著者
楠本 夏未 日浦 慎作 佐藤宏介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.36, pp.85-92, 2008-05-01
参考文献数
8
被引用文献数
2

撮影後に写真の焦点を変化させ,ぼけ部分の描写を制御する研究は多く行われているが,どれも特別な装置,または撮影法を必要とする.また,一般に普及している小型デジタルカメラでは十分な大きさのぼけを得ることが出来ず,主要被写体を引き立たせるような作画が出来ない.そこで本研究では,小型デジタルカメラのみを使用し,位置・姿勢が未知の複数視点から撮影を行って得た画像群をもとにユーザの意図した「ぼけ」を含む画像を作成する手法を提案する.更に,合成時にぼけ像の大きさや形状,重み付けを変化させることで,様々な「ぼけ味」を作り出す手法も提案する.また,以上のようなシステムで作成したぼけ画像を評価する.There are a lot of researches for controlling the focus and blur of previously taken pictures. However, all of these researches require some special devices or techniques for taking pictures. Besides, enough size of blur can not be created with an ordinary compact digital camera, so it is hard to take pictures with impressively attracting main subject. Therefore, In this paper, we propose a method to create the image with demanded blur from the set of images taken by a compact digital camera placed at unknown viewpoints. Moreover, it is possible to produce various taste of blur by changing size, shape or weight of the blur kernel. In addition, we evaluated the quality of blurred images made by our system.
著者
西村 宏子 山本 悦生 山内 盛雄 岩永 迪孝 藤田 佳代子 岩崎 博 佐藤 宏昭 竹内 俊二 鶴原 秀晃
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2special, pp.328-337, 1983 (Released:2011-11-04)
参考文献数
31
被引用文献数
1

昭和52年1月から昭和57年9月までの6年9ヵ月間, 京大病院耳鼻咽喉科を訪れた顔神麻痺患者662名について統計的観察を行い以下の結果が得られた.(1) 顔神麻痺患者は, 外来新患数の1.8%を占めていた.(2) 年度別発生件数では, 各年ともベル麻痺が1番多く, 62.0~80.5%を占め, その他の頻度はまちまちであった.(3) 診断別分類では, ベル麻痺が1番多く, 447例 (67.5%), 以下, ハント症候群59例 (8.9%), 手術損傷性45例 (6.8%), 頭部外傷性45例 (6.8%), 先天性23例 (3.5%), 耳炎性15例 (2.3%), 中枢性6例 (0.9%), 側頭骨外疾患4例 (0.6%), 聴神経腫瘍2例 (0.3%), その他16例 (2.4%) であった.(4) ベル麻痺, ハント症候群における男女の差は著明でなかった.(5) ベル麻痺, ハント症候群とも左側にわずかに多かった.(6) ベル麻痺, ハント症候群の月別発生頻度は, 前者は11月に少なくなっている他は著明な差は見られなかった. 後者も季節的な一定の結論を出すのは困難であった.(7) ベル麻痺, ハント症候群とも青壮年が多く罹患していた.(8) 再発性麻痺は40例あり, 一側反復性麻痺14例, 両側交代性麻痺25例, 両側同時性麻痺1例を含んでいた.(9) ウイルス感染については, 検索を行った73例のうち, 感染ベルは21.3%で, ハント症候群では75%に帯状疱疹ウィルスに感染が認められた.
著者
宮城 玲子 日浦 慎作 佐藤宏介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.40, pp.93-100, 2004-05-06

