著者
森田 尚樹 佐藤 幸男 櫻井 裕之 横堀 將司 石川 秀樹 梶原 一 海田 賢彦 松村 一 福田 令雄 濱邉 祐一 磯野 伸雄 田上 俊輔 藤原 修 副島 一孝 新井 悟 佐々木 淳一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.76-89, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
17

東京都熱傷救急連絡会は熱傷救急ネットワークとして参画施設よりデータを収集, 分析し熱傷に関する啓発活動等を行っている. 今回1991年から2020年の30年間分9,698症例のデータを5年ごとに分け分析し, 熱傷症例の傾向を検討した.  総症例数に大きな変化は認めず, おもな受傷原因はflame burn, scald burn, inhalation injuryの順に多かった. 平均熱傷面積は有意に減少を認め, 平均年齢は有意に上昇し, 死亡率は有意に低下を認めた. 死亡症例の平均年齢は有意に上昇し, 平均熱傷面積は減少した. 死亡症例のBIは有意に減少したが, PBIは変化を認めず, 100をこえると死亡率は60%以上となった. 原因別症例数推移は, scald burnは増加傾向を, inhalation injuryは有意に増加した. これに対し, flame burnは有意に減少を認めた. Flame burnでは火災, コンロ等, 自傷行為, scald burnではポット・鍋の湯・油, 熱い食べ物, 風呂・シャワーがおもな受傷原因であった.  年齢別症例数は, 年少年齢 (0~14歳) ではポットの湯や油によるscald burn症例が増加傾向にあり, 対して火災によるflame burn症例は減少傾向を示した. 生産年齢 (15~64歳) では火災や自傷行為によるflame burn症例は減少傾向を認めた. 老年年齢 (65歳以上) では火災, コンロによるflame burn, 熱い食べ物, ポットの湯によるscald burnで症例数の増加を認めた. 出火原因はタバコの火の不始末 (不適当な場所への放置), 焚火, コンロが多く, 今後高齢者人口の増加に伴い, タバコの火の不適切な場所への放置, 焚火への注意喚起や, コンロ等のIH化や難燃性の衣類の推奨, ポットや鍋等の熱い食べ物による熱傷に対する啓発活動が重要であると考える.
著者
西 康行 平川 治男 佐々木 淳
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-41, 2013-01-20 (Released:2014-02-07)
参考文献数
11

うつ病の既往を持ち、精神症状の増悪を主症状に当院精神科入院となり、副甲状腺腺腫摘出術後、精神症状が改善した副甲状腺腺腫の 1 例を経験した。基礎疾患に精神疾患を有する場合、副甲状腺機能亢進による高 Ca 血症に伴う精神症状が、基礎疾患の増悪ととらえられ、診断、治療が遅れることがあり、精神症状を主症状とする副甲状腺機能亢進症があることを認識すべきと考えられた。また今回の症例において、副甲状腺腺腫摘出術により精神症状が改善しており、精神症状の改善に関して、副甲状腺腺腫摘出術が有効であると考えられた。
著者
松本 悠 都築 義和 芦谷 啓吾 大庫 秀樹 市村 隆也 佐々木 淳 中元 秀友 今枝 博之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.151-153, 2020-06-26 (Released:2020-07-07)
参考文献数
5

Olmesartan has recently been reported as a cause of drug-induced enteropathy characterized by chronic diarrhoea and duodenal mucosal atrophy demonstrating sprue-like enteropathy. 82-year-old, male presented to our hospital because of chronic severe watery diarrhea without abdominal pain or fever. Blood examination showed mild anemia (Hb 11.2 mg/dl). Abdominal contrast-enhanced computed tomography showed mucosal edema in the large intestine. Esophagogastroduodenoscopy showed no villous atrophy in the duodenum with the possibility of pyloric gastrectomy, however, colonoscopy showed villous flattering in the terminal ileum and edematous changes in sigmoid colon. Histopathologic examination in biopsy samples from the terminal ileum and sigmoid colon showed interstitial lymphocytic infiltration. He was treated with olmesartan for hypertension at least two years before the onset of symptoms. In addition, watery diarrhea improved soon after discontinuation of olmesartan. Therefore, he was diagnosed as olmesartan-induced enteropathy. Its pathogenesis remains unclear; however, olmesartan-induced enteropathy must be included in the differential diagnosis for patients with chronic diarrhea after the intake of olmesartan.
著者
大津 奈央 倉持 好 佐々木 淳 落合 謙爾 御領 政信
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.357-362, 2017-06-20 (Released:2017-07-20)
参考文献数
15

