著者
栗栖 実 今井 正幸
出版者
生命の起原および進化学会
雑誌
Viva Origino (ISSN:09104003)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.3, 2023 (Released:2023-06-23)
参考文献数
333

Vesicles are membrane compartments in aqueous solutions consisting of self-assembled amphiphilic molecules such as lipids. Before the first living systems emerged from non-living forms of matter, functional macromolecules and vesicles must have assembled to form prebiotic self-reproducing compartment systems called “protocells.” Although we cannot observe protocells today, recent advances in soft matter physics, systems chemistry, and synthetic biology are making steady progress in our bottom-up understanding of what bridges non-living and living systems. In this review, we focus on the vesicular compartment aspect of recent protocell research and provide a membrane physics background that helps us understand how protocells reproduced themselves four billion years ago. In addition to prebiotically plausible reactions and dynamics, we also focus on the non-natural (or artificial) approaches that can achieve the same essential concepts of protocells in different ways from biological systems. Therefore, this review will provide knowledge on vesicles also for researchers and students interested in artificial cells and minimal cells.
著者
今井 秀和
出版者
大東文化大学
雑誌
日本文学研究 (ISSN:03862070)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.67-76, 2007-02-15
著者
今井 奈妙 稲津 教久 Imai Nami Inazu Norihisa
出版者
三重大学大学院医学系研究科看護学専攻
雑誌
三重看護学誌 = Mie Nursing Journal (ISSN:13446983)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-8, 2020-03-31

Individuals can make the greatest contribution to changes in human disease structure by reviewing their living environment, which reduces the burden on the natural environment, but nursing students are less aware of relationship between environment and health issues. In order to build awareness of environmental issues, it is important to make them interested in it. Therefore, from three nursing viewpoints such as eating, breathing and wearing (touching the skin), three points will be described in this document; such as “how neonicotinoid compounds affect human health”, “how pyrethroid insecticides, quaternary ammonium salts and isocyanates affect human health” and “how synthesis surfactant affect skin barrier structure”. Learning about the connection between the environment and health and working on improving the environment is also about thinking about the past and future of humanity. Investigating the environmental factors that have caused illness from nursing subjects together with the subjects leads to real life activity support as a nursing staff.
著者
田中 聡 池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.147-157, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
36

個人が自己や環境に能動的・主体的に働きかけて組織適応を図るプロアクティブ行動は,業務能力向上など職場における能力向上を促すと言われているが,そのプロセスについては明らかになっていない.そこで,本研究の目的は,若年労働者のプロアクティブ行動が職場における能力向上に与える影響を,リフレクションの媒介効果に着目して検討することであった.国内企業に勤務する20代942名(平均26.6歳, 女性46.0%)に調査を実施した.因子分析によってプロアクティブ行動がフィードバック探索行動,組織情報探索行動,ネットワーキング行動から成ることを示した上で,それらがリフレクションを媒介して能力向上に与える影響を検討した.パス解析の結果,フィードバック探索行動と組織情報探索行動がリフレクションを媒介して,職場における能力向上に正の影響を与えることが明らかになった.以上の結果から考えられる本研究の意義と今後の課題について検討を行った.
著者
今井 光信
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.27-35, 1998-10-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
16
著者
恩田 光子 今井 博久 春日 美香 安田 実央 下村 真美子 岡本 夏実 高田 百合菜 七海 陽子 田中 有香 荒川 行生
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.21-33, 2015 (Released:2015-06-28)
参考文献数
37

