著者
伊藤 研一 Kenichi Ito
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.14, pp.149-167, 2016-03

カール・ロジャーズが来談者中心療法において中核条件を提示することで何を目指そうとしたかについて論じた。中核条件とは共感的理解および無条件の尊重、純粋性である。筆者はロジャーズとユージン・ジェンドリンについて二つの疑問をあげた。なぜ、ロジャーズは心理療法についてまったく技法に言及しなかったのか。彼は初期のころ提起した反射技法を次第に遠ざけるようになったのである。なぜジェンドリンはフォーカシングにおいて関係を重視するのか。熟練したフォーカサーは自分が熟練したリスナーを必要としていないこと、フォーカサーとリスナーとの関係はあまり重要でないことを知っている。彼らは深く自分自身のフェルト・センスをあてにしているのである。筆者がセラピスト役として、大学院生がクライエント役として経験した心理療法ロールプレイングが先の二つの疑問に関する仮説を与えてくれると考えられた。反射技法だけを使いながら、私はクライエントと自分のフェルト・センスに注意を向けていた。学生は自分が自分の内的自己に入り込んでいて、セラピストとではなく、自分自身とやりとりしているように感じたと語った。彼女はセラピストがそこにいないように感じたこともあった。そのような関係をロジャーズは目指したのだと私は気づいた。セラピストの感情から切り離された技法はそのような関係の妨げとなると彼は考えたのではないか。しかし、もしわたしたちが自分のフェルト・センスに触れながら反射技法を使えば、先のロールプレイングセッションのように、クライエントは自分の内的自己とコミュニケートすることができるようになると期待される。次に、ジェンドリンが関係を重視したのは関係によってクライエントは自分のフェルト・センスとやりとりできるようになるからだと私は考えた。はじめのうち、クライエントは自分自身のフェルト・センスではなく、セラピストをあてにしている。クライエントは中核条件が満たされた関係を経験してはじめて、自分自身を信頼し始め、自分のフェルト・センスをあてにし始めるのである。What Carl Rogers was aiming at when he presented the core conditions in clinent-cenntered psychotherapy is discussed. The core conditions are empathetic understanding, unconditional positive regard, and genuineness.I raised two questions about Rogers and Eugene Gendlin. Why did Rogers choose not to refer to no techniques about psychotherapy? He gradually came to avoid the reflection technique he had proposed early on. Why did Gendlin emphasize the relationship in focusing?Experienced focusers know they need no experinced listeners, and that the relationship between the focuser and the listener is not very important. They depend deeply on their felt sense.The psychotherapy role playng session I experienced as the therapist role with a graduate student, the client role, was considered to give a hypothesis about the two questions.While I used only reflection technique, I was paying attetion to the client and to my “felt sense”. The student said that she got in touch with her inner self and that she felt as though she were communicating with herself, not with the therapist. She sometimes felt as if the therapist were not there. I found that such a relationship was what Rogers had been aiming at. He might have thought that the technique dissociated from the therapist’s feelings would prevent such a relationship. But if we use the reflection technique, keeping in touch with our felt sense,clients are expected to come into communication with their inner self as in that role playing session.Next, I supposed that Gendlin made much of the relationship in the therapy session because it could enable a client to communicate with his or her felt sense, because at first a client depends on a therapist, not on his or her felt sense. It is not until he or she experiences the relationship in which the core conditions are satisfied that he or she begins to trust him- or herself and to depend on his or her felt sense.
著者
村上 航 對馬 聖菜 伊藤 滉彩 田辺 新一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和元年度大会(札幌)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2019 (Released:2020-10-31)

