著者
助川 寛 佐藤 俊雄 岡崎 彰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1053-1060, 2001-06-01
被引用文献数
6

本論文では, 目を閉じた状態を避けて人物の顔を撮影する画像処理システムについて報告する.目つぶりを排除する処理は, 分離度フィルタによる目の候補点の検出と, 辞書とのマッチングによるパターンの分類を中心に構成され, 更に動きの特徴を解析することで目の開閉状態を判断する.合図後の1秒に相当する5画面のうち開眼状態を検出すればその画像を出力し, すべての画面で開眼状態を検出できなければ合図直後が画面を出力する顔撮影システムを試作した.740名に対して性能を評価した結果, 目を開けた状態で撮影する撮影成功率は99.8%以上を達成することができた.
著者
村山 優子 齊藤 義仰 西岡 大 佐藤 英彦 向井 未来
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.43, pp.113-119, 2013-05-09

本予稿では,本研究では,災害発生直後から必要な当事者間の意思疎通である緊急時のクライシスコミュニケーションを災害コミュニケーションと呼び,関連する研究課題を4件紹介する.災害から4ヵ月後に,被災者が避難所から移動した仮設住宅では,未だに立地条件の悪さから不便な生活が続いている.今回,無人の商店システムを運用した結果を報告する.また,復旧時には,情報の提供や取得に通信環境が整わない間,twitterが活用された.しかし,誤報も多く,その解決のために,何故,人は,他人のツイート・メッセージを転送(リツイート)するかを調査したので,報告する.また,復興状況を逐次確認できる定点観測のシステム,復興ウォッチャーについて報告する.さらに,津波の脅威を後世に伝えるための試みの,オンライン津波資料館の研究課題を述べる.以上,実践的な災害コミュニケーション支援の研究課題を紹介する.
著者
野牧央 佐藤真 藤波香織
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.89-90, 2014-03-11

近年普及しているスマートフォンは,従来の携帯電話と違い,画面を見ながらタッチして操作するので,ユーザが画面を注視し続けてしまう.それにより,駅ホーム上で歩きながらスマートフォンを操作することで線路へ転落する事故も発生している.線路への転落の防止策としてホームドアが挙げられるが,コストがかかることや,車両扉位置の相違による技術的課題から,未だ十分に普及していない.本研究ではユーザの線路への転落を防止するため,ホーム上の点字ブロックを用いて転落危険場面の検出を行う.スマートフォンのカメラから点字ブロックを認識し,端末の傾きを用いてユーザが立っている位置を推定し,転落危険場面にあるか判定する.
著者
宮本 泰 佐藤 直行 三浦 馨 柳沢 謙
出版者
Japan Antibiotics Research Association
雑誌
The Journal of Antibiotics, Series B (ISSN:04478991)
巻号頁・発行日
vol.7, no.7, pp.246-250, 1954

