著者
香川 裕之 岩崎 雄一 木村 啓 犬飼 博信 佐々木 圭一 安田 類 保高 徹生 山縣 三郎 河村 裕二
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.115-124, 2021 (Released:2021-07-10)
参考文献数
50
被引用文献数
1

飛騨川上流の支流に設定した, 鉱山廃水の流入前後の計11地点で金属等の水質と底生動物, 付着藻類の流程に沿った変化を調べ, 金属濃度が低い別の支流に設定した対照地点との比較により鉱山廃水流入による生態影響を評価した。鉱山廃水流入直後の調査地点では, 亜鉛等の金属濃度が高くなり (亜鉛は最大0.94 mg L-1) , 底生動物及び付着藻類の種数等は大きく減少し, 金属濃度が高い河川でも出現する分類群 (底生動物はコカゲロウ科等, 付着藻類は珪藻類のAchnanthidium属) が優占した。金属濃度は流程に沿って減少し, 当該調査の最下流地点で底生動物群集は対照地点と類似していた。底生動物と付着藻類の種数や群集組成の流程変化は類似していたが, 付着藻類では鉱山廃水流入直後に総細胞数が顕著に増加していた。金属類に対する水生生物の変化を包括的に理解するためには, 複数の生物グループを調査する必要がある。
著者
佐々木 輝美
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
放送教育研究 (ISSN:03863204)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.57-71, 1986

The possible effects of TV violence on regular television viewers have been a critical problem. Study results have supported that there is a positive relation between the amount of violence viewed on TV and viewers' aggressiveness. However, these are cases mostly in America or in Europe and it can possibly be said that, in Japan, there have been no studies to clarify the relation between them. Thus, one of the purposes of this study was to clarify the relation between the amount of violence viewed on TV and viewers' aggressiveness. 473 (249 junior high and 224 senior high school) students were asked to choose up to five programs from among 25 violent programs and to answer 20 questions about their daily violent bahavior. The result indicates that there is a positive relation between them. The second purpose of this study was to clarify the relationship between the violence viewed on TV and the viewers' degree of desensitization toward violent scenes. The author hypothesized that the more people watch TV violence the more they become used to it and are no longer upset by witnessing violence. Subjects were asked how they would react when they witnessed violent scenes. The result indicates that there is no positive relation between them. However, the data indicate that there is a positive relation only in the case of senior high school students. This may suggest that the more years people are exposed to TV violence the more they become used to it. The third purpose of this study was to verify the effects of different types of programs on viewers' aggressiveness and on the degree of desensitization towards violent scenes. The author referred to Iwao's three categories of violent television programs; random violence, purposive violence and passive violence programs. Subjects were asked what type of program they frequently watch and were categorized into three viewing types; random violence viewing, purposive violence viewing and passive violence viewing types. The relationship between the amount of violence viewed on TV and the degree of desensitization towards violent scenes was analyzed for each viewing type. The result indicates in each case, there is no positive relation between them. The relationship between the amount of violence viewed on TV and viewers' aggressiveness was also analyzed for each viewing type. The result indicates that for each type, there is a positive relation between them and especially in the cases of viewing random violence and passive violence, the relation is stronger than when viewing purposive violence.
著者
本山 達男 尾川 貴洋 小川 貴久 古江 幸博 永芳 郁文 川嶌 眞之 佐々木 聡明 渡邊 裕介 小杉 健二 川嶌 眞人 田村 裕昭
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.481-484, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
6

膝前十字靭帯(ACL)損傷に伴う骨挫傷は,MRIでのACL損傷診断の補助となる.ACL新鮮例のMRIでの骨挫傷について検討した.対象と方法)対象は2011年7月より2014年7月まで当院でACL損傷にて関節鏡もしくは鏡視下靭帯再建を行った41例,41膝,男性21例,女性20例,平均年齢30歳(13-58)右膝12例,左膝29例であった.MRIにて骨挫傷の有無,部位について,また受傷機転,スポーツ種目について検討した.結果)41膝中39膝(95.1%)に骨挫傷を認め,脛骨外側顆36膝,大腿骨外側顆28膝,脛骨内側顆13膝,大腿骨内側顆6膝であった.また内側コンパートメントの骨挫傷単独例はなく,外側コンパートメントの骨挫傷を合併していた.41例中39例はスポーツが原因で,バレーボール17例,バスケットボール10例,サッカー6例などであった.受傷機転はジャンプし着地時の受傷が21例と多かった.非接触型の受傷は34例(82.9%)を占め,接触型より内側の骨挫傷を多く合併していた.
著者
寺島 正二郎 佐藤 栄一 小竹 和夫 植木 一範 佐々木 聡
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.87-98, 2010 (Released:2017-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

