著者
安孫子 亜津子 磯江 つばさ 宮内 和誠 本庄 潤 上堀 勢位嗣 滝山 由美 伊藤 博史 長谷部 直幸 羽田 勝計
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.197-202, 2007 (Released:2009-05-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は73歳男性で糖尿病罹病期間は約30年.1999年から尿タンパク陽性を指摘.2002年1月に尿中アルブミン1604 mg/gCreであり,その後他院の腎臓内科に下腿浮腫で入院時,尿蛋白1.2 g/日,24 hrCcr 68 ml/分であった.血糖は経口薬内服するもコントロール不良,血圧もアンジオテンシン受容体拮抗薬でコントロール不良であり,同年10月当院を紹介される.このとき随時尿の尿中アルブミンは773 mg/gCre, 神経障害,増殖網膜症も合併.2003年5月急性心筋梗塞発症.入院時,尿中アルブミン167 mg/gCre, 24 hrCcr 71 ml/分.インスリン治療を導入し,降圧薬の増量,抗血小板薬やスタチンも開始となる.退院後,血糖コントロールはHbA1c 7%前後で経過.1年後に尿中アルブミンは約50 mg/gCre, 2年後には12 mg/gCreに減少した.糖尿病罹病期間が長く,その他の合併症があっても,集学的治療で腎症の3期から1期への寛解がみられた.
著者
小竹 武 松本 優里香 塚本 あゆみ 井上 知美 石渡 俊二 草薙 みか 坂野 千賀 大里 恭章 伊藤 吉將 長井 紀章
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.786-792, 2015-11-10 (Released:2016-11-10)
参考文献数
6

We investigated whether the component in cataplasm transmitted into hemorrhoid ointment in the combined storage of hemorrhoid ointment and non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) cataplasm. The NSAIDs cataplasm was used as a commercially available methyl salicylate (MS reishippu “TAIHO”, MS cataplasm) and indomethacin (Catlep®, IMC cataplasm) cataplasm. In addition, the hemorrhoid ointment was in a polyethylene container with (Neriproct® ointment, DFV-L ointment) or without aluminum laminate (Posterisan® forte, HC ointment). As for the methyl salicylate, 5.68 mg / pieces in HC ointment were detected at 40 weeks of combined storage with MS cataplasm. The methyl salicylate concentration in DFV-L ointment was lower than that in HC ointment under the same conditions. On the other hand, no contamination of indomethacin in HC and DFV-L ointment was observed in the combined storage with IMC cataplasm. These results show that the methyl salicylate in cataplasm passed the polyethylene container, and provide significant information on the risk of contamination by the combined storage of cataplasm and hemorrhoid ointment.
著者
小川 朋子 鈴木 唯 萩原 静 五十嵐 絵美 五十嵐 槙 伊藤 直子 岩森 大 山崎 貴子 村山 篤子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.179, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】枝豆の収穫の際には規格外のはね豆が2,3割を占めている。現在、新潟県では首都圏に県産品をアピールする「にいがたフード・ブランド推進事業」が行われ、その事業の一環にはね豆の有効利用がある。本研究では、はね豆を用いて枝豆の最適な加熱条件及び保存条件を色調、官能評価、成分測定より検討した。 【方法】加熱は予備実験よりゆで加熱(100℃4分)、スチーム加熱(90℃5分)を比較した。スチーム加熱には低温スチーミング装置ATS-10A(AIHO)を用いた。保存条件は、収穫後の放置時間、ブランチングの効果について検討した。色調は色彩色差計(コニカミノルタ)を用いて行い、官能評価はゆで加熱を基準に7段階評価尺度法を用いてSD法による評価を行った。成分はHPLC法にて糖量を、ヒドラジン法にて総ビタミンC量を、ヤマサグルタミン酸キットによる比色法にてグルタミン酸量を定量した。 【結果】ゆで加熱した枝豆よりスチーム加熱した枝豆の方が糖が多くなったが、ビタミンC、グルタミン酸には差が見られなかった。色調及び官能評価においてもゆで加熱よりもスチーム加熱の方が高い評価を得た。収穫後放置すると、ビタミンCに大きな減少はなかったが、糖は時間が経つにつれ、減少した。収穫直後の生の枝豆とブランチング処理をした枝豆を-23℃で60日間保存し比較すると、ブランチング処理を行ったほうが色調、風味ともに優れていた。以上のことから、枝豆をおいしく食したい場合には収穫後1日以内でスチーム加熱をすることが望ましく、すぐに食さない場合には生で冷凍保存するよりもブランチング処理をして保存をするほうがよいことが分かった。
著者
伊藤 剛
出版者
日本リアルオプション学会
雑誌
リアルオプションと戦略 (ISSN:21896585)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.17-25, 2017 (Released:2019-01-31)