ヒト皮膚から放散される化学物質の総称「皮膚ガス」は知覚空気質に影響を与えるほか人体が曝露される環境や身体活動レベルに応じて放散量が変動する。したがって、皮膚ガスの放散メカニズムを明らかにすることは様々な室内環境に応じた換気指針を検討し省エネルギー化を図る上で重要である。本研究では、人体が曝露された環境温度が皮膚ガス放散量に与える影響に関する知見を得ることを目的に、皮膚から直接皮膚ガスを捕集するプローブを用いた被験者実験を行った。
著者
伊藤 美穂 成田 亮子 赤石 記子 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子 白尾 美佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和40年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施した。今回は、主菜について、23区、都下、島しょの特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】東京都に40年以上居住している70歳以上の都民を対象に、昭和40年頃に食べられていた家庭料理について聞き書き調査を実施した。主な調査時期は平成24、25年であるが、随時追加調査を行った。東京都を23区の東部、西部、南部、北部と都下、島しょの6地域に分け、当時食されていた主菜について肉、魚、卵、豆・豆製品、その他に分類して考察した。<br>【結果】肉料理は、23区で多く出現し、中でもすき焼き、とんかつ、ロールキャベツ、餃子などが挙げられた。その他、ステーキやメンチカツ、カレー、ハンバーグなどの洋風料理がみられた。魚料理は、23区では鮭の塩焼き、あじの干物、身欠きにしんの他、種々の魚介を刺身や焼き魚、煮魚、ムニエルにして食していた。都下では、多摩川や浅川などが近いため、川魚のやまめやあゆの料理がみられた。島しょでは、くさやが食されており、伝統的な魚料理の伝承がみられた。その他にもあおむろ、とびうお、ぶだいなど他地域ではみられない魚を使った料理が挙げられた。卵料理は、卵焼き、目玉焼きなどが挙げられ、23区ではオムレツもみられた。納豆や豆腐が23区の日常食に多くみられた。その他の料理として、天ぷらが多くの地域でみられた。23区の東部と北部と比較して、西部と南部に洋風料理が多くみられた。これらの地域では高度経済成長期の中で、食生活が変化していく様子が推察できる。一方、都下や島しょでは、地域の食材に根差した伝統的な食生活がみえた。
著者
伊藤 聡 Ito Satoshi
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.71, pp.3-6, 2005-11

人は突然遭遇した驚愕する状況では普段では想像できない反応を示したり、あるいは普段ならすぐに対処できるはずのことに対処できなくなったりするようである。私は2年前に筑波大に赴任したが、前任地の新潟での忘れられない事件3件を ...
著者
庄司 和彦 藤田 修治 大森 孝一 辻 純 伊藤 壽一 本庄 巖
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.12, pp.1709-1713, 1988-12-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

Patients with multi-electrode cochlear implants can distinguish vowels well, but the ‘sounds’ they hear through this device are unknown. In order to simulate vowels through multielectrode cochlear implants, we synthesized waves which have translated formant frequencies using a computer and reverse fourier transformation .Through a digital-analog converter, we heard the synthesized sounds. Each sound is quite different from each vowel, but we can easily distinguish them from each other. With the use of this procedure, cochlear implants can be expected to be improved.
著者
林 謙年 山口 以昌 川村 晋 榊原 信幸 伊藤 和男 岩田 直也
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.55, no.171, pp.21-26, 2013 (Released:2018-01-26)
参考文献数
2

City gas, which is mainly made from natural gas, has been widely recognized as clean fuel, and its demand is getting higher year by year in Japan. The natural gas is imported in the form of LNG from varied countries. The calorific value of the imported natural gas is usually lower than the Japanese city gas, therefore, gas companies adjust the calorific value of send-out city gas to the regulated value by adding LPG to the natural gas during the process of city gas production. We have developed a new, state-of-the-art, calorific value adjusting system, which operates in wide flow-rate range, more than four (4) times wider than a conventional system does. We report the outline of the newly developed system and its performance confirmed through a pilot-scale test, along with a short description of a typical process of city gas production and conventional methods of calorific value adjustment.
著者
伊藤 博明
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.77-103, 1988