本研究開発では頸髄損傷者や筋ジストロフィーなどの重度障害者のための操作・支援装置として, 残される随意機能の1つである舌の動作に着目して, 舌運動で操作可能なマウスピース型の操作装置の開発を行っている. 本稿では, 開発した口腔内リモートコントローラーの仕様を説明すると共に, その性能および操作性について評価を行った.  その結果, RFタグを用いることにより内蔵電源が不要なリモートコントローラーの開発に成功し, その通信特性として安定的な最大通信距離は大気中, 水中, 肉塊内共に110mm以上と良好な値を示した. また, 実利用時の通信特性を評価したところ, 頬脇にアンテナを設置した場合, 設計仕様を満たす十分な通信特性が得られており操作性も良好であった. さらに, 市販の電動車椅子を運転操作した結果, 安定した走行が可能であり, これらの結果から本システムの有効性と実利用の可能性を認めた.
著者
佐々木 達也
出版者
城西大学経営学部
雑誌
城西大学経営紀要 (ISSN:18801536)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-19, 2021-03

2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で,緊急事態宣言が発出され大学は休業要請の対象となり,当然のことながら課外活動(部活動)もその影響を大きく受けた。一つ目は,UNIVASの調査データから,大学スポーツが受けた影響を段階的に明らかにした。二つ目は,大学スポーツ公式戦状況を,主要スポーツを抜粋して明らかにした。三つめは,城西大学の新型コロナウィルス対策について明らかにした。大学スポーツが受けた影響は計り知れなく,城西大学も同様に大きな影響を受けた。しかしながら,他大学と比較して部活動停止期間を最小限に抑えることができた等,適切な対応ができたこともあり,主要部活動の好成績につながった。課題としては,他校との対外試合時対応にあり,今後の感染予防徹底の継続が重要である。In 2020, universities were required to close and on-campus classes were suspended as the state of emergency was declared by the Japanese government due to the COVID-19 pandemic.The management of extracurricular activities-club activities-was also confronted with difficulties as a matter of course. In this paper, the author firstly analyze the UNIVAS survey data which reveal the impact of university sports activity suspension in stages. Secondly, by selecting major sports, current status of official university sports games is clarified. Lastly, the author refers Josai University's countermeasures against the pandemic. The impingement on college sports has been immeasurable, and Josai University has been greatly affected as well. However, compared to other universities, Josai was able to take best appropriate measures, including minimizing the period of suspension of club activities, which consequently led to good results in major club activities. One issue that needs to be addressed is how to manage anti Covid1-19 measures for external games against other school teams, and it is important to keep continuous thorough infection prevention.論文 / Articles
著者
原周 一郎 別宮 若菜 松川 淳 佐々木 恵子 益子 尚子 関川 佳奈 佐藤 美和 齋藤 裕 浅田 弘法
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.103-107, 2019

