著者
今井 俊吾 阿部 真也 松井 洸 柏木 仁 佐藤 夕紀 武隈 洋 吉町 昌子 菅原 満
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.75-87, 2022-08-31 (Released:2022-10-11)
参考文献数
17

Objective: In our previous study, we revealed that articles on "dangerous drugs" in weekly magazines are inadequate and incomplete with respect to scientific validity, and that there may be many aspects that need to be improved. Next, the extent to which medical professionals, including doctors, pharmacists, and nurses, received consultations by patients owing to such media reports and what countermeasures are implemented requires clarification. In the present study, as a first step, we performed a questionnaire survey of community pharmacists to clarify the occurrence of such consultations.Methods: A questionnaire survey was conducted among 698 community pharmacists. The survey was conducted over 10 days from December 8 to 17, 2021.Results: Out of the 698 community pharmacists, 545 responded (response rate: 78.1%). Of these, 323 (59.3%) had experienced consultations from patients owing to media reports on the dangers of drugs. Of the 323 respondents, 215 (66.6%) had experienced these consultations less than five times. In contrast, 83 respondents (25.7%) reported more than 10 such consultations. Of the 545 respondents, 190 (34.9%) responded that they routinely perform measures to deal with media reports on the dangers of drugs. The most common routine measure was the "regular checking of various media sources (including preparation of responses when receiving consultation requests)."Conclusion: Our results indicated that more than half of the community pharmacists had experienced receiving consultations from patients, although only approximately 30% were adopting routine measures. This suggests that community pharmacists have been affected to some extent by these media reports, and that further countermeasures need to be implemented.
著者
今井 瞳良
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.137-154, 2019

<p>本稿は、白川和子が主演した日活ロマンポルノの団地妻シリーズ『団地妻昼下りの情事』( 西村昭五郎監督、1971 年 ) と『団地妻 しのび逢い』(西村昭五郎監督、1972 年)の分析を通して、「団地妻」が「密室に籠る団地妻」からの解放を模索していたことを明らかにする。団地妻は憧れのライフスタイルであるとともに、社会から隔絶され、孤立した「密室に籠る団地妻」としてイメージされてきた。ところが、団地妻イメージとして絶大な影響力を持った白川主演の「団地妻映画」は、「密室に籠る団地妻」からの解放を模索する「団地妻」と、会社に組み込まれた不安定な「団地夫」の夫婦を定型としている。「団地妻映画」は、「密室に籠る団地妻」というイメージにはあてはまらない作品であったのだ。ところが、結婚して本物の団地妻となり引退した白川和子は、「団地妻映画」と「密室に籠る団地妻」という相反するイメージを接続させ、遡行的に団地妻イメージの起源となっていく。白川が「団地妻」を演じた『昼下りの情事』と『しのび逢い』は、「密室に籠る団地妻」からの解放を模索する「団地妻映画」であったにもかかわらず、団地妻イメージの起源として捏造されたのである。</p>
著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45031, (Released:2021-11-05)
参考文献数
15

本研究では,若年労働者の思考のモデリングが,経験学習と職場における能力向上に与える影響と,思考のモデリングの実態を調査した.インターネット調査で取得したデータをもとに構造方程式モデリングを用い,仮説を検証した結果,思考のモデリングは経験学習の具体的経験,および職場における能力向上に正の影響を与えることが明らかになった.また,若年労働者は上司や先輩から,主に仕事や業務の仕方や方法や進め方,過去のものを含む資料といった対象に注目し,見る・聞く・読むことで思考のモデリングをしていることが示された.さらに,職場における能力向上の上位群では,仕事相手を含む対象まで観察できていたり,見る・聞く・読むことに加えて,分析することで,より深い思考を学んでいることが示された.
著者
藤井 景介 今井 謙一郎 都丸 泰寿 内藤 実 坂田 康彰 福島 洋介 小林 明男 依田 哲也
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.81-86, 2005-09-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

訪問歯科診療後, 歯性感染により敗血症を発症した症例を報告する. 患者は67歳, 男性で糖尿病, 肝硬変, 慢性腎不全があり右側頬部から頸部にかけての腫脹と激痛を主訴に当院救急部に来院した. 患者は訪問歯科診療で根管処置を受け, 同日夜より右側頬部から頸部にかけて腫脹と激痛が出現し, 全身倦怠感もみられた. われわれは右側急性下顎骨炎, 頸部蜂窩織炎と診断した. 抗菌薬投与およびドレナージ施行したが翌日より敗血症によるショック状態となった. その後, ドレナージの追加および内科的治療を行うも意識レベルがもどらず, 入院46日後, 死亡した. 死因は腎不全による尿酸の増加であった. 訪問歯科診療は近年増加する傾向にあるが, しかし, 安易な治療により重篤な感染を起こす可能性があり, 患者の既往歴および現在の全身状態の把握が必要である.
著者
今井 むつみ 岡田 浩之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

