著者
岡本和也 薦田登志矢 中田尚 三輪忍 佐藤洋平 植木浩 林越正紀 清水徹 中村宏
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2012-EMB-26, no.4, pp.1-8, 2012-09-03

マイクロプロセッサを備えたセンサであるスマートセンサは,周囲の状況を周期的にサンプリングし,センシングした結果に簡単な処理を施し,その結果をメインのシステムへ送信する,周期的リアルタイムシステムの一種である.ただし,一般的なリアルタイムシステムとは異なり,入力データのサンプリング周期とデータ送信 (デッドライン) の周期が必ずしも一致するわけではなく,一般には,後者の周期が前者の周期よりもはるかに大きい.そのため,データの入力間隔に合わせてシステムがデータを処理するのではなく,データを一旦バッファに格納しておき,いくつかのデータがバッファに溜まったらシステムを起動して処理を行い,処理が完了したらシステムをシャットダウンする,という制御が可能である.このような制御を行えば, DVFS や動的電源制御などの従来の制御を行う場合よりも,省電力なシステムを実現できると考えられる.本稿では,上述の制御を行うシステムのモデルを提案し,既存の制御手法と比較する.評価の結果,既存手法と比べて消費エネルギを 79.6% 削減できることがわかった.
著者
薄 充孝 中川 知香 佐藤 智和 横矢 直和
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.161-170, 2008
被引用文献数
15

In this paper, we propose a novel method that estimates camera position and posture from a single image using a feature landmark database. Conventionally, several kinds of camera parameter estimation methods are proposed in which pre-constructed database is used to estimate the camera parameters. In the most of these methods, they achieve fast and high accurate estimation by limiting searching range for the database using the assumption that camera motion for successive image frames is small. However, if the input is a single image, these approaches do not work because there is no good initial parameter to limit the searching range for the database. In this research, we gradually limits the searching range for the landmark database by using GPS position, SIFT distance, and consistency of camera position and posture. The validity of the proposed method has been shown through experiments for an outdoor environment.
著者
佐藤 大樹 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.105, pp.31-35, 2010-06-18

本論文ではユーザのブラウザの閲覧履歴から探索行動と探索目的ページの抽出方法を提案する.近年,ウェブページの爆発的な増加に伴い,ウェブページ推薦の研究が盛んに行われている.我々は,小グループにおける検索サイトを利用した情報探索においての推薦システムをめざしている.特にウェブページ全体を推薦の対象としながらも,ユーザへの負担が少ないことを狙っているが,その実現にはいくつかの課題がある.本論文ではこの中で特に,推薦対象を自動抽出するという課題に対し,ユーザのブラウザの閲覧履歴に基づいた探索行動と探索終了ページの抽出手法を提案し,さらに終了ページが探索の目的ページ(推薦対象ページの候補)となる割合を調べた.評価実験の結果,52.3%の割合で探索行動を抽出でき,そのとき87.0%の割合で探索結果として有用なウェブページを抽出できた.
著者
佐藤 匡司
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.907-911, 1959-07

