著者
佐伯 覚 蜂須賀 明子 伊藤 英明 加藤 徳明 越智 光宏 松嶋 康之
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.411-416, 2019
被引用文献数
1

<p><b>要旨</b>:若年脳卒中患者の社会参加,特に復職は重要なリハビリテーションの目標であり,ノーマライゼイションの理念を具現化するものである.国際生活機能分類の普及に伴い,社会参加の重要性が再認識されている.また,政府が主導している「働き方改革」に関連した「治療と就労の両立支援」施策の一つとして,脳卒中の就労支援が進められている.しかし,脳卒中患者の高齢化・重度化,非正規雇用労働などの労働態様の変化は脳卒中患者の復職に多大な影響を与えており,若年脳卒中患者の復職率は過去20 年間,40%に留まっている.脳卒中患者の復職は医療だけでなく福祉分野とも関連し,職業リハビリテーションとの連携,さらには,復職予定先の企業等との調整など様々なレベルでの対応が必要であり,医療福祉連携を超える高次の連携が必要となる.</p>
著者
伊藤 晴康 野田 健太郎 平井 健一郎 浮地 太郎 古谷 裕和 黒坂 大太郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.145-149, 2016
被引用文献数
20

症例は15歳の女性.20XX年8月と9月に2価Human papillomavirus(HPV)ワクチンの接種を行った.2回目の接種後から全身の疼痛,顔面の日光過敏と両側肘部に多発する紫斑を認めた.11月頃より持続する37℃台の発熱と全身倦怠が出現した.20XX+1年1月上旬には39℃以上の発熱と全身の疼痛に加えて関節痛が出現した為,精査目的に入院となった.入院後,Systemic Lupus International Collaborative Clinics(SLICC)2012の分類基準のうち,臨床的項目の頬部紅斑,光線過敏症,関節炎,リンパ球減少と免疫学的項目の抗核抗体陽性,抗ds-DNA抗体陽性,抗Sm抗体陽性を認め,SLEと分類した.その他,筋膜炎の合併を認めた.本症例を含め今までに報告されている症例を検討したところHPVワクチン摂取後にSLEを発症する症例は,自己免疫性疾患の既往歴や家族歴のある患者が多かった. また,SLEの症状は2回目の接種後に出現することが多かった.
著者
松本 均 伊藤 恭子 米倉 久美子 市橋 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.492-497, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
8
被引用文献数
1

健常人女性33名に末梢の血流改善効果を有するカシスポリフェノールを単回経口摂取させ,その後の頬部の血流に対する効果と下眼瞼中央部のくまに対する改善効果をポリフェノールを除いたプラセボとクロスオーバー二重盲検法による群間比較で評価した。プラセボ群では変化が認められないのに対し,カシス群では摂取15分後から血流量の有意な増加が見られた。同時にカシス群はプラセボ群と比較してL∗値の有意な上昇,エリスマインデックスの有意な上昇とメラニンインデックスの有意な減少が確認された。また,血流量変化とメラニンインデックス変化との間に逆相関関係が見られたことにより,くま発生の主要因は血流の停滞であると考えられ,カシス摂取による即効的な血流改善効果を介してくま改善効果を有する可能性が示唆された。
著者
鈴木 祥太 伊藤 孝行
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-244, no.2, pp.1-8, 2020-06-26

議論マイニングは Argumentation を解析し,その構造を特定することを目的とする.議論マイニングにおいて,コンポーネント分類は重要な課題である.コンポーネント分類を行うため,既存の手法は,複雑な議論構造をベクトルのような簡単な表現の特徴量に変換する.しかしながら,これらの特徴量に基づく手法では,複雑な構造を扱う上で貴重な情報が失われると考えられる.この問題を解決するため,本稿では,議論構造を直接的に学習することで,コンポーネント分類を行う手法を提案する.議論構造を直接的に学習するために,提案手法は Graph Attention Network を用いる.提案手法を評価するため,評論のコーパスを用いて実験を行った.実験の結果,提案手法は既存の特徴量に基づく手法よりも正確にコンポーネント分類を行うことが示された.
著者
上之園 裕二 都築 佳生 犬塚 信博 世木 博久 伊藤 英則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第54回, no.人工知能と認知科学, pp.267-268, 1997-03-12