Objective: To examine the effect of pharmacists’ visits to homebound patients on the elimination of unused drugs.Method: We conducted a survey with pharmacies throughout Japan that provided home-visit service, asking them questions regarding their work with up to five patients (the survey period was from January 15 through the end of February, 2013).  Main survey questions were: (1) whether they managed unused drugs since the start of their home-visit, and (2) how they managed the unused drugs.  For (2), we conducted case studies by asking the pharmacists to choose the case that impressed them most and describe the unused drugs involved, actions taken, and the results.Results: Data on 5,447 patients were collected from 1,890 pharmacies throughout Japan (collection rate: 56.9%).  Pharmacists managed unused drugs from 2,484 patients (45.6%). 1,746 patients (3,590 cases) were qualified for analysis.  In 2,332 cases (65.0%), pharmacist intervention eliminated the incidences of unused drugs.  In 782 cases (21.8%), unused drugs were discarded, while the number of drug administration days was adjusted in 2,623 cases (73.1%).  In 21 cases (0.6%), drugs were both discarded and had the number of days adjusted.  There were others for 164 cases (4.5%).  The total price of the eliminated unused drugs was approximately 6,920,000 yen (4,000 yen/person).  Illnesses that benefited most from the elimination of unused drugs were chronic respiratory failure (16,306 yen/person), and Parkinson’s disease (4,803 yen/person).Conclusion: We confirmed the economic effect of eliminating unused drugs by pharmacists’ home visits.
著者
長井 歩 今井 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1769-1777, 2002-06-15
参考文献数
18
被引用文献数
9

詰将棋を解くプログラムの研究はこの10年の間に大きく進歩した.その原動力となったのは,証明数や反証数という概念の導入である.詰将棋に適用すると,直感的にいうと,証明数は玉の逃げ方の総数を,反証数は攻め方の王手の総数を表す.前者は攻め方にとって,後者は玉方にとって非常に重要な値である.証明数・反証数を対等に扱った,最もナイーブなアルゴリズムは,Allisによるpn-searchという最良優先探索法である.我々は近年,df-pnアルゴリズムという,pn-searchと同等の振舞いをする深さ優先探索法を提案している.この論文では,df-pnアルゴリズムを用いて詰将棋を解く強力なプログラムを作成し,その過程で導入した様々な技法を提案する.これらの技法をdf-pnの上に実装することにより,我々のプログラムでは300手以上の詰将棋のすべてを解くことに初めて成功した.しかもそれは,シングルプロセッサのワークステーションで解くなど,解答能力と解答時間の両面で優れた結果を出すことができた.During this decade, a study of programs to solve Tsume-Shogi problemshas greatly advanced. This is due to the development ofthe concept of a proof number and a disproof number.Allis' pn-search is the most naive best-first algorithm that usesboth proof numbers and disproof numbers on equal terms.We already developed a df-pn algorithm which is a depth-firstalgorithm that behaves the same as pn-search.In this paper, we applied df-pn algorithm to a program solvingTsume-Shogi problems. Moreover, we propose some techniqueswhich we imported during implementing the program.As a result, by these techniques implemented on df-pn,our program solved all the Tsume-Shogi problems,for the first time, that require over 300 plies to reach to the checkmate.
著者
安藤 彰男 今井 亨 小林 彰夫 本間 真一 後藤 淳 清山 信正 三島 剛 小早川 健 佐藤 庄衛 尾上 和穂 世木 寛之 今井 篤 松井 淳 中村 章 田中 英輝 都木 徹 宮坂 栄一 磯野 春雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.877-887, 2001-06-01
被引用文献数
57

テレビニュース番組に対する字幕放送を実現するためには, リアルタイムで字幕原稿を作成する必要がある.欧米では特殊なキーボード入力により, ニュースの字幕原稿が作成されているが, 日本語の場合には, 仮名漢字変換などに時間がかかるため, アナウンサーの声に追従して字幕原稿を入力することは難しい.そこで, 音声認識を利用した, 放送ニュース番組用の字幕制作システムを開発した.このシステムは, アナウンサーの音声をリアルタイムで認識し, 認識結果中の認識誤りを即座に人手で修正して, 字幕原稿を作成するシステムである.NHKでは, 本システムを利用して, 平成12年3月27日から, ニュース番組「ニュース7」の字幕放送を開始した.
著者
葛西 豊高 川辺 晃一 村松 誠司 宮原 庸介 福田 裕昭 江藤 宏幸 中原 守康 今井 崇紀 田中 健丈 新井 基展
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.1554-1560, 2019 (Released:2019-08-20)
参考文献数
16