破壊的イノベーションと、電力事業のビジネスモデル変革についてお話をさせていただきます。 電力システム改革によって、色々な企業が電気の小売業へ参入できるようになり、総括原価方式による料金認可制が廃止され、卸電力市場における流動性が増大するようになりました。その結果、新しいリスクが発生します。例えば、卸市場や小売市場において取引相手の倒産等により電気代を回収できないリスクであるとか、燃料価格や卸電力価格の変動により、当初期待していたリターンが得られなくなるリスクなどです。こうしたカウンターパーティリスクや価格リスクについては、電力会社をはじめ、色々な企業、機関が議論を深めてきました。ところが、最近、こうした“伝統的な”リスクとは異質の新しいリスクが登場してきており、今日は、この新しいリスク、非連続的な業界構造の変化に伴うリスクのお話させていただきます。レイトン・クリステンセン教授が提唱した「破壊的イノベーション」や「イノベーション・ジレンマ」は大変示唆に富む考察ですが、この論理は、情報通信業界のような技術革新のサイクルが短い業界に適用されるものであって、電力業界は、あのようなダイナミックな産業の構造変革とは無縁だと思っていました。それが実は、この電力業界でも、破壊的イノベーションが起こり得て、ドラスティックな変革が業界大で起こりうると思うに至っております。
著者
伊藤 俊介
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.549, pp.145-152, 2001-11-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
13
被引用文献数
2 6

Activities and space-use in today's Danish folkeskoler are reported following a brief review of the history of architectural planning offolkeskoler. On-site observations of learning situations in classrooms and common room locals were conducted in four schools of different plan types. Analyses of space use patterns, studying combinations between contents of activities and spatial settings, showed that there was much individual or group differentiated work which mostly took place in normal class teaching settings in contrast with Japanese open-schools where often any type of individual or group work takes place in non-classroom settings. The patterns suggest that space was used according to practical needs of the task in the Danish cases rather than the size of instructional groups as is often the case in Japanese schools. The paper is concluded by a discussion on spatiality, cultural patterns in relations with space, as a factor for the difference in space-use.
著者
方山 真朱 熊澤 淳史 大江 恭司 田澤 直樹 李 夏暎 伊藤 史生 糟谷 美有紀 伊良部 徳次
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.227-231, 2011-04-01 (Released:2011-10-05)
参考文献数
7
被引用文献数
3 2

ジスチグミン臭化物10 mg/dayを1年間にわたり内服し,3ヶ月以上続く難治性の下痢や嘔吐など消化器症状のため入院したが,ジスチグミン臭化物中毒によるコリン作動性クリーゼを発症し,救命し得なかった一症例を経験した。背景に肝硬変があり,慢性的にコリンエステラーゼ値が低値であったため,ジスチグミン臭化物中毒の診断に時間がかかった。コリンエステラーゼ残存率は約7ヶ月前から異常低値であり,難治性の消化器症状が出現した時期と合わせて慢性中毒と考えた。難治性の消化器症状およびコリンエステラーゼ値が異常低値を示す高齢者では,ジスチグミン臭化物の中毒を疑い,早期から集中治療の対象とするのが望ましい。
著者
雨宮 隆 榎本 隆寿 ロスベアグ アクセル 伊藤 公紀
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.726, 2004 (Released:2004-07-30)

