著者
奥田 恵司 佐久間 泰司 前田 照太 岡崎 定司
出版者
Japanese Society of Orofacial Pain
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.3-13, 2012

目的:咀嚼障害や歯の欠損と全身の健康との関係が注目されているが、咀嚼障害が脳機能に及ぼす影響はいまだ解明されていない部分が多い.そこで本論文では筆者が携わった動物実験をもとに咀嚼障害が脳機能に及ぼす影響の一部を解説する.<br>研究の概要:研究1:ラット18匹を用い4週齡で上顎臼歯をすべて抜歯した抜歯群,同量の麻酔のみを施した麻酔群,いかなる処置も行わない無処置群の3群を設定した.脳内マイクロダイアリシス法にてテタヌス刺激を与えた海馬の機能時のグルタミン酸放出量を測定した結果,抜歯群で有意にグルタミン酸の放出量が低下した.研究2:5週齡のラット16匹を用い5週齢で上顎臼歯をすべて抜歯した抜歯群と同量の麻酔のみを施した対照群の2群を設定した.テレメトリーバイオセンサーシステムを用い受動的回避実験中の海馬のグルタミン酸放出量を測定した結果,獲得試行では抜歯群が有意に少なく,保持試行では両群に有意差はなかった.<br>考察:早期に臼歯を失うことは咀嚼障害のみならず,海馬のグルタミン酸のシナプスにおける遊離量を減少させ,神経生化学機能に障害を及ぼす可能性が示唆された.<br>結論:早期の臼歯喪失が学習記憶の障害を誘発する一要因になりうることが明らかとなった.
著者
田中 明子 土師 知行 新正 由起子 前田 秀明 竹林 慎治 八木 伸也
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.939-943, 2000-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

We report 2 adult cases of inspiratory dyspnea caused by an epiglottal prolapse.The first case was a 61-year-old man who was suffering from inspiratory dyspnea, especially while sleeping. A laryngofiberscopic examination revealed that the epiglottis was contacting the posterior pharyngeal wall during inspiration, causing airway obstruction. A partial epiglottectomy with a Holmium: YAG laser improved respiratory dystress during sleep.The second case was a 60-year-old man who also suffered from dyspnea while sleeping. The laryngofiberscopic findings were the same as in the first case, and a partial epiglottectomy was also effectve for the dyspnea during sleep. A pathological examination revealed degeneration of the epiglottic cartilageThe Holmiun: YAG laser was useful in resecting the epiglottic cartilage in both cases.
著者
前田 章博
出版者
日経BP社
雑誌
日経Linux : Nikkei Linux (ISSN:13450182)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.83-95, 2012-09

Androidのソースコードを入手し、自分好みに改造する方法を紹介します。まず最新バージョン4.1をビルド(作成)して、「Galaxy Nexus」で動かします。カメラなどが動作しませんがそれを解決した後、メニューバーやロック画面などをカスタマイズしましょう。Android自体のソースコードに直接触れることで、新しい発想が生まれるはずです。
著者
古川 聡子 河口 勝憲 前田 ひとみ 加瀬野 節子 小野 公美 上杉 里枝 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.332-336, 2016-05-25 (Released:2016-07-10)
参考文献数
6