先に細谷1) らは, 本邦の土壌から分離した放線菌の1株H-365株が, 抗菌スペクトル並びに動物に対する低い毒性などの点でStreptomycin (SM) に類似の性質を示す新抗生物質を産生することを見出し, この株が<I>Streptomyces reticule</I>に属することから, この物質をReticulinと命名した。後に, BENEDICT2) らはscreeningの途上でやはり日本 (千葉県) において採取された土壌の2っの別々のサンプルから得られた2株が, SM類似の抗生物質を産生することを見出したが, この株は従来SM産生株として知られている<I>S. griseus</I>及び<I>S. bikiniensis</I>とは異なる新種で, 彼らはこれを<I>S. griseocarneus</I>と命名し, その有効産生物質はHydroxystreptomycinであることを指摘した。<BR>細谷3) らはその後, screeningを継続して2,000種以上の分離放線菌の中から, グラム陽性及びグラム陰性菌に有効な抗生物質産生株100株余を分離したが, その中からreticulin産生株として5株を得て, このものの生物学的性状, 有効物質の精製などを研究し, 得られたreticulinを用いてモルモットに於ける実験的結核症に対する治療実験をおこない, 著るしい効果が見られたことを報告4)した。更に, 細谷5) らは, <I>S. reticule</I>とBENEDICTらの得た<I>S. griseocarneus</I>との異同並びにそれらの産生物質であるreticulinとhydroxystreptonlycinとの異同を詳細に研究し, これらの産生株は分類学的に異なるものであること, 並びにreticulinとhydroxystreptomycinとは化学的に同一物質であることを結論するに至つた。<BR>著者らは, 1951年から1952年にかけて, 当時細谷から依頼を受けたreticulinのサンプルを用いて, モルモットの実験的結核症に対して長期の治療実験をおこない, 遠隔治療成績をも含めて, 同時に治療対照として用いたSMと同程度の著るしい成績を認め, 昭和27年6月文部省綜合研究結核研究委員会化学療法研究科会に報告した。その時の実験では, 当時までに発見された主な抗結核剤, 即ちPAS及びTB1をも同時に最終的に比較をおこなう目的の下に, 遠隔成績の観察をも兼ねて多数の動物群を編成したが, 不運にも溶血連鎖球菌による肺炎の流行に遭遇し, 実験動物の多数が罹患, 或いは斃死するに至り, 殊に治療中止後の遠隔成績を見るための残存動物群における混合感染が甚だしく, 実験成績の正確な批判に少なからず支障を来たした。以上の事実並びに膨大な成績表のために適当な誌上発表の機会を失したが, 今回, reticulin治療群とSM治療群の部分だけを他から切りはなして, 対照群との比較成績を, ここに報告する次第である。幸い, この両治療群のみは治療中の実験群のうちでも溶血連鎖球菌の汚染をうけた個体が少なかつた。治療中止後の観察群は大部分が混合感染をうけた。混合感染の有無は剖検表の備考欄に記載してあるから成績の判読に際して参照されたい。治療実験に入るに先立ち, reticulinの結核菌に対する発育抑制効果をSMのそれと比較した成績を示した。
著者
村上 浩康 佐藤 比奈子 石山 大三 石原 舜三
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.129-137, 2011-05-25
参考文献数
23

High-grade REE ores containing acid-resistant minerals, which are common in the Nolans Bore REE-P-U deposit, Northern Territory, Australia, were analyzed by ICP-MS after decomposition of two different preparation methods before the analyses; Li-borate-fusion in a commercial laboratory and multi-acid digestion in our organization. The result derived from multi-acid digestion method shows higher values on LREE relative to the other fusion method, yet Y and Zr showed us higher values on the fusion method. The high-grade REE ores are enriched in light-REE, especially Ce, La and Nd, with a maximum total REE value around 7 wt %. The quantitative analysis by multi-acid digestion seems highly reliable for a wide range of REE concentration when using suitable dilution ratio and digestion sequence with several types of acids which could totally dissolve acid-resistant minerals such as monazite. On the other hand, analysis by Li-borate-fusion at a commercial laboratory potentially gives lower values than that of multi-acid digestion; a given sample is extremely concentrated in light REE. It is necessary to examine the upper as well as the lower detection limits by a conventional analytical method in a commercial laboratory.
著者
佐藤 拓磨
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.31, pp.347-370, 2015-02

論説1 はじめに2 問題の背景3 倫理委員会, 学術団体等の提言4 連邦参議院および連邦議会に提出された法律案 (1)ザールラント州, チューリンゲン州およびヘッセン州による法律案 (2)ラインラント=プファルツ州による法律案 (3)連邦政府による法律案5 政府案をめぐる議論 (1)連邦参議院での議論 (2)連邦議会での議論 ア 第1読会における議員の発言 イ 法務委員会による公聴会での専門家の意見 (3)医師会の態度 (4)刑法学者による批判6 結びに代えて
著者
五十嵐 治義 佐藤 陽子 浦井 仁子 滝田 芳子 遠藤 初恵 浜田 節男 川崎 徹
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.238-245, 1980

benzoic acidとphenylacetic acidにγ-dialkylamino-β-hydroxypropyl (〓) を導入してesterificationした化合物10種を新たに合成し, それらの抗炎症作用始め腸管作用, 鎮痛作用などの薬理作用に, かなりの活性を有することについてすでに報告した。今回は, これら新化合物の化学構造と局所麻酔作用との相関性を検索することを目的として, 家兎による表面, 浸潤麻酔作用などの検定を行なった。その結果, 全化合物とも, 表面麻酔作用よりも浸潤麻酔作用の持続時間が長かった。また, alkylbenzoate誘導体 (II群) が, alkylphenylacetate誘導体 (I群) よりも表面, 浸潤麻酔作用とも持続時間の延長が認められた。一方, 麻酔導入においては, II群がI群よりもsharpであり, 消失し始めから完全に消失するまでの麻酔作用凝陽性の過程は両群とも優位の差は認められなかった。両群間の種々な作用における差異について, 立体分子モデルを用いて, 立体構造的および電子論的考察を加えた。すなわち, II群がI群よりも, 化学的, 立体構造的に安定性が大であること, また, receptorとの親和性が強いことなどが推論された。一方, 毒性面からこれらの化合物は, 普通薬に属していると思われる。
著者
松中 亮治 青山 吉 柄谷 友香 佐藤 寛之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.190-202, 2007