【はじめに】生態学的レジリエンス(以下,レジリエンス)とは,生態系の復元力,弾力性,自己組織化能などを意味する.レジリエンスは生態系の多重安定性の概念から提唱され(Holling, 1973),富栄養化や生息地の縮小等により減少し,その結果生態系は異なる状態へと変化し易くなると考えられている.本研究では,レジリエンスの概念を生態系の構造・機能・動態・自己組織化能の観点から整理し,生態環境の管理について検討を行う.【レジリエンスの図的表現】レジリエンスは,例えば生態系の状態を表す分岐図を用いて説明される(Scheffer et al., 2001).制御パラメータは人為的な負荷を表し,あるパラメータ領域において生態系は双安定性を示すことがある.レジリエンスは安定状態と不安定状態の幅で示され,この範囲内の擾乱であれば生態系は元の状態に戻るとされる.【レジリエンスと環境管理】ここではレジリエンスの概念を広く捉え,レジリエンスを次の3つに分類し,環境管理について検討する.(1)Type Iレジリエンス:上記のように安定状態と不安定状態の幅で示されるような復元力.状態間遷移が起こると,生態系の動態(状態)は変化するが構造と機能は変化しない.従って,負荷の低減,生物操作などによる環境修復が考えられる.(2)Type IIレジリエンス:Type Iと同様の復元力であるが状態間遷移により種の絶滅等が生じ生態系の構造が変化する.しかし,生態系の自己組織化能(数理モデルでは力学系)は保持される場合で,絶滅種の再生や回復により元の状態の復元の可能性が残されている.(3)Type IIIレジリエンス:生態系の自己組織化能の喪失に関わる復元力.無機的な環境変化により種の絶滅等が生じた場合で,生態系の回復が極めて困難となる.それぞれのレジリエンスの喪失が生態環境リスクの各エンドポイントとなり得るだろう.
著者
伊藤 崇博 橋本 公夫 川北 かおり 小菊 愛 秦 さおり 奥杉 ひとみ 近田 恵里 佐原 裕美子 竹内 康人 片山 和明
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.75-82, 2013

子宮内に胎児と奇胎が併存する場合,多くは部分胞状奇胎であるが,正常胎児と胞状奇胎が併存する胎児共存奇胎の可能性もある.胎児共存奇胎であれば児の生存も期待できるが,生児を得ることができるのは半数以下とされる.今回われわれは,生児を得られた胎児共存奇胎の1例を経験したので報告する.症例は30歳,排卵誘発周期に妊娠成立した.経腟超音波検査にて正常絨毛と奇胎を別々に認め,初診時(妊娠9週)の血中hCG値は349,619 mIU/mlと高値であった.羊水染色体検査は46XXの正常核型であり,血中hCG値も妊娠13週以降は低下傾向にあった.早期より切迫流早産徴候を認め,陣痛抑制困難のため妊娠33週での帝王切開分娩となったが,児の予後は良好であった.奇胎娩出後,免疫組織化学的検査により正常胎児と全胞状奇胎との共存であることが確認された.血中hCG値は順調に低下しており,術後34週を経過したが続発性疾患の発症は認めていない.〔産婦の進歩65(1):75-82,2013(平成25年2月)〕
著者
伊藤 新次 吉岡 薫 寺川 美加
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.58-65, 2004-01-01 (Released:2011-03-04)
参考文献数
11

In the ultrafiltration of honey, filtration efficiency can not be expressed by permeate flux because it is necessary to dilute raw honey with water. Instead, rate of recovered sugar (RRS) which considers permeate flux and sugar content, was employed as an indicator of the filtration efficiency in this study.The effect of dilution on filtration efficiency was that RRS increased with a decrease in sugar content at initial stage of filtration. However, at concentration factor (CF) above 1.5, RRS at sugar content of 40% was higher than that at sugar content of 30%. This result was probably caused by changes in characteristics of suspended solids in raw honey due to dilution. In this case, the changes were small when the sugar content was 50%.The effect of operation temperature on filtration efficiency was shown that high RRS was observed at 50°C rather than 20°C and 30°C, however, temperature influenced cake resistance less than sugar content during filtration.The effects of operation pressure and cross-flow velocity on filtration efficiency were that when cross-flow velocity was 1.07-1.6 m/s, RRS increased as pressure increased. Whereas influence of cross-flow velocity on RRS decreased as pressure became decreased.Furthermore, total operation energy was easily calculated using inlet pressure under several filtration conditions to obtain a constant volume of permeate.At constant pressure, the cross-flow velocity was proportional to the energy. At constant cross-flow velocity, there were optimum pressures at each cross-flow velocity for useful filtration.
著者
伊藤 健 小嶋 寛明 新宮原 正三 清水 智弘
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

