著者
井上 佑貴 伊藤 雄一 尾上 孝雄
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.293-301, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
17

In this research, we propose a tube display, TuVe as a novel flexible display applicable to various shapes of surface. It is possible to wrap the tube around the surface of an object and present information. In this paper, first, we investigate the system configuration to generate droplets. Next, we discuss about the method to control positions of the droplets. In addition, we also propose a calibration method to define the relationships between the pump drive time and droplets' positions. Then, we evaluate the performance of proposed system with experiments. As a result, we confirmed that it was possible to control the positions accurately of colored droplets by the proposed calibration method.
著者
金村 在哲 在哲 佐藤 啓三 栗原 章 井口 哲弘 笠原 孝一 伊藤 研二郎
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.146-152, 2002
被引用文献数
2 1

体幹の回旋運動を考慮した挙上運搬動作を模倣し,表面筋電計を用いて体幹筋の筋活動量を計測した.また同様の動作を腰部固定帯を装着して行い,その有用性を検討した.対象は健常成人男性20名で,各対象の膝の位置から6.8 kgの負荷重量を体幹を回旋させ,側方へ50 cm,肩の高さまで挙上させた.この動作を左右10回ずつ行い,左右の脊柱起立筋と腹斜筋の筋活動量を表面筋電計を用いて計測した.1回の動作における左右の脊柱起立筋と腹斜筋の平均筋活動量を計算し,%MVCで各群間を比較した.脊柱起立筋と腹斜筋間では有意に脊柱起立筋の%MVCが大きく,平均4.6倍の筋活動量を示した.また腰部固定帯の装着により%MVCは有意に小さくなり,脊柱起立筋では14.6%,腹斜筋では18.9%筋活動量が減少した.回旋を加えた挙上運搬動作でも脊柱起立筋に対する負荷が大きく,腰部固定帯の装着は,その負荷を軽減させる効果があった.
著者
伊藤 邦武
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.16-31, 2006

Charles Peirce developed his cosmological system in the series of articles published in <i>The Monist</i> from 1891 to 1893. Peirce constructed his system on the foundation of the three doctrines of "Tychism", "Synechism" and "Agapism". Of these three doctrines the least known theory is "Agapism". In this paper, I try to present the material necessary for the understanding of this doctrine. Peirce's agapism or the theory of evolutionary love is a curious mixture of his criticism of Darwinism and his sympathy to Henry James, Sr.'s Swedenborgian theology. He contends that the evolution of the universe cannot be accounted for by means of Darwinian logic of chance. It is his contention that the process of cosmological evolution should be interpreted as the work of divine creative love, whose essence is to let the creatures be independent from, but at the same time, return to harmony with the creator. This doctrine of creation as evolution is adopted by Peirce and reinterpreted into a complex doctrine about the interactive relationship between mind and matter. The resultant picture of the evolution of the universe is that of getting more and more lawful but reasonable.
著者
勅使 宏武 寺田 和憲 伊藤 昭
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.445-456, 2015-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
32

We are developing a method of emotion expression with blinking pattern. Our previous study confirmed that emotions expressed by blinking pattern are perceived correctly, and are able to elicit prosocial behavior from those who see the emotion expressions. In the present study, we investigated whether our artificial emotion expression reinforces perceived emotion when people listen to short stories from a robot. Experimental results showed that, for some stories, blinking colored eyes of a robot reinforce the subjective perception of the target emotion and weaken the other emotions.
著者
伊藤 千鶴
出版者
法政大学大学院理工学研究科
雑誌
法政大学大学院紀要. 理工学・工学研究科編 (ISSN:21879923)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.1-4, 2018-03-31

We can imagine that one having more useful information gets superior than others if they are in the same condition and under some struggling situation. For example, in a supermarket, we naturally choose the shortest queue of cashiers in order to finish our payment with minimal waiting time. If one knows a better strategy to choose the queue, she or he can finish the payment in more shorter time. However, the more customers know the strategy, the less the effectiveness of using the strategy. In this study, we assume one strategy in such a situation, and investigate its effectiveness via simulation study.
著者
川島 康洋 湯浅 敦智 遠藤 昭 伊藤 俊一 隈元 庸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0329, 2007

