著者
今井 裕一 岩井 久和 水谷 稔 春日井 邦夫
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.219-226, 2019 (Released:2019-05-18)
参考文献数
23

慢性便秘症で薬物治療中の血液透析患者28例を対象として, 結晶ラクツロース製剤を4週間上乗せ服薬した時の便秘に対する作用および安全性を検討した. 有効性については, 完全な自発排便回数は服薬1週から増加傾向を示し, 4週では有意な増加であった. 便の硬さは服薬1週から有意に改善し, 服薬3週および4週において作用は持続した. また便秘症の重症度については, 服薬開始前の重症度0の被験者は0例, 服薬4週では重症度0は11例と著明に増加した. また, 腎機能の指標であるBUNおよびCrは服薬により有意な低下がみられた. 安全性については, 死亡例はなく, 1例が下痢のため中止となったが, 軽症で服薬中止により回復した. 以上の成績から, 結晶ラクツロース製剤は, 慢性便秘症を有する血液透析患者に対し安全で有用である.
著者
笠原 靖史 今井 千速
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.211-219, 2021 (Released:2021-10-01)
参考文献数
59

膠芽腫は極めて速い増殖と強い浸潤性を併せ持ち,集学的治療によっても予後不良で新規治療の開発が待たれている.キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T細胞)療法は,モノクローナル抗体の抗原認識能力をT細胞へ付与する養子免疫細胞療法で,MHC非拘束性に強力な細胞傷害性を発揮する.近年,膠芽腫を対象としたCARが数多く報告され臨床応用が期待されている.本稿ではCARに関する基礎事項および造血器腫瘍での臨床使用に至る歴史につき紹介し,引き続き膠芽腫に対するCAR-T細胞療法の最近の発展につき概説する.
著者
加藤 貴彦 今井 博久 今井 博久 濱砂 良一 中尾 裕之 篠原 久枝 加藤 貴彦
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究目的は、ある1つの県内の男女学生における無症候の性器クラミジア感染症の有病率と危険因子を明らかにすること、効果的な予防方法とスクリーニング法を検討することである。早朝初尿を検体として用い、近年開発され感度と特異度に優れたPCR方法により陽性率を検討した。第1段階として3176名(女性:1869名、男性:1307名)の対象者を得た調査を実施。大学および専修職業学校に在籍する無症候の性行為経験を有する18歳以上の男女学生における性器クラミジアの有病率は8.7%(女性:9.9%、男性:6.9%)であった。その後、対象者を増やして最終的に、無症候の男女学生10111名から尿サンプルと無記名自記式の性行動に関する質問票の回答を得た。有病率は、女子学生が9.6%、男子学生が6.7%であった。危険因子は、女子学生と男子学生で共通してあったのは、「これまでの性的パートナー数が4名以上」、「必ずしもコンドームを使用しない」、「過去6ヵ月間に2名以上の性的パートナーがいた」であった。女子学生だけの危険因子は「年齢」、男子学生だけのそれは「喫煙」になった。危険因子を用いたスクリーニングが効果的であることが示唆された。本研究班は、18歳以上の学生を対象にクラミジア感染の実態に関する研究を実施してきた。無症候の感染が概ね1割程度あることが明らかになったが、調査研究を進めて行く過程で18歳未満の若年者にも感染が拡大していることが示唆された。そこで、対象の拡大(年齢の引き下げ)を行い、ある県の男女高校生を対象に無症候のクラミジア感染の感染率を明らかにするための試験的な研究(パイロット研究)を実施した。男子高校生が7.3%、女子高校生が13.9%であった。これまでの全部の結果から考えると、わが国のクラミジア感染はかなり蔓延した状態であることが明らかになり、早急に蔓延防止の対策を立てる必要性が示唆された。
著者
石井 彩子 宇田川 友克 柳 清 今井 透
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.279-283, 2003-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
14

スギ花粉症の患者は年々増加傾向で, 現在では国民の10%以上が罹患しており, スギ花粉症は日本人の国民病といわれている。その影響は, 在日外国人にも及んでいる模様で, 花粉症症状を訴えて来院する外国人も年々増加傾向にあると考えられる。その実態を調査するため, 平成14年1月から4月までの期間に鼻汁, 鼻閉, くしゃみ等のアレルギー症状を主訴に聖路加国際病院耳鼻咽喉科を受診した在日外国人患者38人のうち, 血清スギ特異的IgE抗体測定にてスギ花粉症が確認された20人 (男性 : 12人女性8人) を対象にアンケート調査を施行した。来日後発症までの期間は平均約4年であった。在日外国人のスギ花粉症に対する認知度は低い傾向にあり, スギ花粉情報の提供も含めた啓蒙活動が必要であると考えられた。
著者
杉原 直樹 高柳 篤史 石塚 洋一 佐藤 涼一 鈴木 誠太郎 小野瀬 祐紀 今井 光枝 江口 貴子
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.66-72, 2020 (Released:2020-05-15)
参考文献数
26