侵入者の追跡など一般の日常シーンにおける画像処理では様々な未知の対象を即座に取り扱う必要があるため,対象のモデルをオンライン的に構築する必要がある.そこで我々は複数のステレオカメラを用いて対象の全周形状モデルを得ることを目的として研究を行った.対象物体が計測に適した位置に移動したことを知るため,また対象を背景から切り出すために視差に基づく背景差分法とテンプレートマッチングにより対象の位置を求めた.テクスチャが乏しい面や鏡面反射を持つ面などについては視差が安定に求められないことがあるため,背景の視差の変動を調べ利用することで安定化した.また基準物体を用いて2台のカメラ同士の位置関係を求め距離画像の位置あわせを行った.In this paper, we propose a measurement system of human body with multiple stereo cameras. This system focuses to an application of surveillance and monitoring in daily life. Prior to the measurement, the region of the object is extracted using background subtraction of disparity value, and then the position of the object is tracked using two-stage template matching. To remove the noise of background subtraction caused by specular reflection or lack of texture, statistical model of background is used. Calibration of two cameras is achieved using reference object and the shape and texture model of human face is correctly aligned as shown in experimental result.
著者
熊木 俊朗 大貫 静夫 高橋 健 佐藤 宏之 福田 正宏 臼杵 勲 國木田 大 高橋 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、古代から中世における日本列島の北方地域の社会変動について、特に中世アイヌ文化の形成過程に関する問題を中心に考古学的な検討をおこなった。具体的には、北海道東部地域を主な対象としてオホーツク文化の考古資料分析と擦文文化集落の発掘調査を行うことによって、この地域におけるオホーツク文化の終末とその後の擦文文化の展開・終末の過程を解明し、中世アイヌ文化が成立するまでの社会変化の実態を復元した。
著者
吹田 信之 野口 潤次郎 酒井 良 戸田 暢茂 佐藤 宏樹
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究においては, まず低次元の複素多様体リーマン面上の解析写像についていくつかの結果を得た. まず自己等角写像に関して, 種数5の閉リーマン面の自己等角写像群が完全に決定された(栗林-木村). 次に解析写像の個数を評価する問題は, 平面n重連結について境界保存の写像の個数の限界((n-2)24n-6)を得た. (Jenkuis-吹田). この限界は閉リーマン面に関するHoward-Sommesによって得られた限界よりもよい値である. 今後の問題としてはこれを閉リーマン面の場合に拡張することが残っている.次に, 面積有限な解析写像については, 写像のH2ノルムを像面積で評価する問題がある. 小林-吹田はHpノルムを評価するためのよい等式を得た. この結果は次元の高い空間領域でのノルム函数を像面積(体積)で評価する問題に一般化され, 酒井によって満足すべき評価式が得られた. またこの結果はブラウン運動にも応用されている. 有界写像に関する有界函数族については, 林により函数環の構造, 林-中井による分離性の問題などが研究された. 又村井は実解析的な方法で解析容量の研究を行った. 解析写像に関する特異性の除去可能性については, 円板内に含まれる容量零の閉集合が, 双曲的な閉リーマン面への解析写像に関して除去可能であること(西野の定理)の双曲的幾何を使った簡明な証明が鈴木により得られた. この定理は高次元への一般化の可能性を含んでいる. また野口により双曲的幾何学と値分布理論を結びつける方法を使って, ピカールの定理の一般化や, そのモジュライ問題へ応用及びディオファニタス幾何の研究が行われた. また値分布理論を使った極の曲面のガウス写像の除外方向の問題が解決された(藤本). 値分布理論は微分方程式へも応用され(戸田)また偏微分方程式の定めるモノドロシー表現の構造からその一意化類域が明らかにされた(佐々木, 吉田).
著者
川端 聡 日浦 慎作 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2673-2683, 2008-11-01
参考文献数
12
被引用文献数
3

コンピュータビジョンにおいて,画像中の処理対象物体の領域を抽出する手段として背景差分法が広く用いられているが,単純な背景差分法は背景の変化に対応できない.そこで多くの拡張がなされているが,背景物体の動きに再現性がある場合についてはあらかじめ得た背景画像列を固有空間により表現し,入力画像を固有空間に射影することで侵入物体の領域と背景画像とを同時推定する手法が提案されている.ここで侵入物体の領域は,画像修復問題における欠損領域と同様に扱われる.一方,固有空間を用いた欠損画像推定では,カーネルトリックを用いた非線形部分空間を利用する手法が提案されている.ところが,この手法では欠損領域が変化するとカーネル行列を再計算する必要があるため,侵入物体の検出のように,欠損領域が未知である場合には計算量が膨大になるという問題がある.そこで本論文ではカーネルトリックと繰返し投影により背景画像と未知物体領域を高速に同時推定する手法を提案する.
著者
高木 清志 佐藤 宏司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.10, pp.201-202, 2004-03-03