【目的】近年,急性期から実行可能なエクササイズとして腰部安定化エクササイズがあり,世界的トピックとなっている.McGillらは筋電図学的検討結果から腰部安定化エクササイズの一つとしてサイドブリッジを推奨している.しかし,本邦においてサイドブリッジの筋活動を詳細に検討したものは見られない.本研究の目的は,サイドブリッジ時の体幹筋群筋活動量と体幹筋持久力を筋電図学的に解析し,腰痛症者に対するより効率の良い筋力強化法の一助を得ることである.<BR>【方法】対象は,健常男性10名(年齢25.6±4.5歳,体重58.3±6.8kg)とした.表面筋電図の測定には,Noraxon社製筋電計Myosystem2400を用い導出筋は,左右内腹斜筋,左右外腹斜筋,左右多裂筋,右腹直筋,右脊柱起立筋の8筋とした.測定肢位は右側臥位から右肩90度外転・内旋位,肘90度屈曲位,左上肢は右肩を把持し,股関節中間位,膝90度屈曲位にて体幹を中間位で保持(以下膝屈曲位),上肢の肢位は変えず股関節中間位・膝関節伸展位にて,体幹を中間位で保持(以下膝伸展位)の2肢位とし各試行を3秒間保持させた.また,DanielsのMMTの抗重力肢位で各筋の最大等尺性収縮を施行しMVCを算出した.持久力における測定課題は膝伸展位肢位での保持とし,背部が真っ直ぐ保持できなくなったところで終了とした.表面筋電計から測定したデータはNoraxon社製筋電計MyoSystem2400 EM224にてサンプリング周波数1,500HzでA/D変換し,解析用パーソナルコンピューターに取り込んだ.波形解析はNoraxon社製MyoResearchEM123にて解析し,バンドパスフィルターは35~500HZとした.これらのデータより各筋の中間周波数と(MF)と,筋積分値(%MVC)を算出した.MFは開始後3秒後からの3秒間を初期,持続中間の3秒間を中期,終了前3秒間を終期とし経時的変化を検討した.<BR>なお統計処理には,Wilcoxonの符号順位和検定を用いて有意水準を5%未満とした.<BR>【結果と考察】サイドブリッジにおける筋活動量に関して,膝伸展位では右内腹斜筋,右外腹斜筋において50%MVC以上の高い筋活動を認めた.また膝屈曲位と比較し,膝伸展位の方が右内腹斜筋,両側外腹斜筋の有意に高い筋活動を認めた.持久力に関して,MFにおいては腹斜筋群で初期と比べて終期で有意な低下を認めた.なお,保持時間は平均90秒以上の保持が可能であった.本研究の結果,腹斜筋群の筋力訓練としてサイドブリッジは有用であると考えられる.また,腹斜筋群に対する持久力評価としても有用となる可能性が示唆された.今後,筋電図学的検討を加え,腰痛症者でも検討することでより効率の良い評価・治療方法の選択肢となる可能性があると考えられる.<BR><BR><BR>
著者
村上 茂 川﨑 安都紗 小野 鮎子 伊藤 崇志
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-37, 2018 (Released:2019-11-11)

魚介類に豊富に含まれるタウリンは、海藻にも存 在し、浸透圧調節等の役割を果たしていると考えら れる。われわれは、海藻の中でも紅藻類のフノリが タウリンを特に多く含むことを見出した。海におけ るフノリの生育環境を考えると、タウリンが乾燥や 浸透圧変化、紫外線、温度変化などの環境変化に対 応するために利用されている可能性が推察される。 また海では、さまざまな生き物が解毒や代謝にタウ リンを利用しており、海洋生物の体内のタウリン量 には食物連鎖が大きく関わっている。海藻をはじめ とする海洋生物におけるタウリンの役割を解明す ることは、哺乳類やヒトにおけるタウリンの作用の 理解につながる。
著者
水谷 仁一 伊藤 岳史 岩堀 裕介 竹中 裕人 鈴木 達也 大家 紫 清水 俊介 矢澤 浩成 太田 和義 花村 浩克 筒井 求
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.87, 2011