顆粒配合歯磨剤の市販が開始されて,30年以上が経過しているが,その効果をランダム化比較試験を用いて調べた報告はほとんどなく,現状でその効果が明らかになっているとはいえない.本研究の目的は,顆粒配合歯磨剤の歯垢除去効果および歯周組織への影響を検討することである.対象者は歯周病メインテナンスのために歯科医院に通院している患者であり,研究デザインはランダム化二重盲検クロスオーバー試験である.顆粒配合歯磨剤と顆粒非配合歯磨剤を1か月のウォッシュアウト期間をはさんでそれぞれ3か月間使用し,各歯磨剤の使用開始時と終了時に,同一の歯科医師による検診を行った.PCR値と隣接部位のQHI値の変化は,顆粒配合歯磨剤を使用した場合に有意な改善が認められた.歯周組織の状態,歯肉出血の状況,および歯周ポケットの深さについては有意な差は認められなかったが,顆粒配合歯磨剤を使用した後すべての検診項目の値の改善が認められた.また,クロスオーバー試験における持ち越し効果は認められなかった.なお,顆粒配合歯磨剤使用後に顆粒状物質が残存したのは1名1歯であり,特に炎症,悪化などは認められなかった.顆粒配合歯磨剤は顆粒非配合歯磨剤よりも歯口清掃効果が高かった.しかしながら,歯周組織に対する影響においては顆粒非配合歯磨剤との差は認められなかった.
著者
今井 小の実
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.1-16, 2022-02-28 (Released:2022-05-21)
参考文献数
28

本研究の目的は,1917年7月に制定された軍事救護法の成立過程を明らかにすることによって,同法の誕生が“福祉”行政の創設をもたらしたことを検証することにある.同法の成立により救護課ができ,それがその後の社会事業行政の始まりとなったことから,このような認識は従来から共有されてきたが,その具体的な検証はなされてこなかった.この研究では,陸軍省作成の法案(1916年8月)と内務省案(1917年5月)を比較検討し,軍事救護法が最終的に内務省の思惑を反映してつくられたことを検証する.その際に陸軍省が懸念を示していた四種類の救護と,最後まで抵抗を示した私設団体への委嘱を,内務省が方策を講じ,後者についてはのちの施行令に入れることによって最終的にその目的を遂げたこと,そしてそれが戦後の福祉行政にもつらなる重要な要素であったことを明らかにする.
著者
今井 正司 今井 千鶴子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1098-1104, 2011-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17

本論では,Wellsが開発したメタ認知療法(Metacognitive Therapy:MCT)の理論的背景とその技法について概観した.はじめに,MCTの中核的な理論である自己調節実行(Self-Regulatory Executive Function:S-REF)モデルについて論じた.S-REFモデルは,メタシステム(metasystem unit),下位処理ユニット(low-level processing unit),S-REFユニット(S-REF unit)で構成されており,すべての感情障害に関連してみられる認知注意症候群(Cognitive Attention Syndrome:CAS)と呼ばれる非適応的な認知処理様式について説明するモデルである.CASへの主要な介入としては,メタ認知的信念を変容させる方法と,注意の柔軟性を向上させる方法がある.メタ認知的信念に介入する方法については,全般性不安障害の患者さんを例に,「心配の内容」ではなく「心配の機能」に着目する必要があることを論じた.注意の柔軟性に介入する方法としては,注意訓練(Attention Training:ATT)の理論的背景とその技法について,S-REFモデルを用いて論じた.最後に,MCTの効果的な適用とその基礎モデルの発展に関して考察がなされた.
著者
今井 亮佑 日野 愛郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.5-19, 2012 (Released:2017-08-04)
参考文献数
14

本稿は,日本の参院選の選挙サイクルが総選挙のそれと異なる点に着目し,「二次的選挙」(second-order election)モデルの視点から,参院選における投票行動について検討するものである。欧州の選挙研究は,欧州議会選挙や地方選挙等のいわゆる「二次的選挙」において,その時々の政権の業績が問われ,与党が敗れる傾向があることを示してきた。本稿では,2009年総選挙,2010年参院選前後に行った世論調査(Waseda-CASI & PAPI 2009,Waseda-CASI 2010)をもとに,政権の業績に対する評価が投票行動に及ぼす影響を探った。その結果,業績評価の影響は,「一次的選挙」(総選挙)と「二次的選挙」(参院選)の重要性に関する有権者の主観的評価によって異なることが明らかになった。
著者
松浦 弘幸 野田 信雄 小井手 一晴 福田 吉治 今井 博久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.159-165, 2006-10-20
被引用文献数
1