シエナの大聖堂に踏み入る者が最初に出会うのは、中央の舗床に描かれた「ヘルメス・メルクリウス・トリメギストュス、モーセの同時代人」HERMES MERCURIUS TRIMEGISTUS CONTEMPORANEUS MOYSIと題されたモザイク画である。このヘルメス像は、先駆的な「ヘルメス文書」の校訂版であるスコット編纂の『ヘルメティカ』、及び、画期的なルネサンス・ヘルメス主義の研究所であるイエイツの『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス伝承』のフロント・ページを飾り、ルネサンス期におけるヘルメス主義の興隆を視覚的に示しているものとして、研究者の間では夙に有名なものである。このモザイク画の両側には、内陣に向かって10のシビュラ像が置かれているが、それらは、舗床にはめられた石版が示しているように、1482年から1483年にかけて、オペラ・デル・ドゥオーモ(大聖堂総務局)の当時の長であったアルベルト・アリンギエーリの指示によって、数人の画家によって描かれたのであった。これらのシビュラ像から少し遅れて、1488年にヘルメス像は、ジョヴァンニ・ディ・ステーファノによって描かれることになるが、それも同様にアリンギエーリの指示を受けていたとされている。本稿の課題は、大聖堂の舗床に描かれているヘルメスとシビュラが意味している分脈を、舗床に刻まれているラテン語章句を詳しく分析しながら、また、当時の思想的・宗教的背景を踏まえつつ明らかにすることである。予め論述の順序を示しておくと、まず古代・中世におけるシビュラとヘルメスについて簡単な予備的考察を行い(l)、次にルネサンス期におけるシビュラとヘルメスの受容についてフィチーノを中心に検討し(II)、その後に、大聖堂舗床のシビュラとヘルメスについて論究することにしたい(III・IV)。Sul Pavimento del Duomo di Siena, si vedono le figure d'Ermete e delle dieci Sibille. Queste furono raffigurate da vari artisti sotto la guida del Rettore dell'Opera del Duomo, Alberto Aringhieri nel tardo Quattrocento. (1) Le Sibille furono originariamente profetesse in Grecia antica. Nel Medioevo, pero, erano considerate le donne che predissero la venuta del cristianesimo nelle varie regioni pagane. Anche Ermete, a cui erano attribuite le vaste opere, fu riferito come profeto egiziano sul cristianesimo, per esempio, nel Divinae institutiones di Lattanzio, ma Agostino accuso la falsita della dottrina ermetica nel suo De civitate Dei. (2) Nel periodo umanistico, il pensiero ermetico rigenero e venne divulgato in Italia. Marsilio Ficino, che tradusse il Corpus hermeticum, appoggiandosi sulle testimonianze di Lattanzio, insiste che Ermete vaticino la venuta di Cristo come le Sibille facero. La sua opinione ebbe una grand'influenza sui pensatori religiosi e filosofici del suo tempo. (3) Gli oracoli, che sono scritti presso le dieci Sibille, alludono alla nascita, al miracolo, alla flagellazione, alla passione, allla resurrezione di Gesu e al giudizio finale. Si pensa che le frasi d'oracoli sono prese principalmente dal Divinae institutiones. (4) Ermete si appoggia a una tabella, nella quale e scritta la frase che allude alla creasione del " Dio visibile, Figlio che e appellato il Sacro Verbo" , cioe, del Logos=Cristo prima d'incarnazione. Questa frase deriva dai flammenti che sono citati in greco presso il Divinae institutiones. Lattanzio, la cui opera fu utilizzata dal Rettore Aringhieri, dice che Cristo fu nato due volte; prima in spirito, poi in carne. Consultando questa opinione di Lattanzio, si conclude che sul Pavimento del Duomo, Ermete profezia Cristo nato in spirito e le Sibille profeziano Cristo nato in carne, ed Ermete e le Sibille rappresentano la significazione unificativa.
著者
伊藤 理絵
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.33-45, 2016