ヒトの非論理的だが効率のよい思考の背景に、本来一方向でしか成り立たないA→Bの関係の学習から逆方向のB→Aを同時に推論してしまう「対称性バイアス」があると言われている。このバイアスは私たちの言語学習と深い関連をもつと考えられてきたが、その詳細や発達的・進化的起源は不明である。本研究ではヒト乳児とチンパンジーの種間比較から、対称性バイアスがヒトで言語獲得以前に現れること、チンパンジーに比べヒトではこのバイアスが強く現れることを明らかにした。以上の結果をふまえ、対称性バイアスの発達や言語機能との関係等について考察した。
著者
今井 康雄
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.188-201, 2015 (Released:2016-05-18)
参考文献数
42
被引用文献数
1

エビデンスに基づくことで教育は劇的に改善されるとする主張が興隆しているが、教育の領域でエビデンスはその証拠能力に依拠する限り無力であり、エビデンスの威力はそのレトリック的効果に由来する。エビデンス批判もこのレトリック的効果に目を向けており、教育を支えるに足るエビデンスの可能性は真剣に考慮されていない。「エビデンスに基づく医療」の状況を検討し、エビデンスの概念史を再構成することを通して、エビデンスは教育を支えるのか、それともその基盤を掘り崩すのか、といった二者択一には収まらない、エビデンスと教育の複雑な関係が浮き彫りになる。
著者
今井 秀周
出版者
東海学院大学
雑誌
東海学院大学紀要 (ISSN:18827608)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.139-148, 2011-03-20
著者
今井 信也 小川 俊夫 赤羽 学 今村 知明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.141-149, 2014 (Released:2016-04-20)
参考文献数
12

磁気共鳴画像装置(MRI)は今日の画像診断において欠かすことのできない検査機器であるが,その採算性についてはMRIの性能や利用頻度,また周辺地域の導入状況に影響されると考えられる.そこで本稿では平成23年度に一般病院で稼働しているMRIの一台あたり年間収支差を年間費用と収入より試算し,MRI導入の採算性を性能別,病床規模別,都道府県別に分析を行った.MRIの年間収支差は,1.5テスラ以上では病床規模別,都道府県別においてばらつきはあるものの,ほぼすべて黒字であったが,1.5テスラ未満ではほぼすべて赤字であった.MRI導入による採算性の要因としては,病床規模での各種加算の取得割合の違いや,地域でのMRI一台あたりの人口および医師数が大きく関係していた.病院経営の視点から,高性能なMRIは病床規模や地域性に関わらず導入を検討できうる医療機器であると考えるが,採算面だけでなく臨床的な必要性や間接的な収支を考慮するべきである.
著者
宇根 桐子 今井 昭一
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-57, 2001-02
被引用文献数
2 1

本学1年次の学生85名(男13人、女72人)に、二重盲検法の原理に従って、市販のカフェイン抜きコーヒー(ネスカフェーゴールドブレンド、ネッスル社) とカフェイン入りコーヒー(上のカフェイン抜きコーヒーに日本薬局方カフェイン[丸石製薬] 250mgを添加) を飲用させ、単純な計算能力および心拍数に対するカフェインの作用について検討した。計算能力の検査には、内田・クレッペリンの標準型検査用紙(日本精神技術研究所) を用い、練習効果による計算能力の向上がほぼ一段落する時点でコーヒーを飲用させた。その結果、飲用後20分近く経過した時点で、カフェイン入りコーヒー飲用群の計算能力はカフェイン抜きコーヒー飲用群のそれを有意に上回ること、この効果は、飲用後1時間を過ぎ、カフェイン抜きコーヒー飲用群では計算能力の低下が見られるようになった時点でもなお認められ、カフェインには単純な計算能力を向上させる作用と疲労による能力の低下を抑制する作用とがあることがわかった。計算の誤謬率もカフェイン入り飲用群でやや低い傾向を示したが、有意の差ではなかった。心拍数はカフェイン入りコーヒー飲用群で低下した。
著者
今井 玄哉 塩田 憲司 高岡 昌輝 大下 和徹 水野 忠雄 森澤 眞輔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第21回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.192, 2010 (Released:2010-11-07)

