著者
今井 小の実
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-11, 2002

1934年母性保護法制定促進婦人連盟として誕生した母性保護連盟は,母性保護運動を展開し,1937年の母子保護法制定に貢献した。その連盟誕生の産婆役をつとめたのは,婦選獲得同盟であった。婦人の参政権獲得を目的として結成された女性団体が,母性保護連盟を生み出し,母性保護運動に積極的にかかわっていくのは,戦時体制へと突入し,婦選運動が閉ざされていく状況にあったからだといわれている。しかし同盟が母性保護運動に取り組んでいく方向性は,1928年にはすでに示されていた。同盟には従来の研究では説明されてこなかった母性保護運動を開始する別のモチベーションも存在したのではないだろうか。本稿の目的は,同盟の母性保護運動に対する従来の評価に,新たに大正時代の母性保護論争から続く"継承性"という視点を加えることによって,その揺籃期のモチベーションを明らかにしようとするものである。
著者
榎戸 芙佐子 平口 真理 高木 哲郎 中川 東夫 渡辺 健一郎 今井 昌夫 渡辺 多恵 地引 逸亀 鳥居 方策
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.453-461, 1999-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
42

神経性食欲不振症(AN)のまま2児を出産した珍しい症例を経験したので, その長期の経過を内外の報告を参照して報告した.症例は高校1年, 48kgあった体重が39kgに減り無月経となり発症した.高校3年時, 26kgとなり約1年間当院に入院した.入院中に強迫症状が認められた.25歳で結婚し専業主婦となり, 26歳時に体重35.5kgで2,076gの女児を帝王切開術にて出産した.29歳時に体重37kgで月経が戻り, 30歳時に体重32.5kgで1,814gの女児を出産した.その後も体重は32〜34kgで推移し, 強迫的な生活態度, 無月経, 食事の制限は持続している.2人の子どもは元気であるが, 体力不足で十分な育児ができないと嘆いている.
著者
今井 正之 吉田 克己 北畠 正義
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染研究 (ISSN:21863687)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.184-188, 1977-08-05 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

We have investigated the health effects of air pollution during the perinatal period through the records of birth, immature foetus birth, still-birth and death certificates from 1968 to 1975 in Yokkaichi area. Following result was obtained:The relationships between the surfur dioxide level and immature foetus birth rate, infant death rate and still-birth rate were relatively small and correlation coefficients betwen sulfur dioxide level and these rates had statistically no significant difference.
著者
今井 理雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.239, 2005

