著者
馬場 天信 佐藤 豪 齋藤 瞳 木村 穣 中川 明仁
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.937-944, 2012-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21

肥満治療において臨床心理士を加えたチーム医療システムは効果的である.また,パーソナリティ尺度は,肥満症患者の置かれている心理社会的状況を理解するツールとして,患者と治療スタッフ双方に有益な情報を提供する.パーソナリティと肥満に関する研究報告は近年増加しているが,日本人の肥満症患者に関する報告は数少ない.本研究ではNEO-PI-R, TEG II, TAS-20を用いて,肥満症患者と一般成人におけるパーソナリティの違いを検討したところ統計的差異は認めらなかった.次に,肥満度別によるパーソナリティの違いについて分散分析を用いて検討したところ,BMI35以上の肥満症患者は神経症傾向(特に不安と抑うつ)が高く,感情同定困難という特徴が認められた。以上の結果は,肥満度の高い肥満症患者に対する介入にはパーソナリティの査定が有効であることを示唆している.

1 0 0 0 OA 生徒用唱歌集

著者
佐藤茂助 編
出版者
翰林堂
巻号頁・発行日
1892
著者
望月 優作 佐藤 洋 佐野 誠 早乙女 雅夫 漆田 毅 加藤 秀樹 林 秀晴 伊東 宏晃 金山 尚裕
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.1302-1306, 2013 (Released:2014-10-28)
参考文献数
9

37歳の女性. 第 2子を正常分娩後 4日目に意識を消失し, 救急外来を受診した. 血圧40/ -mmHg, 心拍数126/分, チアノーゼを認めショック状態であった. 心電図上は, 完全右脚ブロック, 左側胸部誘導中心のST上昇を示し, 胸部X線では肺水腫を認めた. 心エコー上は, 前壁中隔から側壁にかけて広範な低収縮であった. 緊急冠動脈造影にて左冠動脈主幹部より左前下行枝, 回旋枝にかけての解離を認めた. 主幹部から回旋枝にベアメタルステントを留置したが, 前下行枝の血流は確保されなかった. 緊急冠動脈バイパス術を予定したが, 血行動態の悪化により施行されなかった. 最大CK値は17,742 IU/Lと広範な梗塞であり, 大動脈内バルーンパンピング, カテコラミンの投与によりショックから離脱した. 第61病日に施行した冠動脈造影では, 左前下行枝は再開通し, 解離は自然修復されていた. 妊娠に関連した急性心筋梗塞は非常に稀であるが, 最近の妊婦の高齢化により増加している. 特に, 産褥期は冠動脈解離に注意する必要がある.
著者
板垣 翔大 岡本 恭介 佐藤 和紀 三井 一希 泰山 裕 安藤 明伸 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46030, (Released:2022-07-11)
参考文献数
8

本研究では,授業中の教育実習生に参観者が助言や励ましを送信可能なシステムを開発し,教育実習生の授業で実践利用した.授業者と指導教員へのインタビュー調査からシステムを評価した結果,授業中の助言により,その場で授業を改善するきっかけを与えられることや,送られる励ましによって安心感や心強さが生じること,また,授業中に助言等を受け取るツールとしてスマートグラスが妥当であることなどが示唆された.
著者
坂 真智子 飯島 和昭 西田 真由美 狛 由紀子 長谷川 直美 佐藤 清 加藤 保博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.150-159, 2008-06-30 (Released:2008-07-17)
参考文献数
14
被引用文献数
10 7

