著者
向居 暁 佐藤 純 DEHON Hedwige
出版者
高松大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、実験室におけるDRM課題による虚記憶と現実世界で生起すると考えられる自伝的虚記憶との関連性を、連想活性化、及び、モニタリングに係る個人変数を通して検討することであった。本研究では、日常において空想的に生じる自伝的虚記憶として、「心霊体験」が仮定され、そして、その生起に関与する個人変数として、心霊信奉はもとより、解離体験、認知スタイルなどが検討された。その結果、予測に反して、DRM虚記憶と自伝的虚記憶との間には、それぞれに関与するいくつかの個人変数は示されたものの、強い関連性は認められなかった。
著者
永谷 圭司 大木 健 Britton Nathan 佐藤 毅一 野寄 敬博 高橋 悠輔 山内 元貴 秋山 健 吉田 和哉
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.121-129, 2012-06-25

火山噴火時には,その噴火の規模によって定められる危険区域に人が立ち入ることはできない。そのため,噴火予測や住民の避難計画の策定を目指した遠隔操作型の不整地移動探査ロボットによる火山定点観察,移動観察の実現が求められている。ただし,これを実現するためには,不整地環境における高い走行性能,高い位置推定精度,遠隔操作のための長距離通信,長時間活動を支えるための電源といった,様々な技術課題が存在する.これらの課題は,月・惑星における移動探査を行う探査ローバーの技術課題にオーバーラップする部分が少なくない.そこで,本研究では,不整地軟弱土壌における走行性能ならびに,不整地環境におけるロボットの高精度な自己位置推定の実現を目指し,車輪型/クローラ型不整地移動ロボット4台の走行試験を,伊豆大島裏砂漠ならびに,三原山で実施した.本稿では,各走行試験の概要ならびにロボットを紹介すると共に,火山観察ならびに月・惑星探査ロボットに今後必要となる技術課題について考察する.
著者
佐藤 寿俊 神田 順二 小寺 聡 櫛田 俊一 橋本 亨 鈴木 勝 樋口 和彦
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.124-128, 2007

症例は27歳,男性.17歳で心肥大を指摘,心エコーで大動脈弁閉鎖不全を伴うバルサルバ洞瘤を指摘されたため2000年3月大動脈弁置換術およびバルサルバ洞パッチ閉鎖術が行われた.しかし2001年8月無冠洞瘤部が破裂し,破裂部直接縫合閉鎖を行っている.2004年12月眩暈と動悸を伴う240/分の心房頻拍で入院.緊急カルディオバージョンで退院したがハイリスクなため2005年1月入院,心臓電気生理検査(EPS)を施行した.誘発された心房細動を経て三尖弁-下大静脈峡部を回路とするマクロリエントリー性心房頻拍(AT)が誘発されたため,ここに線状焼灼を行いブロックラインを作成した.再度EPSを行うと,今度は臨床的に確認されていたATが誘発され,起源は手術痕とは関連のない分界稜下縁であった.Fractionated potentialがAT中に先行する最早期A波の記録される部位で焼灼を行ったところATは速やかに停止,以後ATは誘発不能になった.退院後再発なく経過している.
著者
齋藤 祐典 佐藤 俊治 大村 純一 三好 健文 入江 英嗣 吉永 努
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-8, 2011-03-08

人間の視覚機能を解明するために,その機能の線形モデルを計算機でシミュレーションする手法がある.しかし,計算負荷の問題から簡略化したモデルあるいは一部分だけのシミュレーションのみが行われている.そこで,シミュレーションを高速化するために,プログラムを並列化し,PCクラスタを用いて実行する.本稿では,シミュレーションのコアである畳み込み演算をMPIにより並列化することで,最大43%高速化を達成した.また,実装したシミュレータを用いて錯視画像のオプティカルフローを求めたところ, 錯視現象の要因が得られたことを示す.Numerical simulation for the linear model of visual neurons is the most important approach to understand our visual system from computational viewpoints. We attempt to parallelize the time-consuming simulation on a cluster computer system. We achieved 43% reduction in simulation time by MPI implementation of spatio-temporal convolution formulated in the linear model. Moreover, by analyzing the simulation results, unknown factors on visual illusion are unveiled.
著者
佐藤 幸治 東原 和成
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.5, pp.248-253, 2009-11-01
被引用文献数
3

動物の嗅覚器には,外界の匂い物質と結合する嗅覚受容体が発現している.下等な線虫から高等哺乳動物に至るまで,嗅覚受容体は7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体ファミリーに属する.嗅覚受容体と匂い物質が結合するとGタンパク質経路が活性化され,下流の環状ヌクレオチド作動性イオンチャネルが開口する.ゲノムプロジェクトの進行により,昆虫でも嗅覚受容体は7回膜貫通構造をもつことが明らかにされた.したがって,Gタンパク質経路を利用した情報伝達機構は全ての動物において,匂い受容における共通の分子基盤であると考えられてきた.しかしながら最近,昆虫嗅覚受容体は昆虫種間で広く保存されているOr83bファミリー受容体と複合体構造をとり,この複合体にはGタンパク質経路とは無関係に,匂いで活性化されるイオンチャネル活性が備わっていることが明らかとなった.マラリアなどの虫媒性伝染病は,汗や体臭を通して放散される匂い物質に誘引された昆虫の吸血により感染する.虫除け剤には,嗅覚受容体複合体が構成するチャネル活性を阻害する作用があることも報告された.今後,このような吸血昆虫が媒介する感染症の一次予防の観点から,嗅覚受容体複合体の活性制御機構の解明は,虫除け剤開発における最重要ターゲットになると思われる.<br>
著者
佐藤 嘉幸
出版者
日仏社会学会
雑誌
日仏社会学会年報 (ISSN:13437313)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.39-51, 2014

