dysuria due to low activity bladders such as the neurogenic bladder dysfunction widely postoperatively, but fatal cases were reported by cholinergic syndrome. Therefore a dose was limited to 5mg only for adaptation of “the dysuria due to hypotonic bladder such as after surgery and the neurogenic bladder dysfunction” in March, 2010. In the current study, we examined a ministerial policy in the package insert revision using Japanese Adverse Drug Event Report database (JADER). Using a side effect report registered with JADER from January, 2004 to June, 2016, we calculated Reporting Odds Ratio (ROR) which was the index of the safe signal of the medical supplies adverse event and we compared number of reports and ROR of the cholinergic syndrome by the distigmine in approximately the measure in March, 2010 and evaluated it. The number of reports of the cholinergic syndrome by the distigmine was 138 cases before March 2010 and 65 cases after March 2010. After a measure, the number of reports decreased. The possibility that the package insert revision of the distigmine contributed to a decrease in cholinergic syndrome onset was suggested. Whereas monitoring careful sequentially needs the onset of the cholinergic syndrome in constant frequency to be found.
著者
森 龍太 今井 海里 大野 栄治 森杉 雅史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_31-I_41, 2014

日本では,1992年にUNESCOの世界遺産条約を締約した後,2013年末までに17件が世界遺産リストに登録されている.そのうち,白神山地はそこに広がるブナの原生的自然林およびそれに付随する公益的機能によって世界自然遺産に登録されているが,そのブナが温暖化の進行により衰退の危機に瀕している.もし世界遺産登録後のモニタリングにより顕著な普遍的価値を失っていると判断されると,世界遺産リストから抹消されることとなる.本研究では,温暖化による世界自然遺産への影響として白神山地の世界遺産登録抹消を想定し,それによる白神山地観光訪問への影響を分析した.その際,旅行費用法に基づく仮想行動法を用いて,白神山地のレクリエーション価値の変化を推計した.
著者
定兼 邦彦 稲葉 真理 今井 浩 徳山 豪
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

ゲノムデータベースからの知識発見のためのアルゴリズムとデータ構造に関する研究を行った.まず,ゲノム配列データベースからの高速パタン検索のアルゴリズムとデータ構造を開発した.索引としては既存の圧縮接尾辞配列を用いたが,新しいアルゴリズムにより従来の30倍の速度での検索が可能になった.次に,2つの長いゲノム配列のアラインメントを計算するための手法である,MUM(Maximal Unique Match)を列挙する省スペースなアルゴリズムを開発した.配列の長さをnとすると,既存手法ではO(n log n)ビットのスペースが必要であったが,本研究ではこれをO(n)ビットに圧縮した.これにより,ヒトの全DNA配列2つのMUMの計算がメモリ4GBのPC1台を用いて約6時間で計算できた.また,ヒトとマウスの間の共通部分については約24時間で計算できた.データベースからの知識発見のために,データベース中の複数の属性間の最適相関ルールを求める高速アルゴリズムを開発した.最適とは,支持率を固定した場合の最大確信度ルールまたは確信度を固定したときの最大支持率ルールを表す.従来手法では2値属性のみしか効率良く扱えなかったが,本研究の手法では数値属性に対して効率良く動作する.また,数値属性間の最適相関ルールを拡張し,様々な確信度に対する最適領域をピラミッド型の図形で表現する方法を提案し,その効率の良い計算法を提案した.これを最適ピラミッドによる相関ルール表現と呼ぶ.これを用いることでデータベースから抽出した知識を簡潔に表現することができ,過学習の回避もできる.また,ピラミッドを用いてデータの可視化を行うこともできる.

1 0 0 0 OA プルトニウム

著者
今井 美材
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会会報 (ISSN:00214426)
巻号頁・発行日
vol.1, no.12, pp.743-752, 1962-12-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
5
著者
今井 龍一 神谷 大介 井上 晴可 田中 成典 藤井 琢哉 三村 健太郎 伊藤 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_58-I_66, 2021

