著者
千野根 勝行 佐藤 宏樹 尾崎 啓次
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】急性期など侵襲が特に強い場合,あるいは持続的な場合には迷走神経の活動が退縮しその防御機構が破綻,交感神経が過緊張を呈し主要臓器障害から多臓器不全にいたることがしばしばである。このようなクリティカルケア領域の治療手段として用いられている呼吸介助手技は,生体にとって外部からのストレッサーとなり交感神経活動の亢進を助長していないのであろうか。そこで,今回,用手的呼吸介助手技の安全性を明らかにすることを目的に,呼吸介助手技が自律神経に与える影響を検討した。【方法】対象は自律神経障害の既往がなく,薬物の服用をしていない健常学生18名(男性9名,女性9名)とした。年齢は20.9±0.7歳,身長は170±0.1 cm,体重は63.9±13.4kgであった。測定項目は心拍数,呼吸数,血圧,唾液アミラーゼ活性値,心拍変動(HRV)解析から得られる諸指標とした。測定肢位は枕のない背臥位で自由呼吸とし,十分に安静が取れた時点(安静時)から測定を開始した。その後,呼吸介助を実施(介助中)した。データは各5分間ずつ記録した。心拍数および心電図は,Daily Care BioMedical社製ポータブル心拍変動測定器チェック・マイハートを用いて測定した。血圧はオムロン・コウリン社製の自動血圧計(コーリンST-12B)を使用,唾液アミラーゼ活性値はニプロ(株)社製の唾液アミラーゼ式交感神経モニタ(COCORO METER)を使用し,安静時と介助中の各終了30秒前に呼吸数とともに測定した。解析方法は,チェック・マイハートHRV解析ソフトウェアを用いてRR間隔を自動算出した後,波形の誤認識をマニュアルで校正した。HRVの周波数解析は,超低周波数成分(VLF),低周波数成分(LF),高周波数成分(HF)とした。LF/HFを交感神経活動,HFを副交感神経活動の指標とし,正規化(normalized unit,以下nu)して自己回帰(AR)法で分析した。また,RR間隔については,ローレンツプロット法を用いて解析し,Toichiら(1997)が示したL(対称軸方向の広がり)とT(対称軸を横切る方向の広がり)から,L/Tを交感神経の指標,log(L×T)を副交感神経の指標として比較検討した。統計解析はSPSS ver.21(IBM社製)用い,安静時と介助中のHF成分,LF/HF比,唾液アミラーゼ活性値,血圧,呼吸数の各測定値の比較をWilcoxonの符号付き順位検定で行った。また,各測定値の相関をspearmanの順位相関で求めた。いずれも有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,演者所属施設の倫理委員会の承認を得た後に実施した(承認番号:414)。対象者にはヘルシンキ宣言の趣旨に沿い,本研究の目的,方法,期待される効果,不利益が生じないこと,および個人情報の保護について説明を行い,書面にて研究参加への同意を得た後に実験を実施した。【結果】実験中に不整脈など著明な症状を示すものはなかった。また,各指標の性別による差は認めなかった。心拍数(bpm),拡張期血圧・平均血圧(ともにmmHg),唾液アミラーゼ活性値(kIU/L)はそれぞれ,66.3±8.7と65.3±8.2,66.1±8.1と64.8±8.2,83.6±8.9と83.0±8.6,44.8±26.8と42.2±17.9であり,いずれも有意な変化はなかった。呼吸数(回)は,14.1±2.9と9.7±1.6,収縮期血圧(mmHg)は118.3±2.4と114.9±11.8で有意に減少した。HRV周波数解析の変化ではHF成分・LF成分(nu),LF/HFはそれぞれ,51.2±12.9と47.6±21.1,48.8±12.9と52.4±21.1,1.1±0.6と1.7±1.7であり,いずれも有意な変化はなかった。log(L×T)は3.4±0.2と3.5±0.2で,介助中でより有意に増加した。自律神経の各指標の関連では,安静時のHFとlog(L×T)はかなりの正の相関を認めた(r=0.55 p<0.05)。安静時のLF/HFは安静時L/Tとかなりの負の相関を認めた(r=0.56 p<0.05)。介助中のHF.とlog(L×T),介助中のLF/HFとL/T,唾液アミラーゼ活性値に有意な相関はなかった。【考察】用手的呼吸介助手技は収縮期血圧を下げ,log(L×T)がより有意に増加したことから,従来の報告と同様に呼吸数をコントロールしたことで交感神経の活動を高めず,副交感神経を賦活したものと考えられた。また,唾液アミラーゼ活性値やHRV周波数解析パワースペクトル分析よりもローレンツプロット法は感度が高いことが示唆された。【理学療法学研究としての意義】用手的呼吸介助手技は,交感神経が緊張を示すクリティカル領域の理学療法実施におけるリスク管理の観点から,少なくとも健常成人において副交感神経を賦活させる安全な手技であることが示唆された。心拍(脈拍)数の変動を解析することで,Vital signとしての全身モニタリングとして応用できる可能性を示した点で意義がある。
著者
佐藤 宏 鈴木 和男 宇仁 茂彦 神谷 晴夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1203-1206, 2005-12-25
参考文献数
28
被引用文献数
4 10