This paper deals with damage detection and vibration control of a new smart board designed by mounting the piezoelectric fibers with metal core on the surface of the CFRP composite. The damage of the board is identified on the assumption that the piezoelectric fibers using a sensor and actuators are broken at the damaged location simultaneously. A finite element model a CFRP cantilever is established and the damage location is identified using the input-output signals. Furthermore, the liner fractional transformation (LFT) is formulated considering the damage location and the gain-scheduled controller considering the location is designed. The control performance of the proposed method is verified by simulation.
著者
中村 生雄 岡部 隆志 佐藤 宏之 原田 信男 三浦 佑之 六車 由実 田口 洋美 松井 章 永松 敦
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、日本および隣接東アジア地域の狩猟民俗と動物供犠の幅広い事例収集を通じて、西洋近代率会において形成された「供犠」概念の相対化と批判的克服を行ない、東アジアにおける人と自然の対抗・親和の諸関係を明らかにすることを目的とした。言うまでもなく、狩猟と供犠は人が自然にたいして行なう暴力的な介入とその儀礼的な代償行為として人類史に普遍的であるが、その発現形態は環境・生業・宗教の相違にしたがって各様であり、今回はその課題を、北海道の擦文・オホーツク・アイヌ各文化における自然利用の考察、飛騨地方の熊猟の事例研究、沖縄におけるシマクサラシやハマエーグトゥといった動物供犠儀礼の実地調査などのほか、東アジアでの関連諸事例として、台湾・プユマ(卑南)族のハラアバカイ行事(邪気を払う行事)と猿刺し祭、中国雲南省弥勒県イ族の火祭の調査をとおして追求した。その結果明らかになったことは、日本本土においては古代の「供犠の文化」が急速に抑圧されて「供養の文化」に置き換わっていったのにたいして、沖縄および東アジアの諸地域においては一連の祭祀や儀礼のなかに「供犠の文化」の要素と「供養の文化」の要素とが並存したり融合して存在する事例が一般的であることであった。そして後者の理由としては、東アジアにおけるdomesticationのプロセスが西南アジアのそれに比して不徹底であったという事実に加え、成立宗教である仏教・儒教の死者祭祀儀礼や祖先観念が東アジアでは地域ごとに一様でない影響を及ぼし、そのため自己完結的な霊魂観や死後イメージが形成されにくかった点が明らかになった。またく狩猟民俗と動物供犠とに共通する「殺し」と「血」の倫理学的・象徴論的な解明、さらには、人間と自然とが出会うとき不可避的に出現する「暴力」の多面的な検証が不可欠であることが改めて確認された。
著者
松川 隆 奥山 克巳 佐藤 宏明
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【平成17年度】健康成人男子(計16名)を対象Group 1:麻酔前保温なし(コントロール群)(n=8)手術室で用いられるブランケットをかけて30分間安静Group 2:麻酔前保温あり(保温群)(n=8)温風式加温装置で保温を開始(30分間)ミダゾラム:0.05mg/kg(筋注)プロトコール1.Group 1、2において30分間の前保温(ありなし)状態2.30分後にミダゾラム筋注(0.05mg/kg3.両群共にトランクスのみの状態で室温に保つ4.測定項目(開始時、前投薬投与時、その後5分毎40分後迄)中枢温=鼓膜温(右、左)末梢温:末梢温=皮膚温:胸部、上腕、前腕、示指、大腿、下腿、栂指血圧(SBP, DBP)、心拍数、SpO230分後:鎮静度、室温:22〜23℃<結果>麻酔前保温あり群でミダゾラム前投薬による体温低下が有意に減少した【平成18年度】年齢によって麻酔前投薬と麻酔前保温の効果がどのように異なるかを臨床的に検討。麻酔前投薬、麻酔前保温を行った場合に全身麻酔導入後の中枢温低下に年齢によってどのように差異が認められるかを検討。<対象>予定手術患者(全身麻酔)(ASA分類I〜II)計30名。Group 1:若年者(20〜55歳)(n=15)、Group 2:高齢者(60〜80歳)(n=15)<プロトコール>麻酔導入30分前に2グループ共にミダゾラム筋注(0.05mg/kgし、30分間の麻酔前保温(温風式加温装置)麻酔導入:プロポフォール(2mg/kg)、ベクロニウム(0.12mg/kg)維持:酸素-亜酸化窒素-セボフルラン(1.5-2.5%)(いわゆるGOS)測定項目(麻酔前投薬時、麻酔前保温開始直前から10分ごと手術終了時迄)中枢温:鼓膜温(右、左)末梢温:皮膚温(7ヶ所)胸部、上腕、前腕、示指、大腿、下腿、栂指血圧(SBP, DBP)、心拍数、SpO2、室温:22〜23℃。<結果>高齢者の方が若年者よりも麻酔導入時の"再分布性低体温"による体温低下が著しいことが示唆された。高齢者において積極的な麻酔前保温がより重要である。
著者
深澤寿彦 黒澤 貴弘 井上 淳 吉本 雅彦 佐藤 宏明 山川 正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.59, pp.25-30, 1996-06-07
被引用文献数
5

