著者
渡瀬 久也 小口 忠清 堀川 精一 佐々木 えつ子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.69-72, 1978

草木染は趣向性に富んだ色彩をだすことができるため, 紬 (つむぎ) などの伝統織物に多く用いられているが, 発色, 染着あるいは染色堅ろう度増進のため, おもに金属塩が染色助剤として用いられる.そのなかには絹繊維に著しい質的劣化をおこさせるものがあるので, 本試験では染色助剤と絹繊維のぜい化性との関係について主として強力および伸度を中心にして追究した.染色助剤として代表的な硫酸アルミニウムカリウム, 重クロム酸カリウム, 塩化第ニスズおよび木酢酸鉄を, また染料としてすおう, 楊梅 (皮) およびコチニールを用いて実験し, つぎのような結果を得た.<BR>(1) 染色助剤の種類によるぜい化の程度のちがいは, 光照射を行なうことにより顕著となった.<BR>(2) 光照射によるぜい化は, スズ助剤が最もはげしく, クロム助剤が最も緩慢であった.<BR>(3) 処理回数の増加により, また光照射時間の増加によりぜい化は促進された.<BR>(4) ぜい化の程度は, 助剤のpHよりもその溶液に含まれる金属の種類と量に影響されるようである.<BR>(5) 染料問のぜい化の差異は見られないようである.
著者
前田 清一 江口 貞也 佐々木 裕
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.166-170, 1960

1. L-リジン塩酸塩1.25%溶液(pH 4, 7, 8, 9, 11)を121℃, 2時間加熱したが,きわめて安定であった。<BR>2. 糖類が共存する場合加熱するとブドウ糖と果糖共存時でのリジンの破壊は酸性側ではみられないが,アルカリ側に移行するにしたがい増大する。しかし蔗糖共存時ではなんら影響を受けないように思われる。<BR>3. 破壊リジン溶液を酸処理すると,破壊リジンの一部はリジン定量菌に反応するようになるが,人工胃液処理の場合は反応しないと考えられる。<BR>4. リジン強化コッペパンは醗酵工程ならびに焙焼中においては添加リジンは安定であった。<BR>5. リジン強化食パンは醗酵工程中で添加リジンは破壊されず安定であったが,焙焼中には17%破壊され,トーストするとさらに10%破壊された。<BR>6. 炊飯時において添加リジンは15~20%, 6時間放置後で,さらに10~15%破壊された。炊飯直後のご飯をpH 2, 37℃で1時間振盪すると添加リジンの10%が賦活された。<BR>終りにリジン強化パン製造に御協力いただいた東京栄養食糧学校ならびに日清製粉K.K.中央研究所に厚く謝意を表します。
著者
城 潤一郎 三島 史人 武田 真一 山本 雅哉 村垣 善浩 伊関 洋 佐保 典英 窪田 純 佐々木 明 西嶋 茂宏 田畑 泰彦
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.558-568, 2007 (Released:2007-12-13)
参考文献数
5
被引用文献数
7 6

次世代DDS型治療システムとは,従来のDDS治療効果をさらに向上させるために,外部エネルギーをDDS技術と融合させる新しい技術・方法論である.この新治療システムによって,体内の深部にある病気を治療できるであろう.本稿では,磁場とDDSとを組み合わせた,磁気誘導DDSによる次世代治療システムを実現させるために必要となる技術要素を概説するとともに,その治療ポテンシャルについて述べる.
著者
佐々木 良江 仁平 昇 坂野 雄二
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.p13-21, 1982-12

本研究は, フィードバックが完全になされている状況における, 自己強化(SR)手続き顕在化の動機づけ効果を, 発達段階や達成動機の側面から検討することを目的として行われた。2×2×2の実験計画が用いられた。第1の要因は, 学年(2年・6年)であり, 第2の要因は達成動機である。予め実施された達成動機の調査から得点の高低により, それの高い群と低い群が設けられた。第3の要因はSR手続きである。すなわち, 自ら遂行量を記入し, それに対してよくできたと思ったら○を, あまりよくできなかったと思ったら×をつけるというSR手続きをする自己強化群(SR群)と, 遂行量のみを記入しSR手続きをとらないフィードバック群(FB群)から構成された。課題はWISC知能検査の符号問課(8歳以上用)が用いられた。主な結果は次の通りである。(a)2年生・6年生ともに, 達成動機の高低はSRの動機づけ効果に影響を及ぼさない。(b)2年生ではSR手続きを顕在化させた方がフィードバックのみよりも動機づけの効果は大きいが, 6年生では逆の関係になっている。(c)SR群において, 2年生・6年生ともに, 達成動機の高い群では負のSRの方が動機づけ効果が大きいが, 低い群では, 2年生児童において正のSRの方が動機づけ効果が大きいという傾向がみられた。(d)SR群における, 正か負のSRの決定に関して, 2年生の達成動機の高い群以外は, 正のSR前の方が負のSR前よりも遂行量の上昇量が多く, その傾向は6年生の方がより安定している傾向にある。しかし, (c), (d)においては被験者数が少なく, 有意な差は得られなかった。以上のことから, 6年生ではSR手続きを顕在化しなくても, covertなSR, つまり内潜的自己強化が行われていることを示唆している。しかし, これは
著者
佐々木 亜紀子
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育
巻号頁・発行日
no.5, pp.19-28, 2005-03-31

夏目漱石の推挙で文壇に登場した野上彌生子の「評論・随筆」「序跋」には,漱石に言及したものが五十作以上ある。だがそれらには漱石の卑近な姿や暗部を含んだ日常的な<漱石体験>しか語られていない。神格化する「夏目先生」に繋がる出版文化の恩恵のもとで八十年間の作家生活をし,「文学者として年をとるべし」という漱石のことばを「お守り」にしてきた彌生子の引き裂かれた<弟子>としてのあり方を検討した。
著者
高野 順子 秋根 大 佐々木 敏 香山 不二雄
出版者
自治医科大学
雑誌
自治医科大学紀要 (ISSN:1881252X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.233-241, 2006

心理状態と食品摂取の間に相関関係があるのか調べるため,平成14年9月に栃木県南河内町の中学校2年生200名を対象とし,多枝選択式による自記式食事調査票と心理状態に関する質問票の2種類のアンケート調査を実施し52%の有効回答を得た。データはプログラムBDHQL2を用いて算定し,食生活の傾向は食品摂取頻度および栄養素摂取量の2つのパラメーターによって評価した。心理状態と食品摂取との関係では,「カッとしやすさ」と「醤油・ソース頻度が高いこと」・「外食と比べたおかずの量が少ないこと」とに,同じく「イライラ感」と「骨ごとの魚食べる頻度が少ないこと」・「主食のある朝ご飯を食べる頻度が少ないこと」とに,「根気のなさ」と「骨ごとの魚頻度が少ないこと」・「海草摂取量の少ないこと」とに,「疲れやすさ」と「キャベツの摂取量の少ないこと」と・「きのこ摂取量の少ないこと」とに,「登校忌避感」と「生サラダ(レタス,キャベツ,トマト除く)を食べる頻度の少ないこと」・「主食のある朝ご飯を食べる頻度の少ないこと」に,相関が認められる結果となった。また栄養素に関しては「疲れやすさ」において「灰分」・「ナトリウム」・「ビタミンC」・「n-6系脂肪酸」・「多価不飽和脂肪酸」・「n-3系脂肪酸」と負の相関が見られる結果となった。