2003年5月から2005年4月の2年間に, 和歌山県を主体とした関西3府県で駆除された野生化アライグマ555頭について腸管寄生虫を調べた.そのうち61頭から, 鳥類を固有終宿主とする7種の鉤頭虫が検出された.これらは, Centrorhynchus bazaleticus, Centrorhynchus elongatus, Centrorhynchus teres, Sphaerirostris lanceoides, Plagiorhynchus ogatai, Porrorchis oti, Southwelina hispidaの幼鉤頭虫と同定され, これまで日本あるいは極東からは未確認であった3種, すなわちC. bazaleticus, C. teres, S. lanceoidesが含まれていた.幼鉤頭虫のアライグマからの検出は, 春先から初夏にかけて高く(月別検出率8.3-36.8%, 平均21.5%), その他の季節では低かった(同様に0-20.0%, 平均6.3%).このように, 季節によって鉤頭虫検出率が変動する要因は不明である.国内に分布する野鳥の鉤頭虫相やその地理的分布についてはほとんど情報がなく, また, 検査材料調達にも限界があることから, 国内各地で通年的に駆除されるアライグマからの鉤頭虫検出情報に大きな手がかりを期待したい.
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001 (Released:2011-03-05)

イネ(Oryza sativa L.)品種コシヒカリの受精卵に,メチルニトロソウレア(MNU)突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った.ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが,ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも,コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した.従って,ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった.また,ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は,コシヒカリ型とミルキークイーン型が3:1に分離し,さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が,野生型と低アミロース型が1:1に分離したことから,ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた.次に,イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子,wx並びにdu1,2,3,4及び5との対立性を検定した結果,ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は,wxの対立遺伝子であることが示唆された.
著者
亀井 昌代 佐藤 宏昭 上澤 梨紗 米本 清 小田島 葉子
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.308-314, 2021-08-30 (Released:2021-09-22)
参考文献数
14