小麦の加工および調理による計13種の農薬の残留濃度変化に伴う調理加工品への移行率(玄麦に残留する農薬の絶対重量に対する生成試料中の残留農薬重量の比率,%) について,プレハーベスト処理試料(Pre, 9薬剤)とポストハーベスト処理試料(Post, 6薬剤)を調製して調査した.また,玄麦中に残留する農薬の濃度に対する生成試料中の残留農薬濃度の比(以下,加工係数と称する)も求めた.製粉工程において,玄麦に残留していた農薬のうちPreでは70%以上,Postでは80%以上がふすまとともに除去され,60%粉に残っていたのはPre 1.7~23%, Post 4.0~11%の範囲であった.60%粉の加工係数はPre 0.030~0.40, Post 0.069~0.18を示した.これらの数値は,PreのほうがPostよりも高い値を示した.移行率の薬剤間での値の差は少なかった.調理加工における農薬の残留濃度変化を調査することは,基準値設定に役立つばかりでなく,農産物に残留する農薬が食品に移行する量を把握する上で重要である.
著者
佐藤 安純 志村 結美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第60回大会/2017年例会
巻号頁・発行日
pp.104, 2017 (Released:2018-03-06)

【目的】近年、若者の社会参画に対する意識の低下や、投票率の低下が問題視されている。2016年から選挙権年齢が18歳に引き下げられ、若者の社会参画意識やシティズンシップに関する意識の育成が喫緊の課題として挙げられている。家庭生活や地域社会に根ざした学びを特徴とする家庭科教育は、地域社会の形成者を育成することに大きな役割を果たすことができると思われる。高等学校家庭科学習指導要領(2009)においても、家庭や地域及び社会の一員としてのあり方を考える学習内容が新たに増え、社会とのつながりの重要性が明示されている。一方、キャリア教育は、中教審答申(2011)において、その重要性が謳われている。その後、「基礎的・汎用的能力」が定義され、広く活用されている。家庭科教育においても、高等学校家庭科学習指導要領(2009)において、「生涯の生活設計」が全共通科目で扱う内容とされた。生活設計の中で、職業生活、家庭生活、地域生活の三者のバランスを考え、すなわち、ライフキャリアの視点から職業生活を捉えていく内容となっている。家庭科におけるシティズンシップ教育とキャリア教育の有効な実践が期待されている現状ではあるが、両者の関係性を明らかにした研究は少ない。そこで本研究では、Y大学生を対象に調査を行い、家庭科におけるシティズンシップ教育とキャリア教育の関係性を検討していくことを目的とした。【方法】(1)Y大学生対象アンケート調査①対象:全学部1年生488名、教育学部2~4年生137名②期間:2016年10月~12月③内容:シティズンシップ教育に関する項目、キャリア教育に関する項目、家庭科・家庭生活に関する項目(2)Y大学4年生対象ヒアリング調査①対象:アンケート対象者から抽出した男性2名、女性3名②期間2016年12月③内容:就職活動について、地域、社会に対してできることについて、家庭科の授業に関連して、将来について他 以上の結果を踏まえて、シティズンシップ教育・キャリア教育に関する家庭科教育の提案を行った。【結果及び考察】Y大学1年生のシティズンシップ教育に関する意識は、自己肯定感が低く、特に女性の自己肯定感が低い結果であった。また、女性は他者との関係性や付き合い方を男性よりも深く考えている傾向が見られた。社会への参画に関する意識は、社会を創造していくのは自分たちであるという自覚がある学生は男女ともに多いが、新聞やニュースをよく見るようにしている学生が少ないなど、実際の社会には目を向けられていない学生が多い結果であった。選挙に参加している学生は48.2%と約半数であり、日本の同世代の投票率とほぼ同率であった。キャリア教育に関する意識では、基礎的・汎用的能力のうち「人間関係形成・社会形成能力」が全体的に肯定的な回答が高く、「自己理解・自己管理能力」は全体的に低い結果であった。学年比較において、学年による相違はあまり認められなかったことから、教育学部学生のキャリア意識については、学年が上がり、社会人に近づくにつれて培われていくものもあるが、大学入学以前の学校教育や、家庭環境等によって養われるものが大きいと考えた。大学生へのヒアリング調査からは、シティズンシップ教育・キャリア教育に関する意識に関係する発言が見られた。以上より、家庭科教育への示唆として、以下のことが明らかとなった。①シティズンシップ教育に関する意識とキャリア教育に関する意識の関連性が大きく認められ、大学入学以前の学校教育等が重要であるとのことから、「シティズンシップ教育・キャリア教育の関連性を重視する」こと、②全体的に、何かしようとする意識は高いが、行動へと繋げることができていない、実際の生活に繋げて考えられていない学生が多く、認識と行動の乖離が見られたことから、「認識と行動の乖離をなくすための、実践に繋がる教育」が必要であること、③自己肯定感が全体的に低く、特に女性にその傾向が強く表れ、自己肯定感の育成の必要性が認められたことから、「自己肯定感の育成」することである。
著者
小此木 丘 星 昭二 本間 学 須藤 謙三郎 飯塚 久義 佐藤 信
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.199-207, 1962 (Released:2009-11-11)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

