著者
西村 馨 木村 能成 那須 里絵 岡本 美穂 佐藤 かな美
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

集団不適応の中学生に対するグループセラピーを実践し、参加者(合計14名)のほぼ全員が学校での適応状態の改善を見た。グループでの治療展開について、個人の未形態の情緒が対人関係的出来事(対人トラウマの再演)をもたらし、その理解が相互の関係性を深化させ、さらに現実的アクションへと至るプロセスが見出された。このようなグループセラピーの構造、治療的活動、基礎技法、セラピストの姿勢、グループ発達段階に応じた介入について整理した。また、本グループによる教師研修(1名)、カウンセラー研修(3名)の検討により、子どもの感情に一層接近する感覚の向上とやりとりの柔軟化が見出された。
著者
佐藤 明彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.273-277, 2017-05-15 (Released:2017-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

Grapes (Vitis spp) are a major fruit crop worldwide and are consumed as table grapes, wine, and raisins. Currently, the leading grape cultivars in the world are European (Vitis vinifera L.), and account for the majority of the worldwide production. European grapes, however, are highly susceptible to fungal diseases and to berry cracking when grown in wet climates. In eastern United States, breeders have attempted to improve the native American species through hybridization between European grapes and native species such as V. labrusca L. The interspecific hybrid cultivars derived from V. labrusca are classified asAmerican grapes (V. labruscana Bailey). In general, the fruit quality of European grapes is superior to American grapes for table and wine use. During the Meiji era, many European and American grape cultivars were introduced to Japan from foreign countries. However, the cultivation of European grapes failed due to severe diseases and berry cracking caused by Japan’s wet climate. As a result, American grapes such as ‘Campbell Early’, ‘Niagara’, and ‘Delaware’ were selected. Japanese grape breeders have developed many cultivars such as ‘Muscat Bailey A’, ‘Neomuscat’, ‘Kyoho’, ‘Pione’, ‘Kaiji’ and so on, using European and American cultivars as the parent stock. Recently, cultivation of ‘Shine Muscat’ has rapidly increased.
著者
東 信行 佐藤 淳 笠原 里恵
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

青森県のリンゴ園を中心とした農地における有害動物の管理を,生態系サービスに注目しそれを生かしたバランスの在り方を見出す。現状ある捕食―被食関係の定量化と同時に,適切な捕食圧を目指すための地域景観の管理の在り方を把握し,一般に情報提供を行う。慣行型の有害生物管理を超えた生態系管理型農業を目指す。
著者
長岡 和則 古渡 意彦 佐藤 昭二 虻川 成司 樋口 英雄 中村 尚司
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.352-361, 2004 (Released:2010-08-05)
参考文献数
28
被引用文献数
4 6

Field measurements of the cosmic-ray neutron dose rate on the ground using the neutron dose-equivalent counter developed by Nakamura were conducted in order to allow an understanding of neutron dose rate distribution in Japan. The effects of altitude, geomagnetic latitude, snowfall and rainfall on the neutron dose rate were confirmed from the results of the field measurements. Altitude variation can be fitted to an exponential function (eαZ), where Z is altitude (km). The α value for the neutron dose rate increased with increasing geomagnetic latitude, 0.6-0.8(km-1) at latitudes 20°-40°. Roughly, α=0.01×L+0.4 (for Z under 2km), where L is the geomagnetic latitude(°). The effect of geomagnetic latitude on the neutron dose rate was approximately 2% per degree(°) at latitudes 20°-40° Reductions in neutron dose rate due to snowfall and rainfall are caused by a decrease in component backscattering from wet ground surfaces. The neutron dose rate (H*(10)) at sea level at a geomagnetic latitude near 25° in 2002 was approximately 4nSv/h, and the neutron dose rate obtained from the neutron energy spectrum up to 400MeV with the Bonner sphere counter developed by Uwamino was 5.7nSv/h. This difference may by due to the low sensitivity of the dose-equivalent counter to neutrons with energies above 15MeV.
著者
佐藤 雅也
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.147, pp.133-196, 2008-12-25