<p>Selon Max Weber, la sociologie désigne « une science qui se propose d'expliquer causalement le déroulement et les résultats de l'acte sociale ». En nous appuyant sur cette définition wébérienne, nous pouvons définir la philosophie sociale comme une discipline qui se propose d'expliquer causalement la condition qui fonde l'acte social. Quelle est alors la différence entre la sociologie et la philosophie sociale ? Nous pouvons l'expliquer comme suit : la sociologie cherche à interpréter causalement l'acte social en tant que phénomène alors que la philosophie sociale vise à dévoiler <i>la condition qui fonde l'acte social</i>, autrement dit, <i>la condition d'expérience au sens kantien du terme</i>. Elle ne désigne pourtant pas la condition apriori de l'expérience, mais <i>la condition historique qui la détermine</i>. Suivant cette hypothèse, cet article réfléchit sur les caractéristiques de la philosophie sociale par rapport à la sociologie à travers la lecture de Kant par Foucault et Negri-Hardt.</p>
著者
佐藤 成美 山内 さつき 高林 範子 石井 裕
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.45-55, 2015-03-12

本研究の目的は、マスク着用による音声への影響と話し手の音声の特徴が聞き手の聞き易さにどう影響しているかを、音声分析により明らかにすることである。音声実験では、被験者6 名に日常生活会話と同程度に話す「標準音声」、大きく・はっきり・ゆっくりと、を意識して話す「明確音声」をマスク非着用時と着用時で録音した。次に聴取実験では、別の被験者10 名に録音した音声を聞かせ、どちらが聞き易いか【声の大きさ・声の高さ・話す速度・間隔・アクセント】を基準に評価させた。その結果、マスク着用時の「標準音声」と「明確音声」の声の大きさには、有意な差は認められなかった。これは、マスク着用により発声が妨げられたことによるものと考えられた。また、聞き易い音声とは声の大きさだけではなく、抑揚をつけ話す速度も遅くすることが聞き易い音声にとって必要な項目であり、マスク着用時の円滑なコミュニケーションに繋がるという示唆が得られた。
著者
細田 智子 加藤 千晶 三戸 夏子 平山 倫子 佐藤 和人
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.473-479, 2000-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

乾燥ビール酵母摂取が免疫機構に与える影響について検討するため, DBA/1Jマウスに対照飼料およびビール酵母飼料 (BY) を4カ月間投与した.(1) 実験1 : 腸管免疫系における免疫組織学的観察において, 腸管のB細胞数がBY摂取により減少していた.(2) 実験II : タイプIIコラーゲン誘導関節炎 (CIA) モデルマウスに与える影響について検討した.関節の組織学的観察において, 関節炎はBY摂取により抑制された.さらに経口トレランスもBY摂取により影響される可能性が示された.以上の結果より, BYは腸管免疫系に影響を与え, CIAの抑制に有効であることが示された.
著者
佐藤 道子
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.763, pp.74-83, 2004-04-01

In my previous article (Gakuen 736, Nov. 2001), the role of Byron Bunch was discussed. He looks like a very ordinary, diligent, rather timid man without a hint of attractive youth, and seems to be just a good-natured man. But the truth is that he plays a very important role in this novel as a man who leads the next generation. In other words, Faulkner suggests that Byron will make a new home with Lena Grove and bring up Lena's and Lucas Burch's baby as a foster father. He is supposed to be a warmhearted and open-minded foster father, who is quite different from Joe Christmas's foster father, Simon McEachern. Unlike McEachern, Byron has no such religious prejudice and so he will never have control over the life of his foster child. In this paper, Byron's role in the work will be discussed further. For this purpose, I will consider the matter of the establishment of ego and self-realization in Byron.
著者
佐藤 和美 久保田 哲夫
出版者
関西学院大学
雑誌
総合政策研究 (ISSN:1341996X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.11-40, 2006-11

The Taiwan issue, the origin of which dates back to 1949 when the KMT retreated to Taiwan under the leadership of Chiang Kai-Shek, is still one of the most complex political conundrums in the East Asian region. The purpose of this paper is to provide an overview of this issue by clarifying the positions and policies of Beijing, Washington and Taipei. This paper shows that all three governments favor the status quo in the short run, but each has a different vision of the future, which makes this issue almost unsolvable. The Chinese leadership has long considered unification to be an inalienable policy. Now that great power policy is China's foremost priority, however, China does not emphasize unification as the most urgent issue on its plate. China is now seeking the cooperation of the U.S. in order to prevent Taiwan from declaring independence. The U.S., a key buffer between mainland China and Taiwan, is now more politically and economically interdependent with China than ever before, but still asserts that the consensus of the Taiwanese people is a prerequisite for the resolution of the Taiwan issue. Trying not to be directly involved, the US is seeking to maintain the status quo. Taiwan faces a paradoxical relationship with China. Both major parties in Taiwan, the DPP and the KMT, are caught in the same dilemma: whether to strengthen economic ties with China or to seek Taiwanese political independence.