要旨: 補聴器が音声を実質的にどれだけ増幅しているか測定する方法として2015年に JIS より「音声に近い試験信号による補聴器の信号処理特性の測定方法」が発行された。我々は, 4機種の補聴器に国際音声試験信号 (以下 ISTS) を提示したときの長時間平均音声スペクトル (以下 LTASS) やパーセンタイル音圧レベルを測定算出し, 種々の機能を on や off の条件で比較検討した。また, 難聴症例50例を対象として装用している補聴器の LTASS やパーセンタイル音圧レベルを測定しその結果と, 補聴器適合検査結果と比較検討した。一般的に補聴器の特性は機能を on と off の条件で同じであることが望ましいが, 本研究の結果では補聴器メーカによっては差がみられることがわかった。また難聴症例の中には, 補聴器適合検査結果と ISTS の測定結果との間に乖離のある症例もみられた。しかし, この測定方法 (分析方法) は補聴器を装用している条件で分析でき, その特性に会話音域が十分含まれているかの判断材料となると考えられた。
著者
佐藤 宏祐 杉本 敏樹
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.476-481, 2020-09-10 (Released:2020-09-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Photocatalytic steam-methane reforming is an attractive chemical technology for hydrogen production from abundant resources of methane and water. In the case of photocatalytic reaction, photo-generated electron plays key roles in hydrogen production. However, the dynamics of photogenerated electrons under reaction condition have been unclear. To uncover the behavior of reactive photo-excited electrons, we conducted operando FT-IR spectroscopy of metal loaded Ga2O3 photocatalysts under irradiation of intensity modulated UV light. We succeeded in observing a correlation between the reaction activity and a broad mid-infrared absorption band derived from the photo-generated electrons shallowly trapped at the photocatalyst surfaces.
著者
佐藤 宏之 井辺 時雄 根本 博 赤間 芳洋 堀末 登 太田 久稔 平林 秀介 出田 収 安東 郁男 須藤 充 沼口 憲治 高舘 正男 平澤 秀雄 坂井 真 田村 和彦 青木 法明
出版者
農業技術研究機構作物研究所
巻号頁・発行日
no.9, pp.63-79, 2008 (Released:2010-07-07)

「ミルキープリンセス」は、縞葉枯病抵抗性を備えた栽培特性の優れる低アミロース米品種を育成することを目標に、「関東163号」を母、「鴻(こう)272」を父とする交雑組み合わせから育成された品種である(「鴻272」は、「コシヒカリ」の低アミロース性突然変異系統であり、「ミルキークイーン」の姉妹系統)。1997年から「関東194号」の地方系統名で、関係府県に配付して地域適応性を検討すると共に、品質・食味等の特性を調査した。2003年に「水稲農林387号」として登録され、「ミルキープリンセス」と命名された。この品種の特性は以下の通りである。1. 出穂期及び成熟期は「ミルキークイーン」より2日程度早く、育成地では“早生の晩”に属する粳種である。耐倒伏性は「ミルキークイーン」より強く“強”である。2. 収量性は、育成地における標肥栽培(N成分:6~8kg/a)では「ミルキークイーン」を10%程度下回るが、多肥栽培(N成分:10~14kg/a)では「ミルキークイーン」並である。3. 低アミロース性遺伝子Wx-mqを保有し、白米のアミロース含有率は約9%の低アミロース米品種である。炊飯米の粘りは「コシヒカリ」に優り、「ミルキークイーン」並である。食味総合評価値は、「コシヒカリ」、「ミルキークイーン」並の“上中”である。4. 縞葉枯抵抗性遺伝子Stvb-iを保有し、同病害に対して“抵抗性”である。5. Wx-mq及びStvb-i遺伝子を併せ持つ低アミロース米品種は、現時点で本品種以外には育成されていないことから、2遺伝子のDNA鑑定法(佐藤ら(2002)、斎藤ら(1999))を併用することで、「ミルキープリンセス」は他の水稲品種との識別が可能である(2007年現在)。以上の特性から、「ミルキープリンセス」は縞葉枯病常発地や肥沃地向けの低アミロース米品種として、普及・活用が期待される。
著者
坂本 武士 金谷 一朗 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集 第50回システム制御情報学会研究発表講演会
巻号頁・発行日
pp.1, 2006 (Released:2006-12-01)

テキスタイルデザインにおいて、意匠パタンは製品(作品)の印象や価値を決める重要な要素である。意匠パタンの審美的解析と合成は興味深い。本研究は図形の印象が生まれるメカニズムを解明することを目的とする。具体的には、フラクタル2次元パタンをL-Systemを用いて生成し、その図形のもつ印象を解析する。解析手法として、フラクタル収束度と、構造組成分析を提案し、これらの解析手法が人間の印象をよく区別可能であることを実験的に示す。
著者
佐藤 宏拓穣
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.27-37, 2006-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
62