64歳,男性.食欲不振・下痢により,9カ月間で23kgの体重減少を認めた.高血圧症に対して,オルメサルタン内服歴が10年間あった.上下部内視鏡検査では原因となる疾患を認めず,小腸カプセル内視鏡検査で,十二指腸・小腸の絨毛萎縮を認めた.十二指腸粘膜生検ではアミロイド沈着,異型リンパ球は認めず,便培養・便虫卵検査が陰性であることから,セリアック病を疑った.オルメサルタン内服中であることから,セリアック病と同様の臨床像を呈するオルメサルタン関連スプルー様腸疾患を疑い,オルメサルタンを中止とした.その後,食欲不振・下痢・体重減少は改善し,4カ月後の小腸カプセル内視鏡検査で,十二指腸・小腸の絨毛萎縮の改善を認めた.慢性下痢の原因として,オルメサルタン内服中の場合には,オルメサルタン関連スプルー様腸疾患を念頭におくべきである.小腸カプセル内視鏡検査は小腸絨毛の萎縮評価に有用であった.
著者
今井 浩三 山下 健太郎 林 敏昭 村上 理絵子 高橋 裕樹 杉山 敏郎 千葉 進 谷内 昭
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.324-328, 1993-08-31 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

31歳女性.数年の経過で全身倦怠感があり,自宅で臥床していたが,全身倦怠感,関節痛,頭痛および眼瞼下垂を主訴として,精査を求めて平成4年4月当科入院.諸検査より慢性疲労症候群(CFS),シェーグレン症候群ならびに重症筋無力症を疑われたが,アメリカCDCの診断基準に基づいてCFSと診断した.一方, CFSは他の慢性疾患が除外されなければ診断できないため,鑑別診断を試みた.シェーグレン症候群に関しては唾液分泌能試験およびSchirmer試験陽性であり,疑い例とされたが,自己抗体を含めて他の検査は陰性であった.重症筋無力症については眼瞼下垂,外眼筋麻痺が認められ,またテンシロンテスト陽性と判断されたが,誘発筋電図,抗AChR抗体は陰性で確定診断に至らなかった. CFSは注目すべき疾患と思われるが,本症例のようにいくつかの自己免疫疾患と鑑別が困難な場合もあると思われ,その点で興味がもたれたので報告した.
著者
恩田 光子 今井 博久 正野 貴子 高田 百合菜 藤井 真吾 七海 陽子 荒川 行生
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-11, 2016-08-31 (Released:2016-09-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2

ほとんどの在宅療養患者には,複数の薬剤が処方されており,政府は薬剤師による在宅ケアへのさらなる参画を推進している.しかしながら,副作用(副作用の疑い)(Adverse Drug Reactions: 以下 ADRs)の発生に関する情報はほとんど存在しない.本研究の目的は,在宅療養患者における薬物治療に伴う ADRs の発生状況,ADRs との関連要因について明らかにすることである.調査対象は全国の保険薬局とし,当該薬局において訪問サービスを実施している薬剤師に対して,訪問対象患者に関する調査票への記入を依頼した.主な調査項目は,患者属性,内服薬の品目数,ADRs の有無とその具体的内容,訪問サービスに係る薬剤師の業務量とした.1,890薬局から5,447人分の患者データを収集した結果,薬剤師が訪問時に ADRs を発見した患者割合は14.4%であった.10件以上報告された ADRs は12症状分類で全体の85.2%を占め,上位5症状分類は,めまい・ふらつき・立ちくらみ等,消化器障害,臨床検査値異常,意識障害,皮膚症状であった.被疑薬は,上位12症状分類のうち7症状分類において,催眠鎮静剤・抗不安剤,精神神経用剤,その他の中枢神経系用薬のいずれかが被疑薬の上位3項目に含まれていた.また,ADRs との関連要因として,患者の性別,居住形態,内服薬の品目数等が抽出された.日本の在宅医療における ADRs の割合は,諸外国と比較し大差はないが,被疑薬に占める中枢神経系用薬の割合が高いことが示唆された.また,ADRs の発生と多剤併用の関連も実証されたことから,医師と薬剤師の協働による中枢神経系用薬の減薬に取り組む必要がある.
著者
廣瀬 雄紀 木下 晃吉 木下 勇次 石本 詩子 柴田 恵子 山口 るり 赤須 貴文 三浦 由紀子 横田 健晴 今井 那美 岩久 章 木島 洋征 小池 和彦 猿田 雅之
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.355-362, 2018-07-20 (Released:2018-07-27)
参考文献数
32