<p><b>Introduction:</b> Myomas are a common disorder in women of reproductive age, affecting 20%–50% of the population. The relationship between myomas and infertility is still unclear, and the effect of myomectomy on reproductive outcomes is uncertain. We retrospectively investigated patients with infertility who had laparoscopic myomectomy (LM) in our hospital and discussed the impact of LM on reproductive outcomes.</p><p><b>Methods:</b> A total of 54 patients with infertility who underwent LM in our hospital between January 2015 and September 2016 were analyzed. All patients received both preoperative and postoperative treatments for infertility, such as timed intercourse, intrauterine insemination (IUI), and assisted reproductive technology (ART).</p><p><b>Results:</b> Mean age was 37.0 (29–44, median 39) years. Of 54 patients, 34 (63.0%) conceived after LM (timed intercourse = 10, IUI = 1, and ART = 23). Mean duration between the operation and pregnancy was 9.2 (4–24, median 8.5) months. Uterine cavity distortion did not have an influence on reproductive outcomes. All pregnant women delivered by cesarean section. No uterine rupture was observed.</p><p><b>Conclusion:</b> LM may be offered to patients who do not become pregnant after infertility treatment.</p><p></p>
著者
合田 明生 佐々木 嘉光 本田 憲胤 大城 昌平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101989, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】近年,運動が認知機能を改善,または低下を予防する効果が報告されている.運動による認知機能への効果を媒介する因子として,脳由来神経栄養因子(Brain-derived Neurotrophic Factor;BDNF)が注目されている.BDNF は神経細胞の分化,成熟,生存の維持を促進する.またBDNFは神経細胞内に貯蔵されており,中枢神経系の神経活動によって神経細胞から刺激依存性に分泌される.さらに血液-脳関門を双方向性に通過可能なため,中枢神経のみではなく末梢血液中にも存在している.運動時のBDNF反応を観察した先行研究から,中強度以上の有酸素運動によって末梢血液中のBDNFが増加することが示唆されている.一方で,これらの先行研究は欧米人を対象としたものが多く,日本人を対象とした研究は見つからなかった.そこで本研究では,日本人において中強度有酸素運動によって末梢血液中のBDNFが増加すると仮説を立て検証を行った.その結果から,運動による認知症予防のエビデンス構築の一助とすることを目的とする.【方法】健常成人男性40 名(年齢 24.1 ± 2.8 歳; 身長 170.6 ± 6.7cm; 体重 64.8 ± 9.4kg)を対象にした.本研究は,運動負荷試験と本実験からなり,48 時間以上の期間を空けて実施した.運動様式は,運動負荷試験・本実験ともに,自転車エルゴメータを用いた運動負荷(60 回転/分)とした.運動負荷試験では,最高酸素摂取量を測定した.本実験では,30 分間の中強度運動介入を行い,運動前後で採血を実施した.採血は医師によって実施された.採取した血液検体は,血清に分離した後,解析まで-20°で保管した.血液検体の解析は検査機関に委託し,酵素結合免疫吸着法検を用いてBDNF量の測定を行った.以上の結果から,中強度有酸素運動によって末梢血液中のBDNFが増加するのかを検討した.正規性の検定にはShapiro wilk検定を用いた.BDNFの運動前後の比較には,対応のあるt検定を用いた.危険率5%未満を有意水準とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の実施にあたり,聖隷クリストファー大学倫理審査委員会及び近畿大学医学部倫理委員会の承認を得た.また対象者には研究の趣旨を口頭と文章で説明し,書面にて同意を得た.【結果】中強度の有酸素運動介入によって,40 人中22 名で運動前に比べて運動後に血清BDNFが増加した.しかし,運動前後のBDNF量に有意な差は認められなかった(p=.21).【考察】運動介入によって末梢血液中のBDNFが増加することは,欧米人を対象とした多くの先行研究で報告されている.健常成人における有酸素運動介入による末梢血液中のBDNFの急性反応を調査した文献は13 本確認され,運動後にBDNFが増加した研究は8 本であり,不変または減少した研究は5 本であった.本研究と同様に,運動後に有意なBDNF 増加が認められなかった先行研究では,急速な中枢神経系への輸送が生じたため,運動後の採血でBDNFの増加が見られなかったのであろうと考察している.本研究では,動脈カテーテルを用いたリアルタイムの採血ではなく,静脈に穿刺して採血を行っている.そのため,被験者により運動終了から採血までの時間が数分程度差異があり,この間の末梢血液中BDNFの脳内取り込みが結果に影響している可能性がある.さらに,本研究で運動によりBDNF増加が生じなかった要因の1 つとして,一塩基多型(Val66Met)によるものも考えられる.これはBDNF遺伝子の196 番目の塩基がGからAに変化した多型のことで,これによってBDNF前駆体であるproBDNFの66 番目のアミノ酸がValからMetに変化する.Met 型の一塩基多型を持つ個体では,Val型に比べ,BDNFの活動依存性分泌が障害されることが報告されている.また日本人における一塩基多型(Val66Met)の保有率は,50.3%〜53.0%と欧米人に比べて高い値が報告されおり,このBDNF分泌を阻害する一塩基多型(Val66Met)の保有により,本研究対象者の運動によるBDNFの調節性分泌が減少していた可能性が考えられる.以上より,健常日本人男性におけるBDNFを増加させることを目的とした30 分間の中強度有酸素運動は,対象者によって適応の有無を検討する必要があることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から日本人の特性を考慮した認知機能に対する運動介入が必要であることが示唆される.今後需要が拡大すると予測される認知症予防の分野ではあるが,BDNF増加を目的とした運動介入を行う際には,対象者の適応を検討することでより効率的な介入効果が期待できると考えられる.
著者
佐々木 栄子 西村 歌織 唐津 ふさ 野川 道子 サカイ ヨシコ ニシムラ カオリ カラツ フサ ノガワ ミチコ Yoshiko SASAKI Kaori NISHIMURA Fusa KARATSU Michiko NOGAWA
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 = Journal of School of Nursing and Social Services, Health Sciences University of Hokkaido
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-41, 2008-03-31