本研究は,昭和前半期における武道教員養成の実態を,國士館専門学校の場合を明らかにする。昭和前半期における武道教員の養成は,文部省に認可されていた東京高等師範学校(以下,高師と略記する),大日本武徳会武道専門学校(以下,武専と略記する),そして國士館の3校が行っていた。國士館は,昭和4(1929)年,文部省により専門学校として設置が認可された。昭和8(1933)年,剣道・柔道に対して文部省は,中等学校教員資格の免許を無試験で与えられることになった。
著者
柳 奈津代 佐藤 宏樹 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
pp.21-00001, (Released:2021-05-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Previous studies have reported the inappropriate administration of medication at nursery schools by the staff and a lack of drug-related information from caregivers at the time of request. However, the situation concerning medication administration at nursery schools from the mothers’ perspective is unknown and it is not clear what information the mothers provided to nursery staff at the request. We conducted an online survey between April and May 2019 regarding the administration of medication at the nursery school with input from 600 mothers. Overall, 510 (85%) individuals replied that the requests to administer medication were acceptable for all or some of the medications. Application forms for medications were used by 91% of the 301 mothers who had previously made such requests. Although information including the child’s name, medication times, illness of the child, parent’s name, and dosage form was specified by over 70% of mothers, drug-related information such as effectiveness, side effects, and drug interactions was insufficient. In total, 41 instances of inappropriate medication administration by staff were reported by 35 mothers. It is suggested that the drug information sheets provided by community pharmacies should make up for inadequate drug-related information on application forms for medications to avoid the risk of adverse events and reduce staff burden. Toward this end, it is necessary to provide easily understandable information sheets for nursery staff, as the medication is usually administered by nursery staff, not a nurse. Community pharmacists should support these measures as pharmaceutical professionals.
著者
今野 美里 後藤 春彦 佐藤 宏亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.187-192, 2009-10-25
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

商店街は町の中で、商業的な空間としてのみでなく、公共性の高い日々の交流の場としての重要な役割を果たしてきたと言え、商店街の衰退が深刻になる中で、両側面から商店街の維持を考えることは重要であると考える。本研究は、平井親和会商店街と春日町通り商店街を対象とし、商店街関係者の現在置かれている状況と交流の実態との関係を明らかにした上で、商店街の商業機能の維持と人間関係の継承を図っていくためのプロセスを考察することを目的とする。商店街の構造変化の将来予測から、今後商店街において、元商店主、地域外商店主が増加することが予測された。交流の実態との関係から、商店主は商店を継承し地域の中での交流創出の場を守り続け、商業機能と人間関係の継承という商店街の持続のための二つの役割を担うことが可能である。しかし、商店主が減少してきている現在、元商店主は、商店街を支え人間関係の継承に努めることが必要で、地域外商店主は商業機能を持続し、交流の場を維持に努めることが必要である。つまり増加している元商店主と地域外商店主が商店主を支えることにより、役割を相互補完し日々の交流の場としての商店街を維持していくことが望ましい。
著者
佐藤 宏樹
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.3-20, 2017-06-20 (Released:2017-07-27)
参考文献数
141

Traditionally, the activity patterns of primates have been classified as nocturnal and diurnal, with the former recognized as the ancestral trait. Since cathemerality, i.e., active both day and night, was discovered in Eulemur (Lemuridae) in the 1960s, the evolutionary origin and mechanism of cathemerality have been explored as a key to understanding diurnalization in primates. To understand cathemerality in lemurs, this article reviews current knowledge and outlines future issues. Although several theories have hypothesized that cathemerality is an evolutionary disequilibrium condition, as a consequence of recent, incomplete diurnalization, the current analyses of phylogenetic history and eye morphology conclude that it is an adaptive strategy that originated in the common ancestor of Lemuridae around 46-20 MYA. In Madagascar, the days are generally long during the rainy season and short during the dry season. Cathemeral lemurs often increase their diurnal activities in the rainy season and nocturnal activities in the dry season. Chronobiological approaches that have explored the proximate mechanisms have clarified that the light-dark cycle controls the daily activity rhythms and the day-length cause seasonal shift of activity patterns as zeitgebers. In addition, moonlight has a masking effect that facilitates nocturnal activities. Ecological/ethological approaches have examined four hypotheses, as ultimate mechanisms: avoidance of predation risk, relief of interspecific competition, thermoregulation, and extension of feeding activities. However, there is evidence supporting and countering all four hypotheses. Therefore, cathemerality cannot be defined as an adaptive consequence of any single factor. Consequently, cathemerality is recognized as a flexible strategy for dealing with several factors in the harsh, unpredictable Madagascar environment. In the future, researchers need to examine flexible activities in response to other factors, such as habitat disturbance caused by humans, to explain complex mechanisms caused by compound factors, and to compare the activities of diurnal lemurs using ecological and physiological approaches.
著者
鈴木 絢子 秋山 今日子 西尾 陽平 田丸 精治 亀尾 由紀 中野 仁志 野口 慧多 寺田 豊 下田 宙 鈴木 和男 渡部 孝 吉澤 未来 後藤 慈 佐藤 梓 池辺 祐介 佐藤 宏 前田 健
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-12, 2012 (Released:2014-01-30)