1.はじめに 交通網とそれを取り巻く諸環境の整備は,社会経済の円滑な遂行において必要不可欠である.近代交通機関が発達し,高度経済成長以降のモータリゼーションによって,自家用車の保有が一般化したが,一方,近年では公共交通機関の必要性も再認識されている. 公共交通の必要性が再認識されるなかで,とくに欧州の先進的システムが研究,紹介されているが,我が国の公共交通システムとは本質的な相違も指摘される.また政策的,制度的な背景もさることながら,交通事業者がもたらす営業施策の姿勢も根本的に異なる.我が国における公共交通システムが衰退した要因として,事業者個々のハード整備には積極的であった反面,相互の連携や,ソフト面の整備が重視されてこなかったことが大きいと思われる. とくに複数の交通モードが錯綜し,ネットワークが複雑に入り組む都市部においては,適切な交通システムの構築が重要である.複数の異種公共交通機関の連携は,広範な都市内を有機的に結びつける重要な方策であるが,我が国の大部分の都市では,このようなシステムの構築に視線が向けられることはほとんどなかった.そのなかで北海道札幌市では,戦後日本の都市が試みてこなかった公共交通の連携システムが模索された. 本研究では,我が国の都市公共交通システムにおいて,先進的な役割を果たしたと考えられる札幌市での公共交通ネットワーク形成の過程を対象とし,とくに地下鉄とバスとの連携について,定性的な分析を試みる.2.札幌市における公共交通の整備 北海道札幌市は,人口187万人を有する地方中枢都市のひとつである. 現在に続く公共交通は,1880年に開業した手宮・札幌間の鉄道が嚆矢である.もっとも,札幌市における都市公共交通の機能を拡大させてきたのは,札幌市交通局と民営バス事業者であった.とくに戦前から現在にかけて,市電,市営バス,地下鉄を一体的に運営してきた交通局の位置付けは大きい. 札幌市における公営交通事業は1927年,札幌電気軌道株式会社が運行していた路面電車事業を買収することにより開始された.次いで市営バス事業が1930年,3系統,総系統長14.744kmで開始されている.市電事業は1964年まで拡大され,総延長約25km,1日あたりの輸送人員は約28万人となった.しかし,同年をピークに市電の輸送人員は減少に転じ,市営バスが市電の輸送人員を上回った.1967年には札幌冬季オリンピックの開催を契機として地下鉄建設が決議され,1969年には地下鉄南北線の建設が開始された.これにともなって,地下鉄と重複する区間から市電が順次廃止されており,1971年10月から1974年5月にかけて,4度にわたり廃止・縮小された.また,札幌市における地下鉄の建設・開業にあたっては,市電を廃止するのみならず,市営バス路線の大幅な見直しを実施した.3.地下鉄開業にともなうネットワークの再編成 地下鉄開業以前,札幌市における基幹交通は市電であり,市電が利用できない地域の大部分においては,市営バスがその輸送を担っていた.しかし地下鉄を都市の基幹交通と位置付けるなかで,1971年の地下鉄南北線,北24条・真駒内間の開業にともない,都心から放射状にあった市営バス路線の大部分を,近接の地下鉄駅に短絡させる再編成を行なった.その後7回にわたり,地下鉄の開業にともなって,市営バス路線が再編成されている. これと同時に,地下鉄駅におけるバスターミナル整備と,地下鉄とバスとのあいだで,普通運賃の乗継運賃制度を開始させている.乗継運賃制度は全国初の試みであり,札幌市における軌道系交通とバス交通とのネットワークを形成・維持するうえで,根幹をなす施策であった思われる. また当初は,市営バスのみで再編成および乗継運賃制度が実施されたが,のちに民営バス事業者も対象に組み込まれた.とくに,1994年10月の東豊線福住延伸以降,地下鉄の開業地域周辺におけるバス事業者の主管エリアが,民営バス中心となってきており,これらの大幅な再編成が実施されるようになった.もっとも,これらのバス路線再編が完全に成功しているとはいい難く,わずかに残存した都心直通系統が混雑する傾向も見られる. このようなバス路線の再編成について,地下鉄などの軌道系交通の開業にともなって実施される例が,近年では多くの都市で見られるが,バスターミナルなどのハード面,また乗継運賃制度の導入といったソフト面の双方において,札幌市が先駆的に果たした役割は大きいと思われる.
著者
今井 由美子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.295-299, 2014 (Released:2016-06-01)
参考文献数
16