名曲と言われるクラシックなど私たちが心地よいと思う音楽の多くは、1/fゆらぎを持っていることが知られている。また自然界においても風や星の瞬きの多くが1/fゆらぎを持っていると言われ、風が起因となる木の葉のゆれも、1/fゆらぎを持つことが推測される。本稿では、自然界の木の葉の軌跡が1/fゆらぎを持つことを確認し、その軌跡に基づいて心地よいゆらぎをもつ音楽を生成するシステムを提案する。
著者
伊藤 史斗 長谷 和徳 内田 和男
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.85, no.878, pp.19-00191, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
15

The frame stiffness in a racing bicycle might influence not only toughness as the frame structure but also performance of an athlete. The purpose of this study is to clarify biodynamic relations between the frame stiffness in a racing bicycle and the physical loads of an athlete by using a forward dynamics simulation model. The human body structure was represented by the 13-rigid-links and 23-degrees-of-freedom model. Based on the theory of multibody dynamics, the frame structure was expressed by combination of 12 rigid pipes, and the frame stiffness was modeled by rotational springs at the connecting joint between the rigid pipes. Spring coefficients were changed according to the thickness of the frame pipes. The pedaling load from the crank was computed by the angular velocity and angular acceleration of the crank. Moreover, the driving force in the bicycle was additionally defined to consider the influence of the frame weight on the human joint load. The human body model was driven by the joint toques to minimize the cost function consisting of the joint loads in the human body and the driving force in the bicycle, and also to keep desired angular velocity of the crank. Validity of the simulation was evaluated by comparing the joint angles and torques with the measured ones. As for the result, the larger stiffness of the frame resulted in smaller the joint loads in the human body, and optimal stiffness would be determined by the balance between the joint loads in the human body and the driving force in the bicycle.
著者
尾山 公一 山田 智美 伊藤 大輔 渡邉 紀之 関口 由紀子 鈴木 昌子 近藤 忠雄 吉田 久美
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP61, 2015 (Released:2018-10-01)

【緒言】我々は、アジサイの花色変異の現象に興味を持ち研究を行っている。一細胞分析により、アントシアニンのdelphinidin 3-O-glucoside (1)が、助色素(5-O-caffeoylquinic acid (neochlorogenic acid (2))、5-O-p-coumaroylquinic acid (3)、3-O-caffeoylquinic acid (chlorogenic acid (4))の組成比、液胞pH、及びAl3+量の違いによって多彩に赤から紫、青に発色をすることを明らかにした (Figure 1) 1-3。アジサイの青色は、pH 4の条件下、1、2または3及びAl3+を混合すると再現できることがわかった4,5。この青色色素は、水溶液中だけで安定に形成される金属錯体で、ツユクサなどに見いだされた自己組織化超分子金属錯体色素(メタロアントシアニン)とは全く異なる性質を持つ非化学量論量の分子会合錯体である。これまで、結晶化の成功例はなく、1H NMRスペクトルもブロードで複雑なため、構造は今も不明である。本研究では、5-O-アシル化キナ酸類の効率的合成方法を新たに開発した。次に、合成した助色素を用いて青色色素を再構築し、解析可能なNMRスペクトルを得ることに成功した。【5-O-アシル化キナ酸類の効率的合成法の開拓】従来の2と3の合成4-6では、1位のカルボン酸の保護基にメチル基を用い、アシル基のフェノールの保護基にアセチル基を使用しているために、最終ステップの脱保護反応で競争的脱アシル化反応とアシル転移が起こり、収率が著しく低かった。また、5位へのエステル化は酸クロリドを用いていた。そこで、合成経路を見直し、1位のカルボン酸の保護基としてPMB基を持つキナ酸誘導体5を新たに分子設計して、Scheme 1に示すように(–)-キナ酸 (4) から5段階79%で合成した。5の5位アキシアルヒドロキシ基へのアシル化反応は、遊離カルボン酸にTsClとN-メチルイミダゾール (NMI)を加えてアシルアンモニウム中間体を生成させて、そこへアルコールを反応させる田辺法7を検討した。i-Pr2NEtの添加によりアルコールとカルボン酸の求核性が上がり収率が向上した(Scheme 2)。また、アンモニウム中間体の生成と同時にアルコール5が本中間体をトラップすることを目指してNMIを最後に加えた。その結果、収率はさらに向上した(Scheme 2)。この改良法を用いてp-クマル酸やコーヒー酸などの種々の遊離カルボン酸のエステル化反応を行い、72–94%の高収率で6-12を得た (Scheme 3)。得られたアシル体6-11の脱保護反応を検討した(Table 1)。芳香環部分に酸素原子のない6-9では、いずれも高収率(79-87%)で目的のアシル化キナ酸を得た。しかし、フェノール性ヒドロキシ基をMOM保護した10と11では、収率は40%以下と低かった。種々検討した結果、BCl3/C6HMe5を作用させると高収率(69,73%)で脱保護体が得られた 8。これらにより、市販のキナ酸(4)から7段階、通算収率45–60%で種々の5-O-アシル化キナ酸類の合成を達成した9,10。【アジサイ青色金属錯体色素の化学構造】合成した助色素類を用いて、アジサイ萼片の青色再現実験と得られた溶液の可視吸収スペクトル、円二色性、およびNMR分析を行った。これまでの知見により1-5、(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
阿部 ちひろ 伊藤 彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-91, no.9, pp.1-6, 2011-07-20