イヌジステンパーウイルス(Canine distemper virus;CDV)は食肉目動物に致死的な感染を引き起こす。イヌでの致死的な感染はワクチン接種により減少しているが,野生動物での流行は拡大している傾向さえ見受けられる。更には,中国ではヒトと同じ霊長類であるサルに流行し,多くのサルが犠牲となったばかりか,国内の検疫所でも見つかっている。本項では最近国内の野生動物で発生した事例を中心に紹介する。
著者
鈴木 絢子 秋山 今日子 西尾 陽平 田丸 精治 亀尾 由紀 中野 仁志 野口 慧多 寺田 豊 下田 宙 鈴木 和男 渡部 孝 吉澤 未来 後藤 慈 佐藤 梓 池辺 祐介 佐藤 宏 前田 健
雑誌
山口獣医学雑誌 (ISSN:03889335)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-12, 2012-12

イヌジステンパーウイルス(Canine distemper virus;CDV)は食肉目動物に致死的な感染を引き起こす。イヌでの致死的な感染はワクチン接種により減少しているが,野生動物での流行は拡大している傾向さえ見受けられる。更には,中国ではヒトと同じ霊長類であるサルに流行し,多くのサルが犠牲となったばかりか,国内の検疫所でも見つかっている。本項では最近国内の野生動物で発生した事例を中心に紹介する。
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001-03-01 (Released:2012-01-20)
参考文献数
21
被引用文献数
9 11

イネ (Oryza sativa L..) 品種コシヒカリの受精卵に, メチルニトロソウレア (MNU) 突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った. ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも, コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した. 従って, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった. また, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は, コシヒカリ型とミルキークイーン型が3: 1に分離し, さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が, 野生型と低アミロース型が1: 1に分離したことから, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた. 次に, イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子, wx並びにdu 1, 2, 3, 4及び5との対立性を検定した結果, ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は, wxの対立遺伝子であることが示唆された.
著者
佐々木 貴浩 佐藤 宏喜 古内 孝幸 竹中 能文 佐久間 正祥 堀 眞佐男
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.926-930, 2005-04-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
18
被引用文献数
1 4

乳癌胆管転移の1例を経験した.症例は56歳,女性.平成9年左乳癌(TlN0M0)で乳房部分切除,腋窩郭清を施行.病理診断は浸潤性乳管癌 硬癌,リンパ節転移陰性,切除断端癌陰性で残存乳房照射50Gyとtamoxifen 20mg 5年間の補助療法を行った.乳癌術後5年5カ月,肝機能障害発症,画像診断上,中下部胆管が著明な狭窄を呈し,胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には粘膜直下より漿膜,膵に浸潤した腺癌が認められ,既往の乳癌の組織像に類似しているところから乳癌の胆管転移と診断した.乳癌の転移による胆管狭窄は肝十二指腸間膜リンパ節転移による報告例が散見される程度で本症例の如き胆管転移は極めて稀である.
著者
佐藤 宏之
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.182, pp.75-87, 2014-01