ここでの問題意識は、民衆・常民の視点、民衆・常民の側に立った史学、文化史が民間伝承の学(民俗学)の本質とするならば、語りの部分、語られた部分を基礎に、戦争をとらえていくこと。日本の民衆・常民にとって、近代の戦争体験とその後の人生を明らかにしたうえで、戦争体験の記録と語りを継承していくことを目的としている。このことをふまえて、本報告では、三つのテーマから構成されている。第一に、「軍都」仙台の戦争遺跡と記念碑では、現在の時点から見た近代仙台の旧軍事施設の史跡、旧軍関係及び戦時関係の記念施設・記念碑・慰霊碑などについて、その概要を報告している。また、旧「軍都」仙台の陸軍施設の変遷と、近代の戦争に関わる記録を概観している。そして、昭和十五年(一九四〇)以降の仙台第二師団における宮城県・福島県・栃木県関係の旧軍施設に関する原本資料である仙台師管区経理部「各部隊配置図・国有財産台帳附図」について、その概要を紹介している。第二に、戦死者祭祀と招魂祭では、記念碑、文献資料、新聞記事などから、戊辰戦争、西南戦争、甲申事変、日清戦争、日露戦争、満洲事変、日中戦争、アジア太平洋戦争などにおける戦死者の慰霊と招魂の問題を取り上げている。第三に、戦争の民俗~戦争体験とその後の人生をめぐる民衆・常民の心意とは~では、「聞き書き」資料を基礎に、実物資料、文献資料、写真資料なども付け加えている。ここでは、①徴兵検査の意義と役割、②徴兵検査と軍隊への入営、③内地での軍隊生活、④一兵士が見た軍隊と戦争(召集、家族、戦地、敗戦と捕虜生活)、⑤満洲開拓と満洲移民、⑥「戦争未亡人」の戦中・戦後などについて、報告している。実際の調査では、約五十人の話者の方々のご協力をいただいたが、その中から十八人のインタビューをもとに記述している。このように民俗学の手法を駆使して、戦争の民間伝承を各地で継承していくことは、常民・民衆のための文化史としての民俗学にとって、課題の一つだと考える。
著者
早野 駿佑 長沼 篤 岡野 祐大 鈴木 悠平 椎名 啓介 吉田 はるか 林 絵理 上原 早苗 星野 崇 宮前 直美 工藤 智洋 石原 弘 小川 晃 佐藤 賢 柿崎 暁
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.113, no.5, pp.828-836, 2016-05-05 (Released:2016-05-05)
参考文献数
23

51歳女性.混合性結合組織病(MCTD)治療中,肝に径10~40mmの多発結節を認めた.限局性結節性過形成(FNH)が疑われたが,肝生検で結節性再生性過形成(NRH)様結節をともなう特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断した.NRHなどの良性肝細胞性結節は,共通の原因を基礎に発生する類縁疾患で,近年門脈域形成異常症候群と呼ばれる.MCTDにNRH様結節をともなうIPHの合併はまれであり,今回報告する.
著者
佐藤 弘樹 関 公輔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.89-99, 2019 (Released:2019-10-07)
参考文献数
11

【目的】 脊髄損傷完全対麻痺(L1)から,左長下肢装具と右短下肢装具を装着して歩行が自立し,集合住宅の 2 階に退院した症例を以下に報告する。【症例紹介】 20代女性。転落で受傷し A 病院に搬送。42病日に当センター転院。翌日より理学療法を開始した。当院入院時の ASIA Impairment Scale(以下,AIS)はA,Neurological Level of Injury(以下,NLI)はL1,ASIAの下肢運動スコア(以下,LEMS)はRt./Lt. = 8/0であった。この段階の予後予測において実用歩行獲得は困難と判断されたが,集合住宅への退院に必要な実用歩行,階段昇降が可能となるよう,標準的な理学療法と応用動作である四つ這い・膝立ちを重点的に行った。【結果】 両側のクラッチと右短下肢装具,左長下肢装具を用いて歩行及び階段昇降が自立し,191病日に退院。AISはA,NLIはL1,LEMSは10/3。【考察】 実用歩行獲得が困難とされたL1対麻痺患者でも,四つ這い・膝立ちを重点的に行うことで,クラッチと装具を使用して実用歩行が獲得できる可能性がある。
著者
佐藤 洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.303-318, 2022 (Released:2022-08-06)
参考文献数
27
被引用文献数
2

本稿では2020年6月に第32次地方制度調査会が公表した「2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」で提案された「地域の未来予測」を手がかりに,東京大都市圏の市町村へ財政運営に関するアンケート調査を実施し,数量化III類を用いた分析により,財政状況への認識と将来予測,広域連携の関係を検討した.本稿の主な知見は次の3点である.①財政状況を健全であると認識し,長期の将来予測を実施している市町村は広域連携に消極的な傾向がある.②2040年頃の将来予測の必要性を感じながらも将来予測をしていない,または短期の将来予測に留まる市町村が多い傾向がある.③財政関係の広域連携では構成市町村間で温度差がある.以上の知見により,財政の将来予測では国や都道府県が市町村へ支援を行う必要があること,地域の未来予測においても市町村同士の水平的連携による情報交換が重要になることが示唆される.
著者
佐藤 健太郎
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、教科書の編纂や検定とそれを規定した政治状況に注目し、1930年代から1950年代における学校教育での政治教育の展開を、日本政治外交史的手法により実証的に解明することを目的とする。主として、①この間の政治教育をめぐる過程を、政治教育の発展・変質・再興の過程として長期的視野から分析すること ② 検定教科書を、知識人の言論と、国家の規制との対立が集約されるものと位置づけ、教科書の内容や検定の状況を分析すること、等を通して、55年体制下における「教育と政治」の淵源を明らかにし、戦後民主主義の基盤を問いたい。
著者
佐藤 英一 山田 智康 田中 寿宗 神保 至
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.604-609, 2005 (Released:2006-02-24)
参考文献数
11
被引用文献数
26 20