本研究では,事業の社会的便益,ならびに,その長期的最大化,関連主体間の合意形成の得やすさなどの観点から,バリアフリー施設の整備優先順位を評価するための複数の評価基準を設定し,それぞれの基準に従う整備優先順位を探索した.その際,経年的な優先順序の比較においては極めて多数の組み合わせが考えられるため,遺伝アルゴリズムを用いて,各基準に従う整備優先順位を探索した.対象地域として京都市をとりあげ,交通バリアフリー法の法制度や自治体・公共交通事業者の予算制約を考慮し,多数の重点整備地区において複数の事業者が関連している状況下における整備優先順序について分析した.さらに,各評価基準に基づく整備優先順位を,実際に京都市が策定しているバリアフリー全体構想に基づく優先順位とも比較し,その特徴を明確化した.
著者
原田 達也 坂田 晶子 森 武俊 佐藤 知正
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

本研究では, 睡眠中生理量を無拘束かつ小型の装置で計測することを目的とする。具体的には等間隔に並べた圧力センサを枕の下に入れ, 圧力値をワンチップマイコンでA/D変換し, 同室のPCに無線で送る。PC上では呼吸数, 寝返り数を計測するアルゴリズムの構築を試みた。実験では, 医療用生理量計測機器とビデオカメラで睡眠中の寝返り数, 呼吸数を計測し, センサ枕による計測結果と比較する。また簡単なモデルを用いて, 呼吸に伴う頭部の圧力値変化を考察する。
著者
佐藤 友美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.92-95, 2005
被引用文献数
1 1

本研究では, 学生の実習体験に関する記述から, 学生が捉える倫理問題の内容を明らかにすることを目的に質問紙調査を行った. 対象は, A医科大学医学部看護学科において基礎看護学実習を終了した1・2年生の中から協力が得られた29名が記述した33事例であり, トンプソンの「倫理問題を明確化するカテゴリー」を使用し質的に分析した. 学生が捉えた倫理問題の内容として,[倫理的責務・義務に関する問題][倫理的権利に関する問題][倫理的忠誠に関する問題]が多く抽出された. 学生は, 臨床での実習期間は限られており免許をもたない学生という立場であるために, 自ら中途半端な立場の者と位置づけることが多かった. このため医療者側の視点より患者の立場に身を置いて倫理問題を捉えることが 多かった. 学生は臨床現場でさまざまな疑問や違和感を抱き, それらの多くは倫理問題の発見につながった. 将来の倫理的感受性・判断力をもった看護師を育成していくために, 学生が臨床現場の中で捉えた倫理問題の明確化や倫理問題と捉えた理由についての言語化およびそれに関する思考を促すような教育的関わりが重要であると考えられた.
著者
曽ヶ端 克哉 水島 康博 松村 将之 川本 雅樹 野村 裕紀 秦 史壮 染谷 哲史 八十島 孝博 佐藤 卓 平田 公一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.469-473, 2005-04-01
被引用文献数
3

症例は88歳の女性で, 発熱・食欲低下を主訴に受診し, 腹部CTにて虫垂周囲膿瘍と触診にて腹膜刺激症状を認めた.血液検査上, WBC 27,600/mm^3, CRP 34.8mg/dlと高度の炎症所見を伴っていたため虫垂穿孔による汎発性腹膜炎と診断し手術を行った.術中所見では子宮底部に穿孔を認め, 直腸癌が子宮に浸潤し左尿管・左卵巣を巻き込んでいた.膀胱への浸潤を認めなかったため直腸・子宮・左卵巣合併切除および人工肛門造設術を施行した.病理組織学的には, 直腸癌が子宮筋層に浸潤しているのを確認した.本症例は癌の浸潤により子宮内腔が汚染され, 癌の進行とともに子宮に機械的閉塞を生じ子宮留膿腫を引き起こし穿孔したまれな症例であった.高齢女性の汎発性腹膜炎に遭遇した場合, 子宮・付属器の疾患も十分に考慮しつつ骨盤腔を精査し手術に望むべきであると思われた.