元和四年(一六一八)四月九日、幕府は大名改易後の居城の収公にさいし、城付武具はそのまま城に残し置くこととの方針を定めた。さらに、軍事目的のために備蓄した城米も引き継ぎの一環として、備蓄の有無と備蓄方針の確認を求めた。本稿は、国立歴史民俗博物館所蔵の石見亀井家文書のなかにある、元和三年の津和野城受け取りに関する史料を素材に、城受け取りのさいに引き継ぎの対象となる財(モノ)に着目する。城受け取りのさいには、城内諸道具の目録が作成され、それに基づいて引き継ぎが行われる。その目録化の過程において、武家の財は公有の財と私財とに峻別される。公有の財とは城付の武具・道具や城米であり、大名自身の私有物ではなく、幕府から与えられたモノといえる。すなわち、その帰属権が最終的に将軍に収斂していくものである。一方、私財とは大名や家臣の武具・家財や雑道具などであり、その処分は個々人の裁量に任せられたモノといえる。こうした動向の契機となったのが、天正一八年四月二九日に真田昌幸宛てに出した豊臣秀吉の朱印状ではないかという仮説を提示する。秀吉は、降伏した城々は兵粮・鉄砲・玉薬・武具を備えたままで受け取るという戦闘力を具備した城郭の接収確保を指示し、接収直後に破城とするのではなく、無抵抗で明け渡す城の力(兵粮・鉄砲・玉薬・武具)を温存した。秀吉は、その後の奥羽仕置を貫徹するなかで、諸国の城々は秀吉の城という実態と観念を形成していったのである。こうした城付の武具や城米を目録化することによって把握することは、城の力を把握することでもあった。したがって、近世の城の構成要素は、城付の武具と城米であったということができよう。このような城付の武具と城米を把握・管理した江戸幕府は、国家権力を各大名に分有させ、それを背景とした統治業務の分業化を行いつつも、幕府の国家的支配の体系のなかに編成していったと考えられる。On April 9, 1618, with reference to the seizure of a castle where a daimyo ( feudal lord) usually resided, the Shogunate decided on a policy that after daimyo kaieki (punishment by removal of samurai status and expropriation of territories) , any arms belonging to a seized castle must be left in place. Moreover, the Shogunate demanded to know the quantity and any storage conditions of jomai (rice originally reserved for military purposes) .Employing historical evidence concerning the seizure of Tsuwano Castle in 1617, which is found in documents relating to the Kamei family of Iwami Province in the possession of the National Museum of Japanese History, this paper focuses on possessions (assets) that were handed over upon seizure of the castle.Before accepting a castle, a complete inventory of all goods and materials within the castle was created, and based on this list, the castle was handed over. In the preparation process of the inventory, the assets of a samurai family were divided and assessed as belonging to either the government or the family.Government ownership concerned arms, tools, and jomai that belonged to the castle; they can be considered as possessions originally given by the Shogunate, not a daimyo's private possessions. That is to say, any right of possession was in the end attributed to the shogun. On the other hand, family possessions were arms, household goods, and miscellaneous tools of retainers, and their disposal was left to the individual daimyo's discretion.Such a trend was probably triggered by a shuinjo ( shogunal charter for trade) given by Hideyoshi Toyotomi to Masayuki Sanada on April 29, 1590. Hideyoshi gave directions to seize and secure a castle sufficiently provided with a military capability, more specifically, to receive surrendered castles complete with all food provisions, firearms, ammunition, and armor, in order to maintain the military power of any castle delivered without resistance, and not to destroy the castle immediately after seizure. Hideyoshi carried through the subsequent Punishment of the Ou region, during which he was actually putting into practice the concept that the castles in the provinces belonged to Hideyoshi.Understanding the quantity of military equipment and jomai that belonged to a castle by creating an inventory also allowed the assessment of the military capability of the castle. Therefore, one can safely state that the component parts of a castle in early-modern times were the weapons of war and jomai belonging to that castle.It can be considered that the Edo Shogunate, which understood and controlled the arms and jomai belonging to a castle, allocated some state authority to each loyal daimyo, and against the background of such a policy, while promoting the specialization of ruling and administrative work, the Shogunate was incorporating the policy into its own state ruling system.