An injection of Habu-snake venom, heated for 10 minutes at 100°C., caused myolysis at the site, histologically. But different from crude venom action, no hemorrhagic changes were recognized. At first, disappearance of mitchondria in the muscular fibers was seen, and then muscular splitting and lysis followed.While the myolytic changes caused by crude venom began immediately af ter the injection, the beginning of the changes were delayed when the heated material were used.Anti-Habu-serum neutralised the toxicity of the heated venom, and also, E.D.T.A.-Ca, Cocarboxylase and α-Thiolactoylglicine-Na repressed the toxicity in vitro.
著者
佐藤 英二
出版者
日本カリキュラム学会
雑誌
カリキュラム研究 (ISSN:0918354X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.17-29, 2001-03-31 (Released:2017-10-17)

This paper examines the mathematics education of secondary schools in wartime, 1940-1945, by comparing the authorized textbooks on the syllabus of teaching issued in 1942 with those in 1931. The features of mathematics education in wartime were as follows. Firstly, the textbooks in wartime contained a number of topics in which mathematical symbols described the natural and social world. But these sorts of topics had been already appeared in textbooks before. In the Perry movement many educators insisted to link mathematics to the natural and social sciences, so its influence effected on mathematics education in wartime. Secondly, however, the textbooks in wartime were filled with another type of topics to optimize solutions and make rational designs. These topics were absent from previous textbooks. The authors of the textbooks in wartime attached importance to the topics of optimization not only in the differential of functions, but in all the content of mathematics of secondary schools. Thirdly, the topics in the textbooks in wartime were organized in such a systematic way as to present students the efficacy of mathematics for problem solving in real situation. A series of exercises in the textbooks was set up on an assumption that students would have some experience in getting more precise solutions without pains by means of more complicated conception of mathematics. Lastly, before the wartime, mathematics textbooks had adopted a classical style, in which typical exercises and their answers occupied most of pages of a textbook. But in wartime, this style of arranging textbooks changed into a workbook style. The writers of them expected that students should discover some relations and conceptions of mathematics, rather than imitate the paradigmatic answers. For example, making a maximum box in capacity from a square paper, students learned such conceptions as the differential of the cubic functions. But this change of the textbooks has been over-exaggerated until now. In fact, the textbooks in workbook style were already written and published by the teachers in the middle school attached to Hiroshima Higher Normal School in 1930's. The mathematics education in wartime was shaped through a radical movement that was started by Kinnosuke Ogura, a mathematician, and flourished at Hiroshima Higher Normal School under his influence. Hiroshima Higher Normal School stood out of the center of the 1920s' Perry movement, but leaded a new trend of mathematics education in the late of 1930's. The education in wartime in general has been characterized as fanatical nationalism, and the nationalism has been recognized as contents about the national flag or weapons in the textbooks. But in mathematics education, this character at wartime emerged according to a thought of technocracy. The wartime was the first time for secondary school students to learn conception of probability. They learned it by finding the probability that babies would die in a year.
著者
伊藤 理紗 兼子 唯 巣山 晴菜 佐藤 秀樹 横山 仁史 国里 愛彦 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.237-246, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では、エクスポージャー中の恐怖のピーク前後の安全確保行動(以下、SB)が治療効果に及ぼす影響性の差異について検討した。ゴキブリ恐怖の大学生(N=30)を対象に、対象者を三つの介入条件のいずれか一つに割り当てた:(a)SBなし群、(b)恐怖ピーク前SB群、(c)恐怖ピーク後SB群。群と時期(エクスポージャー前・エクスポージャー直後・フォローアップ時)を独立変数、ゴキブリ恐怖に関する変数を従属変数とした分散分析の結果、すべてのゴキブリ恐怖の変数において時期の主効果が有意であった。単純主効果の検定の結果、すべての群においてエクスポージャー直後とフォローアップ時のゴキブリ恐怖は、エクスポージャー前と比較して、有意に低かった。最後に、各群のエクスポージャー中の恐怖の推移もふまえて、エクスポージャー中の恐怖のピーク前後の安全確保行動が治療効果に及ぼす影響について、考察した。
著者
佐藤 和紀 南條 優 遠藤 みなみ 三井 一希 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46037, (Released:2022-07-08)
参考文献数
9