<p> 建設現場における労働災害をゼロにするには,効果的な安全管理の対策の徹底が肝要である.安全管理の一方策として,ビデオカメラを用いて危険箇所への侵入や建機と接触する恐れのある作業者をリアルタイムに警告することが考えられるが,この場合,作業者の自動識別が必要となる.深層学習を用いた人物識別の既存研究では,顔認証,歩容認証や人物同定などで従来よりも高精度な成果を得ることが報告されているが,服装などが類似する作業者が往来する建設現場への適用は困難である.</p><p> 本研究は,建設現場の作業者が常に装着するヘルメットに着目し,深層学習の畳み込みニューラルネットワークに基づく人物の識別手法を提案した.そして,模様と符号の学習モデルに同手法の評価実験を実施し,建設現場における人物識別に適用できる可能性のある知見を得た.</p>
著者
村田 勝 今井 佐和子 佐藤 大介 佐々木 智也 有末 眞
出版者
日本硬組織研究技術学会
雑誌
Journal of hard tissue biology (ISSN:13417649)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.143-147, 2002-03-01
参考文献数
23
被引用文献数
2

我々はリコンビナントBMP(r h BMP-2)アテロコラ-ゲンコラ-ゲンインプラントシステムが骨膜下骨増生に極めて有効であることを報告している。本研究では、骨膜を剥離せず部分的に線状切開を加えた骨膜状にr h BMP-2/コラーゲン複合物を埋入し、骨膜と母骨の細胞組織反応や骨誘導について形態学的に観察することを目的とした。ウイスター系雄性ラット(40週齢)を正常骨膜観察に5匹、切開骨膜上実験のために20匹使用した。全身麻酔科で頭部に皮下切開を加えた。r h BMP-2(10mg)/I型アテロコラーゲン(10mg)複合物を挿入後、1,2,4,8週目に5匹ずつ屠殺し、埋入物入と頭部を一塊として摘出した。脱灰切片作成後、ヘマトキシリン-エオジン染色とエラスティカワンギーソン染色、増殖細胞核抗原(PCNA)抗体による免疫染色を行い光学懸顕微鏡で観察した。正常骨膜には扁平な骨芽細胞層、菲膜化した線維層、脂肪層からなる3層構造が認められた。PCNA陽性細胞率は0.8±4.6%、非切開部で9.3±1.5%であった。2週後、埋入物層に環状の骨形成がみられ、骨膜切開部でのみ母骨と増整骨は新生骨で連続していた。4週後、非切開部骨膜は正常骨膜に類似した構造を呈した。8週後、増生骨の骨髄形成が進行し、骨膜切開部のみに形成された骨架橋は維持されていた。非切開部には骨膜を含む軟組織が介在していた。以上より、r h BMP-2/アテロコラ-ゲンインプラントシステムハ骨膜上で骨増生が可能であり、切開部のみで骨架橋が形成された。また切開部以外の骨膜は非石灰化組織として増生骨と母骨間に介在したことから、骨膜は骨形成能を有する組織境界膜として存在する恒常性機構を有している可能性が考えられた。
著者
原田 拓 可知 悟 岡田 誠 田村 将良 服部 紗都子 竹田 智幸 竹田 かをり 奥谷 唯子 今井 えりか 中根 一憲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】Star Excursion Balance Test(以下,SEBT)は片脚立位での他方下肢のリーチ距離により支持脚の動的姿勢制御を測定する評価法である。SEBTは足関節捻挫などの下肢障害の予測や競技復帰のための指標として信頼性を認められているが,軸足や非軸足の支持脚の違いによるリーチ距離への影響に関する報告はない。そこで今回,軸足と非軸足がリーチ距離に及ぼす影響を調査した。また本研究はSEBTとスポーツ障害の特異性を調査するための前向きコホート研究であり,今後スポーツ現場へ導入するにあたりSEBTと運動パフォーマンスとの関係性も併せて調査したため報告する。【方法】対象は現病歴のない高校女子バスケ部に所属する生徒14名28足(年齢15.8±0.9歳,身長159.7±4.5cm,体重52.8±5.2kg)とした。SEBTは両上肢を腰部に当てた状態で8方向の線の中心に立ち,片脚立位となり他方下肢を各線に沿って時計回りに最大限リーチさせた。各方向4回の練習後に2回の測定を行った。なお,2回の測定のうち最大リーチ距離を採用し棘果長で除して正規化した。軸足はウォータールー利き足質問紙(日本版)の体重支持機能に関する4項目の合計スコアにより判定した。