- 著者
-
木村 容子
杵渕 彰
稲木 一元
佐藤 弘
- 出版者
- 一般社団法人 日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.5, pp.627-633, 2011 (Released:2011-12-27)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
-
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頭痛は日常診療で訴えの多い症状の一つであり,漢方治療では頭痛以外の随伴症状などによって,様々な漢方薬を使い分ける。今回,当帰芍薬散が有効な頭痛の症例を報告した。症例1-4は更年期障害,症例5は月経困難症が背景にみられた。症例3では頭痛のほか,めまい,むくみ,手先のしびれなど様々な症状が当帰芍薬散で改善した。また,症例4は呉茱萸湯が無効であり,一方,症例5は呉茱萸湯である程度頭痛は軽快したが,残存した排卵期または月経前と前半の頭痛に対して,当帰芍薬散を併用して症状が改善した。当帰芍薬散を用いた頭痛の11症例をまとめて検討したところ,頭痛は片頭痛が多く,月経や冷えで増悪傾向であった。当帰芍薬散は五苓散や半夏白朮天麻湯と鑑別が必要となることもあるが,当帰芍薬散では月経周期や更年期症状などいわゆる「血証」と関わりのある頭痛で,頭重感またはめまいを訴える比較的虚証の人に有効であると考えられた。