近年のグループウェア・アプリケーション(SCWアプリ)の多様化は、複数のCSCWアプリを組み合わせて使用したいというニーズを生み出している。本稿では、複数のCSCWアプリを連携させて動作させるための機構を提供するグループウェア・フレームワークCCF(ollaboration Control Facilit)について述べる。CSCWアプリの連携は、各CSCWアプリを構成するプロセス群の間の相互作用と、CSCWアプリがユーザに提供する協調作業モデル間の相互作用として扱うことができる。CCFでは、プロセス群の間の相互作用を記述するNodeモデルを提供する。また、協調作業モデル間の相互作用のサポートのために、モデルの構成要素間の関係を記述し、制御するためのプログラマ・インタフェースを提供する。The recent increase of the variety of groupware applications(CSCW applications) fosters people's needs for making CSCW applications cooperate with each other. In this paper, we describe a groupware framework CCF: Collaboration Control Facility which provides mechanisms for making CSCW applications cooperate with each other. The cooperation of CSCW applications is treated as interaction with processes of other applications or interaction with other cooperation models. CCF provides "Node model" in order to program and control the interaction with processes of other applications. CCF also provides program interface to program relations of cooperation models for the interaction with other cooperation models.
著者
永谷 康典 武藤 〓章 佐藤 宏 飯島 昌夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.p41-46, 1986-01
被引用文献数
5

An improved method for the determination of hydroxyproline (Hyp) in animal tissues has been established by modifying Kivirikko's and KISO methods. This method consists of the oxidation of Hyp by the addition of chloramine T at 0°C for 2 h in 0.5 M borate buffer (pH 8.2) containing 1 M KCl. It was confirmed that Hyp was satisfactorily oxidized to an oxidation intermediate, which was stable throughout the process of the oxidation at 0°C for 2 h. The degree of color development with the colorimetric reagent in this method was 2-3 times higher than that in conventional methods, and the reproducibility was invariably good. The present method is very useful for the microanalytical determination (0.05-4 μg/tube) of Hyp.
著者
佐藤 宏之 堀川 桂太郎 及川 利直 水野 浩二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.23, pp.49-54, 1997-03-06
被引用文献数
3

現在,我々は協調学習ナビゲーションの研究を進めている.これは,WWWを利用して学習した際の履歴を学習グループで協調利用することを可能にする.本稿では,協調学習ナビゲーションについて,学習者に提供するインタフェースの観点から述べる.WWWを用いた学習実験を行ない,学習パターンを分析して,先に学習した者の活動履歴を教材として利用するために必要な学習履歴マップの作成方法を提案する.さらに,協調学習ナビゲーションのコンセプトを実装したWWW上で動作するシステム,CoNAVIを説明する.CoNAVIはJava言語で記述され,標準的なWWWブラウザ上で動作するナビゲーションインタフェースを学習者に提供する.これにより,インターネット上のグループが教材を共有・拡張する作業を通して,インタラクティブに学習することができるようになる.We are studying collaborative learning navigation. It enables members of learning group to share and use history of learning on WWW cooperatively. In this paper, We describe collaborative learning navigation method from the viewpoint of user interface. We experiment on learning using WWW, and analyze pattern of it. Then, we propose how to make a learning map used as tutorial materials from the history of leaning. Furthermore, we realize collaborative learning navigation concept as CoNAVI system. CoNAVI is implemented by Java language. It allows members of learning group to use navigation interface which works upon standard WWW browser. As a result, each member on the Internet is able to study interactively, sharing and enlarging tutorial materials.
著者
佐藤 宏之 杉本 重雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.103-114, 2005-01-15