ブロイラーの浅胸筋変性症の発生要因及び病変形成プロセス解明のため,浅胸筋に肉眼的異常のある32日齢及び48〜50日齢のブロイラーの浅胸筋と深胸筋を病理学的に検索した.肉眼的に32日齢では浅胸筋は軽度の退色,筋線維の走行に一致する白色線条病変が観察され,組織学的には散在性の筋線維の硝子様変性,絮状変性,大小不同,マクロファージによる筋貪食像が認められた.48〜50日齢では,32日齢の病変より重度かつ広範で,肉眼的に浅胸筋の扁平化や,退色,水腫,白色線条病変が認められ,組織学的には筋線維の再生性変化や線維芽細胞の増殖を伴う膠原線維の増生が顕著であった.重症例では筋膜が肥厚し,膠原線維の増生及び血管新生が認められた.深胸筋ではどの日齢でも筋線維の硝子様変性がわずかに認められるのみであった.全症例で浅胸筋浅層の病変が最も重度で深部になるほど軽度であり,局所的な循環障害に起因することが示唆された.
著者
佐々木 淳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.3P1OS16a02, 2020

<p> 筆者が行っている TVCM の解析プロジェクト「 Creative Genome Project 」では、日本の TVCM における代表作品群を解析し、視聴者の読後感を基に TVCM における「体験」を 16 に分類している . ( この「体験」を本解析モデルにおいては CCT( コミュニケーション・コンセプト・タグ ) と呼称している . ) これら CCT を簡易に再現可能にするため , 今回は 11 種類の CCT に対して以下の研究を行った . ① まず 11 の CCT それぞれを特徴付けるため , 各 CCT に属する代表的な CM コンテンツの持つ深層構造(物語の骨格・フレーム)を解析し , 11 の各体験パターンそれぞれに対して , この構造を反映した典型文章を作成した . ② これらの典型文章に対し ,16 業種の商品やサービスを代入し , 意味的な練度を保つ文章を作成した . その上でこれら文章においても ,CCT や読後感がずれていないかを検証した . 結論として ,11 の CCT について概ね再現が良好であった . 以上について , 主に方法論と結果 , 今後の課題について報告する . </p>
著者
大津 奈央 倉持 好 佐々木 淳 落合 謙爾 御領 政信
出版者
日本獸医師会
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.357-362, 2017 (Released:2018-01-15)

ブロイラーの浅胸筋変性症の発生要因及び病変形成プロセス解明のため,浅胸筋に肉眼的異常のある32日齢及び48~50日齢のブロイラーの浅胸筋と深胸筋を病理学的に検索した。肉眼的に32日齢では浅胸筋は軽度の退色,筋線維の走行に一致する白色線条病変が観察され,組織学的には散在性の筋線維の硝子様変性,絮状変性,大小不同,マクロファージによる筋貪食像が認められた。48~50日齢では,32日齢の病変より重度かつ広範で,肉眼的に浅胸筋の扁平化や,退色,水腫,白色線条病変が認められ,組織学的には筋線維の再生性変化や線維芽細胞の増殖を伴う膠原線維の増生が顕著であった。重症例では筋膜が肥厚し,膠原線維の増生及び血管新生が認められた。深胸筋ではどの日齢でも筋線維の硝子様変性がわずかに認められるのみであった。全症例で浅胸筋浅層の病変が最も重度で深部になるほど軽度であり,局所的な循環障害に起因することが示唆された。
著者
佐々木 淳
雑誌
一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会
巻号頁・発行日
2021-05-19