我々は,都道府県別衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.従属変数は,離婚率である.説明変数は,個人家庭的要因,経済的要因,社会的要因,文化的要因,そして,要因の5つの領域で,30個の変数を用意した.個々のデータの正規分布性を確認した後,変数減少法と分散分析を行い,説明変数の絞込み最終的な重回帰式を決定した.離婚を促進する要因として,完全失業率,年間平均気温,共稼ぎ,核家族,貯金高が大きく作用し,逆に離婚を抑制する要因は,持ち家,年間雪日,学歴,所得が関与している.持ち家政策の推進と,所得の増加は,勤労青少年婦人福祉施設数,3次活動平均時間などの増加よりも効果が大である.
著者
今井 隆雄 渡邉 和男
出版者
近畿大学生物理工学研究所
雑誌
近畿大学生物理工学研究所紀要 = Memoirs of the Research Institute of Biology-Oriented Science and Technology (ISSN:1344414X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.41-47, 1998-11-01

遺伝子組み換え作物に関する民間の認識調査を質問紙を用いて約1000名について行った。調査対象は組み換え体作物由来の食品に関心のある消費者団体および組み換え体等バイオテクノロジーに関与する大学等教育/研究機関を中心として行った。 遺伝子組み換え作物について「安全なら抵抗はない」という解答が7割の人々から得られた。一方、組み換え体に関する技術の情報が、一般市民に十分に流通されていないことや技術論に基づく安全性の情報が提供されていないことが調査から指摘された。 現状の一般社会への速やかな報告と科学的知識を提供することが求められていることが考えられた。このような科学的知識は安全性への不条理な不安だけでなく、感覚的抵抗感や不十分な啓蒙からくる誤解をも払拭すると予測された。 (英文) A survey was made for public perception on genetically engineered crops and their derivative food materials. Questionaire sheets were collected from about one thousand people belonging to concerned parties such as consumers' associations and to colleges or research institutions specialized in biological sciences. A fear came out from the lack of flow of basic information with respect to the transgenic technology and the significance of the genetically engineered crops for the food production and environmental protection. However, more then seventy percent of the answers indicated that providing that the proof of the safety of the transgenic crops were to be openly available, the trangenic crops and their derivative materials could be accepted for uses. Thus, the systematic and abundant information such via public enlightment is the key for gaining understanding towards the new technology and products.
著者
長井 歩 今井 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1769-1777, 2002-06-15

詰将棋を解くプログラムの研究はこの10年の間に大きく進歩した.その原動力となったのは,証明数や反証数という概念の導入である.詰将棋に適用すると,直感的にいうと,証明数は玉の逃げ方の総数を,反証数は攻め方の王手の総数を表す.前者は攻め方にとって,後者は玉方にとって非常に重要な値である.証明数・反証数を対等に扱った,最もナイーブなアルゴリズムは,Allisによるpn-searchという最良優先探索法である.我々は近年,df-pnアルゴリズムという,pn-searchと同等の振舞いをする深さ優先探索法を提案している.この論文では,df-pnアルゴリズムを用いて詰将棋を解く強力なプログラムを作成し,その過程で導入した様々な技法を提案する.これらの技法をdf-pnの上に実装することにより,我々のプログラムでは300手以上の詰将棋のすべてを解くことに初めて成功した.しかもそれは,シングルプロセッサのワークステーションで解くなど,解答能力と解答時間の両面で優れた結果を出すことができた.
著者
今井野菊著
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
1976
著者
松井 淳 本間 真一 小早川 健 尾上 和穂 佐藤 庄衛 今井 亨 安藤 彰男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.427-435, 2004-02-01
参考文献数
11
被引用文献数
22

スポーツ中継番組の字幕放送を,音声認識によって拡充するため,放送音声を積極的に言い換えるリスピーク方式を提案する.ソルトレークシティオリンピック中継のスキージャンプ団体の放送音声と,本方式により言い換えを行った字幕用音声をそれぞれ音声認識した結果,単語正解精度が45.6%から96.8%に改善した.また,リスピークにおいて積極的に言い換える効果を調べるため,実際の字幕放送と同様の条件下で採取した発話内容について言い換えのパターンを五つに分類し,それぞれのパープレキシティ削減率を比較した結果,語の補完による言い換えが7.3%と最も効果が高かった.字幕放送の実質的な性能を左右する文正解率については,言い換えがおうむ返しによるリスピークに比べて,スピードスケートで8.8%,スキージャンプで6.6%向上した.NHKでは,本方式を利用することにより,口語的な発話スタイルを多く含んだソルトレークシティオリンピック中継(2002年3月),及び,第52目NHK紅白歌合戦(2001年12月)の字幕放送を実現させた.
著者
吉村 元 今井 幸弘 別府 美奈子 尾原 信行 小林 潤也 葛谷 聡 山上 宏 川本 未知 幸原 伸夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.713-720, 2008 (Released:2008-12-01)
参考文献数
29
被引用文献数
4 7