生体内の燐酸エステルの有する代謝上の意義は甚だ大きいが, phosphorylaseによる無機燐酸からのエステル形成は別として燐酸化合物からの燐酸転位はKinase作用によりnucleotide等の高エネルギー燐酸化合物から行われることは周知のことである。所がp-nitrophenyl燐酸が酸性phosphomonoesteraseにより水解される時グリセリン,アルコールのようなOHイヒ合物が共存すると,それ等の燐酸エステルが形成されることがAxelrodやAppleyardにより初めて報告された。また他方アルカリ性酵素でもMeyerhof及びGreenは高エネルギ一燐酸化合物を供与体として用いた際に行われる燐酸転位量は供与体のエネルギー荒に比例することを報告したが, Axelrod, Oesper, Mortonの酸性酵素及びアルカリ酵素を用いての成績によると,そのよぅな比例関係は必ずしも成立しないことを,これと前後して西堀は燐酸転位が諸型monoesteraseによりても行われることを認め,その転位機序を論している。p-nitrophenyl燐酸ethylesterがdiesteraseによりp-nitrophenolとethyl燐酸とに水解されるときもOHイヒ合物が共存するときにはそのOH化合物とethyl燐酸との結合せるdiesterが形成される。これ等の現象はp-nitrophenyl燐酸またはそれのethylesterが酵素に対し強い親和性を有し,また水解され易いに比し酵素表面における転位反応により形成される新モノエステルまたジエステルよりは酵素に対する親和性と被水解とにおいて劣ることによると説明された。したがつて燐酸転位が行われるには,まず燐酸の活性化を要すると考えられるので,私はphosphosalicyl酸を燐酸供与体として共存OH化合物の燐酸エステル化を試験した。この化合物を供使したのは,その等moleのsalicyl酸と燐酸とを生ずる自家水解がpH 5.6にて極大でありこのpH 5.6における自家水解はCu^<++>により促進され,他方自家水解を被り難いpH 2の水溶液中にてFe^<++>が顕著なる水解促進を示すとの前報告の所見にもとずき,これらの水解反応において遊離する燐酸が新たなエステルを形成するか,すなわち燐酸転位が行われるかを験し,これと酵素的に営まるべきphosphosalicyl酸からの燐酸転位とを比較した。
著者
松原 崇 佐藤 貴宣
出版者
国際ボランティア学会
雑誌
ボランティア学研究 (ISSN:13459511)
巻号頁・発行日
no.11, pp.85-98, 2011-12-28

本研究の目的は、障害疑似体験の可能性について、新たな観点を提示することである。一般に、従来の障害疑似体験は車いすやアイマスクのような補装具や拘束具を用いて、健常者の身体上に障害者の身体状態を再現することで可能になると考えられてきた。しかし、こうした障害疑似体験に対しては障害学や障害当事者団体より批判的な見解が提出されてきた。本研究では、体験は人々の間のコミュニケーションを通じて協働的に構成されると考える社会構成主義の観点に依拠して考案したワークショップ『バリバリツアー』を事例として、新たな障害疑似体験の方向を提示した。すなわち、障害の疑似体験は、障害当事者に寄り示い、障害当事者と協働である事柄を障害(ディスアビリティ)として意味付ける過程に参加することによって可能になるとする障害協働体験を提案した。
著者
堀 貞喜 石田 瑞穂 青井 真 井上 公 大久保 正 岡田 義光 小原 一成 笠原 敬司 木村 尚紀 熊谷 博之 汐見 勝彦 関口 渉次 根岸 弘明 野口 伸一 松本 拓己 山水 史生 藤原 広行 功刀 卓 浅野 陽一 関根 秀太郎 廣瀬 仁 松原 誠 安逹 繁樹 伊藤 喜宏 針生 義勝 松林 弘智 松村 稔 宮川 幸治 山品 匡史 坂無 雅子 雷 楓 伊東 明彦 岩田 知孝 ト部 卓 川勝 均 木下 繁夫 工藤 一嘉 纐纈 一起 佐藤 春夫 佐藤 比呂志 武井 恵雄 中尾 茂 平田 直 平原 和朗 堀家 正則 松澤 暢 山北 聡 綿田 辰吾 山野 誠
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.15, pp."I-12"-"I-16", 2004-09-06

地震調査研究推進本部の総合基本施策(「地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(平成11年4月23日)」)、及び調査観測計画(「地震に関する基盤的調査観測計画(平成9年8月29日)」、「地震に関する基盤的調査観測計画の見直しと重点的な調査観測体制の整備(平成13年8月28日)」、「地震に関する基盤的調査観測等の結果の流通・公開について(平成14年8月26日)」)等に基づき、高感度・広帯域地震観測施設と強震観測施設を整備し、観測網の維持・管理・運用を行う。これら基盤的観測網と防災科研の在来地震観測網から得られるデータの収集・処理を行い、気象庁、大学等のデータと合わせて蓄積・流通・公開を行う。また、防災科研が海外に整備した観測施設についても、円滑な維持・管理とともに、観測方式の高度化を行いつつ、データの収集・処理・蓄積・公開を行う。さらに、各観測網から得られるデータを用いて、高度な地殻活動のモニタリングを実施し、地震活動状況の推移を判断するための研究成果を創出する。
著者
佐藤 俊哉
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Special_Issue_1, pp.S57-S62, 2007-10-01 (Released:2011-09-25)
参考文献数
17