本研究では廃棄物焼却炉から排出されるSPM、PM2.5の実態を明らかにすることを目的とし、実際に稼働している廃棄物焼却炉(4施設)における排ガス中のばいじんを集塵装置(バグフィルター)前と煙突前で粒径別に捕集してばいじん量の変化を測定し、また電気集塵機が使われていた同一施設における1998年の調査結果と今回の結果とを比較することで新旧集塵装置の評価を行った。4施設の煙突前の排ガス中ダスト濃度の平均値は1998年時点に比べ1/200以下に低減されていた。全粒径ダストの集塵効率はいずれの工場においても99.97%以上であり、設備更新前に比べ上昇した。PM2.5の集塵効率については99.93%以上であった。最新式の排ガス処理設備が導入された廃棄物焼却炉からは一次粒子としてのSPM、PM2.5の排出は極めて少ないと考えられ、また1998年の調査結果と比べダイオキシン類対策の効果が認められた。
著者
清水 麻由 今井 孝成 山崎 さやか 矢川 綾子 宮沢 篤生 中村 俊紀 北條 菜穂 石川 良子 神谷 太郎 板橋 家頭夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.128-133, 2016 (Released:2016-04-16)
参考文献数
20

【目的】インフルエンザ予防接種ガイドラインには,鶏卵完全除去中や鶏卵摂取後にアナフィラキシー歴がある児は専門施設へ紹介するとし,安全性についての記載はない.今回,特に重症な鶏卵アレルギー児を対象に当科でインフルエンザワクチンを接種した後の副反応について検討し,17例のケースシリーズとして報告する.【方法】対象は平成25年度にインフルエンザワクチンを希望し,当該ワクチンの接種歴がなくかつ重症な鶏卵アレルギー児(鶏卵完全除去中かつ卵白またはOvomucoid(OVM)特異的IgE値がスコア4以上である児〔以下完全除去児〕,または鶏卵摂取にてSampson分類でGrade III以上の強いアナフィラキシー症状の既往のある児〔以下アナフィラキシー児〕)とした.接種前に10倍希釈ワクチン液でプリックテストを施行し,2分割接種を行った.主要評価項目は,接種後30分以内,24時間以内の副反応の出現状況とした.【結果】17例(完全除去児9例,アナフィラキシー児8例)を対象に,のべ33回接種を行い,接種後の副反応は,分割接種30分以内,24時間以内とも認めなかった.【結論】重症な鶏卵アレルギーであっても,インフルエンザワクチンは安全に接種できる可能性が高い.
著者
今井 康雄
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.188-201, 2015

エビデンスに基づくことで教育は劇的に改善されるとする主張が興隆しているが、教育の領域でエビデンスはその証拠能力に依拠する限り無力であり、エビデンスの威力はそのレトリック的効果に由来する。エビデンス批判もこのレトリック的効果に目を向けており、教育を支えるに足るエビデンスの可能性は真剣に考慮されていない。「エビデンスに基づく医療」の状況を検討し、エビデンスの概念史を再構成することを通して、エビデンスは教育を支えるのか、それともその基盤を掘り崩すのか、といった二者択一には収まらない、エビデンスと教育の複雑な関係が浮き彫りになる。
著者
今井 瞳良
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.137-154, 2019-07-25 (Released:2019-11-19)
参考文献数
55

本稿は、白川和子が主演した日活ロマンポルノの団地妻シリーズ『団地妻昼下りの情事』( 西村昭五郎監督、1971 年 ) と『団地妻 しのび逢い』(西村昭五郎監督、1972 年)の分析を通して、「団地妻」が「密室に籠る団地妻」からの解放を模索していたことを明らかにする。団地妻は憧れのライフスタイルであるとともに、社会から隔絶され、孤立した「密室に籠る団地妻」としてイメージされてきた。ところが、団地妻イメージとして絶大な影響力を持った白川主演の「団地妻映画」は、「密室に籠る団地妻」からの解放を模索する「団地妻」と、会社に組み込まれた不安定な「団地夫」の夫婦を定型としている。「団地妻映画」は、「密室に籠る団地妻」というイメージにはあてはまらない作品であったのだ。ところが、結婚して本物の団地妻となり引退した白川和子は、「団地妻映画」と「密室に籠る団地妻」という相反するイメージを接続させ、遡行的に団地妻イメージの起源となっていく。白川が「団地妻」を演じた『昼下りの情事』と『しのび逢い』は、「密室に籠る団地妻」からの解放を模索する「団地妻映画」であったにもかかわらず、団地妻イメージの起源として捏造されたのである。
著者
酒井 政裕 今井 健男
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_103-1_119, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

SAT問題は,命題論理式の充足可能性問題,すなわち命題変数を含む論理式に対し,その論理式を真にするような命題変数への値の割り当てが存在するかを決定する問題である.SATは古典的なNP完全問題であり,計算量的には難しい問題であるものの,近年のアルゴリズムの改良とハードウェアの進化によって著しい高性能化が実現された結果として,様々な分野への応用が行われている.本稿ではSATにまつわる研究で現在活発な領域として,関連する問題クラスへの応用やそれにまつわる研究分野との間の交流について,調査し,紹介する.