症例は76歳男性である.インフルエンザA型感染症発症直後に高度の意識障害を呈し,その後急激にDICやショック,多臓器不全も合併した.インフルエンザ脳症(IAE)と診断し,オセルタミビル投与,ステロイドパルス療法を施行するも効果無く,発症から24時間強で死亡した.剖検では大脳に著明な浮腫とアメーバ様グリアのびまん性増加をみとめたが,炎症細胞浸潤は無かった.また,インフルエンザウイルスA・H3香港型が剖検肺から分離され,保存血清中のIL-6は35,800pg/mlと著明高値であった.本症例の臨床経過,検査所見,病理所見は小児IAE典型例と同様であり,成人でも小児と共通した病態機序でIAEをきたしうる.
著者
佐藤 毅彦 前田 健悟 今井 一雅 戎崎 俊一 川井 和彦 坪田 幸政
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

平成17年度に引き続き、星座カメラi-CANを米国ニューメキシコ州(アパッチポイント天文台)、スペイン・カナリー諸島(ブラッドフォード望遠鏡施設)、米国ハワイ州(国立天文台すばる望遠鏡)に設置した。これにより、海外6サイト、国内1サイトのネットワークが完成した。特にスペイン・サイトの設置は、日本の早朝に夜空の観察を可能とし、学校の授業での利用に対する制限を大幅に緩和した。また、ハワイ・サイトは、子どもたちが帰宅した後、自宅から星空を見るのに便利である。授業後の感想に大変多い「家へ帰ったら、早速見てみたい」という希望を叶えるものとなった。授業実践も、熊本市立龍田小学校、同清水小学校、同松尾西小学校、天草市立本町小学校、北海道教育大学附属小・中学校、石狩市立石狩小学校などにおいて、多数行った。また、科学技術館におけるサイエンス・ライブショー「ユニバース」での定期的な活用、熊本市博物館における特別講演会「ワンダー・プラネタリウム:南天の星空を見上げて」など、社会教育への展開も精力的に行った。これらを通じて、子どもたちの反応をアンケートにもとづき評価し、「興味・関心・意欲」といった情意面、「知識・理解」といった認知面の両方において有効な天体学習ツールに成長し得たことを確認できた。今後は授業での活用を継続するとともに、科学館・博物館における有効利用、さらに宇宙航空研究開発機構などで推進されている宇宙開発の啓蒙の一端を担うツールとしての発展が期待される。
著者
今井 一良
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.17, pp.7-17, 1984-10-01 (Released:2010-02-22)

Shigeko Uriu, nee Masuda is one of the first Japanese girl students sent to the U.S. in 1871. When she arrived at Washington D.C., she was only ten years old. In 1872 she was placed in the care of Rev. Dr. John S.C. Abbott in Fair Haven, Conn., and his daughter Miss Nelly Abbott became her second mother and teacher. For seven years she was brought up by Miss Abbott till she entered the Vassar College in Poughkeepsie, N. Y..In 1881, on her graduation from the Vassar College she came back to Japan. Next year she became a music teacher at the request of the Ministry of Education, and at the end of this year she got married to Sotokichi Uriu, a naval officer who was the first Japanese graduate of Annapolis. Thereafter besides teaching music and English at many schools, such as Tokyo Higher Girls' School, Tokyo Music School, and Tokyo Women's Higher Normal School, she lived to be a good wife and wise mother.On the 3rd of November, 1928, suffering from cancer of the rectum, she died at the age of sixty-seven.Now her fourth son is alive and has many articles left by his parents. Among them I found two interesting pieces of writing.One is her diary written in a notebook when she was at thirteen and fourteen years of age and the other is a document under the title of‘My recollections of the Early Meidji days’.The former is written in fairly good English, though it was only a few years since she began to learn English. According to her diary she often made a trip around New England with Miss Abbott every summer vacation, and in July the 7th, 1875, after listening to Longfellow ricite his poems, she met him in Brunswick, Main. She also confessed the Christian faith in this diary of hers.The latter written in 1927, the year before she died, was printed in the Japan Advertiser on the 11th of September that year. In this article the observation of her childhood and the various amusing events which happened before and after her sending to America are described vividly, and it is concluded with the following:Our stay of three years in America was prolonged to ten years during which time we enjoyed perfect freedom as all American young girls of good families enjoy and the memory of our young lives in that dear country will nevelr fade.