インフルエンザウイルスは,弱毒型の季節性インフルエンザウイルスであっても,高齢者,乳幼児,妊婦,あるいは糖尿病,喘息,免疫不全などの合併症のあるヒトが感染すると,重症化して死に至ることがある.一方,強毒型のH5N1鳥インフルエンザウイルスはヒトに感染すると高率に呼吸不全や多臓器不全などの致死的病態を引き起こす.さらに昨年,中国でH7N9鳥インフルエンザウイルスのヒトでの感染が見つかった.WHOによると,2013年8月12日時点で135例の感染者が報告され,うち44例が死亡したと報告している.いったんインフルエンザがヒトにおいて重症化すると,オセルタミビルなどの抗インフルエンザ薬はもはや無効となり,集中治療室(ICU)において人工呼吸をはじめとした救命治療が必要となるが,今までのところ重症化したインフルエンザに対して有効な治療法はない.現在,抗インフルエンザ薬として使用されているのは,ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル,ザナミビル等)であるが,これはウイルスタンパク質を標的としているので,最近は耐性を持つウイルスが出現している.またノイラミニダーゼ阻害薬は,感染から48時間以内に投与すると効果があるものの,それを過ぎて投与した場合には,効果がないことが報告されている.一方,現状のワクチンは流行する可能性のある亜型ウイルスを予測して個々に生産する方式である.すべての亜型ウイルスを幅広く防御することを目的としたユニバーサルワクチンの開発が進められているが,これはいまだ実用化には至っていない.ところで,ウイルスは宿主の細胞内小器官を利用して増殖する.ウイルスが侵入した宿主細胞ではウイルスとの相互作用から様々なシグナル伝達系が動き出し,ウイルス・宿主の相互作用が感染症の病態形成の鍵を握る.そこで,従来のウイルスタンパク質を標的とした抗インフルエンザ薬に加えて,ウイルス・宿主の相互作用の観点から宿主を標的にした新しい抗インフルエンザ薬の開発が必要であると考えられる.近年,インフルエンザウイルスと宿主の相互作用に関して,プロテオーム,トランスクリプトーム,あるいはRNA干渉(RNAi)法を用いたデイスラプトーム等のゲノムワイドな解析が行われている.しかしながら,DNA,RNA,タンパク質,その先で機能する生体内化合物,特に脂溶性化合物に関しては,ウイルス感染症における動態,ウイルスの増殖における役割は不明である.今回筆者は,脂肪酸代謝物のライブラリーを用いたスクリーニングと質量分析法による脂肪酸代謝物のリピドミクス解析を通して,多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids:PUFA)由来の代謝物プロテクチンD1(Protectin D1:PD1)がインフルエンザウイルスの増殖を抑えることを見いだした.PD1は,これまで抗炎症作用を有する脂肪酸代謝物として知られていた.今回筆者は,PD1が従来の抗インフルエンザ薬とメカニズムを異にし,ウイルスRNAの核外輸送を抑制することによって作用することを見つけた.
著者
今井 慶松
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1929-02
著者
今井 達也
出版者
Japan Communication Association
雑誌
日本コミュニケーション研究 (ISSN:21887721)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.5-25, 2016-11-30 (Released:2017-05-20)
参考文献数
48

Stigma associated with schizophrenia has been found to negatively impact the communication a schizophrenic individual has with others in face-to-face interactions, but the negative effect on computer-mediated communication has not been fully explored. Four hundred and fourteen participants interacted with a hypothetical target on Facebook, who was believed to have either depression, schizophrenia, or a cavity (i.e., the control group). Results indicated that participants rejected the target labeled as schizophrenic more than the targets without mental illness or labeled as depressive. The mental illness stigma effect on rejection was partially mediated by a low predicted outcome value attached to the schizophrenic target. Further, the target with schizophrenia received more rejecting messages than accepting messages. However, there was not a significant difference between the frequency of rejecting messages and that of the accepting messages the depressed target received. Theoretical and practical contributions were considered.
著者
近藤 康人 小泉 ゆりか 井関 正博 山田 淳 高岡 大造 滝沢 貴久男 安田 昌司 今井 八郎
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.106, 2005 (Released:2005-10-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

A Ti electrode with a noble metal coating was used for sterilization of water. The main product from electrolysis for sterilization is hypochlorite acid. It was found that the hypochlorite acid production rate was consistently higher on Pt-Ir and Pt-Ir-Ta coated Ti electrodes, compared to Pt coated Ti electrodes. The production rate of hypochlorite was independent of temperature. Therefore, it was thought that this hypochlorite would be effective in sterilization of hot bath water and pool water. At the same time, ozone was generated in the electrolyte water. Generation of ozone was conspicuously observed under electrolysis of Pt electrodes. The production rate of ozone depended on the temperature and the concentration of chloride ions in the electrolyte. A high concentration of ozone was observed when the temperature of the solution was below about 15ºC, concentration of chloride ions was 1mM, and a membrane was used to separate the cell. The ozone generated by electrolysis of Pt coated Ti electrodes had a significant effect on sterilization for Bacillus subtilis spores.
著者
田中創 西上智彦 山下浩史 今井亮太 吉本隆昌 牛田享宏
雑誌
日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会
巻号頁・発行日
2020-11-20