「何かの時は入院できたら安心」と言われることがよくある。確かに病状が不安定となり、在宅生活の継続が困難であれば、一時的に入院するという選択肢はあってしかるべきである。しかし、在宅高齢者においては、入院によって身体機能・認知機能が低下する。これを「入院関連機能障害」という。フレイルの高齢者にとって、入院に伴う環境変化は心身ともにダメージが大きく、せん妄や認知機能低下が生じる。また食事制限がベッド上安静などによる急速な低栄養・廃用症候群の進行で、要介護度が悪化する。在宅高齢者の緊急入院の50%は肺炎と骨折による。肺炎で入院した在宅高齢者は経過中に約30%が死亡し、退院できたケースは要介護度が平均1.74悪化、骨折で入院したケースも合併症で約5%が死亡し、退院できたケースは要介護度が平均1.52悪化していた。命を守るために、入院は必要不可欠な選択肢である。しかし「入院できれば安心」というのは必ずしも事実ではない。入院が必要な事態がなるべく生じないよう、予防医学的な支援が重要になる。もちろん、加齢に伴い身体機能は低下する。しかし不適切な栄養管理により、低栄養、サルコペニア、フレイル、そして廃用症候群と負のスパイラルに陥り、老化のプロセスを加速させているケースが目立つ。これらは高齢者にとって要介護状態や死亡のリスクを高め、QOLを低下させる。在宅高齢者の健康を守るために、まずは低栄養という病態に対して地域住民や専門職に対する認知度を上げていかなければならない。在宅栄養サポートのターゲットは、その人の栄養状態だけではない。その人の生活であり、その人の人生そのものでもある。在宅医療を受けている患者の多くは治らない病気や障害とともに、人生の最終段階に近いところを生きている。生物学的な栄養改善という医学モデルに基づく介入のみならず、生活の楽しみ、人生への納得のための支援という側面も重要になる。そのアウトカムは必ずしも生存期間の延長だけではない。また、食事は生活の一部でもある。専門職に支配されるものであってはならない。家族の介護負担、経済的負担にも留意しながら、本人・家族が納得して食事を楽しみながら栄養管理ができる「自立した状況」にシフトしていくことを目標としなければならない。どんなに栄養価の高い食材も、単なる「栄養補給」では味気ない。個々の栄養成分の充足率ももちろん重要だが、それはよりよい生活・人生のための手段に過ぎない。また、誰と食べるかも非常に重要なファクターである。食はコミュニケーションでもあり、高齢者の場合には、人とのつながりがその人の予後を左右する。医科歯科介護の連携により、包括的な在宅での食支援を実現し、食べることの本来の意味を見直すきっかけを作りたい。
著者
佐々木 淳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

Self-practice/Self-reflectionプログラム(SP/SR)とは、認知行動療法の新しいトレーニング法である。自らの問題に対して認知行動療法の技法を使って取り組み(Self-practice)、そのプロセスを振り返って記述する(Self-reflection)ことによって、スキルの知識や技法の習熟だけでなく、体験的理解が促され今後に生かすべきことを自分で見つける省察力が育まれることが明らかになっている。本研究では、SP/SRプログラムの日本語版を確定し、心理職のトレイニーの省察力がこのプログラムによって高まるかを確認する。
著者
鈴木 孝 佐々木 淳
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.145-156, 2019-02-28 (Released:2020-10-06)
参考文献数
25