軸足の判定後,SEBTの値を「軸足群」,「非軸足群」に振り分け比較検討を行った。統計処理は対応のあるt検定を用い有意水準は5%未満とした。運動パフォーマンスは新体力テスト(上体起こし,立ち幅跳び,反復横跳び),筋力(体幹,下肢),関節可動域(下肢)を測定した。新体力テストは文部科学省の新体力テスト実施要綱に準拠して行い,筋力測定はハンドヘルドダイナモメーター(アニマ社製μTasF-1)を使用して行った。また筋力は体重で除して正規化した。統計処理は新体力テスト,筋力にはピアソンの積率相関係数を用い,関節可動域はスピアマンの順位相関係数を用いて,SEBTの8方向の平均スコアと各々のパフォーマンスの相関を求めた。なお,SEBTと軸足の関係性を認められた場合それぞれの群内で,棄却された場合両群を同一と見なして比較検討した。【結果】ウォータールー利き足質問紙(日本版)の参加率は92.9%であった。軸足は右52.8%,左30.8%,左右差なし15.4%であった。またSEBTにおける軸足群と非軸足群の比較はすべての方向で有意差を認めなかった。SEBTの値と各運動パフォーマンスの関係性については立ち幅跳び(r=0.60),反復横跳び(r=0.48),股関節屈曲可動域(r=0.50),足関節背屈可動域(r=0.45)にて相関を示した。しかし筋力との相関は示さなかった。【考察】今回SEBTのリーチ距離に軸足と非軸足が影響を及ぼすか調査したところ有意差を認めなかった。先行研究によると下肢の形態及び機能検査における一側優位性を認めなかったとの報告があり,リーチ距離に差を示さなかった要因であると考えられる。今後スポーツ復帰の基準としてSEBTを用いる際,障害側が軸足あるいは利き足を考慮する必要性がないことが示唆された。運動パフォーマンスの関係性については立ち幅跳びや反復横跳びにおいて正の相関を認めた。スポーツ現場において下肢障害は多くみられ,中でもジャンプや着地,カッティング動作などが挙げられる。今回測定したパフォーマンスはスポーツ障害の動作に類似したスキルであり,SEBTはスポーツ分野における動的姿勢制御の評価法としてさらなる有効性が示唆された。また身体機能における股関節屈曲と足関節背屈の関節可動域と正の相関を認めた。足関節捻挫や前十字靭帯損傷において足関節背屈制限が発症リスクとして挙げられていることから,これまでのSEBTに関する報告と上記障害の関係性を支持する形となった。一方,筋力に関しては筋発揮時の関節角度の違いやリーチ時の戦略の違いのため相関を示さなかったと考えられた。今後,対象者を増やしリーチ距離に及ぼす因子をより明確にしていくと同時に,先行研究において後外側リーチ距離が足関節捻挫の発症リスクを示しているように,本研究対象者を追跡調査し,さらにSEBTと様々なスポーツ障害との特異性を示していきたいと考える。【理学療法学研究としての意義】本研究はSEBTを実施するにあたり軸足との関係性を考慮する必要がないことを明らかにし,さらに運動パフォーマンスとの関係性を示されたことで障害予防の視点からスポーツ現場に導入できる可能性が示唆された。
著者
松岡 松三 河辺 明彦 坂上 種男 青木 洋二 田村 康二 今井 哲也 菊田 亮司 大山 芳郎 江口 晃 真島 正 小黒 忠太郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.36-39, 1966-04-10 (Released:2011-02-22)
参考文献数
9

全内臓逆位症に先天性心疾患が合併することは非常にまれといわれている. われわれはEbstein病に全内臓逆位症を合併した症例を経験した. 15才の男子で, チアノーゼ強く, やもり指を認めた. 赤血球増多症のほか生化学的検査などはすべて正常. 胸部X線像は, 定型的右心症陰影. 心電図はP波の増高, および著明な右室肥大所見があつた. 経静脈心血管造影で右室遠位部および肺動脈の造影遅延, 大動脈の早期造影の所見がみられた. 心腔内心電図併用心カテーテルで右房化した近位部右心室が証明されEbstein病と診断された. なお, 大動脈の早期造影は心房中隔欠損のためであつた. Ebstein病は心電図で普通, 右室肥大の所見は示さない. また心内圧は正常または低いのが普通であるが, 本症は右心室圧が高く肺動脈圧が低い, 血行動態上, 肺動脈狭窄の所見を呈していた. これらにつき若干の文献的考察を加えて報告する.