急性冠症候群の診断に有用な検査項目として,ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)とトロポニンTがある。今回,H-FABP定性迅速検出キット「ラピチェック® H-FABP:ラピチェック」(DSファーマバイオメディカル)とH-FABP定量迅速検出キット「ラピッドチップ® H-FABP:ラピッドチップ」(積水メディカル)およびトロポニンT定性迅速検出キット「トロップTセンシティブ®:トロップT」(ロシュ・ダイアグノスティックス)の比較検討を行い,それぞれの検査キットの特徴を評価した。3キットともに陽性を示した疾患は急性心筋梗塞,狭心症,心不全,大動脈乖離,たこつぼ型心筋症などであった。H-FABPとトロポニンTの判定が異なった症例はすべてH-FABP:陽性,トロポニンT:陰性であった。H-FABPのみが陽性を示した中には,急性心筋梗塞の超急性期の症例,腎機能低下によりH-FABP濃度が上昇している可能性がある症例,骨格筋由来のH-FABPが血中に逸脱した症例などが確認された。さらに,H-FABPのみが陽性の中には心電図や心エコー上で治療介入を要する明らかな所見が確認されなかった症例(意識消失やヘルニア)も含まれていた。また,H-FABPのうちラピチェックのみが陽性であった2例は,めまい,不安障害の症例であり,ラピッドチップの定量値はそれぞれ5.5 ng/mL,5.0 ng/mLと陰性であった。これらの症例における,H-FABP上昇の可能性は低く,ラピチェックの偽陽性であることが示唆された。それぞれの心筋マーカー迅速キットが持つ特徴を理解し,使用することが必要である。
著者
伊井 直記 前田 忠男 土岐 良一 藤山 勝二 浅居 良輝
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.1093-1097, 1992

カルボン酸分析計を用いて食品中のNANAを簡便で他の成分の妨害を受けることなく,迅速でかつ精度の高いNANA定量法を検討し,以下の結果を得た.<BR>(1) カルボン酸分析計用試験溶液の調製は次の通り調製した.液体試料はそのまま,あるいは水で希釈して一定量に定容した.固体試料の内粉末試料は1gを精秤し,水で50mlに定容した.他の固体試料は10gを精秤し,水を50ml加えてホモブレンダーにかけ100mlに定容し, No.5Cのろ紙でろ過した.この溶液9mlをネジロ試験管にとり1N硫酸1mlを加え, 80℃で45分間加水分解を行った後,冷却し, 0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行い,カルボン酸用試験溶液とした.<BR>(2) 乳児用調製粉乳を試料として本法の繰り返し精度を確認した結果, 10回の繰り返しにおける変動係数は1.61%と良好であった.<BR>(3) 乳児用調製粉乳1g当たりNANAを2mg添加し,本法による回収率を求めた結果, 99.8%と良好であった.<BR>(4) 本法は,前処理として加水分解とろ過操作のみで試験溶液が調製でき,また,強塩基性陰イオン交換樹脂カラムを用いることで妨害となる成分からの分離ができた.<BR>(5) 食品中のNANAを簡便で迅速かつ精度良く定量する方法を確立した.
著者
小澤 寿子 中野 雅子 新井 高 前田 伸子 斎藤 一郎
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.363-369, 2009-08-31
被引用文献数
3

歯科ユニット給水系(DUWS)からタービンやシリンジなどを介して流出する水は,多くの微生物に汚染され,水回路チューブ内表面に形成されたバイオフィルムにより,多くの細菌数が検出されることが報告されている.米国においては歯科ユニット給水系の水質基準として,Centers for Disease Control and Preventionが500CFU/ml以下を推奨し,American Dental Associationでは200CFU/ml以下を基準としている.しかしながら,日本では水質基準は提示されていない.われわれは,2003年に鶴見大学歯学部附属病院内の17台の歯科用ユニット水について微生物による汚染状況調査を行った.さらにDUWS用洗浄剤の選択,洗浄剤の安全性確認,洗浄消毒方法を検討した.次いで,「ショックトリートメント」(DUWSチューブ内のバイオフィルムを除去する化学的洗浄方法)を2004年より実践した.このショックトリートメントとは,診療終了後にDUWS用洗浄液をDUWS内に流入し,洗浄液を満たして一晩放置する.翌日診療開始前に洗浄液を通常のフラッシングの要領で排出する.これを連続して3日間繰り返し行う.ショックトリートメント実施前には,フィルターや逆流防止装置などの設置の有無にかかわらず,全ユニットから2.4×10^2〜6.1×10^4CFU/mlの微生物が検出された.またフラッシングにより汚染度は減少したが,フラッシング後もなお汚染が確認されたユニットもあった.ショックトリートメントを実施した後に同様な微生物による汚染状況調査を行った結果では,DUWSの水の汚染は著しく改善していた.しかしながら,DUWS水回路流入元へのコックの取付けや流入装置の準備,詰まりや水漏れに対する対策が必要であった.また定期的に洗浄消毒を繰り返す必要があることがわかったため,現在も引き続きショックトリートメントを実施中である.
著者
前田 貴記
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.420-425, 2016-09-30 (Released:2017-10-05)
参考文献数
15