1人1台の情報端末を活用して,子供主体の学習を目指す中堅教師群と若手教師群の児童の学習時間と教師の発話への調査を通し,教師歴の影響を検討するために,2021年6月と2022年1月の算数の授業の映像を分析した.その結果,時期の比較をすると1)教師の一斉指導の時間は両群とも1月の方が少なく,児童の学習活動の時間は両群とも1月の方が多かった,2)発話量は両群とも1月の方が少なかった,3)ICT に関する発話は同様に両群とも1月の方が少なかった.また,教師歴を比較すると,4)発話数は中堅教師群の方がいずれの時期でも少なかった,5)児童による学習活動の時間は中堅教師群の方がいずれの時期でも長かった,6)中堅教師群の児童は1月には学び方を選択して学習を進めた時間が長かった,といった6点が確認された.
著者
佐藤 洋一 相澤 純 田島 克巳 伊藤 智範
出版者
岩手医学会
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.75-87, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
28

科学における不正(偽造・捏造,改ざん,盗用)が繰り返し起きている.とりわけ,科学者の就職や昇進時において研究業績が求められるようになってから,不正の事例が表立って報告されるようになってきた.多くの事例を調べてみると,研究不正の動機として,1)知的満足感を得るため,2)周囲から注目されたいため,あるいはいたずら心,3)結論ありきで,ストーリーに沿ったデータを求める上司,あるいは本人,4)営利企業に有利な結果を出すことによる資金獲得という誘惑,があげられる.また,背景として若い時に受けた研究不正に関する不適切な指導と,実験研究の細部まで目を配ることができなくなった研究体制があげられる.査読や同僚評価,あるいは煩雑な不正防止規程は抑止策として十分とは言えない.研究不正は科学の進歩に計り知れない損害を与えるだけに,教育課程の中でしっかりした研究を実体験させる必要がある.
著者
村田 浩一 佐藤 雪太 中村 雅彦 浅川 満彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