青年期における笑いに対する意識や態度の性差について多角的に検討するため、笑いに対する積極性尺度を作成し、ユーモア志向性および笑わせたい相手との関連から考察した。笑いに対する積極性尺度の作成にあたり、18 ~ 31 歳の大学生261 名(男性70 名,女性191 名; M = 19.37,SD =1.37)の回答を分析した結果、最終的な笑いに対する積極性尺度は第1因子から第4 因子の「笑いに対する好感」「笑わせ欲求」「笑いに対する自信」「お笑いへの親しみ」の4因子で構成された。性差を検討したところ、男性の方が「笑わせ欲求」の得点が高く、恋愛関係にある相手を笑わせることを女性よりも重視していることが確認された。一方、女性は男性よりも「笑いに対する好感」の得点が高かったことから、日常的に笑いがある生活をより重視し、コミュニケーションに笑いがあることを望むからこそ、笑わせてくれる相手やよく笑う他者を魅力的だと感じている可能性が示唆された。
著者
川上 礼四郎 伊藤 太郎 本田 豊 黒田 峻平
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.78-79, 2017

<p>東京都動物園協会の多摩動物公園では,育児放棄されたボルネオオランウータン(<i>Pongo pygmaeus</i>,以下オランウータン)のチェリア(メス,2歳)に代理母であるジュリー(メス,51歳)を充てるという国内初の試みが行われている。そのため,代理母を充てた血縁関係のない親子の行動を血縁関係のある親子の行動と比較して考察していこうと考えている。過去に行った血縁関係のある親子間におけるオランウータンの社会的行動に関する研究では,ワカモノ以下の個体は母親だけでなく血縁関係のない個体とも身体接触を伴う社会的交流を行うのに対し,オトナは自身の子供としか交流を行わないという結果になった。また,ワカモノ以下の個体の方がオトナの個体に比べ単独行動時間が短く,また,血縁関係のない個体と個体間距離が短くなる時間が多いと考えられた。そこで本研究では「血縁関係がある親子,ない親子でも交流時間や個体間距離が短くなる時間は大きく変わらない」という仮説を立て,それを検証するために「母親(子供)と交流する時間」「母親(子供)と個体間距離が短くなる時間」を記録し,その結果を血縁関係がある親子(2組)と血縁関係がない親子(1組)で比較する予定である。調査は東京都動物園協会の多摩動物公園において4/23~6/18まで計13回,9:45~16:45まで行う予定である。調査対象は血縁関係がないジュリー(オトナメス,51歳)とチェリア(アカンボウ,2歳)の親子,血縁関係があるチャッピー(オトナメス,43歳)とアピ(アカンボウ,3歳)の親子,同じく血縁関係があるキキ(オトナメス,16歳)とリキ(コドモ,4歳)の親子である。収集したデータをもとに,代理母を充てることによる子供の行動変化について考察を行う予定である。</p>
著者
伊藤 史子 菰原 義弘 髙石 清美 本田 律生 田代 浩徳 竹屋 元裕 片渕 秀隆
出版者
日本生殖免疫学会
雑誌
Reproductive Immunology and Biology (ISSN:1881607X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.24-31, 2014 (Released:2015-11-20)
参考文献数
9