高次脳機能障害において, 自己意識の異常は, 病識, 自伝的記憶, 身体感覚, 身体図式, 行為に伴う自己意識などの異常として, よく経験するところである。自己意識は主観的体験であるため, 主観性をいかに実証的に扱うかという方法論的な問題が存在する。本稿では, 統合失調症における自我障害の神経心理学研究である sense of agency 研究について紹介するが, 高次脳機能障害においてみとめられる自己意識について実証的に評価, 研究する際の参考になればと思う。
著者
前田 英志
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.1-7, 2011-11-24

本論文では,不動産賃貸市場における価格最適化のモデルを提案する.このモデルは,価格弾力性の分析に基づき理論家賃を算出するものである.手順としては,1.市場に従って家賃が変動する物件を選出する 2.エリアおよび物件属性を元にセグメンテーションを行い同一分析対象の物件群を選択する.3.セグメント単位で相場家賃に対する契約家賃の価格弾力性を元に理論家賃を算出する.このモデルにより,従来家賃設定担当者の経験に基づき近隣の競合他社に追随した受動的な価格設定が行われていた不動産賃貸市場において,理論的なプライシングのアプローチが可能となる.このモデルを適用した不動産会社において,市場の期待を超える入居率の向上を狙い通り実現し,その有効性を確認した.This paper proposes a price optimization model for the real estate leasing market. Our model calculates theoretical rent prices based on elasticity analysis. In this model, first the properties experiencing fluctuation according to the market are identified using a theoretical approach. Next, such properties are divided based on their characteristics, such as locations and features. Last, the optimized rent is calculated based on the elasticity between the rent over market and the utilization rate. This model enables a theoretical pricing approach to be used rather than the conventional passive approach based only on the experience of real estate employees. After applying this model to the real estate industry, we proved its effectiveness by realizing results which lead to an improvement in the utilization rate beyond the expectations of the market.
著者
前田 公三 水島 卓也 綱井 秀樹 ラクシンチャラーンサク ポンサトーン 林 隆三 永井 正夫 小花 麻純 佐々木 和也
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1369-1374, 2009-09-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究では、常時記録型ドライブレコーダを用いて、ドライバ個人の車線変更時の運転行動の解析と評価を目的とする。走行車線から追い越し車線に車線変更する場合の運転行動データベースを構築し、個人別・車線変更状況別の安全確認行動、ウィンカ点灯タイミング、操作特性、後続車への影響の解析を行ったので報告する。
著者
荒井 清司 松井 智 松根 健介 呂 朋君 曹 宏 西村 眞 辻本 恭久 松島 潔 前田 隆秀
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.481-486, 2007-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
20

著者らは,ラットの露髄面に新規ハイドロキシアパタイトに炭酸カルシウムもしくはβ-TCPを含有させ,覆髄材としての有効性を報告した.そこで,本研究では,ヒト歯髄培養細胞における炭酸カルシウムの硬組織形成能を解明する一助として,細胞増殖試験ならびに硬組織形成の分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)を指標とし,検討を行った。炭酸カルシウムは,1mM,100μM,10μM,1μMの濃度を含有させた培地に最大12日間作用させた。培養24時間後の細胞毒性試験において,各濃度の炭酸カルシウム作用群において著しい細胞毒性は認められなかった。また,細胞増殖試験において,10μM炭酸カルシウム作用群をピークとして,細胞数の増加が認められた。培養3日後の細胞にアゾ染色を行い,10μM炭酸カルシウム作用群において,ALPの濃染が認められた。また,培養12日目のALP活性においても10μM炭酸カルシウム作用群をピークとし,無添加のコントロール群と比較し,有意な差が認められた。以上のことから10μMの炭酸カルシウムをヒト歯髄培養細胞に作用させることで,硬組織形成能を促進させる可能性が示唆された。
著者
前田 慎市 吉木 一秀 菅野 祥一郎 冨田 啓太 小原 哲郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.852, pp.17-00019-17-00019, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
26