【緒言】投球フォームと投球障害との関連についての報告は散見され,投球障害の治療として投球フォームの修正は再発予防の観点から重要である.しかし不良な投球フォームの修正は簡単ではなく,中には難渋する症例を経験する.このような症例は機能的な問題が不良な投球フォームの原因となっているだけではなく,投球フォームのイメージ自体やその想起,再現に問題がある可能性も考えられる.一般に脳内には運動プログラムが内部モデルとして存在し,運動を行う際にはその運動プログラムをもとに運動が実行されている.つまり,投球フォームを修正するには機能的な面からのみアプローチするだけではなく,投球フォームの内部モデルを投球イメージとして評価し修正する必要もあると思われる.しかし投球フォームのイメージについての報告は少ない.【目的】本研究の目的は,中学生野球選手における投球フォームのイメージを調査することである.【方法】対象は中学生軟式野球チームに所属し,身体に愁訴がなく,本研究の趣旨に賛同し同意の得られた10名で,平均年齢13.6±0.52歳,平均野球歴66±10.2ヶ月であった.ポジションの内訳は,投手1名,捕手2名,野手が7名で,全例右投げ右打ちである.<BR>方法は,十分なウォーミングアップのあと18m先の相手に対し全力投球を3球行わせBushnell社製スピードガンを用いて撮影と同時に球速を測定した.投球フォームの撮影はCASIO社製デジタルカメラEX-FH25を用い,側方,後方,前方の3方向からハイスピードモードで同時に行った.frame rateは240fpsとし,最も球速の速かった1球を分析対象とした.投球フォームはJobe分類を用いて5相に分類し,そのうち(1)Wind-Up phase (WP)の体幹傾斜,(2)Early-Cocking phase (EC)の投球側肘関節位置,(3)Late-Cocking phase (LC)の投球側肘関節位置を静止画にして評価した.それぞれの指標は(1)が地面からの垂線を基準線とし体幹の傾斜を確認,(2)(3)は両肩峰と投球側肘頭を結んだ線を基準線とした.<BR>運動イメージは,自分が運動を行っているような一人称的イメージと他者が運動を行っているのを見ているような三人称的イメージに大きく分類される事から,本研究では2種類の投球イメージの調査を行った.(実験1)言語教示により被検者の持つ投球イメージをWP,EC,LCの各位相で再現,静止させ,静止画で側方,後方,前方より同時に撮影した.分析は,上記の投球フォーム評価項目が実際の投球フォームと投球イメージで明らかに違いがあるものを違いありとして各位相でそれぞれ比較した.(実験2)実験1で分析対象とした位相にAcceleration phase(Ball Release)を加えた実際の投球フォームの静止画をAdobe photoshop CS4でシルエット化し,印刷した側方,後方,前方の各位相の画像を被検者の人数分提示し,自分の投球フォームがどれかを回答させ正答率を算出した.【結果】実際の投球フォームはWPでの体幹後方傾斜が7名(70%),ECでの投球側肘下がりが3名(30%),LCでの投球側肘下がりが6名(60%)であった.<BR> 実験1では明らかな違いがあったものが,WPの体幹傾斜で7名(70%),ECの肘関節位置で5名(50%),LCの肘関節位置では5名(50%)であった.投球イメージが実際の投球フォームより良好であったのはECで1名のみで,他はすべて実際の投球フォームより不良なフォームとなっていた.<BR>実験2では,シルエット化した投球フォームの正答率が側方20%,後方20%,前方20%であった.全方向で正しく選択できたものは0人で,2方向で正しく選択できたものが1名という結果であった. 【考察】本研究の結果から,実験1では投球イメージと実際の投球フォームに明らかな違いがみられ,さらに投球イメージのほうが実際の投球フォームよりも不良な投球フォームとなっている被検者が多くみられた.実験2においても全体的に正答率が低かった.これらのことから,本研究の被検者はいわゆる良好な投球イメージを元々有していないか,投球イメージを想起,再現する能力が十分でない可能性が考えられる.しかし個別で確認すると,実際の投球フォームに問題の見られなかった被検者は,実験1で2つの投球フォームに違いが少なく,実験2においても自分の投球フォームを2方向で正しく選択していた.このことから投球フォームが良好なものと不良なものとの投球イメージに違いがある可能性があり,調査,比較する必要があると思われた.その他に本研究に影響を与える因子として年齢や野球歴などが考えられるため,被検者数を増やすことや年代の幅を広げ調査する必要があると思われる.さらに投球フォームの分類はあくまで検者側に立ったものであり,選手自身が持っている投球イメージと異なっている可能性も考えられることから,投球フォームの位相を細かくするなどの工夫も必要だと考えられた.
著者
久木原 健介 和久屋 寛 伊藤 秀昭 福本 尚生 古川 達也
出版者
一般社団法人 産業応用工学会
雑誌
産業応用工学会全国大会講演論文集 2013 (ISSN:2424211X)
巻号頁・発行日
pp.18-19, 2013 (Released:2018-04-10)
参考文献数
5