末梢器官から脊髄後角へ伝達された痛みの情報は,脳の広範な領域へ伝えられる.その中でも,体性感覚野は痛みの強度,部位,性質を同定する役割を担っている.特に,体性感覚野は痛みの部位を同定する機能を果たしているため,痛みの慢性化により体性感覚野の体部位再現が不明瞭になると,「どこが痛いのか正確に分からない」,「痛みのある部分が実際よりも腫れたように感じる」という訴えが聞かれることがある(Maihofner, 2010).このように,末梢からの侵害刺激によって身体知覚異常が生じることが明らかにされており,慢性疼痛患者の評価において身体知覚は重要な概念である.慢性疼痛患者の身体知覚を客観的に評価する指標には,2点識別覚(Two point discrimination: TPD)がある.TPDは皮膚上の2点を同時に刺激し,2点と感じられる最小の距離を識別する感覚であり,体性感覚野や下頭頂葉の可塑性を反映する評価とされている(Flor, 2000, Akatsuka, 2008).慢性腰痛症例において,腰部の輪郭が拡大していると感じる群ではTPDが有意に低下することを明らかにした(Nishigami, 2015).また,成人脳性麻痺者を対象とした調査において,見かけ上の姿勢異常よりも主観的な身体知覚やTPDの低下が慢性腰痛に関与することを明らかにした(Yamashita, Nishigami, 2019).さらに,我々は超音波を用いて変形性膝関節症(膝OA)患者の膝腫脹を評価し,自覚的腫脹との乖離がある膝OA患者では,安静時痛・運動時痛が強く,TPDの低下を認めることを明らかにした.このように,身体知覚が痛みに影響する一方で,痛みの慢性化には運動恐怖が影響する.運動恐怖とは,痛みによる恐怖心から行動を回避することであり,例えば慢性腰痛患者が腰を曲げることを怖いと感じることなどがそれに当たる.このような運動恐怖を評価する指標としては,これまでFear Avoidance Beliefs QuestionnaireやTampa Scale for Kinesiophobiaが用いられてきた.しかし,これらの評価は自記式質問紙であり,痛みに関連した運動恐怖を客観化する指標にはなり得ない.そのような背景から,近年では痛みに関連した運動恐怖を運動学的異常として捉える運動躊躇という概念が提唱され,運動方向を切り変える時間(Reciprocal Innervation Time: RIT)として表される(Imai, 2018).橈骨遠位端骨折術後患者において,術後早期の運動躊躇が1ヵ月後の運動機能に悪影響を及ぼすことが明らかにされている(Imai, 2020).また,我々はSingle hop test時に運動恐怖を感じている前十字靭帯再建術後患者では,膝屈伸運動中のRITが遅延し,それには位置覚の異常が影響することを調査している.これらより,痛みや身体機能には身体知覚や運動恐怖が密接に関与しており,それらを客観的に定量化することが重要である.今後は,定量化した因子に対して介入することで,慢性疼痛の予防や身体機能の改善につなげていくことが課題である.
著者
津田 恭治 高野 晋吾 今井 資 松原 鉄平 阿久津 博義 松村 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.149-153, 2012 (Released:2013-03-09)
参考文献数
26