腹水中には様々な種類の細胞が存在し,腹腔内環境を形成している。その中でもマクロファージは免疫機構の中心的役割を担い,微小環境の変化によってM1マクロファージとM2マクロファージに分化することが示されている。子宮内膜症患者では腹腔マクロファージが増加・活性化し,その発生や進展に関与すると考えられている。また,子宮内膜症が経卵管性に逆流する月経血に暴露される骨盤内に好発することから,月経血に含まれる子宮内膜組織がその発生に不可欠と考えられている。しかし,これまで腹腔マクロファージと子宮内膜間質細胞の細胞間相互作用については十分な解析が行われていない。本研究では,子宮内膜症患者の腹腔マクロファージの活性化状態について解析した。さらに,マクロファージと子宮内膜間質細胞の細胞間相互作用について,マクロファージの分化や子宮内膜間質細胞の活性化に関与するシグナル分子,さらに両細胞の産生する液性因子に注目して検討を行った。その結果,子宮内膜症患者の腹水中でM2マクロファージが有意に増加していることが明らかとなった。また,M2マクロファージと子宮内膜間質細胞の共培養実験では,両細胞のsignal transducer and activator of transcription 3,corosolic acid(Stat3)の活性化やGM-CSFなどの液性因子の産生増加,さらに子宮内膜間質細胞の増殖促進が認められた。以上のことから,腹腔内で共存する両細胞の相互作用が腹腔内環境の変化を誘導し,子宮内膜症の発生や進展が促進されることが示唆された。
著者
片山 直美 足土 由里佳 一野 晃代 長坂 恵樹子 加藤 江理 伊藤 えり 太田 陽子 梶川 典子 蟹谷 未香 下林 真知子 恒川 小百合 早川 ちひろ 楪葉 真由 藤本 保志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S125-S132, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
6

日本人の食の満足に及ぼす影響が大きい主食である「飯」に注目し、おいしく簡単に炊き上げるための工夫として、一般家庭で用いる炊飯器によって炊飯した飯の 3 種類の水(純水、ミネラル水、水道水)による違いを検討した。さらに選択した水を用いて、嚥下食・介護食に用いることが可能な離水しにくい粥を作製するために 5 種類の増粘剤(トロミパーフェクト、ソフティア、つるりんこ、とろみ名人、スルーキング)を用いて違いを検討した。方法として被験者である健康成人女性 92 名により各飯の「味」、「香り」、「見た目」、「総合」における官能試験を 5 点満点で評価し、物性を硬さ・粘り計(サタケ製)にて「弾力性」、「硬さ」、「粘り」、「バランス」について評価した。結果、無洗米の炊飯の際に用いる水は純水が最も高い評価であり、熱湯で炊飯することで、加水する時間なしで十分に評価の高い飯が炊き上がることが分かった。また離水しにくい粥も同様に熱湯を用いて加水する時間なしで炊き上げ可能であった。増粘剤を用いることで時間が経っても離水せず、軟らかい粥ができるため、嚥下食・介護食に適していることが分かった。
著者
伊藤 邦彦 吉山 崇 中園 智昭 尾形 英雄 和田 雅子 水谷 清二
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR TB AND NTM
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.691-697, 2000-12-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Study objectives: To assess the usefulness of commercial kits of nucleic acid amplifica tion test (NAAT) for diagnosis of smear negative (SN) pulmonary tuberculosis.Design and patients: Retrospective study of patients who were diagnosed as, or sus pected of pulmonary tuberculosis during 3 years from January 1996 to December 1998 in Fukuiuii Hospital which has 100 beds for tuberculosis patients.Measurements and Results: 145 smear-negative culture-positive pulmonary tuberculosis patients are entered to our analysis. The DNA-based amplification test kit (Amplicor Mycobacterium tuberculosis Test (AMPL), Roche Diagnostic Systems, Basel, Switzerland) detected 39.2% (20/51, 95% confidence interval (CI): 25.8-52.6%) of smear-nega tive culture-positive (SNCP) pulmonary tuberculosis cases. The RNA-based amplification test kit (Gen-Probe Amplified Mycobacterium tuberculosis Direct Test (AMTDT), Gen-Probe Inc., San Diego, Calif., USA) detected 40.5% (15/37, 95% CI: 24.7-56.3%) of SNCP pulmonay tuberculosis cases. For both NAATs (AMPL and AMTDT), between two groups with and without the NAAT at diagnosis of SNCP pulmonary tuberculosis, there was statistical difference in culture-positive rate (proportion of positivity in sputum culture tests at diagnosis), but no statistical difference in maximum number of colony of Mycobacterium tuberculosis (MTB). When stratified for the culture-positive rate, adjusted sensitivity for SNCP patients was 44.2% (AMPL) and 40.4% (AMTDT) respec tively. On the other hand, among 245 patients with sputum AMPL positive results during the 3 years, 8 were smear-negative culture-negative (SNCN), only one out of these 8 cases was judged as true active tuberculosis without treatment. Among 89 patients with sputum AMTDT positive results, 7 were SNCN, and 3 out of them were judged as true active tuberculosis without treatment.Conclusion: Usefulness of commercial NAAT kits (AMPL and AMTDT) to diagnosis SN pulmonary tuberculosis is limited in the point of sensitivity.
著者
伊藤 芳雄 寺島 孜郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.606-618, 1989-07-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
56
被引用文献数
17 19