In this paper, I will review recent development in epidemiologic theories. It is emphasized that case-control studies are considered to be based on a underlying hypothesized cohort. Thus, various control selection options have been developed as the selection from the population at risk in that hypothesized cohort.As an example of the use of new epidemiologic designs, a case-control study of infant asthma is illustrated. It is a part of the SORA (Study on Respiratory Disease and Automobile Exhaust) project which is a complex of epidemiologic studies for infants, school children, and adults conducted by the Ministry of the Environment. In that study, a two-stage case-control design which is effcient both for rare exposure and rare disease is adopted.
著者
佐藤 忠彦
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度の研究は,動学的統計モデルによるID付きPOSデータを用いた計量分析として行った.ID付きPOSデータとは,総合スーパーやスーパーマーケットで日々蓄積されている番号化された形で個人が特定できる時系列購買データであり,最も集計されていないデータである.その意味で,平成19年度の研究は18年度の研究を発展させた研究となる.研究は,前年度同様マイクロ・マーケティングの現象に関連した消費者来店行動の解析をテーマにし研究した.これらの課題は,消費者行動研究の主たる研究分野に位置づけられるものであるが,動学的な統計モデルを用いた形式で研究はなされていない.今後益々発展を望まれている研究課題であるといえる.具体的には,(1)消費者の小売店舗への来店行動および(2)カテゴリー購買積行動を解析するための動的個人モデルの提案及び解析事例の提示を行った.通常マーケティング分野では、(1)や(2)の解析を行う場合、個人毎のデータを全て用いてモデルの推定を行う.しかし、one to oneマーケティングやCustomer Relationship Management(CRM)といった当該分野における今日的課題の解決には、そのアプローチでは不十分である.その問題点を克服し、個々人の動的行動を表現するために、本研究では個人毎モデルの提案、検証を行っている.モデル化は一般状態空間モデルの枠組みで行い,その状態推定には粒子フィルタ/平滑化のアルゴリズムを用いた.モデルは実際のID付POSデータへ適用し,その有効性の検証を行った.その結果,本稿で提案するモデルが個人の来店行動及び購買生起行動の解析に適用できることが示された.(1)及び(2)の課題は,現在学術雑誌に投稿し,審査中である.
著者
間所 洋和 佐藤 和人 門脇 さくら
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.157-169, 2011-04-15 (Released:2011-07-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本論文では,表情空間の動的多様性を定量化する表情空間チャートという枠組みを提案する.表情空間チャートは,「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,各表情の覚醒度を軸とする表情の表出レベルをチャート状に表現したものであり,教師なしニューラルネットワークのSOM(Self-Organizing Maps)とFuzzy ART(Adaptive Resonance Theory)を用いて生成する.評価実験では,Ekman が定義した基本6表情の中から「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,被験者 10 名の7週間から 20 週間に及ぶ独自の長期表情画像データセットを構築し,各被験者の表情空間チャートを生成した結果,被験者間の表情の多様性と各被験者における時系列変化を可視化することができた.更に,表情空間チャートから人間が抱える心理的ストレスが表情に与える影響について分析するために,心理的ストレスシートを用いて慢性的ストレスを測定し,SVM(Support Vector Machines)によりストレスレベルを推定した.その結果,10 名全体で 68.6%,10 週間以上の被験者5名では 77.4%の推定率が得られたことから,表情空間チャートからストレスレベルを推定できる見通しが得られた.