We reviewed three cases of mid-brain cavernous angioma treated in our hospital. Here we describe the case summary and discuss therapeutic strategy for this lesion. Case 1 was a 56-year-old man who had dorsal mid-brain cavernous angioma and presented with Parinaud syndrome and right abducent nerve palsy. He had been observed conservatively, because removal of the lesion might be difficult or nearly impossible without producing a postoperative neurological deficit. The lesion increased gradually, and the patient suffered from walk disturbance due to Parkinsonism, and from memory disturbance. After six years of follow-up, he was admitted to a nursing home because of dependence (mRS 4). Case 2 was a 52-year-old woman who had ventral mid-brain cavernous angioma and presented with right hemiparesis. She underwent stereo-tactic radiation therapy (SRT). However, the lesion gradually progressed. Two years after SRT, she became disabled due to right-side hemiplegia and disuse of legs and was admitted to a nursing home (mRS 5). Case 3 was a 37-year-old woman who had dorsal mid-brain cavernous angioma and presented with right-mild hemiparesis, right extremities involuntary movement, right oculomotor nerve palsy, and Parinaud syndrome. The lesion was completely removed surgically via the occipital inter-hemispheric trans-callosal approach with intraoperative neurophysiological monitoring. One year after operation, right hemiparesis and voluntary movement improved gradually and she became able to walk independently, although Parinaud syndrome remained (mRS 3). Only Case 3 showed neurological recovery and an uneventful course. Cavernous angioma with re-hemorrhagic episode and located in a superficial region should be removed aggressively via the proper approach and with intra-operative neurophysiological monitoring.
著者
井上 晴可 窪田 諭 今井 龍一 田中 成典 重高 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_152-I_168, 2015 (Released:2016-03-30)
参考文献数
20

スマートフォンを利用すると高精度な位置情報を容易に取得できるため,災害対応や交通などの分野で位置情報の利活用が期待されている.特に,災害時には,利用者がリアルタイムに正確な位置情報を知る必要がある.しかし,個々のスマートフォンのGPSセンサから取得される位置情報は,周囲の環境や機種で異なるため,精度にばらつきが生じ多くのノイズが含まれる.大規模なプローブパーソンデータを解析することにより,前述の課題に対処することが可能であるが,緊急を要する場合においてはリアルタイム性に欠ける.本研究では,スマートフォンで取得したパーソントリップデータからリアルタイムに信頼性の高いGPSデータを取得するために,3次元の位置情報を対象にノイズを除去する手法を提案する.
著者
[ウネ]村 泰樹 藤岡 秀一 今井 貴 鈴木 旦麿 三澤 健之 村井 隆三 吉田 和彦 小林 進 山崎 洋次
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.2643-2648, 1999-12-01
被引用文献数
2

今後,day surgery (DS)への移行が予測される腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)施行患者の意識調査を施行した.希望入院時期は術前日:55%,2∼3日前:43%,術当日:2%であり,また当日入院は忙しさよりも個々の価値観から派生すると考えられた.83%以上が入院期間延長による負担増額を気にせず入院していた.民間の保障制度には80%が加入し,うち86%が請求していた.術後入院期間短縮を考慮する負担増額は1万円/日程度と思われた.術後入院期間は全例で4.5±1.9日,非常に多忙,多忙,やや余裕あり,余裕ありそれぞれ3.7±0.8,4.3±1.9,4.5±1.9,5.2±2.0日で,余裕のある者で有意に長かった.しかし体験した程度でよいとする者が87%を占め,短縮希望者は8%に止まった.うち自己負担額の増域によらず積極的に早期退院を望む者は全体の3%に過ぎなかった.現行医療保険制度内では,本調査施行患者はLCのDS化にあらゆる面で肯定的とは考えられなかった.
著者
今井 利一
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, 1962