Independent component analysis (ICA) is a signal separation technique inspired by the famous psychological phenomenon called cocktail party effect. Various kinds of its applications have been undertaken by a lot of researchers so far, and an alternative method based on a layered neural network with structural pruning was tried in the preceding studies. However, how to develop such a signal separation matrix was the center of attention, so how to apply it after training was not discussed a lot. Then, from the viewpoint of adaptability to untrained signals, some computer simulations are carried out in this study. As a result, it is found experimentaly that a vocal signal separation task with the developed separation matrix is accomplished successfully as we have intended in advance.
著者
藤森 誠 伊藤 一成 DÜRST Martin J. 橋田 浩一
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.575-583, 2009-02-28 (Released:2016-01-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Pictograms are graphic symbols also called picture symbols. They are widely used, mainly in public accommodations. However, it is hard to say that meaning can be grasped quickly from a single pictogram. In most cases, pictograms are accompanied by some explanatory written text. In this paper, we propose a new method of displaying pictograms, displaying two slightly different pictograms successively, using the difference between the two frames to promote understanding. We limit ourselves to two frames because a higher number of pictograms makes it difficult to clearly express difference information and risks to confuse viewers more than help understanding. We experimentally evaluated the recognition properties of our new method. We showed one-frame and two-frame versions expressing the same content to 165 subjects and measured action time, percentage of correct answers, and semantic transparency. Using a Mann-Whitney U test, we found that in some problems, the semantic transparency was significantly (p < 0.05) higher for two-frame pictograms than for one-frame pictograms. Also, two-frame pictograms generally showed a better percentage of correct answers. We conclude that two-frame pictograms making use of difference information may contribute significantly to increasing pictogram recognition.
著者
平 修 常山 幸一 川崎 安都紗 小野 鮎子 前川 昭 伊藤 崇志 宮崎 照雄 城本 淳 小林 春輝 大森 肇 片野 肇 村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-29, 2017 (Released:2019-11-11)

イメージング質量分析(MS)により、マウス筋肉 組織中の「どこ」にタウリンが局在するのかを視覚 的に解析した。本報ではラット脚部より採取した、 ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋の凍結切片を用いて、タ ウリンと分岐鎖アミノ酸である、バリン、ロイシン、 イソロイシン、リジンの局在を解析した。
著者
寺岡 一郎 伊藤 集〓
出版者
無機マテリアル学会
雑誌
石膏と石灰 (ISSN:21854351)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.22, pp.1175-1178, 1956-05-01 (Released:2011-03-07)
参考文献数
1

When plaster of Paris is mixed with water in order to make a plaster mold, there takes place a phenomenon so called “segregation of water” in the mold. This phenomenon is one of the causes of the change of dimension of plaster mold. So called “Segregation” is caused by the excess water during setting of plaster. It can be explained exactly by means of measuring the water content, the micro-photo graph, and the thermal expansion of different parts of a mold. We have studied how to prevent the phenomenon and obtained some effective results.
著者
伊藤 創 葉 清規 能登 徹 川上 照彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】肩関節周囲炎とは,加齢的退行性変性を基盤として発生する疼痛性肩関節制動症と定義されており,病態・病因は未だはっきりと確立されていない。肩関節周囲炎の特徴的な症状として,夜間痛が挙げられる。夜間痛とは,夜間に起こる肩の疼痛の事をあらわし,患者の睡眠を妨げることで生活の質を著しく低下させると言われている。夜間痛の臨床的特徴に関して,山本らは65歳未満の女性に多く,肩関節回旋制限例に多いと報告しており,石垣らは,肩関節屈曲制限例に多いと報告しているなど,統一された見解がないのが現状である。本研究の目的は,初回評価時に夜間痛を有する肩関節周囲炎患者に対し,治療経過において1か月後の夜間痛の改善に関連する因子を調査することである。【方法】対象は当院で2014年7月から2015年9月より理学療法介入(運動療法・物理療法等)を行い,調査可能であった片側性肩関節周囲炎患者67例(男性26名,女性41名,平均年齢61.7±12.9歳)とした。除外基準は,両側性肩関節周囲炎,腱板断裂,石灰沈着性腱板炎と診断された症例とした。評価項目は,カルテから基本情報として,性別,罹病期間,年齢,その他の評価項目として初回評価時の安静時痛,夜間痛(初回・1ヶ月後),運動時痛,肩関節屈曲・外転・下垂位外旋の関節可動域(以下,ROM)の9項目を調査した。夜間痛の有無については,岩下らの報告をもとに問診評価で行い,夜間就寝時に疼痛があり睡眠を妨げてしまう程度の痛みがある症例を夜間痛有とした。夜間痛に関連する因子について,初回評価時に夜間痛を有し,理学療法開始1か月後に夜間痛が残存したか否かを従属変数,基本情報及びその他の評価項目を独立変数として,ロジスティック回帰分析にて解析した。統計処理は,R-2.8.1(CRAN freeware)を使用し,有意水準は5%とした。【結果】初回評価時に夜間痛を有した症例は32例であり,その内1か月後評価において,夜間痛を有した症例は12例であった。理学療法開始1か月後の夜間痛の改善に影響があった因子は,肩関節下垂位外旋ROM(オッズ比:0.84,95%信頼区間:0.70-0.97)であった。【結論】初回評価時に夜間痛を有する肩関節周囲炎患者の,理学療法開始1ヶ月後の夜間痛の改善に対する危険因子は,肩関節下垂位外旋ROMが小さいことであった。