セミやトンボなどの翅には無数のナノ構造が表面を埋め尽くしており、その表面は抗菌性を示すことが近年報告された。本研究では、その抗菌メカニズムを解明するために、人工的に様々な条件を制御したナノ構造を作製し、構造や物理化学的性質と抗菌との関係を明らかにしようとしている。初年度は、安価かつ大面積にナノ構造を作製するため、コロイダルリソグラフィとメタルアシストエッチングを用いることで2インチ角のシリコン基板に対して任意の寸法をもつ円柱状の構造物をアレイ状(ナノピラーアレイと呼ぶ)に配列させることに成功した。作製法を以下に記す。まずSi基板上にナノサイズの樹脂ビーズを単層配列させる。樹脂ビーズの直径により構造の間隔を決定できる。次に、酸素プラズマをこの基板に当てることで、樹脂ビーズを徐々に削っていく。この時の樹脂ビーズの直径がナノ構造の直径に相当する。次に、メタルアシストケミカルエッチングの際の触媒として働く金を上述した基板に薄く堆積させる。続いて、基板を特殊なエッチング溶液に浸すことでシリコン基板が深さ方向に異方的にエッチングされる。エッチング溶液に浸している時間で、ナノ構造の高さを制御することができる。最後に、金と樹脂ビーズを除去することでシリコン単体からなるナノ構造を形成することができる。この技術を用いることで任意のピッチ、直径、高さを持つナノ構造を得ることができた。この技術を利用して様々な幾何学的な条件を変化させたナノ構造を作製し、その基板に対して抗菌評価を実施した。抗菌評価法にはJIS Z2801(フィルム密着法)を適用し、菌体として大腸菌をターゲットに抗菌評価を行った。その結果、抗菌性を示す条件を得ることができ、特許の申請に至った。
著者
伊藤 茂樹
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.634-639, 2018-03-20 (Released:2019-01-11)
参考文献数
21

This paper examines the influence of the Chinese monk Yongming Yanshou (904–975) on Japanese Pure Land thought, which flourished in Nara during the Insei period (1086–1185). Renowned Japanese Buddhist thinkers of the time, such as Yōkan (1033–1111) and Chinkai (1091–1152), who respectively authored the Ōjōjūin and Bodaishinshū, were informed by Yanshou’s writings.Yongming Yanshou was a disciple of Tiantai Deshao (891–972) and the third ancestor of the Fayan Chan lineage. Zen monks frequently cited Yanshou’s seminal text Zongjing lu, though he also was prominent as a patriarch of Pure Land teachings in Japan during the Heian period. The Shinshū ōjōden describes Yanshou as having achieved the highest of the nine grades of birth in the Pure Land. This story repeatedly appears in Chinkai’s Bodaishinshū, the Agui text Gensenshū, Kōfukuji sōjō, and other Buddhist writings. Yanshou’s legend circulated with the latest information that came from China in the Heian period. Here, I discuss the transmission of Yanshou’s teachings and legends from the Tōnan-in temple at Tōdai-ji and its impact on Pure Land Buddhism during this time.
著者
酒井 えりか 伊藤 彰教 伊藤 貴之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第281回研究会講演予稿
巻号頁・発行日
pp.181-184, 2017 (Released:2020-07-01)

毎年たくさんのアニメやゲームが制作され 数多くのキャラクタが生み出される.その声を担当する声優のキャスティングは,キャラクタの印象を決定づける重要な要因となる.本報告では,キャラクタと声質の関 係について分析する諸手法を提案する.セリフから得られた音響特徴量と印象値の関係を学習させる.この学習結果を活用することで,新しいキャラクタに関する任意の印象値を与えることで適切な音響特徴量を推定できる.こ の音響特徴量の推定結果をカバーできると思われる声優を選出し,声優候補リストとして生成する.一方で,ゲー ム作品に関するウェブ上の文書から自然言語処理を用いてキャラクタ聞の距離を算出し,可視化する.これらを用 いることで本研究では 声優候補リストとキャラクタ間距離から声優をキャスティングするシステムの開発を目指 す.このシステムは例えば,声優をゲームキャラクタに割り当てる際の議論に有用であると考えられる.