臨床心理面接にて,カウンセラー(以下,Co.)がクライエント(以下,Cl.)に対して自己開示をする効果が指摘されており,多くのCo. が自己開示を使用している。その効果については実証研究が蓄積されてきた。しかし,どのような自己開示をCl. が求めているか,そしてCo. がその期待にどう応じるのかは明らかにされていない。そこで本研究では,Co. の自己開示について,Cl. の期待とCo. の実際の応答との差異を検討することを目的とした。心理援助職14名(Co. 役)と大学生53名(Cl. 役)を対象に,Cl. がCo. に自己開示を求めた仮想事例を提示し,Co. 役には自身がすると予想する応答を,Cl. 役には自身がCo. に求める応答を回答させた。Co. の気持ちの開示を求めた仮想事例では,傾聴に徹することが両者に共通する応答として見いだされた。一方で,Co. の見立ての開示を求めた仮想事例では,Cl. 役は解決策の開示を期待したのに対し,多くのCo. 役が解決策を提示しないと予想した。Cl. の期待とCo. の応答が異なる点について,面接における時間軸の観点から考察し,Co. に求められる姿勢を論じた。
著者
吉村 伊保子 佐々木 淳 秋元 博之 吉村 教皋
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.379-384, 1989-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

典型的な先天性筋緊張性ジストロフィーに自閉症を伴っていた症例 (11歳女児) を報告し, その臨床像, CT像, 筋生検 (光顕, 電顕) 所見を述べるとともに, 本例の示す意味について考察した.電顕所見によると, 歪に分葉した中心核と, その周辺部の筋原線維の変性を特徴としていた.本例は, 精神遅滞と脳波およびCT像の異常を認め, 他の剖検例の所見をあわせて考えると, その脳器質障害は明らかである.したがって, 本例は, 自閉症がいくつかの病因をもった器質性症候群であるという仮説を支持する症例のひとつに加えられ得ることを述べた.
著者
佐々木 優 高木 正則 山田 敬三 佐々木 淳
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.745-746, 2018-03-13

近年,農作物の品質と生産性の向上や農作業の省力化を目的として情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業が進められている.しかし,スマート農業の導入においてはICTを扱う人材の不足が課題となっている.そこで,我々は次世代農業人材の情報活用能力の向上を目的とした研修プログラムと教育支援システムを提案する.本研究では,、文部科学省で定義されている情報活用能力を基盤とした上で,スマート農業を前提とした農業版情報活用能力を定義し,それに対応した研修プログラムの検討と教材の開発を行った.本稿では,農業高校を対象とし,センサから得られた圃場の環境情報を利用した教材の内容と,提案システムを用いた教育方法についても紹介する.
著者
小菅 李音 高木 正則 佐々木 淳 山田 敬三
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.613-614, 2018-03-13

近年,MOOCの出現により,講義映像を利用した反転授業の実践も行われている.著者らが所属する大学においても教科書や演習問題を含むeラーニング教材に加え,重要部分の補足説明のために独自に制作した講義映像を公開して反転授業を行っている.この映像は前年度までの授業評価アンケートに基づいて制作しているが,これだけでは詳細なニーズを十分に把握しきれていない問題がある.そこで,本研究では,新規映像の制作や既存映像の改善に対する詳細なニーズを抽出するために,チャットボットを利用したニーズ抽出支援システムを提案する.具体的には,学習ログ,映像視聴ログ,チャットログを分析することで,詳細なニーズの抽出を試みる.
著者
佐々木 淳
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

自我漏洩感とは、対入恐怖症や統合失調症等に広くみられる重要な症状であり、自分の内面的な情報(感情や思考)が他者に伝わったと感じる体験である。自我漏洩感については、これまで実証的な研究が行われてこなかったため、治療法開発に至っていない。本研究課題は、自我漏洩感による苦痛を長びかせる要因(維持要因)を対処方略の観点から明らかにし、治療法を考案することを目標とする。日本学術振興会特別研究員採用第3年度である平成19年度は、前年度に得られた維持要因についての知見に加えて、これまでの実証研究で示された知見に基づき、自我漏洩感に対してどのように認知行動療法的なアプローチがおこないうるか、そのプロセスの具体化を試みた。まず、自我漏洩症状をもっている人は、他者に気持ちがつたわってしまうと感じること自体に違和感を感じたり苦痛を感じたりしていること(佐々木・丹野,2005)が明らかになっている。よって、介入の第一段階として、自我漏洩感を持つことに対するノーマライジングを行なうことが必要である。その上で、自我漏洩感に没入してしまう対処行動は何か、自我漏洩感から距離をとることのできる対処行動は何か、について心理教育を行う必要がある。更に、自我漏洩感をどのようにとらえるかによって苦痛な体験となるか自然な心の働きと感じることができるかが決定されるため、その捉え方に焦点をあててその修正を試みる。今後は実際の事例に即して、プロセスの精緻化を行う予定である。
著者
井浪 義博 安東 嗣修 佐々木 淳 倉石 泰
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.11, pp.1225-1230, 2012 (Released:2012-11-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