情報リソースのメタデータの記述に利用する共通のボキャブラリの定義やオントロジをWeb 上に置いて,複数のユーザや組織の間で参照するための研究が進められている.本論文は,個別のユーザや組織によって生成され分散環境上に公開された階層的知識をユーザ間で参照して活用する方法について述べる.ここではオブジェクト指向の考えを利用して,情報リソースをインスタンスとしたときのクラスに相当する概念を定義し,概念を階層化して表現した階層的知識を扱っている.セマンティックWeb のフレームワークを利用して,概念と結びついた情報リソースに関するメタデータを記述し,それをPeer-to-Peer 環境で流通させることによって,他者が保持する階層的知識の発見を支援する方式を提案する.さらに,ユーザの「関わった情報を整理して保持したい」というモチベーションを利用して,自らのために行った活動から他者とのインタラクションを発生させ階層的知識を拡張するプロセスモデルを提案する.このプロセスを支援するシステムを用いた実験では,ユーザは自らが生成した階層的知識に他者の概念を引用したり,他者の概念との間の関係付けを行ったりして,階層的知識を拡張することが可能であることを確認した.また,拡張の際に強く関わりあう3~6 人のユーザの階層的知識を結合することで,ユーザ間で平均約71% の概念の引用や関係付けが類似するなどの特徴を持った新たな階層的知識の生成が確認できた.Many studies that have the goal of providing multiple users and organizations with Webbased common vocabularies or ontologies for use in describing metadata on informational resources are now under way. This paper describes a method that facilitates reference to and utilization of concept hierarchies evolved by individual users or organizations and made available in distributed environments. In the method we use an object-oriented paradigm to define resource-related concepts as classes, the instances of which represent resources. We set up these classes in a hierarchy that represents the hierarchy of concepts. We use the Semantic Web as a framework for a way to define metadata that reflects linkages between concepts and resources in a way that makes it easy for users to find associated concept hierarchies held by other users in a peer-to-peer environment. Moreover, we propose a model for the evolution of concept hierarchies through interaction among users. This process takes advantage of the motivation of users to organize information which they find relevant. We implemented the system and ran an experiment which demonstrating that hierarchies created by using the system evolve as the users refer to or make connections with concept hierarchies held by other users. We also identify an interesting feature of new concept hierarchies produced by applying the evolutionary process to merge concept hierarchies initially produced by sets of three to six "strongly related" users: actions common to the users make up an average of 71% of all actions (connection and reference) that lead to the evolution of new hierarchies.
著者
越澤 勇太 日浦 慎作 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38, pp.171-178, 2005-05-12
被引用文献数
1

今後,家電機器はより一層高機能化し,それに伴って操作は複雑化していくものと考えられる.そのような複雑な操作に柔軟に対応でき,またリモコンのように機器を手に取る必要のない操作インタフェースとして,ジェスチャを用いたインタフェースが考えられる.ジェスチャ操作用のインタフェースにおいても,GUIのようにウィジェットと呼ばれる基本操作に対応した部品を提供し,その組み合わせでインタフェースを構築することで様々な機器の操作方法を統一し学習を容易にすること,また操作法をユーザへ アフォードすることができると考えられる.そこで本研究では,特に音量などの連続量の操作に注目し,ジェスチャ操作に適した量操作ウィジェットを設計,評価した.その結果,従来のGUIに見られる量操作ウィジェットを用いた場合と比較して,提案するウィジェットの方が高速かつ正確な操作が行えることがわかった.The ways to operate electric appliances will be more complicated if new functions are added without careful organization. A gestural interface with visual presentation is one of the solutions for such complicated operations without taking any devices like remote controllers. For ease of learning and to afford users how to operate various appliances, it is effective to use a set of widgets for constructing interfaces, because each widget can be shared by all different appliances. Therefore, in this research, we designed value-control widgets for gestural interfaces and then compared them with existing GUI widgets for evaluation. We showed that users can control values more rapidly and accurately with the proposed widgets than the ones for GUI.
著者
越澤 勇太 日浦 慎作 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.171-178, 2005-05-12
参考文献数
8
被引用文献数
1

今後, 家電機器はより一層高機能化し, それに伴って操作は複雑化していくものと考えられる.そのような複雑な操作に柔軟に対応でき, またリモコンのように機器を手に取る必要のない操作インタフェースとして, ジェスチャを用いたインタフェースが考えられる.ジェスチャ操作用のインタフェースにおいても, GUIのようにウィジェットと呼ばれる基本操作に対応した部品を提供し, その組み合わせでインタフェースを構築することで様々な機器の操作方法を統一し学習を容易にすること, また操作法をユーザヘアフォードすることができると考えられる.そこで本研究では, 特に音量などの連続量の操作に注目し, ジェスチャ操作に適した量操作ウィジェットを設計, 評価した.その結果, 従来のGUIに見られる量操作ウィジェットを用いた場合と比較して, 提案するウィジェットの方が高速かつ正確な操作が行えることがわかった.