日本アルプスの頚城山脈、飛騨山脈および赤石山脈において、環境省および文化庁の許可を得てニホンライチョウから血液を採取した。栄養状態や羽毛状態に著変は認められず、すべて健常個体であると診断された。血液塗抹染色標本を光学顕微鏡下で観察したところ、78.1%(57/73個体)にLeucocytozoon sp.の感染を認めたが、他の血液原虫感染は認めなかった。検出された原虫の形態および計測値から、大陸産のライチョウに確認されているL.lovatiと同種であると判定した。感染率に性差は認めなかった。本血液原虫の血中出現率は、春から夏にかけて上昇し、夏から秋にかけて低下する傾向が観察された。ほとんどの地域個体群にロイコチトゾーン感染が確認されたが、常念岳および前常念岳の個体群には感染を認めなかった。L.lovatiのmtDNA cytb領域を解析し、各地域個体群間および他の鳥種間で塩基配列の相同性を比較検討した。南北アルプスのライチョウ間では差が認められなかったが、他の野鳥寄生のLeucocytozoon spp.との間では差が認められた。L.lovatiを媒介していると考えられる吸血昆虫を調査した。調査山域でアシマダラブユおよびウチダツノマユブユ等の生息を確認した。PCR法によりブユ体内からL.lovatiと100%相同の遺伝子断片が増幅された。このことから、L.lovatiの媒介昆虫はブユであることが強く示唆された。本研究で得られた数々の知見は、ニホンライチョウを保全する上で有用であると考える
著者
安井 崇 佐藤 勝 武山 真弓
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.139, no.7, pp.812-813, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Freshness evaluation of Ezoshika meat based on bioelectrical impedance analysis (BIA) using LCR meter is carried out to estimate the quality of the meat. An arc is extracted from a locus of measured impedance to evaluate the condition of the meat. It is revealed that freshness of the meat may be estimated from the position of center of the arc. The arcs obtained by two types of equivalent-circuit models and a simple least squares method (LSQ) are compared. It is also found that the arc extracted by the LSQ explains the measured result well.
著者
岡島 純子 佐藤 容子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-11, 2011-01-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、幼児を持つ母親の自動思考を測定する育児自動思考尺度(ATQ-CR)を開発し、ストレス反応との関連について検討することであった。予備調査1にて、育児ストレス場面を抽出し、予備調査2にて、四つの育児ストレス場面、78の自動思考項目を抽出した。本調査では、探索的因子分析、高次因子分析を行い、ネガティブ思考29項目、ポジティブ思考14項目が抽出された。ATQ-CRの内的整合性は高く(ネガティブ思考因子α=.90、ポジティブ思考因子α=.76)、妥当性は、内容妥当性と基準関連妥当性の観点から確認された。SOMモデルに基づき、自動思考のバランスとストレス反応の関連性について検討した結果、ネガティブ寄り群、中立群のほうがポジティブ寄り群よりもストレス反応が有意に高かった。本研究の結果から、育児中の母親に対して自動思考に焦点を当てたストレスマネジメント介入の必要性が示唆された。
著者
久嵜 香 天谷 直貴 絈野 健一 青山 大雪 汐見 雄一郎 玉 直人 池田 裕之 佐藤 岳彦 横川 美樹 福岡 良友 森下 哲司 石田 健太郎 荒川 健一郎 宇隨 弘泰 夛田 浩
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.2, pp.S2_5-S2_10, 2015 (Released:2016-12-16)
参考文献数
6

症例 : 57歳, 女性. 主訴 : 動悸. SLE・高血圧にて当院通院中. 頻回の心房頻拍 (atrial tachycardia ; AT) 発作を認めたためアブレーションを施行. ATは心房頻回刺激により再現性をもって誘発された. 3次元マッピングシステム (CARTO® 3system) を用いて右房心内膜側からactivation mappingを施行. ATはfocal patternを呈し, 冠静脈洞入口部 (CSos) の局所興奮より57ms先行する最早期興奮を三尖弁輪前壁 (左前斜位 : 12時の位置) に認めた. 同部位に頻回の焼灼を試みるも一過性の抑制を認めるのみで根治は得られなかった. 本例は大動脈の著明な蛇行のために無冠尖Valsalva洞が右房前壁最早期興奮部位に近接していた. AT中の無冠尖Valsalva洞内の局所興奮はCSosの興奮に46ms先行していた. 同部位の焼灼でATは直ちに停止し, 以後誘発不能となり再発は認めなかった. His束電位記録部位は最早期興奮部位から35mm離れた部位であった. 本例は, 心外膜側に起源を有した三尖弁輪前壁起源の巣状リエントリー性ATで, 心内膜側からは焼灼不可能で無冠尖Valsalva洞内の焼灼で根治した極めて稀な症例であると考えられた.