本研究の目的はパーキンソン病患者の療養生活の受けとめと症状・日常生活動作との関連を明らかにすることである.パーキンソン病患者152名に自己記入式質問紙郵送調査を行った.調査内容は基本属性,重症度,症状,ADL,療養生活の受けとめで,療養生活の受けとめについては療養生活の受けとめ尺度を用いた.療養生活の受けとめ尺度の総得点は最小値24、最大値68,平均値49.0(SD=9.0)であった.ステップワイズ重回帰分析(p<0.05)を行った結果,療養生活の受けとめの要因として有意な関連がみられたのは「幻覚・妄想の程度」(β=.361)「排泄の自立度」(β=.289)であり,これらの2変数で分散の24.5%が説明された.また,下位尺度「主導権の喪失」の要因として有意な関連がみられたのは「不随意運動の出現時間」(β=.360)「入浴の自立度」(β=.266)であり,2変数で分散の26.2%が説明された.
著者
佐々木 閑
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.938-931,1331, 2006-03-20 (Released:2010-03-09)

At present we do not have a clear understanding of the historical process through which the existing Vinaya materials came into being. One of the most noteworthy points in this field is the difference in structure between Theravada Vinayas and the Mahasamghika Vinaya. It is thought that the compilation process of the Vinaya may be clarified by explaining the reason for this difference. On this point, scholars such as Frauwallner, Hirakawa, Yinshun, Clarke and myself have presented various theories. Clarke's theory, the most recent addition to the discussion, rejects the thesis of Frauwallner's famous work. If Clarke's criticisms are correct, then his interpretation is a revolutionary contribution to the study of the Vinaya. However, there is a serious logical contradiction in Clarke's theory, and therefore Frauwallner's theory cannot be dismissed. In this article, I will outline these past theories and point out the problems in Clarke's work.
著者
佐々木 杏里
出版者
島根大学法文学部山陰研究センター
雑誌
山陰研究 (ISSN:1883468X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.t51-t66, 2020-12-31

出雲市大社町手錢家に伝来する文芸資料の中から、一枚摺と版木を紹介する。この資料は、大社における文芸活動の実態を見る上で、多くの示唆を与えてくれる貴重な資料である。
著者
佐々木 武彦 阿部 眞三 松永 和久 岡本 栄治 永野 邦明 丹野 耕一 千葉 芳則 狩野 篤 植松 克彦
出版者
宮城県古川農業試験場
雑誌
宮城県古川農業試験場研究報告 (ISSN:09172904)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-17, 1994-03

宮城県古川農業試験場において、コシヒカリと初星の交配組合せから粳種の耐倒伏性極強・食味極良の新品種「ひとめぼれを育成した。本品種は東北中南部では中生の晩で、草型は偏穂数型である。耐倒伏性はやや弱、いもち病真性抵抗性推定遺伝子型はPi-i型で、圃場抵抗性は葉いもちにはやや弱、穂いもちには中、障害型耐冷性は極強である。玄米品質、食味は極めて良好でササニシキに優る。適地は東北地方中南部の平坦部、関東以西の早期栽培地帯及び温暖地、暖地の高冷地である。1991年に岩手、宮城、福島の各県で奨励品種に採用され、1992年には千葉、茨城、栃木、群馬、山梨、静岡、大分の各県で、1993年には鳥取県でそれぞれ奨励品種に採用された。
著者
佐々木 元也
出版者
日経BP社
雑誌
日経インタ-ネットテクノロジ- (ISSN:13431676)
巻号頁・発行日
no.22, pp.82-89, 1999-05

「既存のデータベースのデータをインターネットで容易に提供できるXML(eXtensible Markup Language)には,非常に注目している」(三和銀行 リテール統括部 角田 文彦部長代理)。三和銀行,富士銀行,日本興業銀行,日興証券は,XMLを使い,顧客の資産状況や取引履歴,為替相場,新商品情報などを顧客ごとにカスタマイズして配信する「インターネットパーソナルダイレクトメー…
著者
久保田 浩樹 佐藤 恭子 佐々木 伸夫 河村 葉子 小関 良宏 穐山 浩
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.94-103, 2012
参考文献数
38

カットキャベツを次亜塩素酸ナトリウムにより殺菌処理したときに生成する消毒副生成物の生成影響因子について検討を行った。カットキャベツは、次亜塩素酸ナトリウム(100mg/L)単独あるいは、有機酸と共に10分間殺菌処理を行い、カットキャベツに残存する揮発性ハロゲン化合物をヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した。主要な副生成物としてクロロホルムが検出された。クロロホルムは、殺菌時間、pH、温度、初期次亜塩素酸ナトリウム濃度に依存して増加した。次亜塩素酸溶液を種々の無機酸及び有機酸と併用してもトリハロメタンは生成しないが、クエン酸は次亜塩素酸と反応し、クロロホルムを生成した。クロロホルム濃度は、次亜塩素酸・クエン酸混液の混和時間に対応して増加し、カット野菜の殺菌時間には影響しなかった。また、カット野菜に残存したクロロホルムは水洗浄により、水道水中のトリハロメタン濃度レベルまで減少した。