本稿では,音節数と韻に着目した作詞支援システムを提案する.システムは Ngram 言語モデルをもとに,ユーザの指定した音節数と韻の条件を満たす歌詞候補文を生成し,提示する.ユーザはシステムを辞書のように用い,提示文から主体的に言葉を選び作詞を進めることができる.我々は GUI を備えた作詞補助システムを実装し,提示文とシステムの主観評価実験を行った.
著者
伊藤 宣行
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.485-496, 1999
参考文献数
36

酪酸ナトリウム(NaBu)は,細胞増殖を停止させ細胞分化を誘導することが知られてきた。しかし,その分子機構に関しては未知の点も多い。本研究では, 2種の培養ヒトグリオーマ細胞(U87MG, U251MG)に対するNaBuの細胞増殖,細胞浸潤効果を検討した。本研究により1) NaBuはグリオーマ細胞の増殖抑制,浸潤抑制を示した。2) 増殖抑制には, NaBuによるp21発現増加とRbの燐酸化の低下が関与していると考えられた。3) p53蛋白質に変異のあることが知られている細胞株においても, NaBuによるp21発現増加が観察されることから, p21の発現増加はp53蛋白質非依存的であると考えられた。 4) 形態学的変化として, NaBuによってアクチン-ストレスファイバー形成の増加が観察された。アクチンの細胞内分布の変化や形態変化が, NaBuのグリオーマ細胞浸潤抑制効果と関係している可能性が示唆された。
著者
伊藤 重光
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会誌 (ISSN:18842135)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.10-19, 2016 (Released:2016-08-03)

情報システム学会のキーワードでもある「人間中心の情報システム 」。情報システムが進歩し、社会の隅々まで浸透する時代となり、技術中心ではなく人間中心の情報システムが求められて来ていることを感じるが、何が人間中心であり、何が人間中心でないのかが判りにくい。システムエンジニアとしてコンサルタントとして、そして経営者として長い間情報システムに携わってきた経験をもとに、人間中心の情報システムにはどんな要件が必要なのかを考えてみた。社会の仕組みそのものを情報システムとして捉える必要が出てきている環境変化の中で、人間中心の情報システムを増やすことに少しでも貢献できれば幸いである。なおこの論文は2015年の情報システム学会第11回全国大会・研究発表大会で発表した論文“人間中心の情報システムの判断基準”[1]を基本とし、事後の評価となりがちな判断基準を要件に改め、さらに事例研究を追加して解説としたものである。
著者
伊藤 重隆
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会 全国大会論文集 第8回全国大会・研究発表大会論文集 (ISSN:24339318)
巻号頁・発行日
pp.c1-2, 2012 (Released:2020-05-25)

情報システムは現在,多方面に情報技術発展の恩恵もあり配置され活用されている。企業情報システム,公共情報シス テム,産業用機器制御情報システム,電化製品組込情報システム、自動車に組み込まれている制御情報システム,通信 サービス支援情報サービス等,また,最近、著しく利用者が多くなっているインターネット・サービスもこの事例であ る。これらの情報システムが作られる時には,その時点のある目的を持って作成されている。過去に作成された情報 システムについて人間活動の視点から見直し情報システムのあり方を検討する。