The 1β-methylcarbapenem antibiotics represented by 3, 4, and 5, have been the focus of current synthetic endeavor due to prominent antibacterial activities and broad spectra as well as enhanced chemical and metabolic stability. Progress of the syntheses of 1β-methylcarbapenem key intermediates represented by 6, are reviewed based on the synthetic methods of the characteristic 1β-methyl substituent involved in the contiguous four chiral centers of 6.
著者
山下 政司 伊藤 佳卓 相川 武司 横山 徹 北間 正崇
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.422, 2021

<p>幾つかの感覚モダリティ刺激により喚起される快感情に伴う生体反応の特徴を調査するため、快感情を喚起する味覚・嗅覚・聴覚刺激を与えた場合の生体反応を計測し解析評価したので報告する。研究は北海道科学大学倫理委員会の承認を得て実施した。書面で同意した21~23歳の健常男性15名の協力を得て実験を行った。快感情喚起の味覚刺激には「生チョコレート」を1粒摂取させること、嗅覚刺激はアロマオイル「オレンジスイート」を試香紙に滴下し、鼻下6cmに設置して嗅がせることとした。また、聴覚刺激としては、10名による事前調査で快感情スコアの最も高い楽曲「恋」をステレオで聴かせることとした。実験手順として、座位安静の被験者に対して前安静90秒の後、各刺激を90秒与え、後安静を40秒取った後、刺激中に喚起された感情につき質問紙に答えさせた。対照を含め、各刺激に対応したセッション中の生体反応を計測し、解析評価した。計測生理量は心電図、連続血圧、サーミスタ呼吸波、指尖光電脈波である。各刺激に対する質問紙結果は、対照に対して全ての刺激で快スコアが高く有意であった。生体反応としては、収縮期・拡張期血圧、脈圧ともに音刺激だけが有意に高くなった。心拍率および呼吸波振幅では味刺激のみが有意に高かった。脈波に違いはなかった。動脈波成分を用いた生理パラメータを試したところ、対照刺激に対して全ての感覚刺激で有意に高くなった。</p>
著者
梶原 千世里 藤本 寛子 山口 嘉一 水田 菜々子 伊藤 純子 山田 宏 山口 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.43-46, 2013-01-01 (Released:2013-04-23)
参考文献数
6

症例は,54歳,男性。1型糖尿病,慢性腎不全で腹膜透析を導入していた。入院当日,自宅前で倒れているところを発見され,当院に救急搬送となった。来院時は軽度の意識障害があり,血液検査上,血糖値1,452 mg/dl,血清Na濃度 107 mmol/lと高血糖,低Na血症があり,代謝性アシドーシスと炎症反応マーカーの上昇を認めたことから,感染を伴う糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis, DKA)と診断し,全身管理目的でICU入室となった。透析中の無尿症例であるため,一般的な初期治療として推奨される輸液負荷は危険と考え,心臓前負荷の評価を行い,維持輸液量で治療を開始した。また,1時間毎に血液ガス分析で,電解質,血糖値を測定し,緩徐に電解質,血糖値の是正を行い,第3病日から血液透析に移行した。慢性腎不全患者のDKAに対し,初期治療の結果を頻回に評価して電解質および血糖値を緩徐に補正することで,神経学的合併症なく軽快退院できた。