The primary function of surfactants is to remove dirt, exfoliated corneum cells, and microorganisms from the skin. However, the use of toiletries such as soaps and shampoos containing surfactants may cause adverse effects such as cutaneous irritation, dryness, and itching. Recently, skin pathologies, including dry skin, rough skin, and sensitive skin, have increased because of changes in living conditions and lifestyle. Although many people with skin pathologies complain of itching during and/or after skin washing using detergents, the mechanisms of detergent-induced itch are yet to be elucidated. Therefore, in this study, we investigated the mechanisms underlying surfactant-induced itching. We found that topical application of an anionic surfactant sodium laurate at an alkaline pH, but not N-lauroylsarcosine sodium salt at neutral pH, to mouse skin induced scratching, an itch-related response. Additionally, we found that the sodium laurate-induced scratching was inhibited by H1 histamine receptor antagonist, but not mast cell deficiency. Sodium laurate application increased histamine content and the level of the active form (53 kDa) of L-histidine decarboxylase (HDC) in the mouse epidermis, but not the dermis. Furthermore, addition of sodium laurate to a human epidermal cell culture increased histamine release and HDC levels, without affecting cell viability. These results suggest that surfactants with alkaline properties are pruritogenic and that the pruritus is induced by the histamine released from epidermal keratinocytes. The increase in histamine release may be attributable to the activation of HDC in epidermal keratinocytes.
著者
村田 希吉 大友 康裕 久志本 成樹 齋藤 大蔵 金子 直之 武田 宗和 白石 淳 遠藤 彰 早川 峰司 萩原 章嘉 佐々木 淳一 小倉 裕司 松岡 哲也 植嶋 利文 森村 尚登 石倉 宏恭 加藤 宏 横田 裕行 坂本 照夫 田中 裕 工藤 大介 金村 剛宗 渋沢 崇行 萩原 靖 古郡 慎太郎 仲村 佳彦 前川 邦彦 真山 剛 矢口 有乃 金 史英 高須 修 西山 和孝
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-347, 2016-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

【目的】重症外傷患者における病院前輸液と生命予後, 大量輸血および凝固異常との関連について明らかにする. 【対象と方法】Japanese Observational Study of Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) で後方視的に収集したISS≧16の外傷796例について, 28日死亡, 大量輸血 (24時間Red Cell Concentrate : RCC10単位以上), 外傷性血液凝固障害 (Trauma–Associated Coagulopathy : TAC : PT–INR≥1.2と定義) の3つを評価項目として, 病院前輸液施行の有無の影響を検討するために多変量解析を行なった. さらに年齢 (65歳以上/未満), 性別, 重症頭部外傷合併の有無, 止血介入 (手術またはIVR) の有無により層別化解析した. 【結果】病院前輸液施行85例, 非施行711例であり, 両群間における年齢, 性別, 28日死亡, 大量輸血, 止血介入に有意差を認めなかった. 病院前輸液群ではISSが高く (中央値25 vs. 22, p=0.001), TACが高率であった (29.4% vs. 13.9%, p<0.001). 病院前輸液は28日死亡, 大量輸血の独立した規定因子ではなかった. TACの有無を従属変数とし, 年齢・性別・病院前輸液の有無・ISSを独立変数とするロジスティック回帰分析では, 病院前輸液 (オッズ比 (OR) 2.107, 95%CI 1.21–3.68, p=0.009) とISS (1点増加によるOR 1.08, 95%CI 1.06–1.10, p<0.001) は年齢とともに独立したリスク因子であった. 層別解析では, 65歳未満 (OR 3.24, 95%CI 1.60–6.55), 頭部外傷合併 (OR 3.04, 95%CI 1.44–6.42), 止血介入例 (OR 3.99, 95%CI 1.40–11.4) において, 病院前輸液は独立したTACのリスク因子であった. 【結語】ISS≧16の外傷患者に対する病院前輸液は, 28日死亡および大量輸血との関連は明らかではないが, TAC発症の独立したリスク因子である. 特に65歳未満, 頭部外傷合併, 止血介入を要する症例に対する病院前輸液は, TAC発症のリスクとなる可能性がある.
著者
原 大周 小塩 平次郎 佐々木 淳 矢野 貴久 弓取 修二
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1100-1103, 2006
参考文献数
3