本症の詳細なる記載は,Kuznitzky und Grabisch(1921)の"Uber myxomatose Fibrosarcome dervordere Brustwand",およびDarier and Ferrand(1924)の"Dermatofibromes progressifs et recidivants ou fibrosarcomes de la peau",更にはHoffmann(1925)の"Uver das knollentreibende Fibrosarcom der Haut"(Dermatofibrosarcoma protuberans)の標題の下に発表された論文を以て嚆矢とし,以後一般には"Dermatofibrosarcoma protuberans"乃至"Dermatofibrome von Darier und Ferrand"の名称が汎用されている.しかし,これに相当すると思われる最初の症例報告として,Hoffmann(1925),Senear,Andrews and Wills(1928)らはCoenen(1909)の2例を,Binkley(1939)はNew York Dermatological Societyに供覧したScherwell(1890)の1例を挙げているが,更にJohnston(1901),Taylor(1890)の報告例もこの疾患に該当するものと考えられる.爾後,外国文献には多数の報告例が散見され,Hoffert and Bronx(1952)は文献的に187例を集め記述したが,著者はその後の外国文献に78例を蒐集したので,今日迄に記述されている外国文献は約250例余と推定される.これに比して,本邦における記載は極めて少なく,山﨑(昭13)の2症例を以て嚆矢とし,以後,田中・林(昭15),畑(昭22),渡辺(昭28),前田・藤井(昭29),寺田・山本(昭81),有森(昭81),池田・青木(昭35)の各1例,計9例を見るに過ぎない.著者は最近,本症例の1例を経験したのでその概要を記すと共に,併せて聊かの考察を行つた.
著者
久場 敬司 湊 隆文 韮澤 悟 佐藤 輝紀 山口 智和 渡邊 博之 今井 由美子 高橋 砂織
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第93回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.3-P-314, 2020 (Released:2020-03-18)

Angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2) is a negative regulator of the renin-angiotensin system, critically involved in blood pressure regulation, heart function, lung injury, or fibrotic kidney disease. Recombinant human ACE2 protein (rhACE2), currently clinically evaluated to treat acute lung failure, is a glycosylated protein, requiring time- and cost-consuming protein production in mammalian cells. Here we show that the B38-CAP, a carboxypeptidase derived from Paenibacillus sp. B38, is a novel ACE2-like enzyme to decrease angiotensin II levels in mice. Comparative analysis of protein 3D structures revealed that B38-CAP homologue shares structural similarity to mammalian ACE2 without any apparent sequence identity, containing the consensus HEXXH amino acid sequence of the M32 peptidase family. In vitro, recombinant B38-CAP protein catalyzed the conversion of angiotensin II to angiotensin 1-7, as well as other known ACE2 target peptides, with the same potency and kinetics as human ACE2. Treatment with B38-CAP reduced plasma angiotensin II levels and suppressed angiotensin II-induced hypertension, cardiac hypertrophy and fibrosis in mice. Moreover, continuous infusion of B38-CAP inhibited pressure overload-induced pathological hypertrophy, myocardial fibrosis, and cardiac dysfunction in mice, without any overt toxicity of liver and kidney. Our data identify the bacterial B38-CAP as an ACE2-like carboxypeptidase, which exhibits ACE2-like functions in vitro and in vivo. These results indicate that evolution has shaped a bacterial carboxypeptidase to a human ACE2-like enzyme. Bacterial engineering could be utilized to design improved protein drugs for hypertension and heart failure.
著者
上原 皓 河本 浩明 今井 壽正 白井 誠 曾根 政富 野田 幸子 佐藤 栄人 服部 信孝 山海 嘉之
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.206-214, 2019-12-10 (Released:2020-02-29)
参考文献数
34

Gait festination (GF) is one of the representative locomotion disturbances associated with Parkinsonism, which induces pulsion caused by increased stepping velocity. Fear of falling over and involuntary symptoms caused by GF can have a significant impact on quality of life. Considering previous interventional strategies for GF and their utility in daily life, physical intervention using a wearable system to assist postural disorder and the hastening phenomenon is necessary for patients with GF. The purpose of this study was to develop a wearable system that can assist the patient in extending the trunk and generating internal rhythm. Another objective was to confirm the effectiveness of the system for preventing GF by conducting a gait experiment in a Parkinsonism patient. To design an assistive method, we simulated lateral swing in the standing position based on features of Parkinsonism, and defined the mechanism and power configurations for the system. A power unit at the back of the waist transmits a cyclic force to the chest by a link in the frontal plane. A gait experiment was performed in a Parkinsonism patient with GF to confirm that reduction of the gait cycle is prevented by using the system. The result showed that the linear trendline slope of reduction of the gait cycle decreased. In addition, the maximum stooping angle decreased by half, and the cyclic assistance of the system and gait cycle were harmonized. These results suggest that the system developed is effective in preventing GF by supporting posture and generating internal rhythm.