症例は84歳の男性.C型肝硬変で当科へ通院中.肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)に対して,局所治療や血管内治療を繰り返していた.肝内に多発再発を認めたが,腎機能障害のため血管内治療は継続困難となった.テガフール・ウラシル配合剤投与を行うも腫瘍マーカーは上昇傾向であり,投与を中止した.その後HCCは経時的に増加・増大し,多発肺転移も認めた.免疫賦活作用を期待して十全大補湯を開始したところ,開始1カ月後に腫瘍マーカーは著明に低下し,開始6カ月後には一部の肝内病変は縮小し多発肺転移は消失した.十全大補湯による抗腫瘍効果と考えられ,推奨された治療に対して抵抗性,または肝機能不良の進行HCC症例に対して,1つの選択肢となり得る可能性が示唆された.
著者
今井 佐恵子 松田 美久子 藤本 さおり 宮谷 秀一 長谷川 剛二 福井 道明 森上 眞弓 小笹 寧子 梶山 静夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.112-115, 2010 (Released:2010-04-26)
参考文献数
9
被引用文献数
5

2型糖尿病患者を対象に,野菜を米飯の後に摂取した場合と米飯の前に摂取した場合の,摂取後の血糖値および血清インスリン値を無作為クロスオーバー法により調べた.野菜から先に摂取すると,米飯から先に摂取した場合と比較して,30分後の血糖値は217±40 mg/dlから172±31 mg/dl(p<0.01),60分後は208±56 mg/dlから187±41 mg/dlと低値を示した.インスリン値も30分後,60分後共に有意に抑制された.「食べる順番」を重視した容易な教育方法が食事指導に重要であると考える.
著者
落合 邦康 今井 健一 落合(栗田) 智子
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.111-120, 2014 (Released:2014-07-31)
参考文献数
30

全ての腸内フローラ構成細菌と食物は,口腔を経由して腸管に至り,複雑な腸内フローラが形成される.腸管の生理作用と恒常性維持における腸内フローラの有益性,そして,食物繊維やオリゴ糖の生理作用の本体が短鎖脂肪酸(SCFA)であることは広く知られている.一方,慢性炎症性疾患・歯周病は,糖尿病や動脈硬化などさまざまな全身疾患の誘因となることがさまざまな分野で報告され,口腔と全身疾患との関わりが広く注目されている.歯周病の主要原因菌である一群の口腔嫌気性グラム陰性菌は,大量のSCFA,特に酪酸を産生する.口腔において高濃度の酪酸は,歯周組織にさまざまな為害作用を及ぼすと同時に,口腔環境維持に重要なレンサ球菌群の発育を阻害し,デンタルプラーク蓄積を仲介するActinomyces属の増殖を促進するため,病原性プラークへの遷移が促進される.また,酪酸は,そのエピジェネティック制御作用により,潜伏感染状態にあるヒト免疫不全ウイルスやEpstein-Barrウイルスを再活性化し,AIDSや種々の腫瘍発症に関与すると共に,がん細胞の転移にも関与する可能性が示唆される.細菌の代謝産物・酪酸は,口腔と腸管ではなぜ異なった作用を示すのか,共生細菌と宿主(組織)間の相互作用を理解する上からも興味深い.内因性感染症や共生細菌研究において,菌体が宿主に及ぼす直接的影響の研究と共に,新たな視点から,SCFAなどさまざまな代謝産物の影響を検討することも極めて有意義と考える.さらに,粘膜免疫の帰巣循環システムの視点から,腸内フローラと腸管粘膜経由による口腔・歯周組織免疫応答の維持,改善に関わる研究も期待できる.