Shock-induced combustion around a spherical body was experimentally investigated by launching the projectile at supersonic speed into a combustible mixture. This study focused on occurrence conditions for an unsteady combustion which was characterized as combustion instabilities with an oscillating combustion front. A spherical body of 4.76 mm dimeter was used as the projectile, and its flight Mach numbers were ranged from 3.5 to 7.5. Four types of combustible mixtures, which were stoichiometric hydrogen-oxygen and ethylene-oxygen mixtures diluted with argon or nitrogen (2H2 + O2 + 3Ar, 2H2 + O2 + N2, C2H4 + 3O2 + 12Ar, C2H4 + 3O2 + 2.5N2), were used and their initial pressures were varied between 25 and 100 kPa. The combustion regimes around the projectile were observed by using a schlieren optical system and high-speed camera. The combustion regimes generally varied from the steady combustion with smooth combustion front to the unsteady combustion with oscillating combustion front, when the projectile Mach number or the initial pressure increased. The occurrence conditions for the unsteady combustion were expressed by the two dimensionless parameters; dimensionless heat release rate, q*t* and dimensionless induction length, lind*, which were defined by the post-shock state and flow velocity on the stagnation streamline of the projectile and by assuming the chemical reaction as a constant-volume explosion. The q*t* included a temperature gradient in a reaction zone, and represented the strength of the pressure wave driven by the heat release reaction. The lind* included an induction time, and represented the distance between the shock wave and the location where the heat release reaction started. The unsteady combustion occurred when these two dimensionless parameters were above the critical values, and the trend of occurrence condition of the two combustion regimes could be explained by introducing the parameters.
著者
前田 ひとみ 岡本 淳子 寺本 淳子 山下 清香 山本 悌子 成田 栄子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.2_14-2_20, 1989

より行動化され易く、また、母親の意識を高めることの出来る保健指導を検討する為に、育児指導の内容や方法が異なる竜北町と熊本市の1才6ケ月児検診における母親の育児行動ならびに児の日常生活習慣の自立等の実態とそれまでに受けた指導とを比較した。 その結果、児の発達を追いながら個別性を考慮し、期間を区切って身近な目標を持たせるような指導は効果のあることが示唆された。そして、集団指導は効果的な指導の場となっており、加えて実習することによって母親自身に方法や知識が確実に習得されると思われる結果が得られたことから、項目によっては単に口述だけでなく、実習をまじえた指導がより効果的であると考えられた。一方、正常な発達過程や家族の生活形態や家族形態の影響を受け易い日常生活習慣については、指導の効果が現れにくいことが示唆された。
著者
前田 誠司 吉田 明正 笠原 博徳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.23-24, 1994-03-07

マルチプロセッサシステム上におけるFortranプログラムの自動並列処理では、従来Doall、Doacross等のレ-プ並列化が用いられている。しかし、ル-プ並列化ではループ以外の部分の並列性を抽出することができないという問題があった。この問題点を解決するために、筆者らはステートメント間の近細粒度並列処理、ループのイタレーション間の中粒度並列処埋、サプルーチン・ループ・基本プロック間の粗粒度並列処理を階層的に組み合わせ、プログラム全域の並列性を利用するマルチグレイン並列処理をすでに捉案している。本稿では、このマルチグレイン並列処理において、各階層のタスク間データ転送オーバーヘッドを軽減するための、タスク融合を用いたデータローカライゼーション手法を提案する。また、提案手法を用いた、コンパイラはOSCAR上でインプリメントされており、本稿ではその性能評価についても述べる。