過去の教訓に学びつつ、プロジェクト担当者がマネジメント上の分岐点で判断する際に参照できる情報を蓄積し、まとめることは極めて重要である。筆者らは、プロジェクトの中間・事後評価又は追跡調査・評価等から得られる情報を活用し、「NEDO研究開発マネジメントガイドライン(以後、「ガイドライン」という。)を作成した。このガイドラインは、プロジェクトの進捗段階に応じて立ち上げ段階から終了段階まで6つのフェーズに分類し、レビューポイントを明確化した。具体的には、「(1)先導調査の提案」として、先導調査の着手の判断を行うフェーズ、「(2)先導調査の実施・予算要求」として、プロジェクト予算要求の是非の判断を行うフェーズ、「(3)プロジェクト基本計画の策定」として、プロジェクトの骨格となる基本計画を策定するフェーズ、「(4)プロジェクトフォーメーションの決定」として、プロジェクトの実施体制・スケジュール等の詳細決定を行うフェーズ、「(5)実施段階」として、日々のマネジメントと各種評価の反映を行うフェーズ、「(6)終了段階」として、終了間近な時点におけるフォローアップを行うフェーズ、を設定した。全6つのフェーズのうち4つを立ち上げ段階が占めるのは、これらが特にプロジェクトの成功・失敗に大きな影響を及ぼすと考えられるためである。本稿ではこの立ち上げ段階にターゲットを絞り、ガイドラインで示した着目すべき指標とNEDOのマネジメントのあり方について検証した。
著者
佐々木 淳 倉石 泰
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.151-155, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
76
被引用文献数
1

神経因性疼痛は長期間持続する難治性の疼痛である.持続的な痛みは患者のQuality of Lifeを著しく低下させることから,痛み自体が治療の対象となる.しかし,従来の鎮痛薬では疼痛を十分にコントロールすることは難しい.また,同一症状の疼痛でも疼痛発症機序は多様であり,同一の治療法の効果は一様ではない.神経因性疼痛モデルは数多く報告されており,末梢神経損傷するタイプ,病態特異的タイプ,化学療法薬誘発タイプに分けられる.ヒト同様,モデルによって疼痛発症機序に違いがあり,薬物の効果も大きく異なる.絞扼性神経損傷(chronic constriction injury)モデル,坐骨神経部分損傷(partial sciatic nerve ligation)モデル,脊髄神経結紮損傷(spinal nerve ligation)モデルは,いずれも末梢神経損傷タイプの神経因性疼痛モデルであるが,疼痛の種類によっては発現のしやすさがモデル間で異なり,交感神経依存性やモルヒネ感受性にもモデル間で明らかな違いがある.神経栄養因子は3つのモデル全てで関与が報告されているが,substance P―neurokinin受容体系とglutamate―N-methyl-D-aspartate受容体系は,モデルによって,また疼痛の種類によって関与の程度が大きく異なる.各々のモデルでの疼痛機序は異なると考えることが重要であり,様々な神経因性疼痛のモデルで検討すること,そして,このようなモデル間の差がどのようにして生じるのかを明らかにすることが非常に重要である.