The creep behavior at ambient temperature of typical h.c.p., b.c.c. and f.c.c. metals and alloys of annealed state were surveyed. Cubic metals and alloys demonstrated negligible creep strain under all stress ranges. In contrast, h.c.p. metals and alloys demonstrated significant primary creep behavior. In particular, Ti-6Al-4V alloy and CP-Ti metal showed significant creep behavior and accumulated large creep strain more than 1% in 90 s and 1600 s, respectively under 0.9 of 0.2% proof stress. After being cold-rolled, Ti-6Al-4V alloy and CP-Ti metal showed less significant creep behavior.
著者
細谷 紀子 佐藤 紀子 杉本 健太郎 雨宮 有子 泰羅 万純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.606-616, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
27

目的 本研究は,全国市区町村における災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の実態とその実施に関連する要因を明らかにし,災害時の共助,すなわち住民相互の助け合いを推進するための平常時における保健師活動に示唆を得ることを目的とする。方法 2019年1月1日現在,全国市区町村(特別区含む,政令指定都市は本庁を除き各区を対象)のうち,2019年中に災害救助法の適用があった市区町村を除く,1,463市区町村を対象に郵送式による無記名自記式質問紙調査を行った。回答は統括的な役割を担う保健師に依頼した。調査項目は市区町村概要,保健師の活動体制,防災に関する活動基盤,災害時の共助を意図した活動の実施状況である。得られたデータを用いて,災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の実施を従属変数とする多重ロジスティック回帰分析を行い,関連する要因を検討した。結果 541件の回答があり(回収率37.0%),主要な項目に欠損値があった6件を除く535件の回答を分析した(有効回答率36.6%)。保健師の活動体制は地区担当制と業務担当制の併用が81.7%,地域防災計画策定への保健師の関与有は31.6%であった。「災害時の共助を意図した平常時の保健師活動」のうち,避難行動要支援者等への「個別支援」実施有は223(41.7%),自主防災組織等の「住民組織への支援協働」実施有は186(34.8%),その他の「共助を意図した活動」実施有は160(29.9%)であった。未実施の理由は,防災対策が「事務分掌外」であること,「住民組織との接点がない」などが上位に挙がった。ロジスティック回帰分析の結果,災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の実施には「保健師の活動体制が地区担当制であること」「地域防災計画策定への保健師の関与があること」「災害対策に関する保健師活動マニュアルの作成があること」などが有意に関連していた。結論 災害時の共助を意図した平常時の保健師活動として個別支援は4割,それ以外は3割の実施であり,十分に行われていない実態が示された。担当地区をベースにした地区活動のあり方を見直すこと,地域防災計画策定への保健師の関与と災害対策に関する保健師活動マニュアルの作成に向けた統括保健師の役割発揮および外部支援の必要性が示唆された。
著者
佐藤 幹也 伊藤 智子 谷口 雄大 大森 千尋 金 雪瑩 渡邉 多永子 高橋 秀人 野口 晴子 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.617-624, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
23

目的 介護保険総合データベース(介護DB)の導入により,悉皆的な介護保険研究が可能になった。反面,介護DBでは死亡情報が含まれず他データとの突合も制限されているため,死亡に関する研究は実施困難である。本研究では,統計法に基いて入手した介護保険受給者台帳(受給者台帳)と人口動態統計死亡票(死亡票)を用いて,受給者台帳の受給資格喪失記録を死亡の代理変数として使用することの妥当性を評価した。方法 受給者台帳に記録された受給者情報の月次断面を2007年4月から2017年3月まで累積し,介護度が自立または年齢が65歳未満の者を除外した510,751,798件を研究対象とした。受給者台帳の異動区分コードが終了の場合を受給資格喪失とし,これと死亡票とを確定的マッチング(性別,生年月日,死亡年月日,居住市区町村)で突合できた場合を死亡例として,受給資格喪失の死亡に対する検査特性(感度,特異度,陽性反応的中率,陰性反応的中率)を算出した。結果 受給者台帳510,751,798件中の5,986,991件(1.17%)で受給資格喪失となり,うち5,295,961件の死亡が特定された。受給資格喪失の死亡に対する感度は100%,特異度は99.9%,陽性反応的中率は88.5%,陰性反応的中率は100%だった。陽性反応的中率を層別化すると,2012年以前は85~88%程度,2013年以降は91%前後,男性(91.9%)は女性(85.9%)よりも高く,年齢階級(65-69歳:80.6%,70-74歳:86.7%,75-79歳:86.4%,80-84歳:86.7%,85-89歳:88.0%,90-94歳:90.6%,95歳以上:93.4%)や要介護度(要支援1・2含む要支援:72.2%,要介護1:79.7%,要介護2:85.9%,要介護3:89.3%,要介護4:92.3%,要介護5:94.0%)とともに上昇した。結論 受給資格喪失を死亡の代理変数として用いると偽陽性が1割程度発生するため,受給資格喪失を死亡率そのものの推計に用いるのは適切ではない。しかし曝露因子間の交絡の影響や曝露因子の死亡への効果が過小評価される可能性があることに留意すれば,受給資格喪失を死亡の代理変数としてアウトカムに用いることは許容できると考えられた。